ジャズ・ディスク・ノート

第11回2013年7月4日

ウィントン・ケリー 「ケリー・ブルー」

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
僕が住む地域は今日は曇りで時折雨が落ちてくるという典型的な梅雨を思わせる天気でした。定年を間近かに控えたオジサンは最近プライベートでいろいろなことが重なり、ノンビリできる時間がなかったので、また仕事もちょっと合間で忙しくないこともあり、有り余る有給休暇を少し使ってやろうと1日休みを取りました。


アジサイ かなりお気楽に思われると思いますが、オジサンもずーっとこうだったわけではありません。連日連夜深夜2時、3時ころまで働き、タクシーで帰り朝は7時前に起きて会社に行く。たまに完徹(完全徹夜)しなければならず、死ぬかもしれないというような過酷な労働を強いられた時期もあったのです。しかし歳を取ってきたこともあってか最近は残業も全くないわけではありませんが、偶にしかないような境遇に現在はいます。これは僕の勤務先の会社では異例な幸運といえます。


ところで、僕の住む市の花は「アジサイ」です。それに因んでかいろいろなところでアジサイを見かけます。アジサイにもいろいろ種類があるらしいですが、無粋な僕は余り知りません。種類の名前は分かりませんが、写真のアジサイが僕は好きです。
そうそう、本日の森の写真は全て6月30日に撮影したものです。暗い梅雨の写真よりいいかなと思って使いました。





第11回ウィントン・ケリー 「ケリー・ブルー」

ウィントン・ケリー 「ケリー・ブルー」レコード・ジャケット

Wynton Kelly “Kelly blue” 

レコード…Riverside MW2006 日本グラモフォンからの再発盤。オリジナルは(Riv 298)らしい。
CD…Ucco-9013

<Personnel>

ウィントン・ケリーWynton KellyPiano
ポール・チェンバースPaul ChambersBass
ジミー・コブJimmy CobbDrums
ナット・アダレイNat AdderleyCornet
ベニー・ゴルソンBenny GolsonTenor sax
ボビー・ジャスパーBobby JasperFlute

<Contents>

A面
B面
1.ケリー・ブルー (Kelly blue) 1.柳はむせぶ (Willow weep for me)
2.朝日の如くさわやかに (Softly , as in the morning sunrise) 2.キープ・イット・ムーヴィング (Keep it moving)
3.グリーン・ドルフィン・ストリート (Green dolphin street) 3.オールド・クローズ (Old clothes)

A1、B2…1959年2月19日、A2、3、B1,3…1959年3月10日 ニューヨークにて録音。
A2、3、B1,3はケリー、チェンバース、コブのトリオ、A1、B2は、ナット・アダレイ、ベニー・ゴルソン、ボビー・ジャスパーを加えたセクステット演奏。 
CDには、ボーナスとしてアルバム未収録の“Do nothin’ till you hear from me “(トリオ演奏)とB-3” Keep it moving”の別テイクが収録されている。


現在(2013年)はある種のレコードは簡単に手に入るいい時代でもあり、一方ある種のレコードは手に入りにくい残念な時代だが、考えてみればいつの世もそういうことの繰り返しだったのだろう。僕がジャズを聴き始めた時代はジャズ喫茶の大人気版で、大名盤と言われたこの“Kelly blue”も廃盤となっており、地方都市のレコード・ショップで見かけることはなかった。
それがはっきりと覚えていないが、1970年代初頭くらいにグラモフォンから再発されたのだ。もちろん直ぐに喜んで買いにいった覚えがある。初めて聴いた時どんな感じだったかというと、まだジャズ喫茶に行ったことがなかったこともあり、ジャズ喫茶で人気の名盤とはこのようなものか、手練れのジャズ・ファンはこういう演奏を好むのか、こういう演奏が一流なのかと思ったものだった。僕は長年勝手にマイルスのバンドでの活躍を評価され、このリーダーアルバムを吹き込むチャンスが得られたと思い込んでいたが、実際は違っていた。このアルバムが吹きこまれる前に共演したことはあったようだが、マイルスのバンド・レギュラー・ピアニストの椅子に座るのはこの後のことである。

CDのジャケット 3管のセックステットは、ジャズ・メッセンジャーズの3管時代でもトランペット・サックス・トロンボーンという編成が多いが、トランペット・サックス・フルートという編成は珍しい。僕は、本当はこの辺りの事情を知りたい。「なぜフルートか、どんな効果を期待したのか」という辺りである。たぶんケリーはトロンボーンの作り出すサウンドとフルートの作り出したサウンドの違いを聴けば分かるでしょ、というかもしれない。奏者の個性にもよるが、TbとFlの対比は、Tb=鷹揚、Fl=鋭いという感じではないか。この3管アンサンブルはその通りFlが入ることによって、聴き慣れないせいもあるかもしれないが鋭角的で新鮮な感じがする。粟村政昭氏もこのアルバムについて「素晴らしい」と誉めている。

CDのジャケット裏 僕はレコードで発売していたものを後にCD化して再発するときにゴテゴテとボーナス・トラックなるものをつけることを好む方ではない。特にレコードにはOKテイクが入っているのにわざわざボツになった別テイクを入れるというのが分からない。しかし本当のファン没テイクのどこがNGなのかなど聴き比べることが楽しみなのかもしれない。僕はそんな風に思っているのでボーナスの“Keep it moving”の別テイクにはあまり関心がない。しかしトリオの“Do nothin’ till you hear from me “はうれしい。このトリオが大好きなのだ。このトリオがエリントンの作品を取り上げるのは珍しいのではないかと思う。
これらの別テイクは、プロデューサーのオリン・キープニュースがCD化している時にちょうど間に合うように見つかったのだという。僕は通常CDよりレコードを好んで聴くことが多いが、これに関しては大好きなケリーのピアノ・トリオ演奏が1曲多いので、CDを気に入っている。


