ジャズ・ディスク・ノート

第296回2018年12月9日

30年代ビッグ・バンド入門
ジミー・ランスフォード 1934年

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
いよいよ寒くなってきました。冬将軍の到来です。この土日はこの冬一番の寒気が押し寄せてきているそうです。寒い、寒い!のたり庵は北国出身ですが、何が嫌いって寒いことほど嫌いなものはないというほど寒さが苦手です。しかし残念なことにそんなことはお構いなしに毎年冬はやって来ます。

12月7日到着レコードプレイヤー
残り14週

2018年最後の月12月も2週目に入りました。僕の完全引退まであと14週です。
そんな折色々と出費がかさむこの時期、僕にとっては大変な事態が起こりました。レコード・プレイヤーが壊れてしまったのです。これまで使っていたプレイヤーはテクニクスのSL-1200MK3というモデル。調べてみるとこのモデルは1998年に製造されたようで、発売されてすぐ買ったわけではないとしても、20年近く使っていたことになります。どこでどう買ったか全く覚えていないのですが、性能その他には全く不満もなく、取り換える気もありませんでした。ところが約2週間まえレコードを乗せまわしてみると激しい回転ムラを起こすようになりました。修理するか少し悩んだのですが、かれこれ20年近く使っているので買い替えることにしました。

定位置に収まったレコードプレイヤー

はてではどこに買いに行くかというと、僕の住む近郊ではあまりオーディオ製品を扱っているお店がありません。大型電気店でもオーディオ類を扱っている店舗は極めて少なくなりました。アナログ・ファンというのはこういう時不便ですよね。どうもレコード・プレイヤーをネットで買うのは不安なので、お店で買いたいという気持ちがあり、少しばかりネットで検索すると、ありました。ノジマデンキ相模原本店です。ということでお店を訪問、店頭でいくつか製品を見せてもらったのですが、結局店頭にはない「Denon DP500M」を購入することにし注文しました。
「DP-500M」に決めたのは、一つ前のモデルのようで特価だったのが最大の要因です。メーカー希望小売価格¥85,000を消費税込み¥58,500にしてもらいました。ダイレクト・ドライヴで、MM型のカーリッジが付属しています。僕は現在オルトフォンの一番安いMC型カートリッジでレコードを聴いていますが、もし何らか不具合が生じカートリッジが使えなくなった場合に備え予備があるといいなと思ったからです。

「ベン・ウエブスター/ライヴ・イン・ヨーロッパ・Vol2」

プレイヤーの故障でレコードが聴けなくなって、たった2週間ぐらいですが、辛かったです。その間CDでジャズを聴いてはいましたが、とにかく早くレコードで聴きたくて仕方ありませんでした。それほどCDではなく、レコードに合わせたオーディオ装置でもなく、レコードもオリジナルに拘っているわけではないので、それまではプレイヤーが故障したらCDを聴くから平気と思っていましたが、実際故障して聴けなくなって、レコードに固執している自分に驚きました。自分でも意外でした。
ということで12月7日の金曜日の夕方お店から製品を引き取り、アンプに配線して、スピーカーからジャズのサウンドが出てきた時は嬉しくて仕方ありませんでした。これは本当に自分でもビックリしました。
プレイヤーをセットし終わり早速レコードを廻します。聴いたのは左のレコード、ベン・ウエブスターのヨーロッパでのライヴ盤です。このレコードを選択したのには特段意味がなく、とにかくレコードの音を出したくて手近にあったレコードをターン・テーブルに載せただけです。もちろん日本盤で、邦題は「デューク・エリントンに捧ぐ」で1969年にアムステルダムで実況録音されたレコードの見本盤です。プレイヤーが変わって音がどう変わった等全く気付かないタコ耳ののたり庵ですが、この後ヘレン・オコンネルのヴォーカルものや秋吉敏子さんのビッグ・バンドなど手当たり次第に針を落としたのでありました。
しかし何枚か聴いた後に確かベイシーの菅原正二氏は、「自分の耳のスタンダードとすべきレコードを持て」というようなことを書かれていたなぁということを思い出しました。確かにこのレコードをこういう音で鳴らすという自分基準のレコードを持つことは大事なことだなぁと今更ながらに思うのたり庵でありました。

ということで、今週は演奏自体は素晴らしいが音はいただけないと評判が悪いボックス・セット物からジミー・ランスフォードの1934年の録音を聴いていこう。

No.296 Study in 1930th The Big Band Era
”Jimmy Lunceford”Vol.3 1934”

解説を担当する粟村政昭氏は、
「1934年1月、ランスフォード楽団は、ニューヨークの高名なコットン・クラブと契約を結ぶことができた。この時彼らを援助したアーヴィング・ミルズが、配下のアレンジャーであったウィル・ハドソンをバンドに紹介し、ニューヨークにおける最初のレコーディングで「ホワイト・ヒート」と「ジャズノクラシー」という二つの作品が演奏されることになった」と述べている。

「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第9巻 ザ・ビッグ・バンド・エラ 第1集」RCA RA-50

<Personnel> … Jimmy Lunceford and his Orchestra

Band leader & Alto saxジミー・ランスフォードJimmy Lunceford
Trumpetエディー・トンプキンスEddie Tompkinsトミー・スティーヴンソンTommy Stevensonサイ・オリヴァーSy Oliver
Tromboneラッセル・ボウルズRussell Bowlesヘンリー・ウエルズHenry Wells
Clarinet & Alto Sax & Baritone saxウィリー・スミスWillie Smith
Clarinet & Tenor Saxジョー・トーマスJoe Thomasアール・カルザーズEarl Carruthers
Pianoエド・ウィルコックスEd Wilcox
Guitarアル・ノリスAl Norris
Bassモーゼズ・アレンMoses Allen
Drums , Vibraphone & Bellsジミー・クロフォードJimmy Crawford

<Contents> … 1934年1月26日 ニューヨークにて録音

A面3曲目ホワイト・ヒートWhite heat
A面4曲目ジャズノクラシーJazznocracy
A面5曲目チラン・ゲット・アップChillun , get up
A面6曲目リーヴィング・ミーLeaving me
A-3ホワイト・ヒート

粟村師は解説で「バンドの陣容は、充実してきており急速調のナンバーを整然として演奏できる合奏能力にも見るべきものがあったが、ハドソンの編曲そのものが当時人気のあったカサ・ロマ楽団風のメカニカルなものであったために、後年のランスフォード・スタイルから見れば極めて味のない演奏となったのは致し方なかった」と述べている。またソロについては、Tpはハイ・ノートを得意としたトミー・スティーヴンソン、Tbはラッセル・ボウルズとだけ述べているがTsもなかなか見事なソロを聴かせる。

A-4ジャズノクラシー

タイトルは当時の新経済学説テクノクラシーをもじったもので、ウィル・ハドソンの作編曲になるもの。Tbソロは、ボウルズ、Tpソロはサイ・オリヴァーというが、Tsもいい感じのソロを取る。アンサンブルはどこかで聞いたことのあるようなメロディーである。確かにこの2曲はメカニカルな演奏のような気がする。

A-5チラン・ゲット・アップ

何度も書いて恐縮だが、このRCAのボックス・セットにはディスコグラフィーが付いていない。本来は付いていたものを再発売する時に省いたとしか思えない。粟村氏自身解説中に「別掲のディスコグラフィーに明らかなごとく〜」と書いているが、そのディスコグラフィーがないのである。不親切極まりない。Webで探したディスコグラフィーによれば、A-5とA-6もA-3、4と同様の1月26日の録音である。粟村師は全く触れておらず、まず最初にA-3、4を録音したと書いてあるが師はどのようにディスコグラフィーを書いているのだろうか?
解説では演奏自体について書いている。
「スピリチュアル風の曲で、編曲はサイ・オリヴァー。ヴォーカリストはヘンリー・ウエルズで、これにトンプキンス、オリヴァー、スミスのトリオが絡む。メンバーの多くがヴォーカルに秀でていたことも、ランスフォード楽団の大きな特色の一つであった。ウエルズの歌は、今となってはいかにも時代めいているが、後年オリヴァー・アレンジの原型ともいうべき手法があちこちに散見されるのとトンプキンス、スミス、ボウルズらの短いソロがスポットされている辺りを聴くべきであろう。」

A-6リーヴィング・ミー

ファッツ・ウォーラーの原曲を、エド・ウィルコックスがアレンジしたもの。ここでもヘンリー・ウエルズが歌っているが、トンプキンスとジョー・トーマスのソロも聴かれる。ランスフォード流のバラード演奏の系列に入る作品であろうと粟村師は書くがこの「ランスフォード流のバラード」なるものが僕にはまだ分かっていない。

