ジャズ・ディスク・ノート

第231回2017年10月15日

ルイ・アームストロング入門 その1929年 その2

ご覧いただきありがとうございます。
定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

週末の土・日はとても寒いとなりました。金曜日から気温が下がり、土・日は11月中旬と同じくらいまで温度が下がったそうです。また肌寒い上に雨が降ったりやんだりとぐずついた天気で気分まで落ち込んできます。
僕はちょっとした用事があり、町田天満宮の近くまで行く用事があり、ちょっと合間を見つけて神社を撮影しました。神社にはもう「七五三」を祝う家族の方がたくさんいて驚きました。「七五三」は本来11月15日のはずで、1か月も前のこの日にすでにお祝いに来られる方いるとは!混むのを避けるためでしょうか?気温は確かに11月中旬ですが…。

こう寒くなると食べたくなるのが「ラーメン」です。まぁ僕は寒くなくても食べますが…。右は大好きな相模原市二本松というところにある醤油ラーメン専門店「太尊」です。前にもご紹介しましたが、その後も何度も足を運んでいます。下の写真は僕の定番「ちゃーしゅーめん」大盛¥800です。独特のしょうゆ味でおいしいですよ。

ところで、僕は10月14日土曜日またまたヘマをやらかしてしまいました。ご存知の通り今日はプロ野球クライマックス・シリーズのファースト・ステージ第1戦です。僕の贔屓セ・リーグのベイスターズ、パ・リーグの楽天がそれぞれ3位につけ、セカンド・ステージに臨むべく2位のチームに挑む日です。
それで何がヘマかというと、僕はてっきり今日はナイターだと思い込んでいたのです。日中は少々時間がかかっても用事を済ませ、夜はじっくり贔屓チームの応援だと楽しみにしていました。ところが夕方のテレビのニュースで、ベイスターズも楽天も敗れたことを知りました。それも両チームとも完封負けです。全く打てなかったようです。
そして今日は第2戦。楽天が4対1で勝利し、ベイスターズも13対6の大勝です。ここまで来たら是非とも両チームに勝ってもらいたいなぁ。
因みに本日夕方はベイスターズ戦を見ながら、テニスの上海オープンも見るということで、結構忙しい時間を過ごしました。

ともかく気を取り直してルイ・アームストロングの1929年の続きを聴いていこう。

No.231 Louis Armstrong Vol.19 1929-2

CD解説の大和明氏は、1929年以降のルイについて次のように述べる。
ニューヨークに進出し、一層自信を深めたルイは、高らかに高音をヒットし、レコード会社側の商業政策もあり、出来立ての流行歌を次々と手がけ、トランぺッターとしてのルイとともに、歌手としてのルイを前面に打ち出してきたのがこの時期と言える。かくして彼はポピュラーな人気を獲得し、エンターティナーとしての持ち味が次第に強まってくるのである。
トランぺッターとしては、ファンによる高度なテクニックや高音吹奏に対する過剰な期待に対し、それを受け入れる余りルイのプレイは次第に25〜28年頃の誠実さが薄れ始め、演奏のラスト部分で無意味な高音の連発を繰り返すことも多くなり始めた。
だがそういった点を差し引いたとしても、当時のルイを超えるミュージシャンは、この30年代初めにはまだ出現していなかった。但し20年代半ばのように、ルイだけが一頭地を抜く存在であったのと違い、この頃になるとルイの影響を消化するとともに自分のスタイルを確立し、一つの完成された器楽奏法を示すことによって、ルイと肩を並べる巨星も出現し始めた。例を挙げれば、テナー・サックスのコールマン・ホーキンスであり、ピアノのアール・ハインズであり、その他一握りのミュージシャン達であった。
と大和明氏は非常に穏便な表現をしているが、アメリカの評論家ガンサー・シュラー氏の舌鋒は厳しい。
「1929年の初めまでには、ルイと彼のマネージャーのジョー・グレイサーは、ルイの才能を金儲けに活用するために有効な商業的手段を見出していた。その時以降、彼は当時の流行歌を利用して、彼の見せ場を提供してくれる様々なビッグ・バンド(キャロル・ディッカーソン、ルイ・ラッセル、レス・ハイト、チック・ウエッブ)のフロントで演奏することにしたのである。」
何ともすさまじい表現である。