まあともかく曲を聴いていこう。

A-1 ケリー・ブルー (Kelly blue)
このアルバムのためにケリーが書き下ろしたオリジナルの12小節のブルースである。ポール・チェンバースのダブル・ストップ(2音を一緒に弾くこと)で始まる。まずはケリーがたっぷりと7コーラスソロを執る、中音域から始め次第にスケールを幅広くとる得意のパターン、最後はブロックコードを用いて盛り上げる。テーマを崩したリフで繋ぎジャスパー(Fl)、アダレイ(Cor)とゴルソン(Ts)と続く。各人それぞれ個性を発揮した素晴らしいソロだと思う。このアルバムを購入した当時はたぶんLPを100枚も持っていなかったのではないかと思う、それほどジャズを聴きこんでなかった。本などで読んでいたある時期以降のジョン・コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」とは「音を敷き詰める」ということであり、ここでのゴルソンのロング・ブレスで音数の多いプレイはまさに「シーツ・オブ・サウンド」なのではないかと思っていた。
A2、3のトリオ演奏は個人的にはピアノ・トリオの究極の姿ではないかとさえ思う。 A-2 朝日の如くさわやかに (Softly , as in the morning sunrise)
前から不思議なのは、原題“Softly , as in the morning sunrise”を邦題では「朝日の如くさわやかに」としていることで、どう考えてもSoftlyを「さわやかに」というのは違う感じがする。この演奏は数多いピアノ・トリオの“Softly , as in the morning sunrise”の白眉で、同曲ピアノ・トリオ演奏のNo.1とする人が多いようだ。ケリーの情念、それも黒い情念の迸るような熱演である。どう聴いても“さわやか”ではない、ましてや”やわらかく”などない。ケリーはもともとチェンバースのベース・ソロ・ナンバーとしてアレンジしたというが、曲のタイトルなど気にせず、コード進行を最大限生かしてワン・アンド・オンリーのエモーショナルな演奏を展開した名演と言える。
A-3 グリーン・ドルフィン・ストリート (Green dolphin street)
ブロニスラフ・ケイパー(Bronislau Kaper)作で、1947年のMGM映画“Green dolphin street“(邦題「大地は怒る」)の主題歌。多くのモダン・エイジのジャズ・マンに取り上げられている。レコードの解説者いソノテルを氏は、1958年のマイルス・ディヴィスのアレンジをそのまま使っているとしているが、58年のマイルスの同曲の録音は「1958 Miles」(1958年5月26日録音)しかなく、この録音は、メンバーがマイルスほかコルトレーン(Ts)、キャノンボール(As)、ベースはチェンバース、ドラムはコブと同じだが、ピアノはビル・エヴァンスが担当している。テンポをゆったりとっている。それに対してここでは、ミディアム・アップの小気味よいタイトなピアノ・トリオ演奏で、同一アレンジという感じを受ける人は少ないのではないか。しかしプロの評論家が記載するからにはそれなりの理由があるのだろう。テンポはかなり違うが、構造は似ている感じはする、しかしもともとは同じ曲なので似ているのは当たり前なのだが。しかしもしいソノテルを氏が言う通りで、アレンジを借り受けたとしたら、それはそれでどういう事情があって、セックステットのアレンジを借り受けたのか興味のあるところだ。

B-1.柳はむせぶ (Willow weep for me)
女流作曲家アン・ロネルが作った曲で、多くのジャズメンに取り上げられている、スタンダード・ナンバー。レコードでは「柳はむせぶ」という邦題がついているが、CDでは「柳よ、泣いておくれ」という邦題に変わっている。どちらかと言えばこちらの方が正確な訳なのではないかな。チェンバースのイントロからケリーのイントロに入るところなど、ファンキーなフィーリングに満ちている。また、このトリオにしては構成にちょっと変化をつけた演奏になっている。ゆったりしたテンポで始まるが、ピアノのソロに入って少しすると、ドラムが倍テンを叩き出し、ベースはウォーキングを弾かないのだ。こういったプレイは珍しいのではないかと思う。ところどころ低く唸り声が聞こえるが、まさに入魂のプレイなのだと思う。
B-2.キープ・イット・ムーヴィング (Keep it moving)
これもセックステット演奏。ケリーのオリジナルで、AA’BA型32小節のナンバー。ケリーの中音域中心のソロの後、ゴルソン、アダーレイ、ジャスパー、チェンバースと続く。それぞれの個性を生かしたいいソロだと思う。チェンバースのウォーキング・ベースがグイグイと引っ張っていくのが心地よい。
B-3. オールド・クローズ (Old clothes)
ブルージーなトリオ演奏。始めは中音域から始めて、次第に高音部を交えてエモーショナルな展開となる。このようなブルージーな、泥臭くないファンキーなエモーショナルなプレイと言えばケリーの右に出る者はいないような気がする。
ボーナス・トラック ドゥ・ナッシン・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミー(Do nothin’ till you hear from me )
「オレが言うまで何もするな」という意味かな?テーマちょっとユーモラスな感じのメロディーだ。悪くはないのだが、他のトリオ・ナンバーに比べるとインパクトが少ない感じが僕はしている。それが没った原因かな。

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第12回2013年7月7日

タル・ファーロウ 「ザ・スインギング・ギター」

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
僕が住む南関東地区は昨日梅雨明けが宣言されました。平年より15日早いそうです。梅雨明けとともに猛烈な暑さが襲ってきました。昨日は明け方前から風が強く夜中に目を覚ましました。今日は風がない分湿度を強く感じます。体に応える暑さです。


遠く大山を望む 散歩道から大山を遠く望む風景です。僕の撮影では捉え切れていませんが梅雨の開けた今日の午前中の空の色は不思議な色をして様に感じました。今日は七夕、夜も星が見えるのではないかと午前中の天気予報では言っていたそうです。




大ぶりなアジサイ 散歩の途中よそのお宅の庭で咲いていたアジサイです。群生していません。きれいなので撮影しました。なんという種類なのでしょうか?




