ジャズ・ディスク・ノート 2020年2月15日

第404回 ライオネル・ハンプトン 1939年 その2

No.404 Lionel Hampton 1939 vol.2

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

さて今回は、ライオネル・ハンプトンの「オール・スター・セッション」の1939年の後半の録音を聴いていこう。
音源は引き続き、「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第16巻 ライオネル・ハンプトン/オール・スター・セッション」(RCA RA-90〜95レコード)である。

<No.13 Session Contents> 1939年9月11日 ニューヨークにて録音

Record4.A-4ホエン・ライツ・アー・ロウWhen lights are low
Record4.A-5ワン・スイート・レター・フロム・ユーOne sweet letter from you
Record4.A-6ホット・マレッツHot mallets
Record4.A-7アーリー・セッション・ホップEarly session hop

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンと彼のオーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader , Vibraphone & Vocalライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetディジー・ガレスピーDizzy Gillespie
Alto saxベニー・カーターBenny Carter
Tenor saxコールマン・ホーキンスColeman Hawkinsチュー・ベリーChu Berryベン・ウエブスターBen Webster
Pianoクライド・ハートClyde Hart
Guitarチャーリー・クリスチャンCharlie Christian
Bassミルト・ヒントンMilt Hinton
Drumsコージー・コールCozy Cole

ともかく大変なメンバーである。当時最高のテナー・サックス奏者と思われていたホーキンス、チュー、ウエブスターの3巨頭が顔を揃え、アルトにはこれまたジャズ・グレイト、ベニー・カーターが入る。まず、ホーキンスは1934年にフレッチャー・ヘンダーソン楽団を辞め、ヨーロッパへ渡る。そしてこの年帰国するのであるが、いつ帰国したのだろうか?寄稿して最初に吹き込んだのが超有名なあの”Body and soul”(1939年10月11日吹込み)という記載がある(岩浪洋三氏 ”Coleman Hawkins”BVCJ-37155CD解説)。しかしどう考えてもこちらの録音の方が時期が早い。ホークの帰米後初録音に当たるかもしれない。
そしてビ・バップの立役者の一人ディズがTpに座るが、この時はキャブ・キャロウェイ楽団でチューと同僚だった。さらにギターのクリスチャン、彼もビ・バップの草創期の伝説化したギタリストである。野口氏はなぜか書いていないが、「チャーリー・クリスチャン/メモリアル・アルバム」に記載されているディスコグラフィーではこれが初吹込みに当たる貴重な録音である。ともかく聴きどころ満載のセッションである。
Record4.A-4「ホエン・ライツ・アー・ロウ」
ベニー・カーター作の有名曲。アレンジもカーター。最初のコーラスはアンサンブルとVbで、カーターのアルトが入り、そのままハンプトンのVbがフル・コーラスのソロを取る。続いてテナー・ソロとなるが、音色の似ている3巨匠がいるので分かりにくいが、これはホーキンスだという。サビはハートのPで、Vbを絡ませた合奏で締め括る。
Record4.A-5「ワン・スイート・レター・フロム・ユー」
1927年にハリー・ウォーレンが作曲した曲でこの1939年にリヴァイヴァル・ヒットしていたという。まずピアノのイントロから最初のテナーは、これもホーキンス。それを受けてハンプのヴォーカルとなる。このヴォーカル・バックでクリスチャンのコード・ワークが聴ける。ラストはVbと合奏となる。
Record4.A-6「ホット・マレッツ」
ここでディズが登場する。曲はハンプのオリジナル。ファースト・コーラスのディズは、ロイ・エルドリッジの影響が明らかだが、1939年とは思えないようだモダンなソロである。サビはカーターのAsで次はTsとなるのだが、この奏者については説が分かれているという。しかしこれはチュー・ベリーだという。チューの権威、油井正一氏の見立て(?)だという。テナーの後はハンプトン(Vb)とリフ・アンサンブルとなる。
Record4.A-7「アーリー・セッション・ホップ」
ホット・ダンス・ナンバーで、このTs奏者が物議を醸しているという。ヴィンテージ・シリーズのLP「ボディ・アンド・ソウル」ではホーキンスとしているが、これはウエブスターだという。そしてこの見立ても油井氏で野口氏も賛成だと書いてある。しかしヴィンテージ・シリーズのLP「ボディ・アンド・ソウル」解説でホーキンスと書いているのは油井氏である。どうも話に整合性がない。しっかりして欲しい。これで確かにこれでTs3巨匠そろい踏みとなる。速いテンポでアンサンブルからTs、Vb、Asとソロが続く。

<No.14 Session Contents> 1939年10月12日 ニューヨークにて録音

Record4.A-8アイム・オン・マイ・ウェイ・フロム・ユーI'm on my way from you
Record4.B-1ハヴント・ネイムド・イット・イェットHaven't named it yet
Record4.B-2ザ・ヒービー・ジービーズ(テイク1)The heebie jeebies take1
Record4.B-3ザ・ヒービー・ジービーズ(テイク1)The heebie jeebies take1

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンと彼のオーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader , Vibraphone & Vocalライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetヘンリー・レッド・アレンHenry “Red” Allen
TrombonexJ.C.ヒギンバサムJ.C.Higginbotham
Alto saxアール・ボスティックEarl Bostic
Pianoクライド・ハートClyde Hart
Guitarチャーリー・クリスチャンCharlie Christian
Bassアーティー・バーンスタインArtie Bernstein
Drumsシドニー・カトレットSidney Catlett