<Contents> … 1934年3月20日 ニューヨークにて録音

B面1曲目スインギン・アップタウンSwingin’ uptown
B面2曲目ブレックファースト・ボールBreakfast ball
B面3曲目ヒア・ゴーズHere goes
B面4曲目ヒア・ゴーズHere goes
B面5曲目リメンバー・ホエンRemember when
B面6曲目リメンバー・ホエンRemember when
B-1スインギン・アップタウン

粟村師は、「サイ・オリヴァーの作編曲で、オリヴァー並びにバンドの真価が発揮された演奏である。この作品辺りをきっかけにしてランスフォード楽団は独自のバンド・カラーを築くことになった。アップ・テンポの演奏だが、先のウィル・ハドソンのチャートとは、全く異なった雰囲気が出ている点を特に聴いてほしい」とは粟村師。
ソロを取るのは、ウィリー・スミス(ClとAs)、ジョー・トーマス、エディー・トンプキンス、ラッセル・ボウルズ。、かなり複雑な編曲を見事にこなすアンサンブルの素晴らしさも特筆に値する。

B-2ブレックファースト・ボール

次曲「ヒア・ゴーズ」と共にコットン・クラブのショウのために書かれたナンバーで、アレンジャーはサイ・オリヴァー。やや時代がかったジャイヴ・ナンバーだが、スミス、トンプキンス(歌の前に出るミュート・ソロ)、オリヴァー(歌とオープンTp)、ウエルズらの活躍によって十分に聴かせるナンバーとなっている。この曲も編曲はかなり入り組んでいる。

B-3、4ヒア・ゴーズ

いかにもこの時代の白人らしいヘンリー・ウエルズのヴォーカルをフューチャーした作品で、Tom Whaley(トム・ホエリー?)という人が書いている。この人物は、ランスフォード楽団が、コットン・クラブに移る前、アポロ劇場に出演中にリーダーと知り合ったと言われている。テイクは2つあるが取り立てて云々する内容はない。とするがだったら他の曲を入れてくれ!と突っ込みたくなる解説。

B-5、6リメンバー・ホエン

これもウィル・ハドソンの作編曲で、ウエルズのヴォーカル入り。少しだけ聴かれるTpソロはサイ・オリヴァー。傑出した演奏ではないが、アンサンブルの良さ、とりわけウィリー・スミスのリードするサックス・セクションの素晴らしさが光っている。

僕の持っているランスフォード楽団の1934年の録音はここまでだが、Web版ディスコグラフィーを見ると、この後「ソフィスケイテッド・レディ」や「ムード・インディゴ」などエリントン・ナンバーを吹き込んでいるようだ。「取り立てて云々する内容ではない」別テイクを収録するのだったら、ランスフォード楽団が演奏するエリントン・ナンバーを聴いてみたい。そうか!レコード会社が異なるのか!

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第295回2018年12月2日

デューク・エリントン Duke Ellington 入門第22回 1934年

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ジャズ喫茶「カウント」 仙台

12月1日(土)、2日(日)僕の出身地仙台市へ行ってきました。左の写真は12月2日帰りに駅を写したものです。本来は到着した土曜日に写そうと思っていたのですが、その日仙台の天気は大荒れ、冷たい突風が吹き荒れ、時たま雨が落ちてくるという最悪の状況。余りの寒さと予想外の雨で写真のことなど全く忘れていました。

残り15週

今回は今年2度目の仙台訪問です。今回は高校の同級生で仲の良い連中で集まろう、酒を飲みまくろうという宴会を12月1日(土)にやることになったためです。同級生というのは分かりやすいですね。お互い同年代です(当たり前)。つまり参加者全員が来年には65歳を迎え、年金が出る、ということは大概の会社では、定年になるということです。こういう状況になると気心の知れた昔の仲間と会いたくなるというのは一般的な感情なのでしょうか?

ジャズ喫茶「カウント」店内

僕はただ宴会に参加するだけではつまらないと思い、少しばかり前に仙台に着き懐かしの、高校生の時に初めて入ったジャズ喫茶「カウント」に行ってみました。何と45年ぶりの訪問です。
当時高校生で全くお金も持っておらず、ジャズ喫茶に行けばその分レコードが買えなくなるので、それほど頻繁に通ったわけではありません。当時はマスターと話をするなど恐れ多くてできずただただ黙って隅っこでジャズを聴いていました。ただそれこそが本来のジャズ喫茶でのジャズの聴き方だとは今だに思っています。
僕はうろ覚えで「カウント」のスピ―カーはALTECのA-7で硬質な音と記憶していたのですが、どうもALTECではあるけれど、A-7ではないように思えます。音も記憶とは違い「硬い」音ではありません。店は依然と同様狭く、そこで轟音でグイグイとモダン・ジャズを鳴らしています。僕がいる間にかかったLPはミルト・ジャクソン『ジャズ・サンバ』、ハンプトン・ホース『ヒア・アンド・ナウ』、ズート・シムス『デュクレ・トムソン』など。いずれもベースの音が素晴らしい。繊細かつ強靭にウッド・ベースの音を再現してくれます。コーヒー1杯500円。なんて安い。これでは商売になるのだろうか思ってしまいます。土曜日ということもあってかお客の大半はウィスキーの水割りかロックを飲んでいます。かなり年配の女性が一人で静かにコーヒーを飲みながらジャズに聴き入っていました。いいなぁ。店のソファーはボロボロですが、至高のモダン・ジャズのレコードを轟音で鳴らし続ける、これぞ昭和のジャズ喫茶のだいご味です。僕は全国のジャズ喫茶を巡ったわけではありませんが、このお店はモダン・ジャズ・ファンなら必ず訪れるべき最高峰のジャズ喫茶の一つであろうと思います。仙台に来る機会があったら時間を作って何としても来ようと思います。

No.295 Duke Ellington Vol.22 1934

柴田浩一氏は『デューク・エリントン』で、1934年のデュークについて短く次のように記す。「世の中の不況をよそに、パラマウント映画『絢爛たる殺人』“Murder at the vanities”にオーケストラで出演したのに続き、同じく映画『罪じゃないわよ』“Belle of the Nineties”に出演。5月にフレディ・ジェンキンスが去って、Tpセクションにはレックス・スチュワートが加わった」とまとめている。しかしパーソネルを見ると、Historyでは5月の録音から名前が消えているが、Ellingtoniaでは10月の録音まで名前が見える。
この年も歌手が加わったり、メンバーも録音時に不在だったりするが、基本メンバーは上記で大きな移動はないので、以降移動があったら記載することにしよう。

History盤CD 40枚組の7セット目

<Personnel>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
trumpetアーサー・ウェッツェルArthur Whetselクーティ・ウィリアムスCootie Williamsフレディ・ジェンキンスFreddie Jenkins
Tromboneジョー・”トリッキー・サム”・ナントンJoe “Tricky Sam” Nantonローレンス・ブラウンLawrence Brown
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Clarinet , Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet , Alto & Bass saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Clarinet , Soprano & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassウェルマン・ブラウドWellman Braud
Drumsソニー・グリアSonny Greer

<Contents>…Ellingtonia、History …1934年1月9、10日シカゴにて録音(RCA)

CD14-19デルタ・セレナーデDelta Serenade1月9日シカゴにて録音
CD14-20ストンピー・ジョーンズStompy Jones1月9日シカゴにて録音
CD15-1ソリチュードSolitude1月10日シカゴにて録音
CD15-2ブルー・フィーリングBlue feeling1月10日シカゴにて録音
History盤CD 40枚組の14枚目
<Personnel>…移動分

Valve‐Trombone … Juan Tizol ⇒ out
Trumpet & Vocal … ルイ・ベイコンLouis Baconは引き続き参加
Otto Hardwickについては記載が異なる。Ellingtoniaは不参加、Historyは参加となっている。