昨日はウィンブルドン・テニスの女子決勝が行われました。フランスのマリオン・バルトリという選手が初優勝を飾りました。彼女は第23シードで、4大大会47回目の出場で初優勝は女子で最も遅い初優勝記録だそうです。素晴らしい記録です。僕はテニス仲間からテレビ中継は夜12時からと聞いていたので、12時にチャンネルを回しましたが、既に終わっていました。実際は10時過ぎからだったようで、何故自分で調べなかったんだろうと悔やみました。さて今夜は男子決勝です。第1シード2年ぶりの優勝を目指すノバク・ジョコヴィッチと第2シード昨年のオリンピックでこのコートで優勝した地元の英雄アンディ―・マリー。マリーが勝てば英国人優勝は77年ぶりとかで地元の力の入り方はものすごいものがあるそうです。これは楽しみな戦いです。今夜は見逃さないぞ!!



第12回Tal Farlow “The swinging guitar of Tal Farlow”

タル・ファーロウ 「ザ・スインギング・ギター」レコード・ジャケット

レコード…Verve SMV-1105 日本グラモフォンからの再発盤。

<Personnel>

タル・ファーロウTal FarlowGuitar
エディ・コスタEddie CostaPiano
ヴィニー・バークVinnie BurkeBass

<Contents>

A面
B面
1.恋のチャンス (Taking a chance on love) 1.恋の気持ちで (Like someone in love)
2.ヤードバード組曲 (Yardbird suite) 2.ミーティア (Meteor)
3.夢からさめて (You stepped out of a dream) 3.アイ・ラヴ・ユー (I love you)
4.誰も奪えぬこの思い (They can’t take that away from me)

1956年6月録音。
レコードのライナー・ノーツに解説の油井正一氏は「正確な録音年月日は不明であるが、マトリックス(母盤)番号は2808〜2814となっており、6月末に吹き込まれたカウント・ベイシー楽団の母盤2901〜13から推測して、5月末ないしは6月初旬と思われるとしている。
Jazzdiscoによると、5月31日ロス・アンゼルスの録音と記している。
帯付きレコード 僕は、高校時代にジャズを聴き始めて1年くらい経ったころには、知識としてタル・ファーロウというギタリストの名前だけは知っていた。粟村正昭氏の「ジャズ・レコード・ブック」を毎日毎日めくっていたからだ。粟村氏は「チャーリー・クリスチャン」、「フレディ―・グリーン」とともに3大ギタリストの一人に彼を数えるくらいに評価をしている。ロック界の3大ギタリストといえば、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジである。ロック・ファンからジャズへと鞍替えした僕はジャズ界にも3大ギタリストがいるのだなと妙に感心した覚えがある。
ところで僕がジャズを聴きはじめた当時この名ギタリストのレコードもはすべて廃盤で、レコード店でも見かけることはなかった。しかしもし見かけたらたらすぐ買おうと心に決めていた(もちろん所持金と相談の上だが)。なにせ粟村氏がジャズ界3大ギタリストに挙げているのだから、なんとしても聴いてみたかった。


というところに1969年「Verve不滅のジャズ」シリーズの中の一枚として、このアルバムが日本グラモフォンから再発売された。よく見えないかもしれないが、帯には「現代最高のギタリスト”タル”‐市販唯一の貴重な名盤登場」と書いてある。つまり他のレコードはすべて廃盤になっており、この再発レコードが唯一の市場に出ているレコードだといっているのだ。

記憶では、このレコードは油井正一氏のラジオ番組で紹介された。その時かかった曲も覚えている。チャーリー・パーカー作の「ヤードバード組曲」である。スイングジャーナル誌のゴールド・ディスクにも選出されている。ただし残念なことにタルの傑出したアルバムとして粟村氏はこのアルバムを選んでいない。このそのことは少し気がかかりだったが、発売されてすぐに買いにいった記憶がある、何せ当時タルのアルバムというのは全く見かけない状態だったのだ。


スイングジャーナル誌のゴールド・ディスクにも選出されている。当時月刊誌のスイング・ジャーナル誌はその月に発売されるレコードの中から非常に良いと評価されるレコードを「ゴールド・ディスク」として認定していた。そして市場でも最初に評論が掲載されることや認定されたことを表すシールをレコードに貼って発売できるなどの特典があった。


ただし一つ気になることとして、粟村氏はタルの傑出したアルバムとしてこのアルバムを選んでいないのだ。粟村氏が絶対ではないが、粟村氏はエディー・コスタとのトリオではVerveの“Tal”(Ver. 8021)を評価していた。ところが、この「Verve不滅のジャズ」シリーズ10枚のうち8枚を購入すると未発売の“Tal”(Ver. 8021)を特典としてプレゼントするという。貧乏な学生の僕は、粟村氏推薦のこのレコードが欲しくて昼飯も我慢して特にその時は欲しくなかったアルバムも含めて8枚購入し、“Tal”を入手した。残念ながら現在ではこのレコードは普通に中古ショップで見かけるし、購入することができる。2枚入手してどう思うかというと、確かに”Tal”の方がよいと思う。なぜか特典のこちらのレコードの方が音もよいように感じる。
そう書きながら、“Swinging guitar”を取り上げるのはどうかとも思うが、別にこちらもよくないわけではないので、今回はお付き合いいただきたく…。
ドラム・レスのトリオは今聞くと、少し寂しい感じがしないでもない。しかし、この3人はよほど気が合うのか、3人のフィーリングがまさにぴったり合うのだ。気が合う同志が、切磋琢磨して磨いた腕を競い合うという感じの絡み合いが聴けるのだ。
全7曲中B-2「ミーティア」だけがタルのオリジナルで、チャーリー・パーカーのA-2、他5曲はスタンダード・ナンバー。そして原曲はラヴ・バラードとしてスロー・テンポで演奏されることの多いA-4、B-1なども含めて全曲ほぼアップ・テンポで演奏される。



