僕の持っているジミー・ヌーンの1924年最初の録音は、1月21日にジネットにレコーディングを行ったドク・クックのバンドに加入したものである。ドク・クックは自称の”Doc”ではなくシカゴ大学の音楽科で博士号を取ったという本物の”Doctor”である。そのレコーディングにも拘わらずジミー・ヌーン名義で取り上げるのはクックに申し訳ない気もする。またこの吹込みは一部で2代目ジャズ王と言われるフレディ・ケパードが参加していることでも価値がある。
Band leader | … | ドク・クック | Doc Cook | |||
Cornet | … | フレディ・ケパード | Freddie Keppard | 、 | エルウッド・グラハム | Elwood Graham |
Trombone | … | フレッド・ガーランド | Fred Garland | |||
Clarinet | … | ジミー・ヌーン | Jimmie Noone | 、 | クリフォード・キング | Clliford King |
Alto sax | … | ジョー・ポストン | Joe Poston | |||
Tenor sax | … | ジェローム・パスクォール | Jerome Pasquall | |||
Violin | … | ジミー・ベル | Jimmy Bell | |||
Banjo | … | スタン・ウィルソン | Stan Wilson | |||
Bb | … | ビル・ニュートン | Bill Newton | |||
Drums | … | フレッド“タビー”ホール | Fred “Tubby” Hall |
CD-3 | シザー・グラインダー・ジョー | Scissor Grinder Joe |
CD-4 | ロンリー・リトル・ウォールフラワー | Lonely little wallflower |
CD-5 | ソー・ジス・イズ・ヴェニス | So this is Venice |
CD-6 | モーンフル・マン | Moanful Man |
CD-7 | ザ・メンフィス・メイビー・マン | The Memphis maybe man |
CD-8 | ザ・ワン・アイ・アイ・ラヴ・ビロングス・トゥ・サムボディ・エルス | The one I love belongs to somebody else |
現在日本で、いや以前からだがケパードのレコードはあまり見かけない。僕が彼の名義で保有しているのは右のBYG盤だけである。それにもこのセッションは収録されているが、パーソネルが若干異なる。上記はジミー・ヌーンのChronologicalに記載されたものだが、BYG盤との違いを記す。
1.BYG盤では、バンジョーのスタン・ウィルソンは加わっておらず、ピアノにトニー・スポールディング(Tony Spaulding)なる人物が加わっていることになっている。しかし音を聴くとピアノの音はCD-5「ソー・ジス・イズ・ヴェニス」とCD-8「ザ・ワン・アイ・アイ・ラヴ・ビロングス・トゥ・サムボディ・エルス」で一瞬だが確かに鳴っているが他曲では聴こえない。
2.BYG盤では、ドラムスはタビー・ホールではなくバート・グリーン(Bert Green)となっている。
いずれが正しいのかは僕には判断できないので双方を記しておく。
なお、BYG盤には重複する4曲しか収録されていないので、こちらを主としよう。
CD-3「シザー・グラインダー・ジョー」
ベルのような音で始まる。ケパードの熟練のミュート・ソロの後ヌーンのソロそしてこの時代らしくパうクォールのタンギングによるソロ、再びケパードのミュート・ソロが続く。ケパードのミュート・プレイは見事である。
CD-4「ロンリー・リトル・ウォールフラワー」
BYG盤未収録。余りジャズらしくない曲で、コルネット、クラリネットのソロはない。アルトが活躍しているがこれはヌーンか?
CD-5「ソー・ジス・イズ・ヴェニス」
ケパードのワウワウ・ミュートのコルネットの熟練した技を聴くことができる。ヴェニスに題材を取った異国情緒の溢れる曲。ここでもピアノの音が聞こえる。
CD-6「モーンフル・マン」
BYG盤未収録。アンサンブルが面白い。ヌーンも大きくフューチャーされており美しい音色を聴くことができる。ケパードもミュート、オープンでと活躍している。
CD-7「ザ・メンフィス・メイビー・マン」
テナー・サックスがフューチャーされる。ケパードはオープンでのプレイに徹し、アンサンブルをリードし、最後に短いソロを取る。
CD-8「ザ・ワン・アイ・アイ・ラヴ・ビロングス・トゥ・サムボディ・エルス」
ヌーンがフューチャーされる。ヌーンの後ケパードの短いソロが入る。わずかにピアノの音がする。
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