1か月後のこのセッションでは、ピアノのハートとギターのクリスチャンが残り後は一新された形だ。ハンプトン、クリスチャン、バーンスタインの3人はこのセッションに先立つ1週間前ベニー・グッドマンのコンボでレコーディングを共にしている。アレンとヒギンバサム、カトレットはルイ・アームストロングのバンドの出で、よく一緒に演奏している。またアルトのアール・ボスティクはこの当時自分のバンドを率いていたが、43年にハンプトン楽団のメンバーとなった。さらに後にはホンカーとして名を馳せ、R&Bのバンドで人気を博す。そのバンドには一時ジョン・コルトレーンが在団していたことで有名だ。拙HP第102回でコルトレーン在団当時のレコードを取り上げている。
Record4.A-8「アイム・オン・マイ・ウェイ・フロム・ユー」
ハンプトン作のポピュラー・ソング形式の曲。聴き処は冒頭フル・コーラスのソロを取るレッド・アレンのTpで、コクと風格を感じさせる。次いでハンプトンのヴォーカルとなり、続くヒギンバサムのTbソロも良い出来である。
Record4.B-1「ハヴント・ネイムド・イット・イェット」
ハンプトンとクリスチャンの共作によるポピュラー・ソング形式の曲。ミディアム・テンポの曲で合奏の後に続いてクリスチャンのソロが聴ける。サビはアレンのTp、次のコーラスはヒギンバサムとボスティクのAs、ラスト・コーラスはアンサンブルとなる。
Record4.B-2、3「ザ・ヒービー・ジービーズ」
これもハンプトンの作で、ハンプトンと誰かとのヴォーカル掛け合いが大きくフューチャーされる。アレン、ヒギンバサム、バーンスタインの短いソロも入る。ヴォーカル・バックのクリスチャン、アレンの絡みが面白い。2つのテイクには細かいところで違いがある。

<No.15 Session Contents> 1939年10月30日 ニューヨークにて録音

Record4.B-4マンソン・ストリート・ブレイクダウンMunson street breakdown
Record4.B-5良い娘を見つけたI've found a new baby
Record4.B-6云い出しかねてI can't get started
Record4.B-7フォー・オア・ファイヴ・タイムスFour or five times
Record4.B-8ジン・フォー・クリスマスGin for Christmas

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンと彼のオーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader , Vibraphone , Piano & Vocalライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetジギー・エルマンZiggy Elman
Clarinet & Alto saxトゥーツ・モンデロToots Mondello
Tenor saxジェリー・ジェロームJerry Jeromeベン・ウエブスターBen Webster
Pianoクライド・ハートClyde Hart
Guitarアル・ケイシーAl Casey
Bassアーティー・バーンスタインArtie Bernstein
Drumsスリック・ジョーンズSlick Jones

ホーン奏者でウエブスター以外はBG楽団のメンバーである。ドラムのスリック・ジョーンズは拙HP初登場、ファッツ・ウォーラー楽団からの参加である。
Record4.B-4「マンソン・ストリート・ブレイクダウン」
ハンプトンのオリジナルで、ハンプのピアノが大きくフューチャーされる。ブギー・ウギーのリズムである。P以外のソロは、ウエブスター(Ts)、Clはモンデロ、その後はエルマンがフル・コーラスのソロ、ハンプトンのVbと合奏で終わる。
Record4.B-5「良い娘を見つけた」
1926年に作られた曲でよくジャズ・マンが取り上げる曲である。ものすごく速いテンポで演奏されるが、ハンプはピアノで大活躍する。中間にエルマンのミュート・ソロが入るが前後3コーラスずつのピアノ・デュオを繰り広げる。
Record4.B-6「云い出しかねて」
ヴァ―ノン・デューク作の超有名スタンダード。スロウ・テンポのバラードで、ハンプは情感豊かにVbソロを取る。サビのTpはエルマン。
Record4.B-7「フォー・オア・ファイヴ・タイムス」
これもこの当時のジャズ・マンに好かれた曲。Vbのイントロからサックスの合奏を経てハンプのヴォーカルとなる。ここではPとTpの絡みが面白い。ヴォーカルの後はモンデロ(As)、ハート(P)、ウエブスター(Ts)、Vbと16小節ずつソロを取り、合奏で締め括る。
Record4.B-8「ジン・フォー・クリスマス」
ハンプトン作ブルース形式のテーマを各ソロイストがリレーしていくのが楽しい。Tpリードのテーマからウエブスター(Ts)⇒モンデロ(As)⇒ケイシー(Gt)⇒ハート(P)と続き、さらにB、Dsを頭にしたアンサンブル・コーラスを経てエルマンのハイ・ブロウがクライマックスを作っている。

<No.16 Session Contents> 1939年12月21日 ニューヨークにて録音

Record5.A-1ダイナ(テイク1)Dinah take1
Record5.A-2ダイナ(テイク1)Dinah take1
Record5.A-3マイ・バディMy Buddy
Record5.A-4シンギン・ザ・ブルースSingin’the blues

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンと彼のオーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader & Vibraphoneライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetベニー・カーターBenny Carter
Clarinetエドモンド・ホールEdmond Hall
Tenor saxコールマン・ホーキンスColeman Hawkins
Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
Guitarフレディー・グリーンFreddie Greene
Bassアーティー・バーンスタインArtie Bernstein
Drumsズッテイ・シングルトンZutty Singleton

