ドン・レッドマン(作曲、編曲、サックス)

Don Redman (Composer,arranger&sax player)

ドン・レッドマン

フルネーム:ドナルド・マシュー・レッドマン Donald Matthew Redman
1900年7月29日ウエスト・ヴァージニア州ピードモント生まれ。
1964年11月30日ニューヨークにて死去。

3歳でトランペットを吹き、6歳でバンドに入り、子供時代にあらゆる楽器と音楽理論をマスターしたといわれる天才中の天才。
ボストンとデトロイトの音楽院を卒業、23年フレッチャー・ヘンダーソン楽団に参加。
27年マッキーズ・コットン・ピッカーズの音楽ディレクターとなり31年〜40年まで自分のバンドを結成して優れた作編曲によって名声を博した。
黒人のジャズ感覚と高度の音楽理論とを見事に融合させた初のライターで、バンドのテーマ曲“Chant of the weed”はそのサックス・ヴォイシングの先駆性で有名である。
40年代は時折バンドを指揮した以外はフリーで作編曲で活躍した。

粟村氏評
フレッチャー・ヘンダーソンとマッキーズ・コットン・ピッカーズに各約3年間在団し、ジャズの世界にビッグ・バンド・アレンジメントの礎を築いた偉大なるアレンジャー。31年に独立しホレス・ヘンダーソンの協力を得て野心に満ちた彼自身のバンドを結成した。しかし折からの不況の波は当然のごとくレッドマンの楽団にも押し寄せ、路標的名作“Chant of the weed”に示された妖しいまでのレッドマンの才気は、次第次第に商業主義との結びつきの中に浪費されていった。
むろんあらゆる録音を通じて凡百のアレンジャーの及びもつかぬ天才の片りんは残されたけれども“Master of big band jazz”(Victor LPV-520)の片面を占める40年前後の演奏の中にはかつてのレッドマン楽団のサックス・セクションが持っていたあの異様な興奮性はもはや跡形もなく失われてしまっている。
“Don Redman &his Orchestra”(Collector’s 12-5)は“Chant of the weed”の別テイクを含む貴重なLPで、レッドマン楽団の短かった最盛期の面影をよく伝えている。
才ある人の転落は才なき者の挫折よりも遥かに深い悲劇性を持っていることをドン・レッドマンの歩みは教えてくれるような気がする。

レコード・CD

「ベッシー・スミス物語 第2集」(SOPB 55026)
“Fletcher Henderson/A study in frustration”(Essential・JAZZ・Classics EJC55511)
”Archive of Jazz/Duke Ellington”(BYG 529.071)
”The Duke”(History 204140-302)
「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ 第9巻 ザ・ビッグ・バンド・エラ 第1集」(RCA RA-47)
「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第5巻/ファッツ・ウォーラー」(RCA RA-23〜27)
"Don Redman and his orchestra 1931-1933"(The chronological 543)
「ビリー・ホリディ物語 第5集」(SOPH 69〜70)