1929年2月にニューヨークを訪れ、3月には前回取り上げた黒白混合バンドによる録音やルイ・ラッセル楽団との共演を行い、一旦シカゴに戻る。そしてルイはここに彼に従う同志たちと一大決心をするのである。それがニューヨークへの本格的進出であった。
シカゴにおいて再びキャロル・ディッカーソン楽団に参加するとともに、4月にはディヴ・ペイトンのバンドのゲストとして1週間だけリーガル・シアターに出演したが、5月に入ってルイは再びニューヨーク入りすることになる。このニューヨーク往きはディッカーソン楽団を率いてのもので、ディッカーソン自身は音楽監督の任に当たり、、バンドの人気花形スターであったルイをリーダーとすることによって、ニューヨーク公演の成功を図った。(ただし、ハインズは自己のビッグ・バンドを率いて”グランド・テラス”に出演していたので、ニューヨーク往きには参加しなかった。)
このルイのバンドは、ニューヨークの代表的なジャズ・クラブの一つである”コニーズ・イン”を本拠として演奏活動を行ったが、夏からこのクラブのためのレヴューとして「ホット・チョコレート」が上演されると、それにも出演を依頼され、ファッツ・ウォーラーがこのレヴューのために作った「浮気はやめた」を歌い、このルイの歌がヒットし、人気を高めたのであった。

<Contents>…1929年6月4日 ニューヨークにて録音

CD8-21.‘ス・ポージンS’posin
CD8-22.トゥ・ビー・イン・ラヴTo be in love

<Personnel>…シーガー・エリス (Seger Ellis)

Vocalシーガー・エリスSeger Ellis
Trumpetルイ・アームストロングLouis Armstrong
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinetジミー・ドーシーJimmy Dorsey
Violinハリー・ホフマンHarry Hoffman
Piano & Celesteジャスティン・リングJustin Ring
Drumsスタン・キングStan King

録音の名義「シーガー・エリス」は当時大変人気があった歌手だという。白人である。いわゆる「甘く切ないポップス・シンガー」である。しかしこの歌手のイカスところは自分の人気をバックに、多分自身が興味があったのだろう、当時一流のミュージシャンをレコーディングに起用しているところである。解散してしまった”Smap”みたいである。

そんなことからか1929年ニューヨークに来ていたサッチモに声がかかったのかもしれない。そこでドーシー兄弟と初顔合わせとなった。全体としては、ルイも、こういう甘いポップス・ソングのバックでは聴こえるか聴こえないかといったプレイぶりである。黒人ブルース・シンガーのバックを務めるように吹きまくり、エリスを目立たなくしては今後の芸能活動、どころか直近の命の保証も危うかったのではないか。かといっていてもいなくても同じでは、これも今後の芸能活動に響く。といったところか、「‘ス・ポージン」中間部では、「シンギング・トランペット」と呼ばれたように実に歌心溢れるソロを繰り広げている。

「トゥ・ビー・イン・ラヴ」では、ドーシー兄弟のソロも聴かれるが、特にトミーがルイのソロに挟まれてソロを取っている。しかし歌心と言い技量と言いルイとの差は歴然で、大和明氏などは、「気の毒」とさえ言っている。

<Contents>…1929年6月10日 ニューヨークにて録音

CD8-23.ファニー・フェザーズFunny feathers
CD8-24.ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ・イット・ザット・ウェイ?How do you do it that way ?

<Personnel>…ヴィクトリア・スパイヴィー (Victoria Spivey)

Vocalヴィクトリア・スパイヴィーVictoria Spivey
Trumpetルイ・アームストロングLouis Armstrong
Tromboneフレッド・ロビンソンFred Robinson
Tenor saxジミー・ストロングJimmy Strong
Pianoジーン・アンダーソンGene Anderson
Banjoマンシー・カラMancy Cara
Drumsズッティ・シングルトンZutty Singleton