このメンバーも魅力的である。カーターはトランペットも本職はだしである。ジョー・サリヴァン、シングルトンは当時自己のグループを率いて活躍していた。
Record5.A-1、2「ダイナ」
エリントン楽団やBGトリオも演奏し、日本ではディック・ミネが歌って大ヒットしたあの曲。2つのテイクがあるが構成は同じ。Vbのイントロからカーター(Tp)、ホーキンス(Ts)、ハンプトン(Vb)のフル・コーラスのソロが聴きもの。ラストはVb絡みのリフ・アンサンブルで結んでいる。
Record5.A-3「マイ・バディ」
1922年のヒット曲という。ファースト・コーラスはホール(Cl)にホークのTsが絡み、次のコーラスはホークの豪快なTsソロ、その後ハンプトンのVb、そして合奏で締め括る。
Record5.A-4「シンギン・ザ・ブルース」
正式なブルース形式ではなく16小節1コーラスの曲。ミディアム・スロウのテンポで、サリヴァン(P)⇒ホーク(Ts)⇒ハンプトン(Vb)そして合奏となる。サリヴァンとホークのソロが秀逸。ラスト・コーラスのTsとVbの絡み心地良い。

このWebサイトについてのご意見、ご感想は、メールでお送りください。

お寄せいただいたご意見等は本文にて取り上げさせていただくことがあります。予めご了承ください。

ジャズ・ディスク・ノート 2020年2月11日

第403回 ライオネル・ハンプトン 1939年 その1

No.403 Lionel Hampton 1939 vol.1

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

さて今回は、ライオネル・ハンプトンの「オール・スター・セッション」の1939年の録音を聴いていこう。このセッション・シリーズの中では、この1939年がセッション数、録音曲数ともに最多である。ということで2回に分けて書いていきたい。
音源は引き続き、「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第16巻 ライオネル・ハンプトン/オール・スター・セッション」(RCA RA-90〜95レコード)である。

<No.9 Session Contents> 1939年4月3日 ニューヨークにて録音

record3-A面4アイ・キャン・ギヴ・ユー・ラヴI can give you love
record3-A面5ハイ・ソサエティHigh society
record3-A面6スイングしなけりゃ意味ないねIt don't mean thing
record3-A面7ジョニー・ゲット・ユア・ホーンJohnny get your horn and blow it

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンと彼のオーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader , Vibraphone & Vocalライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetアーヴィング・ランドルフIrving Randolph
Bass clarinet & Alto saxハイミー・シャーツァーHymie Schertzer
Alto saxラッセル・プロコープRussell Procope
Tenor saxジェリー・ジェロームJerry Jeromeチュー・ベリーChu Berry
Pianoクライド・ハートClyde Hart
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassミルト・ヒントンMilt Hinton
Drumsコージー・コールCozy Cole

ベニー・グッドマンのカルテットでの1939年最初の録音は、4月6日なので、少しばかり前に録音を行ったことになる。
ボックス解説の野口久光氏によれば、この日そして次回、そして次々回に参加したチュー・ベリーのソロによってハンプトンのオール・スターセッションの中でも白眉の出来映えとなったという。そしてここで見逃せないのがフレッド・ノーマンの優れたアレンジメントであるという。確かに素晴らしいアレンジとプレイヤー人が一体となってアンサンブルが歌いに歌っている。聴き応え満点のパフォーマンスである。

Record3.A-4「アイ・キャン・ギヴ・ユー・ラヴ」
ハートのピアノ・イントロからヴァイブを絡ませたサックス・アンサンブルは強力であり、サビを受け持つランドルフのTpミュート・プレイ、ハンプトンのヴォーカルもジャジーで良い。歌の後に出るわずか8小節のベリーのTsのソロが圧巻である。
Record3.A-5「ハイ・ソサエティ」
古いディキー・ナンバーで前回ジェリー・ロール・モートンも録音していた。フレッド・ノーマンはこの曲を見事にスイング・ナンバーにアレンジしているし、構成も上手いとは野口氏。ドラム・ロールでフェイド・インして、ランドルフがベリガン風のフレイズでイントロを付け、Tpがリードするサックス・アンサンブルに入るが、このスインギーなフレイズをサックス奏者が実によく歌っている。
次にランドルフの16小節のソロを挟み、ハンプトン(Vib)とシャーツァーの当時としては珍しいバス・クラのソロが各32小節、プロコープ(As)、ベリー(Ts)が16小節ずつの素晴らしいソロを取る。ラスト・コーラスは再び合奏にヴァイブを絡ませるが、ノーマンのアレンジを完璧に生かしたメンバー全員の熱気に圧倒されるとべた褒めである。
Record3.A-6「スイングしなけりゃ意味ないね」
ご存知デューク・エリントンの1932年作の名曲。ここでもフレッド・ノーマンのアレンジが素晴らしく印象的である。原メロディーをほとんど出さず、スマートな演出で、サックス・セクションをよく歌わせている。イントロも洒落ているが、ランドルフのTpとサックス・アンサンブルによる最初のコーラス(サビはジェロームのTs)からハンプトンのヴォーカルに入るが、ここでもヴォーカルとサックス・ソリの掛け合いをさせ、次のコーラスはヴァイブ、ラストをサックスとハート(P)と意表を突いたアレンジで楽しませてくれる。
  Record3.A-7「ジョニー・ゲット・ユア・ホーン」
ハンプトンとハーシュ(?)、ハザウェイ(?)の合作した新曲。ここでもノーマンの編曲が光る。ファースト・コーラスはサックスとTp(サビはヴァイブ)、間奏のTsはジェローム(多分)、続いてハンプのヴォーカルとなる。そして次のベリーのTsが目玉である。ラスト・コーラスはヴァイブと合奏で、サビのAsはプロコープ。

