ユーグ・パナシェ (ジャズ評論家)

Hugues Panassie (Jazz Critic)

ユーグ・パナシェ

1912年2月27日フランス・パリの生まれ。
1974年12月8日フランス・モンタルバンにて死去。

14歳の時に「小児まひ」に罹り体を使った運動を制限されたことがあり、サックスを手にする。
そしてそこでジャズの魅力に取りつかれたという。
1932年「フランス・ホット・クラブ」を創設し、自らが代表となった。
芸術の国、フランスにおいて、アメリカのジャズ…特に黒人ジャズを愛好した評論家の先達である。
1934年に著した『ホット・ジャズ』は、ジャズ分権の古典と云われる名著である。
この著書は1936年に英訳されてアメリカでも発売された。
その頃アメリカはスイング時代が火を噴いた時であり、アメリカ人にとっては単にダンス音楽に過ぎないころで、
パナシェ氏はヨーロッパ人的な観点から、以下にジャズが素晴らしい音楽であるかを論じ尽くした。
この本に刺激されてアメリカでもジャズ・ジャーナリズムが台頭したと言っても過言ではないという。
1938年初めてアメリカに渡り、自分が敬愛するミュージシャンを集めてRCAヴィクターにいくつかのセッションをプロデュースしたが、
これがいわゆる「パナシェ・セッション」として名高いものである。
さらに氏は、アメリカでの実地見聞を基に、『リアル・ジャズ』を出版した。
この著書ではさらに考え方も深化し、ニューオリンズ・ジャズの革新をえぐった名著と云われる。
しかし氏は、バップ以降のジャズにあまりにも反対し続けたために「モールディ・フィグ」(古いジャズだけを敬愛するファン)
の代表のようにされてしまったが、ジャズの歴史が続く限り、彼の残した著書とプロデュースしたセッションは、
ジャズの芸術性を初めて世界に示した古典としてその輝きを失うことはないと言われる。

レコード・CD


{ザ・パナシェ・セッションズ」(Victor VRA-5015)
「メズ・メズロウとトミー・ラドニア」(RCA RA-5324)