”Spivey”という名は日本人の僕にはどう読んでわからないものがある。ある記述では「スピヴェイ」またある記述では「スパイヴィー」となっている。彼女については第227回でルイ・ラッセル楽団との録音を紹介した。取り上げたのはラッセル楽団との共演が先であるが録音はこちらが早い。
バンドの面々は当時のサッチモおなじみの面子であるが、当時ルイが在団していたキャロル・ディッカーソン楽団からのピックアップである。
CD8-23.[ファニー・フェザーズ]は、ヴィクトリアの夫であるルーベン・フロイド(Tp奏者)が結婚記念日に彼女に送った曲だという。ルイは、これまでのブルース系の歌手たちとの共演ではシンプルなフレイズの伴奏を行ってきたが、ここでは絢爛なプレイに終始している。いわゆる絶頂期に到達したルイの創造力あふれるプレイがこのスパイヴィーとの演奏から知ることができる。

<Contents> … ニューヨークにて録音

CD4-4.浮気はやめたAin’t misbehavin’1929年7月19日録音
CD4-5.ブラック・アンド・ブルー(What do I do to be so)black and blue ?1929年7月22日録音
CD4-6.ザット・リズム・マンThat rhythm man1929年7月22日録音
CD4-7.スィート・サヴァンナ・スーSweet savannah Sue1929年7月22日録音

<Personnel>…ルイ・アームストロング・アンド・ヒズ・オーケストラ(Louis Armstrong & his orchestra )

、、
Band leader , Trumpet & Vocalルイ・アームストロングLouis Armstrongホーマー・ホブソンHomer Hobson
Tromboneフレッド・ロビンソンFred Robinson
Tenor saxジミー・ストロングJimmy Strong
Alto saxバート・カリーBert Curryクロフォード・ウェッチングトンCrawford Wethington
Violinキャロル・ディッカーソンCarrol Dickerson
Piano & Celesteジーン・アンダーソンGene Anderson
Banjoマンシー・カラMancy Cara
Tubaピート・ブリッグスPete Briggs
Drumsズッティ・シングルトンZutty Singleton

この7月19日と22日に録音された4曲はいずれもレヴュー”ホット・チョコレート”のためにファッツ・ウォーラー(作曲)、アンディ・ラザフ(作詞)の名コンビが作った作品。特にCD4-4[浮気はやめた]とCD4-5[ブラック・アンド・ブルー]は、ウォーラーの代表作とされる。特に[浮気はやめた]は、スイング時代から現代にいたるまで、数多くのジャズ・マンが取り上げるスタンダードとなったが、このルイの録音は当時大ヒットし、ルイの人気を決定づけることになる。
CD4-5[ブラック・アンド・ブルー]は、人種差別に対する抗議を込めた最も初期の作品として有名であるという。イントロではピアノではなくチェレスタを用いているところがセンチメンタルな気分を盛り上げる。この録音後ルイのお得意のナンバーとなったが、不思議なことにウォーラー自身は録音していないという。
CD4-6[ザット・リズム・マン]で最も注目すべきはズッティ・シングルトンによるスインギーでリズミックなバッキングであるとは大和明氏。ルイもこのリズムに乗って気持ちよく吹いている。
CD4-7[スィート・サヴァンナ・スー]で、ルイのヴォーカルの直前に甘美なミュート・トランペット・ソロが聴かれるが、これはルイではなく、ホーマー・ホブソンによるものだという。ヴォーカルの後は、ロビンソンのTb、ストロングのTsソロが続き、最後にルイが吹いて締める。

<Contents>…1929年8月23日 ニューヨークにて録音

CD8-25.浮気はやめたAin't misbehavin'

<Personnel>…シーガー・エリス (Seger Ellis)

Vocalシーガー・エリスSeger Ellis
Trumpetルイ・アームストロングLouis Armstrong
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinet & Alto saxジミー・ドーシーJimmy Dorsey
Violinジョー・ヴェヌーティJoe Venuti
Guitarエディ・ラングEddie Lang
Drumsスタン・キングStan King

この録音には6月の録音に加えてジョー・ヴェヌーティ、エディ・ラングという当時一流のジャズマンも加わっている。この録音がヒットしたかどうかは分からないが、バックの面子としては申し分のない顔ぶれである。
なお、CD8枚組「黄金時代のルイ・アームストロング」におけるルイがバックを務めた録音はこれが最後になる。

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