録音日は2日間だが同一セッションとみなしてよいだろう。
CD14-19. 「デルタ・セレナーデ」はエリントン作のスロウでメロウなナンバー。アンサンブルのTpはミュートがかけられているが、実に柔らかい音を出している。ジャングル時代とは雲泥の差だ。
CD14-20.「ストンピー・ジョーンズ」。これもエリントン作で、ミディアム・テンポのスインギーなナンバー。ブラウドのベースが効いている。大活躍するClはビガードか? 
CD15-1.「ソリチュード」
言わずと知れたエリントンの大名作。著書『デューク・エリントン』で柴田浩一氏は次のようなエピソードを紹介している。「レコーディング・スタジオに到着した時まだ4曲目の曲が出来ていなかった。幸い前の盤の録音が押していたため4曲目に取りかかった。スタジオのガラス窓にもたれながら書かれた曲は20分で完成し、すぐさまレコーディングされた。録音が終わると居合わせたすべての人間が感動していた。誰かが曲名を尋ねるとメロディーを吹いたアーサー・ホェッツェルが“ソリチュード”と答え、そのままタイトルになった。」
僕はこの“ソリチュード”に関しては他の逸話が心に残っている。それはビリー・ホリディの自伝“Lady sings the blues”で、第4章にこんな件がある。
「パパが初めて私の歌を、ハーレムのあるクラブで聞いた時は、(中略)。それはデューク・エリントンが『ソリチュード』を書いたばかりのころだった。ママは『ソリチュード』を錫のような高いベビー・ヴォイスで歌い出した〜。」
「レコーディングの直前に書いた」という記述と「デュークが書いたばかりのころ」というのはかみ合わない。レコードが発売されたばかりの頃か違う曲のはずである。
EllintoniaもHistoryもこの日は2曲しか録音していないという記載になっている。ここで4曲目というのは1月9日から10日にかけての録音だったことを示唆している。柴田氏が別の処で書いているようにこの時期はまだまだ不況を脱出できていない時期であり、レコーディングがそうたくさんあったとは思えないが、スタジオは押せ押せの状態だったのだろうか。
荘重なデュークのイントロに導かれて、あくまで静謐にメロディーが始まり、メロディー及びアドリブも必要最小限の表現で余韻を持たせる展開で心に沁み込んでくる。
CD15-2.「ブルー・フィーリング」もエリントン作のメランコリックなブルース・ナンバー。

History盤CD 40枚組の8セット目

Ellingtoniaによれば、HistoryのCDボックスには収録されていないが、デュークは2月末からロスアンゼルスにあり、パラマウント映画「絢爛たる殺人」“Murder at the vanities”のサウンドトラックの収録を行っている。この収録は2月26日、3月15、16、21、24、26日と約1か月間に渡って行われた。 そして、レコードのためのレコーディングは、4月12日ロスアンゼルにてRCAヴィクターに行われる。これが次のHistory収録音源である。

<Contents>…Ellingtonia、History …1934年4月12日ロスアンゼルス・ハリウッドにて録音(RCA)

CD15-3エボニー・ラプソディEbony rhapsody
CD15-4カクテルス・フォー・ツーCocktails for two
CD15-5ライヴ・アンド・ラヴ・トゥナイトLive and love tonight
<Personnel>…移動分

Trumpet & Vocal … ルイ・ベイコン ⇒ out
Clarinet , Alto & Bass sax … オットー・ハードウィック ⇒ out
これでEllingtoniaとHistoryは同じ記載となった。

この3曲はいずれもハリウッド映画「絢爛たる殺人」の中の挿入歌で、アーサー・ジョンストンとサム・コスロウの作になる。映画の挿入歌をレコード用として録音し直したものではないかと思う。いずれもどこかで聞いたことのあるメロディーである。CD15-3.「エボニー・ラプソディ」はアイヴィー・アンダーソンのヴォーカル・ナンバー。

<Contents>…Ellingtonia、History …1934年4月17日ロスアンゼルス・ハリウッドにて録音(RCA)

CD15-6アイ・メット・マイ・ウォータールーI met my Waterloo
<Personnel>…移動分

ファン・ティゾール(vTb)とオットー・ハードウィック(Cl,As&bsx)が戻る。これでEllingtoniaとHistoryは同じ記載である、最初に掲げたパーソネルとなった。

この曲もアーサー・ジョンストンとサム・コスロウの作なので、一連の映画関連の曲かもしれない。

History盤CD 40枚組の15枚目

<Contents>…Ellingtonia、History …1934年4月23日ロスアンゼルス・ハリウッドにて録音(Paramount)

CD15-7マイ・オールド・フレイムMy old flame

この曲もアーサー・ジョンストンとサム・コスロウの作で映画『罪じゃないわよ』“Belle of the Nineties”挿入歌。覚えやすいメロディーで現在でもたまに演奏されるスタンダード・ナンバー。ヴォーカル入りだがどうもアイヴィー・アンダーソンではないような気がする。では誰が歌っているか?Ellingtoniaには記載がない。Historyにはヴァイブラフォン(Vib)…メイ・ウエスト(Mae West)とある。そもそもVibの音が聴こえない。何となくこれはVocal…メイ・ウエストの間違いのような気がする。
メイ・ウエスト(Mae West)は1893年生まれのアメリカの美人女優で歌も歌う。映画「罪じゃないわよ」(Belle of the Nineties)にも出演している。ただ僕は今までこの女優の歌を聴いたことがないので判断のしようがない。

<Contents>…Ellingtonia、History …1934年5月9日ロスアンゼルス・ハリウッドにて録音(RCA)

CD15-8トラブルド・ウォーターズTroubled waters
CD15-9マイ・オールド・フレイムMy old flame
<Personnel>…移動分

Trumpet… フレディー・ジェンキンス ⇒ Out  Ellingtonia、History共通
Clarinet & Alto sax … Otto Hardwick ⇒ マーシャル・ロイヤル(Marshall Royal)Historyのみ記載。

両曲ともアーサー・ジョンストンとサム・コスロウの作なので、これも映画関係かもしれない。ヴォーカルは両曲ともアイヴィー・アンダーソン。「マイ・オールド・フレイム」をCD15-7と聴き比べるとこちらの方が全然良いと思う。

<Contents>…Ellingtonia…1934年9月13日、History …1934年9月12日 ニューヨークにて録音(ARC)

CD15-10ソリチュードSolitude
CD15-11サディスト・テイルSaddest tale
CD15-12ムーン・グロウMoon glow
CD15-13サンピン・バウト・リズムSumpin’ bout rhythm
<Personnel>…移動分

Clarinet & Alto sax … マーシャル・ロイヤル ⇒ オットー・ハードウィック Ellingtonia、History共通
Trumpet… フレディー・ジェンキンス ⇒ 戻る  Ellingtoniaのみ記載。

CD15-10「ソリチュード」は2回目の録音。初回ではあったデュークのヴァ―スのピアノは無くなっている。ソロはカーネイがバス・クラリネットを吹いているようだ。
CD15-11「サディスト・テイル」。始めと終わりに語り風のヴォーカルが入るがこれはカーネイのようだ。ここでもバス・クラのソロが聴かれるがこれもカーネイであろう。

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第294回2018年11月26日

ルイ・アームストロング入門 その26 1934年

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
11月23日金曜日は勤労感謝の日でお休み。通常なら3連休で嬉しいところですが、サラリーマン生活の残りが少ない僕はついでに11月26日の月曜日も休みを取り、4連休としてしまいました。とても豪勢な感じがしますが、あと半年もしないうちに毎日が休日となります。その練習ということで…。

折れた木

この3連休は強烈な寒気団が南下したとのことで、3日間とも寒いが続きました。11月24日(土)に久しぶりに散歩に出て、森の普段あまり行かない方向に行ってみると太い幹が折れている気を見つけました。これも台風で倒されたのでしょうか?それにしては折れた場所が新しいような気がします。台風のせいで弱ってしまい今まで保ちこたえていたのが耐えきれなくなったのかもしれません。今年はどうも天候が不順で行けません。

11月23日ちょっとした用事があり、家族で地元の亀ヶ岡八幡宮へお参りに行きました。久しぶり、何年かぶりに出かけたのですが、境内に「ゴールド神社」なる金色に輝く鳥居と社が出来ていました。これは金運の神様だろうと熱心にお参りしたら、金運ではなく、事故や違反を犯さずゴールド免許が取れるようにという交通安全の神社だと後で聞きました。「ここにお参りして年末ジャンボを買いに行こう」などと話していたのが一挙に恥ずかしくなりました。欲をかいてはいけませんね。