<No.10 Session Contents> 1939年4月5日 ニューヨークにて録音

record3-A面8スイートハーツ・オン・パレードSweethearts on parade
record3-B面1ハリウッドでひと騒ぎ(テイク1)Shufflin’ at the Hollywood take1
record3-B面2ハリウッドでひと騒ぎ(テイク2)Shufflin’ at the Hollywood take2
record3-B面3デニソン・スイングDenison swing
record3-B面4ウィズィン・ザ・ウィズWhizzin’the wiz

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンと彼のオーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader , Vibraphone , Piano & Vocalライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Tenor saxチュー・ベリーChu Berry
Pianoクライド・ハートClyde Hart
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassミルト・ヒントンMilt Hinton
Drumsコージー・コールCozy Cole

前セッションから2日後の録音で、ブラス、ホーンからチュー・ベリーだけが残った。野口氏によればこれがハンプのRCA全セッション中最高のプレイが記録されたという。ここでは前回とは異なり、ヘッド・アレンジによるジャム・セッションスタイルの演奏である。
Record3.A-8「スイートハーツ・オン・パレード」
ガイ・ロンバードの弟カーメン・ロンバードの作で大甘のラヴ・ソングで、1930年ハンプはルイ・アームストロングと一度吹き込んでいる。全4コーラス中2コーラスがハンプのヴォーカルであるが、冒頭からベリーがアドリブでハンプのVibに絡み、ヴォーカルのバックでも吹き続け、サード・コーラスでベリーのアドリブは最高潮に達する。おそらくベリー生涯最高のアドリブの一つであろうという。4コーラスを通してリラックスしたアドリブを繰り広げるベリーに対して、ハンプも良きパートナーぶりを発揮する。この最高のスイング・ビートを送るリズム隊のリズムはシャッフル的であり、40年代にハンプが結成して一世を風靡したリズム&ブルース・スタイルの原型ともなっているという。
Record3.B-1、2「ハリウッドでひと騒ぎ」
曲はハンプのオリジナル。これも前曲同様素晴らしいパフォーマンスを聴かせる。ここではジャム・セッションの良さが楽しめる。ソロはベリー(Ts)⇒ハンプ(Vb)⇒ハート(p)⇒ベリー⇒ハンプ⇒ベリーと3者がアドリブを取るが、バックアップするリズム隊も素晴らしい。テイク1、2ともパターンは同じで甲乙つけがたい出来である。
Record3.B-3「デニソン・スイング」
これもハンプのオリジナル。デニソンというのは、ハンプの奥さんグラディスの両親が住んでいるテキサス州北部の地名だという。この曲はこれはハンプのピアノ2本指奏法の妙技を見せようというナンバー。後半に出るベリーが好調である。
Record3.B-4「ウィズィン・ザ・ウィズ」
これもハンプのオリジナルで、これもハンプのピアノがフューチャーされる。これ以上早い演奏は無理と思わせる様な高速プレイがスリリング。

<No.11 Session Contents> 1939年6月9日 ニューヨークにて録音

record3-B面5イフ・イッツ・グッドIf it's good
record3-B面6スタンド・バイ・フォー・ファーザー・・アナウンスメンツStand by ! For further announcements
record3-B面7エイン・チャ・カミン・ホームAin't cha comin’ home
record3-B面8ビッグ・ウィグ・イン・ザ・ウィグウァムBig wig in the wigwam

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンと彼のオーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader , Vibraphone & Vocalライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetジギー・エルマンZiggy Elman
Alto saxハイミー・シャーツァーHymie Schertzer
Soprano & Alto saxラッセル・プロコープRussell Procope
Tenor saxジェリー・ジェロームJerry Jeromeチュー・ベリーChu Berry
Pianoクライド・ハートClyde Hart
Guitarダニー・バーカーDanny Barker
Bassミルト・ヒントンMilt Hinton
Drumsコージー・コールCozy Cole

ヴィクターはドル箱の大スターベニー・グッドマンを1939年5月4日の録音を最後に失うことになる。こうなるとBG楽団の下でスターになりつつあったハンプトンの存在は重要になって来たのではないだろうか?ともかくこのセッションでの新顔はキャブ・キャロウェイ楽団のダニー・バーカーだけであり、ある程度気心に知れたメンバーによるものとなっている。アレンジはフレッド・ノーマンが再登場。
Record3.B-5「イフ・イッツ・グッド」
当時のポピュラー・ソングと思われる。Tpリードのアンサンブルとサックス・ソリによるファースト・コーラスからハンプのヴォーカルとなるが、そのバックのエルマンの絡みが面白い。ラストはエルマン(Tp)、ハンプ(Vb)、ジェローム(Ts)のソロを経てアンサンブルとなって終わる。
Record3.B-6「スタンド・バイ・フォー・ファーザー・・アナウンスメンツ」
これもポピュラー・ソングという。ドラムのイントロからアンサンブル・コーラス、短いVbとTpをブリッジにしてハンプのヴォーカルとなり、さらに合奏に返す。ハンプの連作セッションの中では凡作に属するとは野口氏。。
Record3.B-7「エイン・チャ・カミン・ホーム」
この曲は、ハンプの連作セッションの中では珍しくスロウ・テンポのナンバーである。ヴァイブのイントロからファースト・コーラスはミュートTpのリードするアンサンブルで、サビはハートのピアノ、セカンド・コーラスはベリーのTsとハンプのVbがソロを分け合う。このベリーのソロがこの日のハイライトで確かに素晴らしい。
Record3.B-8「ビッグ・ウィグ・イン・ザ・ウィグウァム」
ハンプの書下ろしであろうという。ハンプとメンバーのヴォーカルかけ合い、そしてハンプのドラムが大きくフューチャーされる。ややノヴェルティ気味の演奏で、エルマン(Tp)、プロコープ(As)のソロがあるが、プロコープのソロが素晴らしいという。