まあともかく曲を聴いていこう。

A-1 恋のチャンス (Taking a chance on love)
1941年のミュージカル「キャビン・イン・ザ・スカイ」のためにヴァ―ノン・デュークが書いた名曲。ヴァ―ノン・デュークはロシア生まれで、本名をウラジミル・デュケルスキーといい、本名ではシンフォニーやバレー曲などを作曲しており、クラシック畑でも名が通っているという。片やこちらの名前でも、この曲の他にも“April in Paris”、“Ican’t get started”、”Autumn in NewYork”など名作を残している。
テーマは型通りのAA’BA32小節、タルが3コーラス、コスタが2コーラス、バークが1コーラスのソロの後タルとコスタが1コーラス、インタープレイで1コーラス演奏する。
A-2 ヤードバード組曲 (Yardbird suite)
チャーリー・パーカーの代表作の一つ。パーカーはこの曲を未だカンサス・シティ―にいた41年に作曲したという。実はこの曲はパーカーよりも前にこのアルバムで知った。これもAA’BA 32小節の曲。タルが4コーラス、コスタが3コーラス、バークが1コーラスのソロの後タルとコスタがフォー・ヴァースを行う。このトラックでのコスタのソロは彼のベスト・プレイの一つに数えられているという。コスタの特徴は低音域を強力に弾きまくってフレージングを作っていくところで、その特徴が如実に出ている。
A-3 夢からさめて (You stepped out of a dream)
ネシオ・ハーブ・ブラウンという人の書いたスタンダード曲。8小節のイントロの後、AA’BA 32小節のテーマとなり、短いブレークの後に入るタルの5コーラスのソロは、タルの真骨頂とライナー・ノ−ツで油井正一氏解説している。
A-4 誰も奪えぬこの思い (They can’t take that away from me)
フレッド・アステア=ジンジャー・ロジャースのダンス映画「踊らん哉」(1937)の主題歌としてジェローム・カーンが書いた美しいスタンダード曲。これも8小節のイントロの後、AA’BA32小節のテーマとなるが、4小節の繰り返し部があり、ここでは36小節1コーラスにしている。

B-1.恋の気持ちで (Like someone in love)
日本では2012年9月15日に公開された、イラン出身の映画監督アッバス・キアロスタミが監督した日本・フランス共同制作の映画の題名として有名になったが、ジャズ・ファンには昔からエラ・フィッツジェラルドの名唱などで知られるジミー・ヴァン・ヒューゼン(本名:エドワード・チェスター・バブコップ)が戦時中の1944年に製作された映画“Belle of the Yukon”(日本未公開)のために作った曲で多くのジャズ・マンに演奏されている。
ジミー・ヴァン・ヒューゼンは、日本では、コール・ポーター、アーヴィング・バーリンほど有名ではないが、“Darn That Dream”、“Polkadots And Moonbeams ”、“It Could Happen To You”、“But Beautiful”、“Here's That Rainy Day”などの名曲の作者である。
タルがフリーでテーマの前半を弾き、テーマ提示を含めて3コーラス、コスタが2コーラス、バークが1コーラスソロを取る。その後はインター・プレイ的にギターとピアノが絡み、テーマに戻りラストに至る。
B-2.ミーティア (Meteor)
唯一のタルのオリジナル。Meteorとは流星のことと辞書には書いてある。これもAA’BA32小節の曲。イントロからテーマに入り、タル4コーラス、コスタ3コーラス、バークが2コーラスのソロを取る。
B-3. アイ・ラヴ・ユー (I love you)
コール・ポーターの作詞作曲にで、1944年に作られた。ミュージカル映画「メキシカン・ヘイライド(Mexican Hayride)」の主題歌。映画ではウイルバー・エヴァンスが歌い、ヒットしたのは同年録音されたビング・クロスビーのレコードだった。これもAA’BA32小節の曲。テーマの後にタルが3コーラス、コスタ2コーラス、バークのソロの途中からギターとピアノのフォー・ヴァースとなる。

こう見て行くと全篇ほとんど同じようなテンポで、曲もAA’BA 32小節構成であり、またソロの順などもすべてギター⇒ピアノ⇒ベースと変化がない。3人しかいないのでできることと言ったら3人がどう絡むのかというところしかないのだろう。スローな曲を入れたりもう少し変化をつけた方がよかったのではないかと思わざるを得ない。

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第13回2013年7月14日

デューク・エリントン入門 第1回

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
梅雨明けが宣言された7月7日の七夕以降猛烈が暑さがやってきました。僕が住む地域辺りは連日35度前後の厳しい暑さが続いています。しかし天気情報などを見ると39度まで気温が上がったところもあり、35度で大騒ぎしてはいけないなと思いました。連日熱中症で倒れる人が多いと報道されています。急激に気温が上昇したため皆さん体が気温についていけず、また夜も気温が高い熱帯夜が続いているので睡眠不足に陥り体力が低下しているのではないでしょうか。
本当に何もかもやるのが嫌になるほどの暑さです。