亀ヶ岡八幡宮 ゴールド神社
残り16週 その2

今年内館牧子さんの作品「終わった人」が舘ひろしさんの主演で映画化されヒットしたようです。僕自身に全く当てはまる映画なのですが、余りに当てはまり過ぎて見に行く気がしませんでした。ストーリーも大体予想できるし…。
ただこの「定年」というのは考えれば考えるほど実は大変なことなのだと思わざるを得ません。
何故かというと、我々は物心がついてからっていつから物心がつくのか分かりませんが、幼稚園、小・中学校を経て、高校・大学と学校生活を送り、会社に就職をします。就学前は親がああしろこうしろと指示を出します。学校生活では先生や先輩が指示を出してくれ、その学校の規則や試験、運動会などのイヴェントに縛られて過ごします。会社に入ってからも当然上司などから指示があり、就業規則に縛られて過ごします。
そして迎える会社の定年、ここで初めて、人生で初めて時間が自由に使えるようになるのです。誰も指示を出さなく、言い方を替えれば出してくれなくなるのです。法律や社会秩序を犯さなければ何をやっても良くなるのです。こういう状況は人生で初めてのことです。今まで一切経験のないことなのです。だから人は右往左往するのでしょう。そしてそれは当たり前のことだと僕には思えます。なにせ初めてのことなのだから戸惑って当然でしょう。
問題は、どのくらいの間と戸惑っているかそしてその後どうそれを解決するのかということだと思います。そしてそれはそうなる前にいろいろ想像してみることは大事だと思いますが、実際そういう境遇になってみないと分からないこともあると思います。さぁ自分はどうなるでしょう?心配でもあり楽しみでもあります。

No.294 Louis Armstrong 1934

The Chronogical "Louis Armstrong and his orchestra 1934-1936" classics509

<Contents> … 1934月10月 パリにて録音

CD-1セント・ルイス・ブルースSt. Louis blues
CD-2タイガー・ラグTiger rag
CD-3ウィル・ユー、ウォント・ユー・ビー・マイ・ベイビー?Will you , won’t you be my baby ?
CD-4明るい表通りでOn the sunny side of the street
CD-5セント・ルイス・ブルースSt. Louis blues
CD-6ソング・オブ・ザ・ヴァイパーズSong of the vipers

<Personnel> … ルイ・アームストロング・アンド・ヒズ・オーケストラ(Louis Armstrong & his club orchestra )

Trumpet , Vocal & Band leaderルイ・アームストロングLouis Armstrong
Trumpetジャック・ハミルトンJack Hamiltonレスリー・トンプソンLeslie Thompson
Tromboneライオネル・ギマラエスLionel Guimaraes
Clarinet & Alto saxピート・ドゥコンジPete Duconge
Alto saxヘンリー・タイリーHenry Tyree
Tenor saxアルフレッド・プラッツAlfred Pratt
Pianoハーマン・チッチソンHerman Chittison
Guitarメイシオ・ジェファーソンMaceo Jefferson
Bassジャーマン・アラゴGerman Arago
Drumsオリヴァー・タインズOliver Tines

僕はルイ・アームストロングの自伝、伝記の類を全く持っていない。またボックス「ルイ・アームストロングの黄金時代」ボックスでも、僕のように「終わった人」扱いで、1932年以降についての動向については全くと言っていいほど情報がない。ガンサー・シュラーなども評論を展開しているのは、1931年のロスアンゼルスにおける録音まででその後については、「ルイは既に自らの貢献を成し遂げた。つまり授業料を払え終えたのであり、今度はそのお返しを享受することを望んだ」と述べ、完全に終わった人扱いである。
さて今回の録音を聴いてみよう。まず一緒に演奏しているメンバーを見て驚いた。知っている人が一人もいない。ピアノのハーマン・チッチソンを除いて一人も「ジャズ人名事典」に載っていないのである。どういうことだと思ってよく見ると今回の録音はフランスのパリで行われていた。どうも地元のミュージシャンを起用しての録音だったようだ。
ルイは前回第288回で取り上げたように1933年4月まではシカゴにいてレコーディングなどをこなしていたようだが、ディスコグラフィーによれば、前回4月26日シカゴで行われた録音の次は、約半年後の10月21日デンマークのコペンハーゲンでレコーディングを行い、さらに10月28日にはスウェーデンのストックホルムでレコーディングでレコーディングを行っている。コペンハーゲンでの録音時のパーソネルは記載されていないが、ストックホルムでの録音のパーソネルを見るとTpの一人を除いて、今回の録音に参加しているメンバーである。もしかするとルイは1933年10月からヨーロッパに滞在し、各地で公演を行ったり、レコーディングに参加したりしていたのかもしれない。
因みにルイの1934年のレコーディングはこの1回のみで、それはThe ChronogicalCDの解説とディスコグラフィーの記載が一致している。

収録6曲中CD-6「ソング・オブ・ザ・ヴァイパーズ」はルイ自身の作。CD-3「ウィル・ユー、ウォント・ユー・ビー・マイ・ベイビー?」はググってみると「マッキニーズ・コットン・ピッカーズ」の曲のようだが、ここでルイに取り上げられて有名になった曲のようだ。他は超有名ナンバーである。
なぜか2度録音しているセントルイス・ブルースは、ミディアム・ファーストのテンポで奏される。ソロはクラリネットやテナー・サックス、ピアノなどが取るが何といっても中心はルイで、ドヴォルザークの「新世界」やアメリカの作曲家フォスターのスワニー川、草競馬の一節などを引用しながらユーモラスに吹き上げ、エンディングは高音連発でバックとコール・アンド・レスポンス的展開を見せる。ヴォーカルは、キャブ・キャロウェイに近いような感じがする。目玉を向いて歌っている姿が目に浮かぶ。黒人によるアメリカン・エンターテイメントを代表するような仕上がりだと思う。
CD-2「タイガー・ラグ」は、クラリネットが大活躍する。地元の実力ミュージシャンがアメリカから来た本物のジャズの大スターの胸を借りて、ニューオリンズ・スタイルに挑戦するという絵であろう。しかしこういう場でもルイのTpは冴え渡っている。
CD-3「ウィル・ユー、ウォント・ユー・ビー・マイ・ベイビー?」は、前曲に続いてインスト・ナンバーだが、ルイの掛け声とちょっとしたスキャットが入る。こちらはアンサンブルが中心で前曲と異なりいかにもスイング時代という感じである。
CD-4「明るい表通りで」はルイのヴォーカルをフューチャーしたナンバー。エンディングもルイが高音連発のカデンツァで締め括る。
CD-6「ソング・オブ・ザ・ヴァイパーズ」は、トロンボーンのソロなどもあるがやはり中心はルイのTpソロ。ルイの掛け声などが入ったりアンサンブルの前半部のちょっと込み入ったブレイク、エンディングのリフなどルイが現地ミュージシャンに稽古をつけているような感じの曲に聴こえてしまう。

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第293回2018年11月24日

フレッチャー・ヘンダーソン 1934年

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
僕の住む辺りもいよいよ冷え込んで、晩秋の雰囲気が増してきました。木々はまだまだ緑の葉を残していますが、確実に茶色に変色した葉が多くなってきています。

森の中の桜
残り16週

今更ですが、僕の2大趣味は「ジャズ」と「テニス」です。出来ることならジャズを勉強しながら聴いて楽しみ、テニスをプレイして汗をかいて、余生ともいえる残りの人生を過ごしたいと思っています。まぁ都合よくそうできるかどうか分かりませんが、出来ればそうやって過ごして行きたいとは思っています。
僕は家から自転車で約30分のテニス・クラブに入っていて、雨が降ったりどうしても避けられない用がない限り、毎週1回そのクラブでプレイしています。なぜ毎週1回かというと平日はまだ会社勤めがあり、クラブに行けるのは土・日に限られるからです。またそのクラブは以前は土・日両曜日にプレイは行われていたのですが、会員の老齢化に伴い、土・日のどちらかしか行われなくなったためです。因みに64歳の僕ですが、そのクラブでは、何と、な、な、何と僕が最年少なのです。そのクラブが如何に高齢化が進んでいるかが分かろうというものです。

「ビル・エヴァンス/モントリュー

つまりそのクラブでは僕の周りは先輩だらけということになります。ただこれはとてもありがたいことでもありました。男性のメンバーはみな元会社員の出身で、本当にいろいろと学ばせてもらいました。会社だけではなく、住んでいる地域で、地域密着のグループに属するということはとても良いことだと思います。
そこでプレイの合間やプレイ終了後に飲みに行った際などに、いよいよ来年僕も現役を引退し「毎日が日曜日」グループに入ることが話題になったりしています。
そして皆にこう訊かれるのです。「来年から何して過ごすのか?」
僕は答えます、「大好きなテニスをして、大好きなジャズを聴いて過ごしたい」
すると諸先輩方のほとんどがこう言います
「それは3か月もすれば飽きるよ。毎日会社に行き『ああ、テニスがしたい、ジャズが聴きたい』と思っているから、土・日にテニスをして、ジャズを聴いて楽しいんであって、毎日幾らでもテニスが出来てジャズが聴けたら、飽きるよ」というのです。それに対して僕は「そういう経験がないので分からない」と答えています。
どうなのでしょう?飽きるでしょうか?それとも毎日天国でしょうか?どちらにせよこれは全く経験のないことであり、どうなるかは全くもって分かりません。しかしこの疑問は1年後の今頃には出ていることでしょう。吉と出るか?凶と出るか?しかしそう希望通り遊んで過ごせるかがまず問題ですが…。