<No.12 Session Contents> 1939年6月13日 ニューヨークにて録音

Record4.A-1メモリーズ・オブ・ユーMemories of you
Record4.A-2ザ・ジャンピン・ジャイヴThe jumpin’jive
Record4.A-312番街のラグTwelfth street rag

<Personnel> … ライオネル・ハンプトンと彼のオーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader , Vibraphone , Piano & Vocalライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetレックス・スチュアートRex Stewart
Tromboneローレンス・ブラウンLawrence Brown
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoクライド・ハートClyde Hart
Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer

この回のセッションはエリントン楽団から5人が参加している。 Record4.A-1「メモリーズ・オブ・ユー」
グッドマン・セプテットで有名なナンバー。ハンプは一度ルイ・アームストロングと1930年に吹き込んでいる。作はユービー・ブレイクというラグタイム・ピアニスト。
アレンジはフレッド・ノーマン。ローレンス・ブラウンのレイジーなソロで始まるが、これは名演と言ってよい。油井正一氏はブラウンを「関西弁のトロンボーン」と評したが、これを聴くとそのニュアンスがよく分かるという。ブラウンは1930年ごろレス・ハイト楽団の同僚だった。
サビはスチュアートのミュート・コルネット、第2コーラスはヴァイブとアンサンブルだが、このアンサンブル・アレンジは非凡であると野口氏は高く評価している。
Record4.A-2「ザ・ジャンピン・ジャイヴ」
短い序奏アンサンブルからハンプのヴォーカル(バックはレックスのCor)となり、ブラウン(Tb)とハンプ(Vb)が次のコーラスを分け合い、ラスト・コーラスは前半カーネイ(Bs)、後半合奏としている。
Record4.A-3「12番街のラグ」
ラグタイムが流行っていた1914年頃ユーディ・バウマンが作曲したもの。ジャズマンが好んで演奏している。非常に速いテンポの演奏で、始めの2コーラスはハート(P)、2コーラス目の途中からハンプとの連弾となる。その後ブラウン(Tb)、カーネイ(Bs)がそれぞれ1コーラス・ソロを取り、リフによるラスト・コーラスへ移る。

このWebサイトについてのご意見、ご感想は、メールでお送りください。

お寄せいただいたご意見等は本文にて取り上げさせていただくことがあります。予めご了承ください。

ジャズ・ディスク・ノート 2020年2月8日

第402回ジェリー・ロール・モートン 1939年 第2回

No.402 Jelly Roll Morton 1939 Vol.2

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

「コモドア・ジャズ・・クラシックス/ジェリー・ロール・モートン」レコード・ジャケット

第401回で取り上げたようにジェリー・ロール・モートンは古巣の大手レコード会社ヴィクターにオール・スター・コンボによる吹込みを行い本格的な復帰を行う。
しかしそのレコードの売れ行きはどうだったのであろうか?ボックスの解説には書いていないがあまり芳しいものではなかったのではないかと思う。というのはその後モートンのヴィクターへの吹込みは途絶えてしまうからである。それは必ずしもコンボによる録音の出来が良くなかったということを意味しない。余は正にスイング・イーラ、ビッグ・バンド・ジャズの全盛期である。世はベニー・グッドマンやトミー・ドーシーの奏でる洗練されたスイングに酔い、踊っていた。黒人バンド、ベイシーやエリントンでさえもこの時代は少々分が悪かった時代に、かつては大物だったかもしれない人物が、何の変哲もないディキシーランド・ジャズを吹き込んでもそうそう話題になり、大いに売れたとは想像できないのである。

「コモドア・ジャズ・・クラシックス/ジェリー・ロール・モートン」レコード・ジャケット裏

ともかくこの後モートンは1939年12月14、16、18日の3日間をかけてマイナー・レーベルであるゼネラル・レコードにピアノ・ソロとヴォーカルの吹込みを行う。ゼネラル・レコードは1946年に経営破綻したのか歴史を閉じる。この音源を取得したのが1938年にミルト・ゲイブラーが創業したこれまた独立系のマイナー・レーベル”Commodore records”である。ということでこの音源は、現在「Commodore Jazz Classics “Jelly Roll Morton” Mainstream Records S/6020」として出ているのである。
曲の収録がバラバラのようだが、A面にはピアノ+ヴォーカル、B面にはピアノ・ソロのナンバーが収録されている。またこのレコードは輸入盤だが、全く録音データが掲載されていない。以下の録音日については、モートンのディスコグラフィーと照らし合わせた結果なので、そうそう誤ってはいないと思うが、念のためレコードに記載されたデータではないことを断っておく。

またこのレコードには記載上<?>という個所がある。
その1曲名。ジャケット裏に記載された曲名に"Don't leave me here"という曲がある(右写真)。これはディスコグラフィーでは"Don't you leave me here"となっており、前回取り上げたコンボ演奏のピアノ弾き語りヴァージョンと思われる。
その2曲名。ジャケット裏に記載された曲名に"The grave"という曲がある(右写真)。これはレコード・ラベル及びディスコグラフィーでは"The crave"となっている。ググってみると"The crave"は、モートン作の楽曲と出てくるので、多分"The crave"が正しいのであろう。ただ"Grave"は「お墓」という意味で分かりやすいが"Crave"は「渇望する」という動詞である。"The crave"と"the"を付けることで