プログラム 7月13日の土曜日近所にある地域の公民館でジャズのコンサートがありました。皺がよってしまいましたがその時のプログラムです。増田裕一(as)さんが公民館の依頼を受けて、メンバーを組んだそうです。

<Personnel>

増田 裕一…アルト・サックス、木崎 二郎…ピアノ、河口 洋平…ベース、長谷川 明彦…ドラムス
<ゲスト>マリア・エヴァ…ヴォーカル

<Program>

第1部
第2部
1.センチメンタル・ジャーニー (A sentimental Journey) 1.アイ・ガット・リズム (I got rhythm)
2.パーカーズ・ムード (Parker's mood) 2.レフト・アローン (Left alone)
3.チュニジアの夜 (A night in Tunisia) 3.コンファーメイション (Confirmation)
4.イン・ナ・メロウ・トーン (In a mellow tone) 4.テネシー・ワルツ (Tennessee waltz)
5.ナイト・アンド・ディ (Night and day) 5.枯葉 (Autumn leaves)
6.イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー (It's all rght with me) 6.スターダスト (Stardust)
7.キャラヴァン (Caravan)
アンコール…聖者の行進 (When the saints go marchin' in)


公民館でのコンサートということもあってか、超有名なスタンダード・ナンバーが中心。第1部、第2部とも4曲目以降はエヴァ・マリアさんのヴォーカルをフューチュアーしたナンバー。エヴァ・マリアさんは2010年のジャズ・ヴォーカル大賞を受賞した実力者。ショーでは美空ひばりの「リンゴ追分」を歌って年輩の方の受けを取るなど大サービスでした。
リーダーを務めた増田氏も36歳と若いのにバップが好きだということで、パーカーのナンバーなどで実力を発揮していた。他のメンバーも手練れのミュージシャンで実に楽しめるコンサートでした。なにせ公民館主催なので、前売り券だと¥600という安さ、それでも一切手抜きなしというのは、ジャズ・ミュージシャン気質、ミュージシャン魂を感じさせます。ありがとうございます。またぜひ、おいでください。

第13回The way to Duke Ellington No.1

デューク・エリントン ということでここでも2曲取り上げられていたジャズ史上の巨人デューク・エリントンです。僕がエリントンを語るなど150年くらい早いのですが、のたり庵の入門記としてご容赦ください。

「黄金時代のデューク・エリントン 第2集」レコード・ジャケット 「黄金時代のデューク・エリントン 第3集」レコード・ジャケット

レコード…「黄金時代のデューク・エリントン第1集〜第3集」  “Golden age of Duke Ellington vol.1〜vol.3” Victor SHP-5654-M〜5656-M
昔、といっても僕がジャズを聴き始めた60年代終わりから70年代初めのころには、僕だけが感じていたことかもしれないが、各大物アーティストにはそれぞれ入門盤というものがある程度決まっていたような気がする。例えば、カウント・ベイシーなら「ベスト・オブ・ベイシー」だし、ルイ・アームストロングなら、「傑作集第1集〜第4集」というように。そして大物エリントンの場合はこの「黄金時代のデューク・エリントン第1集〜第3集」である。いずれも日本編集版で懇切丁寧な解説がついているので、勉強しながらレコードを味わい、そのアーティストを気に入れば後はご自由にいろいろなレコードをお買い求めくださいという感じだ。
特に僕の場合は粟村政昭氏の「ジャズ・レコード・ブック」をバイブルとしていたので、粟村氏が推薦する物から聴いていこうと思っていた。それで多分これまでのジャズ・メンでもっとも多作な(その発表したレコードは3,000枚とも5,000枚ともいわれる)デューク・エリントンのレコード購入をこのシリーズから始めることにした。
といっても性格が真直ぐではなく、また貧乏だった僕はまず第3集から買い求め、第1・2集を購入していないことを気にしながらも、違うジャズ・メンのレコードも買い、さらにはジャズそのものから一時といっても25年くらい離れてしまった。

デューク・エリントン 「黄金時代のデューク・エリントン 第2集」レコード・ジャケット


レコード…「黄金時代のデューク・エリントン」“Duke Ellington at his golden age” RA-5631〜34

そしてまたジャズに戻った40歳代中盤に第1・2集を購入しようと思ったが、第2集は中古レコード屋さんで見つけることができたが第1集はなかなか見つからず未購入のままになっている。しかしほとんど同じ時期をカバーする選曲の、同じレコード会社から出ている4枚組「黄金時代のデューク・エリントン “Duke Ellington at his golden age”を見つけ購入することができた。
といことで、現在僕は日本タイトルが共通する2系統の編集盤を持っている。もちろんここで気になるのは、欠けている“Golden age of Duke Ellington vol.1〜vol.3”のvol.1を“Duke Ellington at his golden age”がカバーしているかどうかということになる。結論から言うと「まず間違いなくカバーしている」。
しかしこの“Golden age of Duke Ellington”3枚シリーズ(以下3枚シリーズと略)と“Duke Ellington at his golden age”4枚組(以下4枚組と略)では、微妙にというか意外に収録曲が異なっている。どちらが先に出たかというと、3枚シリーズが1967年に対して4枚組は多分1980年(RCAレーベル発足(1975年)5周年記念特別企画)に出ている。
普通その場合3枚シリーズをベースとし、3枚に収めきれなかった何曲かを加えて4枚組にするような気がするのだが、この2セットはそういうことにはなっていない。そうなると、ファンはどちらのセットも買わなければならないということになる。はっきり言って親切とは言えない。この辺りは3枚シリーズは「日本ビクター株式会社」から出ているのに対して、4枚組は「ビクター音楽産業株式会社」から出ている。日本ビクターはもともと米国のビクターの日本法人として設立されたが、米国においてはRCAによる買収や英国EMIとの提携・解消などややこしく、日本はアメリカの影響を受けつつも独自でも松下電器の資本参加など複雑な事情がある。その影響もあるかもしれない。