ディスク・ユニオン買取アップキャンペーン結果報告

第288回で書いたように、初めてディスク・ユニオンの買取アップ・キャンペーンに参加しレコード、CDを買い取ってもらいました。レコードが約20枚弱、CDが60枚くらいです。正直言うと今回は、買って失敗した不用品CD処分が主な目的でしたので、金額にはあまり期待を持っていませんでした。買取できないと言われたものも多く、買い取り対象は全部で38点、¥3,737で買い取ってもらいました。そのお金で店頭にあった右下ビル・エヴァンスの「Montreux 供廚離リジナル・レコード¥3,700を買って帰りました。「Montreux 供廚CDで持っているのですが、オリギナルのレコードと聴き比べをしてみたいと思って買ってみました。聴き比べたいと思ったのですが、CDがどこかに埋もれて聴くことが出来ず「比べ」はまだ出来ていません。情けない!。
僕はディスク・ユニオンの買取アップキャンペーン期間の終わり近く11月10日(土曜日)に持ち込んだのですが、査定には3時間半かかりました。僕が査定を受け取り行った時に来ていた方は、査定が済むのは2日後の月曜日と言われていました。かなり混み合うものなのですね。意外でした。
さて今回からは1934年の録音を聴いていこうと思います。まずは当時のジャズのド真ん中にいたと思われるフレッチャー・ヘンダーソンから行きましょう。

No.293 Fletcher Henderson 1934

レコード…「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第9巻 ザ・ビッグ・バンド・エラ 第1集」RA-45(B面)、RA-46(A面)

<Contents> … 1934年3月6日 ニューヨークにて録音

Record1B面7曲目ホーカス・ポーカスHocus pocus
Record1B面8曲目ファントム・ファンタジーPhantom fantasie
Record2A面1曲目ハーレム・マドネスHarlem madness
Record2A面2曲目タイダル・ウェイヴTidal wave

<Personnel> … フレッチャー・ヘンダーソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Fletcher Henderson and his Orchestra)

Band leader & Pianoフレッチャー・ヘンダーソンFletcher Henderson
Trumpetラッセル・スミスRussell Smithジョー・トーマスJoe Thomasヘンリー・レッド・アレンHenry “Red”Allen
Tromboneクロード・ジョーンズClaude Jonesケグ・ジョンソンKeg Johnson
Clarinetバスター・ベイリーBuster Bailey
Clarinet & Alto saxラッセル・プロコープRussell Procopeヒルトン・ジェファーソンHilton Jefferson
Tenor saxコールマン・ホーキンスColeman Hawkins
Guitarバーナード・アディソンBernard Addison
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsヴィック・イングルVic Engle

ディスコグラフィーによると、この3月のセッションがヘンダーソン楽団の最初にレコーディングセッションであり、コールマン・ホーキンスのヘンダーソン楽団でのラスト・セッションである。この後ホーキンスはヨーロッパに渡り39年まで帰米しなかった。

「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第9巻 ザ・ビッグ・バンド・エラ 第1集」1枚目B面ラベル

この日録音された4曲の内2曲「ホーカス・ポーカス」、「ファントム・ファンタジー」は1枚目のレコードB面の最後7曲目と8曲目に、「ハーレム・マドネス」、「タイダル・ウェイヴ」は2枚目のレコードの冒頭A面1曲目、2曲目に配されている。つまり4曲を続けて聴くことは出来ず、一旦レコードを取り換えなくてはならない。ちょっと面倒な感じもするが、このレコードが最初に世に出た当時はSP盤の時代であり、そんなことは当たり前だったのだなぁ、それを面倒などとは怠慢になったものだなぁなどと思いながら聴く。
Record1B面7曲目「ホーカス・ポーカス」
RCAボックス付属の解説は、アレンジャーがウィル・ハドソンであること、最初に登場するClソロがバスター・ベイリー、続いてホーキンスのTsそしてアレンのTpが続くというソロイストの紹介のみである。しかしこの演奏はこの3人のソロも素晴らしいが、まずアンサンブルが見事である。かなり難しい譜面となっていると思われるが、スムースに奏される。アレンジも少々複雑だと思うが、これは当時人気だった「カサ・ロマ・オーケストラ」の影響を受けたのではないかという気がする。
Record1B面8曲目「ファントム・ファンタジー」
RCAボックス付属の解説は、アレンジがラス・モーガンではないかということとソロイストが、Tpがジョー・トーマス、続いてヘンダーソンのP、ホーキンスのTsとこれまたソロイストの紹介のみである。しかしこちらもアレンジが複雑で面白い効果を出している。ホーキンスのソロの後のだんだん登りつめて行くような不思議なアンサンブルが聴かれる。

さて、ここでレコードを取り換える。

Record2A面1曲目ハーレム・マドネス
ミディアム・アップの軽快なナンバー。こちらもレコードの解説ではソロイストの羅列のみである。それによると、ホーキンスのTs⇒ヘンダーソンのP⇒バスター・ベイリーCl⇒チャールズ・ホランドなる歌手のヴォーカル⇒アレンのミュートTp、ジェファーソンのAsで、アレンジはフレッチャー・ヘンダーソン自身だという。しかしWeb版ディスコグラフィーでは、ヴォーカルを取っているのは何とコールマン・ホーキンスであると書いている。一体どちらが正しいのであろう?僕は、ホーキンスの歌というのは聴いたことがないのでどちらとも判別し難い。しかし声を聞く限り何となくホーキンスらしくないような気がする。

「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第9巻 ザ・ビッグ・バンド・エラ 第1集」2枚目A面ラベル

Record2A面2曲目タイダル・ウェイヴ
アップ・テンポの軽快なナンバー。冒頭クラシックのメロディーが奏される。作曲はウィル・ハドソンでアレンジはラス・モーガンではないかという。
ソロはホーキンスのTs⇒ヘンダーソンのP⇒アレンのTp⇒ベイリーのClと続く。エンディングのアンサンブルは何となくクラシックっぽい。

ガンサー・シュラー著「初期のジャズ」

さてこの録音の後ホーキンスはヨーロッパに行ってしまうのだが、これはヘンダーソンにとってかなりの痛手となった。 ホーキンスは、バンドを組む以前から10年以上もヘンダーソンらの仲間だったのである。この時も以前のように意気消沈してバンドを解散しそうになったが、何とか保ち堪え当時評判を聴いていたレスター・ヤングをテナーで雇う。ところがこれは双方にとって不幸なこととなってしまう。ホーキンスの大きくてたくましい音に慣れていたバンドのメンバーがヤングのクールで軽いテナーのプレイを拒絶したのである。そしてヘンダーソンの細君までも口をはさみレスターにホーキンスのように吹くように執拗に勧めてくる。嫌気がさしたレスターはさっさとカンサス・シティーに戻ってしまうのである。
ディスコグラフィーを見るとヘンダーソンの次の録音は1934年9月11日に行われるが、そこでテナーを吹いているのは、ベン・ウエブスターである。このウエブスターが参加した録音を聴いてみたい気もするが、「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第9巻 ザ・ビッグ・バンド・エラ 第1集」のボックスにも、CD“A study in frustration”にも収録されていない。

そしてこの後のヘンダーソン楽団についてガンサー・シュラー氏は大変厳しい評を下している。
「1934年7月のデッカのための12面分の録音で、我々はヘンダーソン楽団の末路に立ち会うことになる。」まず、Web版ディスコグラフィーによれば、ヘンダーソン楽団に1934年7月に録音は無く、この次の録音は9月11日である。これは単なる録音日の違いだけでとらえてよいのかそしてどちらの日付が正しいのかは現状僕には判断のしようがないので、いつものようにこのまま続ける。
「これらの録音は、驚異的なまで軽快で、指を鳴らしたくなるようなスイングやウエブスターやレッド・アレンのいくつかのソロがあるから、そしてまたスイング時代の間や直後に育ったすべての人間にとっておそらくは格別な意義があるものなのだから、称賛されてよいのかもしれない。しかしながら、こうした魅力とは別に、バンドのビートが礼儀正しくなってきたことがはっきり聴き取れる。
そして数年経つと多くの白人の楽団がこの方向をさらに推し進めて、これを『ビジネスマンのバウンス』にまで変えてしまうことになるだろう。ほとんど欠陥のないアンサンブルの楽句が単に耳障りの良いものに転化している様子もうかがえる。こうした楽句は抑制が効いているが、感情が希薄で、内容に乏しく、旋律的関心を犠牲にしてまで、スイングに固執する。そうする過程で、ソロイストたちの周囲に、彼らの動きを微妙に封じるような和声の網目を被せて行くのだ。」
要旨が分かりにくいのだが、要はヘンダーソン楽団の1934年の次に行われる7月あるいは9月の録音は、耳当たりは良いが野趣や個性にかけたつまらない白人ジャズの先駆けになったということである。これは、ベニー・グッドマンやグレン・ミラーのことを言っているのだろうか?