「コモドア・ジャズ・・クラシックス/ジェリー・ロール・モートン」レコード・A面ラベル

<Contents> … 1939年12月 ニューヨークにて録音

A面
B面
曲名原題録音日曲名原題録音日
1.メイミーズ・ブルースMamie’s blues1939年12月16日1.オリジナル・ラグズOriginal rags1939年12月14日
2.ミシガン・ウォーター・ブルースMichigan water blues1939年12月18日2.ザ・ネイキド・ダンスThe naked dance1939年12月16日
3.バディ・ボールデンズ・ブルースBuddy Bolden’s blues1939年12月16日3.ザ・クレイヴThe crave1939年12月14日
4.ウィニン・ボーイ・ブルースWinin’boy blues1939年12月14日4.ミスター・ジョーMister Joe1939年12月14日
5.ドント・リーヴ・ミー・ヒアDon't leave me here1939年12月16日5.キング・ポーター・ストンプKing porter stomp1939年12月14日

<Personnel> … ジェリー・ロール・モートン(Jelly Roll Morton)

Piano & Vocalジェリー・ロール・モートンJelly Roll Morton
「コモドア・ジャズ・・クラシックス/ジェリー・ロール・モートン」レコード・B面ラベル

A面のヴォーカル・サイドはいずれもゆったりとしたブルースで、モートンは弾き過ぎずたっぷりと間を取ったピアノと渋みのある時として哀愁が漂う滋味豊かな歌いっぷりで最高のブルース歌唱集であると思う。モートンもこういう枯れた芸風で行けばよかったのにと思ってしまう。

B-1.「オリジナル・ラグズ」、B-2.「ザ・ネイキド・ダンス」
タイトル通りのラグタイム・ナンバー。弾き慣れたラグタイムなので、余裕さえ感じられる弾きっぷりである。B-2.ザ・ネイキド・ダンスは、グッとテンポを上げて見事な鍵盤さばきを聴かせる。
B-3.「ザ・クレイヴ」
この曲はラグ風の中にもモートンの情念のようなものが感じられるエモーショナルなナンバーである。 映画「海の上のピアニスト」の挿入歌として有名になった曲。映画「海の上のピアニスト」の音楽を担当したのは、エンリオ・モリコーネだが、よくこんな曲を掘り起こしてきたものだと思う。
B-4.「ミスター・ジョー」
こちらはラグタイムの中にもグッと力強さを感じさせるナンバー。
B-5.「キング・ポーター・ストンプ」
モートンの作った数々のナンバーの中で最もヒットした曲ではないか。ベンー・グッドマンやフレッチャー・ヘンダーソンなども録音しているこの時代のスタンダード・ナンバーである。

「I heard Buddy Bolden say」レコード・ジャケット

この後モートンは、年が変わった40年1月に同じくゼネラル・レコーズにヴィクターの時から少しメンバーを変えたオール・スター・コンボによる演奏をレコーディングする。こちらの音源はイギリス・ヴォーグ・レコーズから出ているようだが、僕は保有していない。
またモートンは、スモール・コンボを率い活動を行うが、先ほども記したようにビッグ・バンド全盛の中での経営は難しく失敗に終わったという。モートン自身も健康を害しバンドは解散してしまう。そんな中彼の名付け親であるユーラリー・エコー夫人危篤の知らせを受け取ったモートンは、1940年暮にロサンゼルスに向かう。しかし残念ながら夫人は亡くなり、残された盲目の義父(ユーラリー・エコー夫人の夫)の面倒を同地で看ることにした。
ロサンゼルスでモートンは、義父の面倒を見ながら音楽会社を興し、またスモール・グループを率いるなどして再度再起をはかったが、1941年初めには自身の健康が悪化し、断念せざるを得なくなった。そして6月には私立療養所に入ったが、すぐに家に戻ってしまった。しかし心臓疾患と喘息はますます悪化し、同年7月10日ロサンゼルス地方総合病院で、帰らぬ人となった。享年55歳と10か月であった。

「ジャズ・クラシックス・オブ・ジェリー・ロール・モートン」ボックス解説の大和明氏は、モートンの生涯を次のように結んでいる。
ジェリー・ロール・モートンの生涯は、音楽の世界における偉大なる創作活動と共に、賭博、酒、女、そして放浪に明け暮れ、傲慢なほどの尊大さとコンプレックスを併せ持った矛盾に満ちた人生であった。まさにそれは波乱に富んだ人生だったと言えよう。そうした中での音楽に対する自信と情熱こそ彼の存在を後世に伝え、ジャズ史における不滅の輝きとなったのである。

前回取り上げた左のレコードには、1940年7月ラジオ番組のために録音されたナンバーが1曲収録されている。フライングして取り上げよう。僕の持っているモートンの音源はこれが最後となる。

<Contents> … 1940年7月14日 NBC放送のために録音

B-8.キング・ポーター・ストンプKing porter stomp

<Personnel> … ジェリー・ロール・モートン(Jelly Roll Morton)

Pianoジェリー・ロール・モートンJelly Roll Morton

ディスコグラフィーにおいてもこの録音が現存するモートン最後の録音のようだ。モートンの最も有名な作品をちょっとテンポを速めたラグタイム風に弾いている。たった1分43秒の短い演奏で、「ジェリー・ロール・モートン」という一つの悲喜劇のエンドロールのように聴こえる。