タイムライフ社Giant of JAZZ Duke Ellington レコード・ジャケット 正直に言うと、黄金時代のエリントンから聴き始め、Popular Ellington”と”Hi-Fi Ellington uptown”などを購入し、「もうエリントンは買わなくてもいいかな」と思っていたのである。そんな時にたまたまこのタイム・ライフというアメリカを代表する出版社から出た3枚組をある中古ショップで見つけて購入した。そして、僕のエリントンに対するスタンスが完全に変わった。そもそもこのレコードは安かったし、大体アメリカのこういう出版社は倫理意識、文化的意識が高いので、面子にかけて良いアーティスト紹介アルバムを作るのではないかと思って購入したのだ。
収録曲は、年代順になっていて、1926年11月26日にVocalionに録音した“East St.Louis Toodle-Oo”に始まり、1956年7月7日のニュー・ポート・ジャズ・フェスティヴァルのライヴまでの30年間の代表作を編集してある。
実は、この中の1曲を聴いて、エリントンという人に興味を持ったのだ。もちろんその前も好きで、大好きな曲もあったが、僕にとって強烈だったのはこの曲なのである。それは、エリントン・バンドの初吹き込みといわれる1枚目A面の1曲目“East St.Louis Toodle-Oo”である。
この曲は変わっていると思いませんか?どこからどう聴いてもマイナーで始まる曲なのだ。そしてこのコンセプトはどう聴いてもニュー・オリンズのものとは違う。ジャズにおけるソロ、アドリブの概念を変えた革命児ルイ・アームストロングがその最高傑作”West end blues “を録音するのは1928年である。
そのマイナーな曲調で始まり、トランペットのソロもマイナー調で始まるが、途中でぐっと変わりユーモラスな表現となる。暗いバックのアンサンブルに対する明るいTpソロの展開…この時代のものとは思えない。こういう曲を作って、こう演奏しようとした人はどんな人物かと思ったのである。
こんな動機がありながら、生来の怠け者のために詳しい検証は出来ないでいるが、でもすこしエリントンについては詳しく見て行こうと思うようになったのである。

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第14回2013年7月23日

デューク・エリントン入門 第2回

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
7月15日の海の日3連休でしたので、少しでも涼を求めるつもりで、車で1時間弱のダムまでドライヴしました。山間のダムですが、設置されている温度計を見ると32度を指していました。ここまで来てもこんなに気温が高いのかと驚きました。しかし本当に暑い日が続いていましたが、7月16日から少し暑さも落ち着き凌ぎやすくなりました。少しホッとしていますがいつまた暑さがぶり返すかわかりません。
それはともかく僕は本当に写真が下手ですねぇ。なぜこんなに暗いんでしょうか?実は晴れて明るい日だったのに…。

4枚組の「黄金時代のデューク・エリントン」 さて、今回も前回に続いてデューク・エリントンの2回目です。
最近の若い方、若いジャズ・ファンはデューク・エリントンなどを聴くのでしょうか?そもそも最近はジャズ・ファンの傾向などというものがあるのでしょうか?僕自身が音楽関係に従事しているわけでもなく、音楽ファンの傾向などというものに全く知見がないのですが、何となく最近はデューク・エリントンを熱心に聴くという若い方は少なくなっているような気がします。もちろんデュークの音楽に魅せられて、コンプリートとはいかなくても収集に励むファン・マニアは数多いと思われますが、そういった方はある程度年配の方なのではないでしょうか。
デュークの音楽というのは、実に多種多様でいろいろな曲・演奏があるため、入門盤といっても到底LP・CDの1枚、2枚ではわかりません。


3枚組の「Giants of Jazz では、3枚では十分かというと勿論そういうわけではありませんが、とにかくそういうヴァリエーション豊かなアーティストなのだということを提示することに徹したのが前回ご紹介したTimeLifeの3枚組であり、大方見方が一致する全盛期1940年代前後の録音を切り取った4枚組或いは3枚セットの「黄金時代」から聴きはじめるというというのは、一つの入門方法だと思われます。

そもそも僕は、デューク・エリントンの音楽に詳しいわけではないのですが、それでも彼は非常にユニークな感性を持った音楽家だということは分かります。彼は自身「バンドが私の楽器である」と言い、バンドの表現を前提とした曲作りをした作曲家です。そして編成は時代ごとに多少の変化はあるのですが、彼が前提にしていた『バンド』とはオーケストラ、つまりビッグ・バンドなのではないかと思います。そして彼の率いるビッグ・バンドは他のビッグ・バンドに比べてかなり変わっていたように思われます。また僕はスイング時代に隆盛を極めたビッグ・バンドに精通しているわけでもありませんが、カウント・ベイシー、ベニー・グッドマン、フレッチャー・ヘンダーソンといったよくスイングし、スイートなバラードを演奏するバンドがビッグ・バンドが本流なのではないかという気がしています。その中でデューク・エリントンのバンドは一風変わったバンドなのではないかと思うのです。

