ジャズ・ディスク・ノート 2019年10月17日

第371回トミー・ドーシー・オーケストラ 1938年

No.371 Tommy Dorsey Orchestra 1938

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

今回はスイング時代の白人ビッグ・バンドのトップ・スリーの一つトミー・ドーシーの1938年の録音を取り上げよう。スイング時代の白人ビッグ・バンド・トップ・スリーは、ベニー・グッドマン、グレン・ミラーとそしてこのトミー・ドーシーである。ベニー・グッドマンは第365回で、グレン・ミラーは大分前第4回目辺りで取り上げた。今回の音源は2つ、ヴィクターから出ていた2枚組LP「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」とコロンビアから出ていた「ヒストリカル・レコーディング・シリーズ/トミー・ドーシー」である。

<Contents> … 1938年3月10日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.A-4.アラバマ行きの夜行列車When the midnight choo-choo leaves for Alabama

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・クランベイク・セヴン (Tommy Dorsey and his Clambake seven)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetピー・ウィー・アーウィンPee Wee Erwin
Clarinetジョニー・ミンスJohnny Mince
Tenor saxスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfult
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill
Vocalエディス・ライトEdythe Wright

メンバーには1936年に歌っていたエディス・ライトが復帰した。

Record2.A-4.「アラバマ行きの夜行列車」アーヴィング・バーリン作の古い曲で、映画『ショウほど素敵な商売はない』の挿入歌で、映画ではダン・ディリーが歌っていたという。演奏は、ピック・アップ・メンバー「クラムベイク・セヴン」によるディキシー風の好演。トミーのソロ、ミンスのClがなかなかいい味を出している。ヘルフルトのTsソロはかなりバド・フリーマン風だとは解説の野口久光氏。

<Contents> … 1938年7月11日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.A-5.パナマPanama
Record2.A-7.チャイナタウン・マイ・チャイナタウンChinatown , my Chinatown

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetピー・ウィー・アーウィンPee Wee Erwinジョー・バウアーJoe Bauerアンディ・フェレッチAndy Ferretti
Tromboneレス・ジェンキンスLes Jenkinsウォルター・マーキュリオWalter Mercurio
Clarinet & Alto saxジョニー・ミンスJohnny Mince
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulceスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfult
Tenor saxバド・フリーマンBud Freeman
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill

Dsのディヴ・タフを除き1937年7月20日と同じメンバー。

Record2.A-5.「パナマ」はW.H.タイラー作のディキシー初期のナンバー。新しいアレンジでミンスのCl、ドーシーのTbのソロがフューチャーされている。
Record2.A-7.「チャイナタウン・マイ・チャイナタウン」これも古いポピュラー・ソングで、こちらは「クラムベイク・セヴン」によるディキシー風の演奏で、ここでもミンスのCl、ドーシー(Tb)、多分ヘルフルトのTsが聴き処である。

<Contents> … 1938年7月15日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.A-6.アラビアの酋長The shiek of Araby

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・クランベイク・セヴン (Tommy Dorsey and his Clambake seven)

7月11日と同じメンバー。

Record2.A-6.「アラビアの酋長」は、20年代の美男スター、ルドルフ・ヴァレンチノに捧げられたナンバーで、ベニー・グッドマンなどスイング時代によく演奏されたナンバー。ここでもディキシー風に奏され、アンサンブル⇒Cl、Tb、Ts、Tp⇒アンサンブルという組み立てである。

<Contents> … 1938年7月25日 ハリウッドにて録音

「Jazz historical recording/Tommy Dorsey」 日本盤

B-1.コペンハーゲンCopenhagen
B-2.シンフォニー・イン・リフズSymphony in riffs

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetピー・ウィー・アーウィンPee Wee Erwinジョー・バウアーJoe Bauerアンディ・フェレッチAndy Ferretti
Tromboneレス・ジェンキンスLes Jenkinsアール・ヘイゲンEarle Hagen
Clarinet & Alto saxジョニー・ミンスJohnny Mince
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulceハイミー・シャーツァーHymie Schertzer
Tenor saxスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfultディーン・キンケイドDean Kincaide
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill

この2曲は、ハリウッドで吹き込まれた。このレコードには解説が付いていないので、どの事情でドーシーが西海岸に行ったのか分からないが、10日前からメンバーの移動があるのは、西海岸に帯同しなかったメンバーがいたからかもしれない。

B-1.「コペンハーゲン」は、かつてルイ・アームストロングなども録音している古いナンバー。これまではディキシー風の演奏が多かったが、これは一転してスイング・ナンバー。ドーシーがリーダーの面目躍如といったソロを展開している。
B-2.「シンフォニー・イン・リフズ」。こちらもスインギーなナンバー。ソロはTb、Cl、Tsといったところが聴き所か。

<Contents> … 1938年9月16日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.B-1.ブギ・ウギBoogie Woogie

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetチャーリー・スピヴァクCharlie Spivakリー・キャッスルLee Castleヤンク・ロウソンYank Lawson
Tromboneレス・ジェンキンスLes Jenkinsバディ・モロウBuddy Morrow
Clarinet & Alto saxジョニー・ミンスJohnny Mince
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulceハイミー・シャーツァーHymie Schertzer
Tenor saxスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfultディーン・キンケイドDean Kincaide
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill

トランペットのリー・キャッスルは本名リー・アニエロ・カスタルドといい、キャリの初めはこの短縮名”Lee Castaldo”と名乗っていた。間違いの多い「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」のデータでは「Lee Gastaldo」と間違っており、調べるのに苦労した。
トランペット・セクションは全取り換えであり、大幅なメンバーチェンジが行われている。 Record2.B-1.「ブギ・ウギ」は、ブギ・ウギ・ピアノのパイオニア、クラレンス・”パイントップ”・スミスの自作自演曲ではじめは黒人だけに知られるだけだったが、トミー・ドーシーが取り上げ、ディーン・キンケイドのアレンジでオーケストラ化され、センセイショナルな大ヒットとなった。トミーの吹き込んだ全レコードの中で当時400万枚を超す最大のヒット曲となった。スミスのPとドーシーのソロも悪くはないが何といってもアレンジ・アイディアの勝利である。このヒット以来ブギ・リズムがスイング・バンドに次第に影響を及ぼし、ブギ・ブームが到来することとなる。

 

<Contents> … 1938年11月29日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.B-2.ハワイアン・ウォー・チャントHawaiian war chant

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

変更点
Trumpet … リー・ガスタルド ⇒ マックス・カミンスキー Max Kaminsky
Trombone … レス・ジェンキンス ⇒ Out Trombone … ディヴ・ジェイコブス Dave Jacobs、エルマー・スミサーズ Elmer Smithers ⇒ In Tenor sax … ディーン・キンケイド ⇒ ベイブ・ラッシン Babe Russin

Record2.B-2.「ハワイアン・ウォー・チャント」は、「タ・フワフワイ」の原題で知られるハワイ民謡で、原曲はリリウォカラニ女王の弟シレイオホク2世が作った恋歌ということになっているが、いつの間にか「ハワイの戦いの歌」として有名になった。これもビッグ・バンド・ジャズの類型を破ったアレンジが面白く、Dsソロ⇒アンサンブル⇒ラッシン(Ts)⇒ロウソンかカミンスキー(Tp)、ドーシー(Tb)のソロが展開される。

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