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第292回2018年11月18日

ジャック・ティーガーデン 1933年

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

丸の内 仲通り

11月も半ばとなり、次第に寒い日が多くなってきました。僕の住んでいる関東地方南部は、日中はまだ暖かなのですが、朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。季節は冬に向かってまっしぐらという感じです。

残り17週

勤務先近く、丸の内仲通りではライト・アップが始まりました。そして丸ビルでは、大きなクリスマス・ツリーも飾り付けられました。街の装いはハロウィンが終わったかと思ったら今度はクリスマス、1年は「商売の種は尽きまじ」ということなのでしょう。
今週は僕の完全引退まで残り17週となります。こういったライト・アップされた仲通り、丸ビルのクリスマス・ツリーも見るのは今年が最後となります。と考えると寂しい感じがします。

丸ビルのクリスマス・ツリー

とは言え夜退社して駅までの道を歩いていると、若いカップルたちに交じって連れ立って歩く老夫婦らしき二人連れをよく見かけます。丸の内地区がライト・アップで有名なのかどうか知らないのですが、どう見てもビジネスに訪れたとは思えず、見物に来られたのだと思います。僕ら夫婦もこれからこういうことをするのかなぁ、でも丸の内には来ないだろうなぁ、なにせ僕の家から丸の内まで片道2時間、交通費もバスを含めると850円もかかるので、もっと近場に行くだろうなぁ、ということはやはりこれが最後かなぁなどと思いながら家路につくのたり庵です。

No.292 Jack Teagarden 1933

ジャック・ティーガーデンの1933年の録音を今週は聴いていこう。前回取り上げたのは1931年の録音だったので、丸1年以上空くことになる。よく歌うことで定評のあるトロンボーン奏者ジャック・ティーガーデンに1年以上レコーディングの機会がなかったとは思えないが、この期の名演集と言われる“King of the blues trombone”における収録は前回の1931年3月以来の録音となる。
こちらはコロンビア系でこの間は他社にレコーディングが多かっただけかもしれないが。

レコード…“King of the blues trombone”Epic JSN 6044 輸入盤

<Contents> … 1933年7月29日 シカゴにて録音

Record2A面2曲目アイヴ・ガット・イットI’ve got it

<Personnel> … ジャック・ティーガーデン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Jack Teagarden and his Orchestra)

Bandleader , Trombone & Vocalジャック・ティーガーデンJack Teagarden
Trumpetクロード・ホワイトマンClaude Whitemanチャーリー・ティーガーデンCharlie Teagarden
Tromboneトミー・ムーアTommy Moore
Clarinet & Alto saxバド・フィスクBud Fiskロッド・クレスRod Cless
Tenor saxデイル・スキナーDaleSkinnerバド・フリーマンBud Freeman
Pianoチャールス・ラヴェレCharles Lavere
Guitarディック・マクパートランドDick McPartland
Bass不明Unknown
Drumsボブ・コンセルマンBob Conselman

軽快なスイング・ナンバー。アンサンブルの後ソロはフリーマンのTs⇒ジャックのTb、チャーリーのTp⇒ラヴェレのPと続く。実力者をソロイストに起用しており、さすがに聴き応えのあるソロそして見事なアンサンブルが楽しめる。

”Benny Goodman and the giants of swing”ジャケット

"Benny Goodman and the giants of swing" Prestige 7644 輸入盤

<Contents>…1933年10月 

Record2A面3曲目エイント・チャ・グラッドAin’t cha glad1933年10月18日録音
Record2A面4曲目ドクター・ヘックル・アンド・ミスター・ジャイブDr. Heckle and Mr. Jibe1933年10月27日ニューヨークにて録音
Record2A面5曲目テキサス・ティー・パーティーTexas tea party同上

<Personnel> … ベニー・グッドマン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Benny Goodman & his orchestra)

Bandleader & Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Trumpetマニー・クラインManny Kleinチャーリー・ティーガーデンCharlie Teagarden
Trombone & Vocalジャック・ティーガーデンJack Teagarden
Tenor saxアート・カールArt Karle
Bass saxエイドリアン・ロリーニAdrian Rollini
A-3 Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
A-4,5 Pianoフランク・フローバFrank Froeba
Guitarディック・マクドノフDick McDonough
Bassアーティー・バーンスタインArtie Bernstein
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

1933年10月録音からピック・アップされた3曲は、ベニー・グッドマン名義のもので、かなり以前2015年9月(第115回)で取り上げたことがある。上記は”King of the blues trombone ”に記載されたもので、第115回Prestigeに記載されたパーソネルとは異なる点が2つある。
第1は、Prestigeにはヴァイオリンにジョー・ヴェヌーティと記載があるが、”King of 〜”には記載がない。確かに聴いてみるとヴァイオリンの音は聴こえない。
第2は、Prestigeではテナー・サックスをバド・フリーマンとしているが、”King of 〜”では「アート・カール」としている点である。こちらは僕には決め手がない。
A-3、4は聴いていて楽しくなるような軽快なスイング・ナンバー。A-4は2人の会話で始まるが、一人はジャック・ティーガーデンと分かるがもう一人が分からなかった。このEpic盤を見て弟のチャーリーだということが分かった。
A-5はブルース・ナンバーで、BG、ティーガーデンとも熱のこもった素晴らしいソロを取る。今回取り上げる中でも1番の傑作。

<Contents> … 1933年11月11日

Record2A面6曲目ア・ハンドレッド・イヤーズ・フロム・トゥディA hundred years from today
Record2A面7曲目アイ・ジャスト・クドント・テイク・イット・ベイビーI just uldn’t take it baby

<Personnel> … ジャック・ティーガーデン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Jack Teagarden and his Orchestra)

Bandleader , Trombone & Vocalジャック・ティーガーデンJack Teagarden
Trumpetフランク・ギャレンテFrank Guarenteスターリング・ボーズSterling Bose
Clarinet & Alto saxチェスター・ヘイズレットChester Hazlittジミー・ドーシーJimmy Dorsey
Tenor saxマット・ヘイズMutt Hayes
Violinウォルト・エデルスタインWalt Edelstein
Pianoジョー・モレスコJoe Moresco
Guitarペリー・ボトキンPerry Botkin
Bassアーティー・バーンスタインArtie Bernstein
Drumsラリー・ゴマーLarry Gomar

6曲目「ア・ハンドレッド・イヤーズ・フロム・トゥディ」と7曲目「アイ・ジャスト・クドント・テイク・イット・ベイビー」はスイートなラヴ・ソングでジャックのヴォーカルを活かした作品。不況の時代を反映してのポップなナンバーと思われる。

<Contents> … 1933年12月4日

Record2A面8曲目タッピン・ザ・バレルTappin’ the Barrel

<Personnel> … ベニー・グッドマン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Benny Goodman & his orchestra)

Bandleader & Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Trumpetシャーリー・クレイShirley Clayチャーリー・ティーガーデンCharlie Teagarden
Trombone & Vocalジャック・ティーガーデンJack Teagarden
Tenor saxアート・カールArt Karle
Bass saxエイドリアン・ロリーニAdrian Rollini
Pianoジョー・サリヴァンJoe Sullivan
Guitarディック・マクドノフDick McDonough
Bassアーティー・バーンスタインArtie Bernstein
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

この曲はベニー・グッドマン名義のものだが、これまで取り上げてきたどのレコード・CDにも収録されていなかったもの。ティーガーデンのヴォーカルがフューチャーされているがBGのClソロもスムーズでいい感じである。

ジャック・ティーガーデンは僕などのような入門者が言うのもなんだが、本当にトロンボーンの巨人だと思う。しかし現在の日本ではほとんど評価されず、聴く人も少ないと思われる。一体なぜであろう?このような破綻のない名人というのは意外に「面白みに欠ける」などという訳の分からぬ言われ方をし、人気を落とす傾向にあるのではないかと思う。