柴田浩一氏著「デューク・エリントン」 そして、不思議なことにこのユニークな音楽家に言及した研究書というものが極めて少ないのです。本国アメリカやヨーロッパのことは分かりませんが、これだけ偉大のミュージシャンであり、多くの人々が賞賛を寄せ、多くのミュージシャンが心酔しているにもかかわらず、日本においては意外とデュークに関する本というものがないのです。
彼自身が書いたことになっている自伝「A列車で行こう」の日本での版元晶文社も文芸評論からは事実上撤退しており、再版は望み薄で最近では入手がかなり難しくなっているようです。僕が知っているのは、柴田浩一氏が書いた「デューク・エリントン」のみです。この本の奥付で柴田氏が参考文献を挙げていますが、デューク・エリントンに関する本というのは自伝「A列車で行こう」のみです。他はジャズの歴史を扱った著作のデューク・エリントンの項が挙げられているにすぎません。世界的に見てもそうなのでしょうか?世界一研究本・関連本が多いといわれるマイルス・ディヴィスとは雲泥の違いです。確かにマイルス・ディヴィスは偉大な音楽家ですが、ユニークなこと後生への影響力では引けを取らないデューク・エリントンの研究書がほとんどないというのは本当に意外です。彼のユニークなサウンドを分析するような研究書などは、ジャズ・ファンは待ち望んでいるような気がするのですが…。
しかし、なぜそのような本が出版されないのか…多分答えは簡単でしょう「売れそうもない」、これに尽きるのでしょう。


ある程度初期から時代を追って聴いていこうと考えていた数年前に今日ご紹介するアルバムをディスク・ユニオンで見つけました。このアルバムには、貴重なデュークの初レコーディングが記録されています。

第14回The way to Duke Ellington No.2

デューク・エリントン BYG盤 レコード・ジャケット

Duke Ellington “Archive of jazz Vol.21” 

レコード…BYG 529 071-Vol.21

このデューク・エリントンのレコードは、BYGというレコード会社から発売されたものであるが、僕がびっくりしたのはそのレコード会社名だった。BYGはパリにて、1967年にFERNAND BORUSO、JEAN LUC YOUNG、JEAN GEORGAKARAKOSの3人によって設立されたレコード会社。BYGは3人の頭文字である。68年の5月革命を通じパリの先鋭的な文化風土の中、翌年の夏には、本場アメリカのフリー系のジャズ・ミュージシャンを大挙招聘し、セッションを録音・リリースするようになった。
それは正に僕がジャズを聴きはじめたころに重なる。BYGと言えば前衛・フリー・ジャズの代名詞のような感じだった。 アメリカで仕事がさほどなくなってしまっていたアンダーグラウンド・ジャズ・シーンのミュージシャン達を呼び、次から次へとアヴァンギャルドな作品を発表していた記憶がある。記憶に残る代表的なミュージシャンはアーチ―・シェップなどである。
しかし、創立者3人は創立当初はレコード・ショップを経営しつつ、SAVOY音源のフランス盤のリリースを手がけていたというから、根っからの前衛小僧たちではなかったのかもしれない。しかし、そこから何とジャズのメイン・ストリーマーの代表的アーティスト”Duke Ellington"のレコードが出ているとは思わなかった。最近の発売レコード・リストなどを見ると結構メイン・ストリーム系も多いようである。

このアルバムには、A面7曲、B面7曲計14曲が収録されているが、セッション数は9である。当時はSP盤の時代であり、1回のセッションで後のLP1枚分や片面分を録音するというような風習はなかったのだろう。まずこの14曲を曲名だけご紹介します。いずれも貴重なものですが、今回は1924年のデュークの初レコーディングを取り上げます。

<Contents>

A面
B面
1.ジグ・ウォーク (Jig walk) 1.アイム・ゴナ・ハング・アラウンド・マイ・シュガー (I Gonna hang around my sugar)
2.イッツ・ゴナ・ビー・ア・コールド・ウィンター (It's gonna be a cold winter) 2.トロンボーン・ブルース (Trombone blues)
3.パーラー・ソーシャル・デ・ラックス (Parlor social de lux) 3.ジョージア・グラインド (Georgia grind)
4.チュー・チュー (Choo Choo) 4.パーラー・ソーシャル・ストンプ (Parlor social stomp)
5.レイニー・ナイツ (Rainy nights) 5.ラッキー・ナンバー・ブルース (Lucky number blues)
6.ディーコン・ジャズ (Deacon jazz) 6.アイム・ゴナ・プット・ユー・ライト・イン・ジェイル (I'm gonna put right in jail)
7.オー・ハウ・アイ・ラヴ・マイ・ダーリン (Oh how I love my darling) 7.イフ・ユー・キャント・ホールド・ザ・マン・ユー・ラヴ (If you can't hold the man you love)


膨大なデューク・エリントンの録音をある程度年代を追って聴いていこうとする場合、当然のことながらdiscographyが必要になる。彼ほどの人になればきっと、独自の定評あるdiscographyはあると思うのだが、不勉強で貧乏な僕は残念ながら、持っていない。では何をもとに僕はしているのかというと”Ellingtonia”というウェブ・サイトに載っているdiscographyである。実はこのサイトを誰が運営しているのか等全く不明である。多分本国アメリカのエリントン協会のような日本で言えば財団法人のようなところが運営しているのだろうと勝手に信じている(何か分かったら追記します)。これとそれぞれレコードやCDに付いているライナー・ノーツ、本などを参考にしている。ここでま何か新たな情報源を入手しない限り、この方法で進めていきたいと思う。
また、2013年現在古いSP時代の最も効率よく音源を聴こうと思ったら、CDのボックスものが手軽である。それで本当の感動が得られるのかと訊かれたらちょっとうなだれるが、では前回書いた”East St.Louis toodle-Oo"ヴォカリオン盤のSP盤を入手しようとしたらどうなのだろう。僕はジャズのSP盤マーケットのことは全く知らないがかなり難度が高いのではないだろうか。下手すると一生かかっても無理かもしれない。それなら、感動度という点では落ちるかもしれないが、CDのボックス物で聴き、仮にSP盤を入手できるようなチャンスがあったら入手したいと考えるのである。
そんな僕が入手して聴いているのは、<History>社から出ている”THE DUKE"というCD40枚組のセットである。僕は1万円ちょっとで購入したが、先日ディスク・ユニオンで8,000円売っているのを見た。セット物は売れないというが本当だなぁと思う。
さて、我らがデューク・エリントンの初録音は1924年11月とされる。”Ellingtonia”のdiscographyに記載も同様である。
A面2曲目 It's gonna be a cold winter
A面3曲目 Parlor social de lux
1924年11月ニューヨークでレコーディングされた次の2曲である。

