バド・フリーマン(テナー・サックス)

Bud Freeman (Tenor sax)

バド・フリーマン

1906年4月13日イリノイ州シカゴ生まれ。
1991年3月15日生地のシカゴで没した。

シカゴ派の闘将として古くからその名を謳われたユニークなミュージシャンで、1922年に始まるオースチン・ハイスクール・ギャング(Austin high school gang)と呼ばれるジャズ仲間たちのオリジナル・メンバーの一人。20年代はフランク・ティッシュメイカー(Frank Teschemacher)やジミー・マクパートランド(Jimmy McPartland)といった仲間たちとプレイしていた。但しディキシーの世界におけるテナー・サックスの存在そのものが希少だったし、彼自身のテナー双方がこれまた他に類例を見ない奇妙なものであったため、ある意味では実際の評価以上にその名前がジャズ・ファンに浸透しているという感もあった、とは粟村師。
27年にニュー・ヨークに移りレッド・ニコルス(Red Nichols)、ベン・ポラック(Ben Pollack)らと共演していた。
30年代に入って36〜38年はトミー・ドーシー(Tommy Dorsey)、38年にはベニー・グッドマン(Benny Goodman)の楽団に加わった。39年にはサマ・カム・ロード・オーケストラ(Summa Cum Laude Orchestra)として有名な自己の楽団を率いた。その後軍役生活を経験し除隊後はニュー・ヨークに戻り自己のバンドを率いたり、ジョー・ブシュキンとトリオを組むなどユニークな活動を続けた。シカゴ派のエディー・コンドン(Eddie Condon)、バック・クレイトン(Buck Clayton)、ヴィック・ディッケンソン(Vic Dickenson)など主流派と仕事をすることが多かったが、モダン・ジャズが起こった50年代にレニー・トリスターノの門をたたいたことは有名である。
>彼がリーダーシップをとったセッションのうち一番有名なのは、40年にジャック・ティーガーデンやマックス・カミンスキーを加えて吹き込んだコロンビアにおける録音であろう。これはかつて「Comes Jazz」というタイトルのもとに10インチ盤で発売されたが、その後「Swing street」(Epic SN-6042 廃盤)とジャック・ティーガーデンの「King of the blues」(Epic SN-6044 廃盤)の中に散在していた。
その少し前のものでは、これも有名な“Summa Cum Laude Orchestra ”によるDeccaへの吹込みを集めた「The jazz makers」(Swaggie 1216)というLPが良いが一般には入手困難であろう。(>以下粟村師)
69年〜70年はワールド・グレイテスト・ジャズ・バンドのメンバーとして活躍、来日も果たした。来日した際のフリーマンは、レコードの印象とはだいぶ違った丸い音とスムーズなキー・ワークで活躍し、純朴そうな人柄も手伝って好印象を残した。この頃のフリーマンは、ディキシー風のジャム・セッションにおいて最も真価を発揮するといったタイプのミュージシャンになっていた。
74年にはイギリスに移住ヨーロッパで数多くのレコーディングを行った。80年にシカゴに戻り80年代も演奏を続けた。
プレイス・タイルは、冒頭でも述べたようにシカゴ派のテナー奏者の内で最もユニークなスタイルを持っているといわれる。的確なことでは定評のある粟村師の表現だと、「まるで枯木をポキポキと折っていくような」独特のテナー奏法はその源をコールマン・ホーキンスの第1期のスタイルの中に求めることができるが、スイング時代の開花とともにホーキンスの方はいち早くおなじみの「たゆたうような」テナー・スタイルに転向したから、極端な表現を取るならば、丁度進化と切り離されたオーストラリアの珍獣のような格好で新陳代謝の激しいジャズの世界に生き残って来たのであった。だからフリーマンのファンたちが彼に肩入れするあまりに、そのさして面白くもないスタイルを「独創的」と宣伝するのは実は正しくないわけだ。
と手厳しい。これを書いている2017年時点で僕は、バド・フリーマンのファンという人々がいるのを知らないが、粟村師が『ジャズ・レコード・ブック』を書いた当時はファンがたくさんいて、「独創的」と喧伝していたのであろう。そしてそれを苦々しく思っている市の胸中が察せられる文章だ。そのせいで「さして面白くもない」プレイをするフリーマンに大きなスペースを使っている。
代表作「Eal」(未聴)でもその捉えどころのないアドリブこそが彼の真骨頂と言われる。

レコード・CD

「メズ・メズロウとトミー・ラドニア」(Mezzrow & Ladnier) 日本ビクター RA-5324 1934年の録音
「30年代のスイング・セッション」(RA-5325)収録のジーン・ギフォードの楽団
「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・セレクション」RCA-9007-08
「バニー・ベリガン・アンド・ヒズ・ボーイズ/テイク・イット・バニー!」(Epic SICP 4012)日本盤CD
「コンプリート・ベニー・グッドマン」(BMGヴィクター BVCJ-7030〜41)