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第291回2018年11月11日

30年代ビッグ・バンド入門
グレン・グレイとカサ・ロマ・オーケストラ
エディ・コンドン・オーケストラ 1933年

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11月2日 ドラゴンレール大船渡線

のたり庵の世紀の大冒険 一関ベイシーに行く その2

前回は「世紀の大冒険 一関ベイシーに行く」の一人旅1日目11月1日を書かせていただきました。今回は2日目11月2日(金曜日)篇です。「もう、いいよ、要らないよ!」という声も聞こえますが、強い気持ちで取り組んで参ります。
もともとベイシーには2日間という日程を充てていました。何故かというと前回居酒屋「こまつ」のご主人の言葉のように、いつお店を閉めているか分からないということをネットなどで読んでいたからです。2日間通って入れなければ仕方ない、機会を改めようということです。そしてもし行ってみて期待通りでなければ1日で切り上げて他へ行こうとも思っていました。
結果は、まず1日目で入店しその「音」を聴くことが出いました。そして1日目帰る時には、僕は何の迷いもなく「明日も聴きに来よう!」と心を決めていました。

11月2日 JR気仙沼駅
第2日目11月2日金曜日

最高の音でジャズを聴き興奮したのか、この日はうまく眠れませんでした。朝7時には起き、グダグダと身支度をし、駅に向かいます。もしもう一日11月2日もベイシーに行くなら、お店が開くまで、宮城県気仙沼へ行ってみようと思っていました。実は僕は気仙沼とはほんの少しですが、関係があります。
約50年前、叔父が転勤でこの地にしばらく住んでいた時に誘ってくれて、4日間ほど遊びに来たのが最初で、その後父もこの地に住んだことがあり何度も訪れていました。その時知ったこの地の人々の温かさやこの地の美しさなどを知り、高校や大学時代には、その時の仲間とここから定期便で30分の大島に渡りキャンプに来ています。その時に見た「天の川」の美しさは今でも忘れられません。
結婚して子供が出来てからも、2年連続で大島に海水浴に来ています。その時に食べた取り立ての「ウニ」のおいしかったこと…!
などと因縁がありながら、あの大震災以後訪れたことがありません。何でもいいから少しだけでも何かしなければという気持ちとTVで観たあのズタズタにされたこの地を見る怖さとで足がすくんでしまっていました。

11月2日 気仙沼 あさひ寿司

ちょっと重い話になってしまいました。僕は宮城県の出身なので、親戚や友達は宮城県に住んでいる人が多いです。東日本大震災を身をもって経験した人たちです。その方達は皆こう言うのです。「何をしてくれとかそんなことは思わない。ただ何が起こって今どうなっているのかを見てくれ。とにかく先ず見てくれ」と。この言葉を思い出し、何もできないけどとにかく見に行こうと思いました。
紹介が遅れました。右上は猊鼻渓の鉄橋を渡るドラゴンレール(大船渡線)の列車。その下が現在の気仙沼駅。ともかく空が青かった。
少しばかり気仙沼の街を歩いて見ました。そもそもが15年ぶりくらいの訪問なので以前の様子などほとんど覚えていないのですが、港町らしいちょっと危なそうな歓楽街や飲み屋街などがあったと記憶しているのですが、そういった辺りはすっかり津波に流されてしまって、ただの空き地が目立っていました。
そんな光景を見ながらもお腹は空きます。とういうことでお昼御飯です。

11月2日 もうかの星

入ったのは「あさひ寿司」。今から45年くらい前父に連れて行ってもらったお寿司屋さんが記憶では「あさひ寿司」といったような記憶があります。気仙沼の飲み屋街にあったような記憶がありますが、何しろ半世紀も前のことなので判然とはしません。ただ美味しかった記憶があります。ただこのお店最近東京でおいしいフカヒレのお寿司を食べさせてくれる店としてテレビで紹介されたこともあり、混雑しているのではないかと思っていたのですが、時間が13時を回っていたこともあるのか、お客さんは他にもいましたが、すんなりとはいることが出来ました。ついついここでもこの時とばかりに贅沢をしてしまいました。
先ずは「もうかの星」をつまみに地元の酒造メーカー男山本店の純米吟醸酒「蒼天伝」(そうてんでん)を一杯。「もうかの星」は、モウカザメというサメの心臓の刺身で、サメの水揚げ日本一の気仙沼漁港でしか食べられない本当に地元の名産品です。今では食べられなくなったレバ刺しのような味わいです。地元では酢味噌で食べられることが多いそうですが、レバ刺しと同様ごま油で食べてもおいしいそうで、どちらもつけてくれました。味は「レバ刺し」そのもので臭みなども全くなく美味。男山本店は、酒蔵が気仙沼の高台にあったため危ういところで津波の難を逃れ、震災の翌日から酒造りを開始した復興を象徴する地元企業としていろいろなメディアでも紹介された生粋の地元の酒蔵。そこで地元米から作られる「蒼天伝」の純米吟醸はお米から作られたことがはっきり分かるフルーティーなしかもすっきりとした飲み口のお酒で相性も抜群です。

11月2日 あさひ寿司の上にぎり

さて、最高の肴とお酒でいい気分になったところで、お寿司をいただきます。頼んだのはランチセットの「百合」。にぎり寿司は「上」相当の8貫にサラダ、あさり汁、茶わん蒸しが付いて¥2,000お値打ちです。にぎり8貫の内容ははかんぱち、甘えび、カニ、まぐろ、マグロ中トロ、ホタテ、イカ、ウニでどれも新鮮、シャリも大きすぎず小さすぎずネタとのバランスも抜群で、実においしい上に、見た目も美しく食欲を刺激します。
一度お酒が入ると調子づいてしまう僕は、この店の看板フカヒレのお寿司のセット「ふかひれ三昧」も追加してしまうのでありました。「ふかひれ三昧」は、「姿煮」、「金糸」、「煮こごり」の3種類で多分ここでしか味わえない、この店の看板メニュー。いずれも醤油を付けずにそのまま口に運びます。するとどれも口の中でホロっととろける口中にコラーゲンが拡がります。
これから行かれる方の参考のために値段を記すと、「もうかの星」¥1,000、「蒼天伝」純米吟醸1合¥850、ランチセット「百合」¥2,000、「ふかひれ三昧」¥1,900で合計¥5,750、消費税を加えて合計¥6,210でした。確かに普通の欄ととしては贅沢ですが、多分一生にそう何度とない貴重な一人旅の記念にやらせていただきました。何となく仕事もせずふらふらと旅などしてこういう贅沢をすると後ろめたい気持ちにもなりますが、お勘定を払いながらふと季節限定メニューのコーナーに「松茸の土瓶蒸し」¥1,100という札を見つけ、「しまった!それもあったか!」と思ってしまう全く懲りない男なのでありました。

著書にサインをしてくれる菅原さん

お腹が一杯になったので、気仙沼駅まではノンビリ歩くことにしました。約20分と言われて歩いたのですが、20分過ぎても駅の姿も見えません。歩けど歩けど着かない。途中通りがかりの人に道を聴くと方向に誤りはないようです。最後は小走りでなんとか14時21分発の列車に間に合いました。駅の方に訊くとこの辺りの人は余り歩かず車で移動するから、その感覚で行ったのではないかとのこと。ともかくこの列車を逃すと約2時間列車がないので、結構焦りました。
何とか列車に乗り込んで、汽車が走り出すと仄かに酔いも回ってきて、グッスリと寝込んでしました。暖かい列車の中でほろ酔い気分でうたた寝するのも実に良い気分です。
一関には、15時40分着。さぁ今日もこれからが本番、「ベイシーでジャズを聴く」第2日目です。今日は明るいうちにお店に着くことが出来ました。トップの写真はその時に写したものです。因みに左の写真は僕の買った著書にサインをしてくれているところです。
この日も、ベイシーの轟音は冴え渡っていました。2日続けて聴いても全く飽きることがありません。因みにこの日は、ジョン・コルトレーンのチム・チム・チェリーの入った「カルテット・プレイズ」、マイルスの「ドゥ・バップ」などをかけてくれました。この「ドゥ・バップ」でベイシーで初めてエレキ・ベースの音を聴きました。腹に響く轟音であります。昨日「明日5、6人友達連れてくる」と言っていたお客さんは、この日は3人で来て「ドゥ・バップ」で踊っていました。
そしてこの日は、店名の由来のカウント・ベイシーのオーケストラやクインシー・ジョーンズのビッグ・バンドもの(クイッテンス?)、バディ・リッチのライヴ盤などビッグ・バンドものをたくさんかけてくれました。ただバディ・リッチはライヴ盤で多分キャピトルだと思いますが、録音が悪くベイシーのシステムをもってしてもうまく制御できないというか、ガサついた音の塊といった感じで耳障りに聴こえました。録音が悪いというのは罪なものだなと感じます。
結局この日も20時くらいまで聴いていました。前回も書いたのですが、次に何がかかって、それがどんな音で鳴るのか楽しみで腰が挙げられないのです。こんな経験は初めてです。本当にすごいものを菅原さんは作ったものです。