このWebサイトについてのご意見、ご感想は、メールでお送りください。


お寄せいただいたご意見等は本文にて取り上げさせていただくことがあります。予めご了承ください。

ジャズ・ディスク・ノート 2020年2月7日

第401回ジェリー・ロール・モートン 1939年 第1回

No.401 Jelly Roll Morton 1939 Vol.1

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

第398回で取り上げたように人々の顰蹙を買うあるいは失笑を浴びるようなやり方だったとはいえ、モートンはいまだ健在であることを人々に知らしめた。
そこでモートンは再起すべく1938年暮にニューヨークに戻る。そして早速楽譜出版業を始め、それと共に1939年9月ヴィクターの傍系レーベル「ブルーバード」にレコーディングを開始した。それが今回の音源である。

ジェリー・ロール・モートン

大物ジェリー・ロール・モートンが9年ぶりにヴィクターのスタジオ入りするとあって、メンバーは凄腕のオール・スター・メンバーが組まれた。解説の大和明氏によれば、残念ながらこういったオール・スター・メンバーを意のままに統率し、モートン・ミュージックを創造していくだけの指導性はすでに失われていたという。
セッションは9月14日と28日に行われ、全8曲録音されたが、その演奏曲目もディキシーランド・ジャズ・バンドが日頃演奏するスタンダード・ナンバーで、モートンの個性が出しにくいがあったのかもしれぬが、やはりそこはモートンの神通力が失せてしまったと考えるべきであろうという。
8曲中3曲はモートンの作品として著作権登録されているが、その3曲にも問題が指摘されている。
Record4B-3.バディ・ボールデンの思い出
伝説の初代キング・オブ・ジャズ「バディ・ボールデン」に関する曲だが、ボールデン自身が作りテーマとして自身で歌っていた曲とも、セントルイスの有名なピアノ弾き「トム・タービン」が書いたラグタイム曲「セントルイス・ティックル」の一節を借用したものとも言われている。
Record4B-6.ドント・ユー・リーヴ・ミー・ヒア
原曲はロバート・ホフマンという人が作曲した「アラバマ・バウンド」であると言われている。
Record4B-4.ウィニン・ボーイ・ブルース
解説の大和氏は、「自作登録したこの曲もモートン自身の綽名をつけたタイトルと言いながら、本来は作者不明のトラディショナル・ナンバーである」と書いているが、レコードには「トラディショナル、編曲ジェリー・ロール・モートン」とちゃんと書いてある。
モートンは、「ワシの創った音楽を盗まれた」と言ってマスコミに再注目されたが、再起に当たって自分が「盗んで」しまった。

音源は、「ジャズ・クラシックス・オブ・ジェリー・ロール・モートン」“Jazz classics of Jelly-Roll Morton” RCA RA-9〜12 国内編集盤4枚組LP

「ジャズ・クラシックス・オブ・ジェリー・ロール・モートン」レコードボックス

<Contents> … 1939年9月14日 ニューヨークにて録音

Record4B-1.オー・ディドント・ヒー・ランブルOh , did'nt he ramble ?
Record4B-2.ハイ・ソサイエティHigh society
Record4B-3.バディ・ボールデンの思い出I thought I heard Buddy Bolden say
Record4B-4.ウィニン・ボーイ・ブルースWinin’ boy blues

<Personnel> … ジェリー・ロール・モートンズ・ニュー・オリンズ・ジャズメン(Jelly Roll Morton’s New Orleans jazzmen)

Piano & band leaderジェリー・ロール・モートンJelly Roll Morton
Trumpetシドニー・ド・パリスSidney De Paris
Trombone & Preachingクロウド・ジョーンズClaude Jones
Clarinetアルバート・ニコラスAlbert Nicholas
Soprano saxシドニー・ベシエSidney Bechet
Tenor saxハッピー・コールドウェルHappy Caldwell
Guitarロウレンス・ルーシーLawrence Lucie
Bassウエルマン・ブラウドWellman Braud
Drumsズッティ・シングルトンZutty Singleton


「ジャズ・クラシックス・オブ・ジェリー・ロール・モートン」4枚目レコード・ジャケット 「I heard Buddy Bolden say」レコード・ジャケット

Record4B-1.「オー・ディドント・ヒー・ランブル」
厳かなイントロに続いて説教風の語りがあり(これがクロウド・ジョーンズの説教(Preaching)であろう)人々の嘆き悲しむ声が入る。その後マーチのドラムが入り一転して賑やかな演奏となる。ニューオリンズの葬儀の風景の再現ではないかと思われる。Tpのパリスは「パナシェ・セッションズ」で、スイング風のグロウルを吹いてトミー・ラドニアの怒りを買った人物だが、やはりここでもグロウルを吹いている。左のヴィクターから出たボックスには、テイク1が収録されているが、アメリカのRCAから発売されている右の”I heard Buddy Bolden say”(RCA LPV-559)には、レコード化初ということでテイク2が収録されている。こちらではグロウルを吹いていない。
Record4B-2.「ハイ・ソサイエティ」
ディキシーランド・ジャズのスタンダード・ナンバー。ディキシーらしくTpのリードする合奏の後ソロを取るのはベシエのソプラノで2コーラスに渡って聴き応えのあるソロを披露しているように聴こえるがもしかするとベシエ1コーラス、ニコラス1コーラスかもしれない。音が似ているのだ。この競演が聴き処であろう。
この曲もボックスではテイク2、USA盤はテイク1を収録している。右のテイク1ニコラスがソロを同じフレーズを2度吹いたりしており、テイク2の方が良いと思う。
Record4B-3.「バディ・ボールデンの思い出」
この曲はどちらもテイク1を採用している。モートンの渋いヴォーカルが聴き処であろう。
Record4B-4.「ウィニン・ボーイ・ブルース」
左のボックスではテイク2を収録しているが、右のUSA盤はなぜかテイク1、2両方を収録している。レイジーなブルースで、ここでもモートンのヴォーカルが良い味を出している。テイク1、2双方ほぼ変わりがないように感じる。
解説の大和氏は、この