11月3日 居酒屋ぐでんぐでん

さて、なんとか20時頃に腰を上げてお勘定を払い(コーヒー2杯2,000円)、お店を出ました。帰り際に菅原さんが「いつ神奈川に帰るの?」と声をかけてくれました。昨日来たことを覚えてくれていたようで感激しました。そして「明日JBLの社長が来るんだよな」と言っていました。これは暗に明日くればJBLの社長と会えるよということをほのめかしているのでしょうか?僕がJBLの社長と会ってもなぁ、お互いにメリットないよなぁと思いながらお店を後にしました。「菅原さん、また来るよ、絶対来るよ!」僕は心の中で叫んでいました。
さて今夜もおいしい肴で一杯やって寝ようと昨日の「こまつ」に向かいました。ところが何ということでしょう、お店の入り口には「本日貸し切り」の札がかかっているではありませんか。仕方なく駅の方にトボトボと向かいこれもネットで評判の高かった居酒屋「ぐでんぐでん」に行くことにしました。右は「ぐでんぐでん」の入り口です。11月2日夜に撮影するのを忘れたので、翌日帰りに駅に向かう途中に撮影しました。

11月2日 居酒屋ぐでんぐでん 金華サバ

このお店ももちろん初めて入るお店です。そっと引き戸を開けるとカウンターは満員です。人気のあるお店のようです。「一人ですが入れますか?」というとお客さん同士が席を寄せ合い1席分席を空けてくれました。一関の方は優しいなぁ。お店の店員さんもみんな明るく感じのいい人ばかりでこれもネットでの評判通りです。そして食べ物もおいしくこれもNetの評判通りでした。僕は曲がりねぎの天ぷら、鰹の塩叩き、冷奴(一関の豆腐は独特でおいしいというので)、そして金華サバをいただきました。その金華サバが右です。金華とは、多分宮城県の金華山沖で取れたサバのことかと思うのですがとても脂がのっていてとてもおいしくいただきました。飲んだのは地酒だと思うのですが覚えていません。値段も覚えていません。相当いい気分で酔っ払ったのだと思います。

ホテルに帰って、仙台の友達に電話し、翌11月3日に会う約束をしたのですが、ここからがいけません。ホテルで寝ている間に風邪をひいてしまったのです。多分寄っていて暑いので、エアコンを切り、さらに布団も跳ねのけて寝てしまったのが原因ではないかと思います。11月3日は仙台に行き、友達と会いもし興が乗ればもう一泊しても良いかなと思っていたのですが、風邪でとてもそんな気分になれません。
色々迷った挙句関東の我が家に帰ることにしました。このまま友達に会っても迷惑をかけるだけだと思い、また風邪のひき始めだということは分かったので、まだ力のあるうちにともかく家に帰ろうと思ったのです。朝慌ただしく荷物をまとめ、もちろん本日会う約束の友達には、その旨を連絡し一関発7時41分の新幹線に乗り込みました。新幹線の端っこに小さくなって、コートを布団のようにかけて小さくなって東京そして家のある神奈川を目指しました。そしてなんとか家までたどり着きましたが、最悪なのは翌日で11月4日日曜日は1日中、風邪薬を飲んで寝て過ごしました。
今回の旅は長年の思いを果たし最高のものでしたが、最後はいただけない結果となってしまいました。

No.291 Study in 1920,30th The Big Band Era
Glen Gray & his Casa Loma Orchestra / Eddie Condon Orchestra

Casa Loma Orchestra “Maniac’s ball”HEP CD 1051 AAD

<Contents> … 1933年1月16日ニューヨークにて録音

CD17.ワイルド・グース・チェイスWild goose chase

<Personnel> … グレン・グレイとカサ・ロマ・オーケストラ(Glen Gray and his Casa Loma Orchestra)

Band leader & Alto saxグレン・グレイGlen Gray
Trumpetソニー・ダンハムSonny Dunhamグラディ・ワッツGrady Wattsボビー・ジョーンズBobby Jones
Trombone & Vocalピー・ウィー・ハントPee Wee Hunt
Tromboneビリー・ローチBilly Rauch
Alto sax & Clarinetクラレンス・ハッチェンライダーClarence Hutchenrider
Alto sax & Vocalケニー・サージャントKenny Sargent
Tenor saxパット・デイヴィスPat Davis
Violinメル・ジャンセンMel Jensen
Pianoジョー・ホース・ホールJoe “Horse” Hall
Banjo , Guitar & Arrangementジーン・ギフォードGene Gifford
Tuba & Bassスタンレー・デニスStanley Dennis
Drumsトニー・ブリグリアTony Briglia
Vocalジャック・リッチモンドJack Richmond

1933年録音の音源を探していたらこのカサ・ロマ・オーケストラの1曲が見つかった。多分カサ・ロマはもっとこの年録音していると思われるのだが。
この曲はジーン・ギフォードの作で、辞書で調べると”Wild goose chase”とは、一つの熟語で「あてのない追及」、「無駄な探索」といった意味のようだ。これはWild goose野生のがんを捕まえるのは難しいことから来ているという。僕には、そのまま野生のがんを捕まえようと追い掛け回す様を面白おかしく音楽で表現してみた作品というような気がする。

「シカゴ・スタイル・ジャズ」Columbia ZL 10291
Eddeie Condon“That’s a serious thing”The cradle of jazz - History 20.3008-HI

さてもう一つ1933年録音で見つけたレコードは、エディー・コンドンのものだ。コロンビア10inch盤に1曲、Historyの”The cradle of jazz”シリーズ、エディー・コンドンの版に3曲見つけた。そして意外なのはこの4曲は録音日は同じなのです。本当に双方とも同じ日の録音なのかなとも思いましたが、小生デスコグラフィーも持っておらず他に検討する素材もないので、このまま進めることにする。しょう!

<Contents> 1933年10月21日

B面4曲目テネシー・トワイライトTennessee twilight
CD2-1曲目ザ・イールThe eel
CD2-2曲目マダム・ダイナマイトMadam Dynamite
CD2-3曲目ホーム・カミングHome coming

<Personnel> … エディー・コンドン・オーケストラ(Eddie Condon and his Orchestra)

Band leader & Banjoエディ・コンドンEddie Condon
Cornetマックス・カミンスキーMax Kaminsky
Tromboneフロイド・オブライエンFloyd O’Brien
Clarinetピー・ウィー・ラッセルPee Wee Russell
Tenor saxバド・フリーマンBud Freeman
Piano & Arrangementアレックス・ヒルAlex Hill
Bassアーティー・バーンスタインArtie Bernstein
Drumsシドニー・カトレットSidney Catlet

Eddie Condon“That's a serious thing”History 20.3008-HI

僕がこの4曲を聴いて感じることは、これらの演奏はニューオリンズ・ジャズをモダン化したものだということである。ニューオリンズジャズをコンセプトとしながら、従来のニューオリンズとは異なる演奏ということである。例えばアンサンブルはあっても、集団即興はしないし、Tpソロにクラリネットが絡んでいくということも無い。あくまでTpはTpで、TsはTsでソロを取る。これはこれで存在感のあるスタイルなのではないかと思うが、今までいろいろなジャズ歴史本を読んできたがそのような指摘は見たことがない。コンドンがどこまで意識していたかは分からないが、これはディキシー⇒スイングという流れには属していない極めて独特なスタイルなのではないかと思う。
「テネシー・トワイライト」は「シカゴ・スタイル・ジャズ」の最終曲となっているピアノのアレックス・ヒルの書いたオリジナル・ナンバー。ゆったりとしたテンポで、フリーマンのTs、ラッセルのCl、カミンスキーのCor、オブライエンのTbなど実によく歌っている。
CD-2”ザ・イール”は・アップ・テンポのナンバーで、何といってもテナーのバド・フリーマンのソロが素晴らしい。続くラッセル、カミンスキーのソロも聴き応えがある。
CD-2”マダム・ダイナマイト”は、完全にスイング・スタイルの演奏である。ここでもバド・フリーマンが大活躍している。CD-3”ホーム・カミング”はミディアム・スロウのブルース・ナンバー。Clソロに絡むPやPのソロなどどう聴いてもディキシーとは、コンセプトが異なる。エンディングでは集団即興が行われるが、これも従来のディキシーとは異なるものである。

エディー・コンドンが率いて行われたこれら一連のセッションは、最近余り注目を浴びるということはないように見受けられるが、実はとてもユニークな試みがなされていたのではないかと感じる。

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