「ジャズ・クラシックス・オブ・ジェリー・ロール・モートン」4枚目B面ラベル

<Contents> … 1939年9月28日 ニューヨークにて録音

Record4B-5.クライマックス・ラグClimax rag
Record4B-6.ドント・ユー・リーヴ・ミー・ヒアDon't you leave me here
Record4B-7.ウエスト・エンド・ブルースWest end blues
Record4B-8.ボーリン・ザ・ジャックBallin’the Jack

<Personnel> … ジェリー・ロール・モートンズ・ニュー・オリンズ・ジャズメン(Jelly Roll Morton’s New Orleans jazzmen)

下記以外9月14日と同じ Trombone … クロウド・ジョーンズ ⇒ フレッド・ロビンソン Fred Robinson
Soprano sax … シドニー・ベシエ ⇒ Out
この日モートンは、サンカ・コーヒー社がスポンサーとなっていた”We the people”ショウとCBSの放送番組に出演した後で、スタジオに駆け付けたというから結構売れっ子だったのかもしれない。
Record4B-5.「クライマックス・ラグ」
解説の大和氏はモートンの自作登録は上記のように3曲と書いているが、この曲もモートン作とクレジットがある。ここで初めてモ−トンのソロが登場する。
Record4B-6.「ドント・ユー・リーヴ・ミー・ヒア」
この曲は左のヴィクターから出たボックスには、テイク2が収録され、USA盤右の”I heard Buddy Bolden say”(RCA LPV-559)には、レコード化初ということでテイク1が収録されている。モートンのヴォーカル入り。ヴォーカル前に少しTsのソロらしきものが入るが、他にソロはなく合奏で通したナンバー。聴き処が分からない。
Record4B-7.「ウエスト・エンド・ブルース」
ルイ・アームストロングのパフォーマンスが超有名。これも前曲同様左のボックスには、テイク2が、右のUSA盤にはテイク1が収録されている。双方ほとんど変わらない演奏。
Record4B-8.「ボーリン・ザ・ジャック」
この曲はボックス、USA盤共にテイク1。モートンが張り切って歌っている陽気な雰囲気の曲。短いがTp、Tsなどのソロが聴ける。

モートンはこの後も40年にコンボ・セッションを録音しているが、僕の持っているバンドによる録音はこれが最後となる。そこで彼の世紀の大傑作1926年録音の「ブラック・ボトム・ストンプ」を聴き直してみた。実は僕はまだ「ブラック・ボトム・ストンプ」の凄さが分かっていない。ただ感じるのは「ブラック・ボトム・ストンプ」はかなり複雑なアレンジが施されているのに対して、今回の1939年の録音は、普通のディキシーランド・ジャズに聴こえるということである。

このWebサイトについてのご意見、ご感想は、メールでお送りください。


お寄せいただいたご意見等は本文にて取り上げさせていただくことがあります。予めご了承ください。

第1回〜第10回はこちらをご覧ください。
第11回〜第20回はこちらをご覧ください。
第21回〜第31回はこちらをご覧ください。
第31回〜第40回はこちらをご覧ください。
第41回〜第50回はこちらをご覧ください。
第51回〜第60回はこちらをご覧ください。
第61回〜第70回はこちらをご覧ください。
第71回〜第80回はこちらをご覧ください。
第81回〜第90回はこちらをご覧ください。
第91回〜第100回はこちらをご覧ください。
第101回〜第110回はこちらをご覧ください。
第111回〜第120回はこちらをご覧ください。
第121回〜第130回はこちらをご覧ください。
第131回〜第140回はこちらをご覧ください。
第141回〜第150回はこちらをご覧ください。
第151回〜第160回はこちらをご覧ください。
第161回〜第170回はこちらをご覧ください。
第171回〜第180回はこちらをご覧ください。
第181回〜第190回はこちらをご覧ください。
第191回〜第200回はこちらをご覧ください。
第201回〜第210回はこちらをご覧ください。
第211回〜第220回はこちらをご覧ください。
第221回〜第230回はこちらをご覧ください。
第231回〜第240回はこちらをご覧ください。
第241回〜第250回はこちらをご覧ください。
第251回〜第260回はこちらをご覧ください。
第261回〜第270回はこちらをご覧ください。
第271回〜第280回はこちらをご覧ください。
第281回〜第290回はこちらをご覧ください。
第291回〜第300回はこちらをご覧ください。
第301回〜第310回はこちらをご覧ください。
第311回〜第320回はこちらをご覧ください。
第321回〜第330回はこちらをご覧ください。
第331回〜第340回はこちらをご覧ください。
第341回〜第350回はこちらをご覧ください。
第351回〜第360回はこちらをご覧ください。
第361回〜第370回はこちらをご覧ください。
第371回〜第380回はこちらをご覧ください。
第381回〜第390回はこちらをご覧ください。

第391回〜第400回はこちらをご覧ください。