<Personnel>

デューク・エリントンDuke EllingtonPiano&BandLeader
アルバータ・ハンターAlberta HunterVocal


当然のことだが、どちらも非常に音が悪い。残っていたSP盤から音を採録したものと思われる。
前述の柴田氏の著作「デューク・エリントン」によると、『女性ブルース・シンガーであるアルバータ・ハンターのレコーディングにソニー・グリアーと参加した』とあるが、BYG版の解説にはソニー・グリアーの参加は記載されていない。アルバータ・ハンターは1895年生まれでデュークの先輩格で、この頃では彼女の方が名が売れていた。そこに呼ばれたという格好だと思う。”It's gonna be a cold winter”はブルースでキャリアから見て後進の手本になっていったものと思われる。ハンターはこの後12月にはルイ・アームストロングともレコーディングを行っている。「Trent-Granger」と作となっている。
ところでBYG盤の裏のPersonnelでは、女性歌手を”Alberta Prime”と記載している。柴田氏の著作で”Alberta Hunter”としていることと、彼女のWikipediaでもこの時代はParamountと契約していることが記載してあるのでBYGの誤りだと思うが、どうであろうか?
”Parlor social de lux”では、男性の歌との掛け合いのように進行し、2人でコーラスを取る個所もある。どちらかというと男の方の出番が多い。このころソニー・グリアーはヴォーカルも担当していたのでそれがグリアーだろう。効果音的に叩き物の音もするので、それもグリアーだと思う。こちらの作曲は「Trent-Mills-Ellington」となっている。
アルバータ・ハンターは1957年歌手を引退し看護婦となったが、デュークの没後1977年に85歳でカムバックし周囲を驚かせた。カムバック後の映像はYoutubeに載っている。
こういうレコードは聴いてそれほど面白いものではないが、ミーハーの僕には興味深いレコードだ。

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第15回2013年7月27日

デューク・エリントン入門 第3回

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
散歩道の1風景 天候はとても不安定ですね。この写真は先週の7月21日の日曜日に撮影したものです。僕が住む地域は猛烈な暑さになったかと思えば、突然豪雨になったり涼しくなったり時は寒いくらいになったりでよく分からない天気です。どこかのニュースで聞いたのですが、こういう不安定な天気の原因は、この時期に異例な強い寒気団が南下したりすることによって引き起こされるといいます。ではなぜこの時期寒気団が来るのかというと、北方上空を流れるジェット気流が南下し蛇行しているからだと言います。ではなぜ、ジェット気流が南下し蛇行するのかというと、地球温暖化によって北極の気温が上がり、寒気が南下するのだそうです。地球温暖化によって、真夏に寒いこともある…、難しいなぁ。


僕の下手くそな写真。構図がメチャクチャです。空がきれいに見えたので撮ってみました。

第15回The way to Duke Ellington No.3

デューク・エリントン BYG盤 レコード・ジャケット

Duke Ellington “Archive of jazz Vol.21” 

レコード…BYG 529 071-Vol.21



前回と同じレコードを取り上げます。この辺りはレコード単位というよりも年度単位、つまり1924年のデューク・エリントンというくくりで考えています。デュークはこの年1924年にもう4曲レコーディングをしています。
Histry「ザ・デューク」CD40枚セット









柴田浩一氏著「デューク・エリントン」帯なし 1924年11月ニューヨークで同一セッションにてレコーディングされた次の4曲です。
@A面4曲目Choo Choo
AA面5曲目Rainy nights
BA面6曲目Deacon jazz
CA面7曲目Oh,how I love my darling

<Personnel>

@及びAは柴田氏によると以下の通りであるが、これには若干違う記載がある。
ババー・マイレイBubber Mileytrumpet
チャーリー・アーヴィスCharlie IrvisTrombone
オットー・ハードウィックOtto HardwickSax
デューク・エリントンDuke Ellingtonpiano
フレッド・ガイFred GuyGuitar
ソニー・グリアーSonny Greerdrums
柴田氏はその著書で「ザ・ワシントニアンズとしてのインストルメンタルはこの@、Aが最初の録音となる。いずれもブルー・ディスク・レーベルから発売された」と記載している。しかし、”Ellingtonia”のディスコグラフィーは@、Aはザ・ワシントニアンズ(The Washingtonians)名義の録音とはしているものの、フレッド・ガイは加わっておらずジョージ・フランシス(George Francis)なる人物がギターではなく、バンジョーを弾いているとしている。そしてBYGのレコード裏のライナー・ノーツではフレッド・ガイがバンジョーを弾いているとしている。”Ellingtonia”のディスコグラフィーにのみ登場するジョージ・フランシスとはいったいいかなる人物であろうか?スイング・ジャーナル発行の『世界ジャズ人名事典』にも記載がなくYahooで検索しても出てこない。しかしこの人物はBでもバンジョーを担当したことが記載されている。
@、Aは「ザ・ワシントニアンズ」のレコーディングだからかHistry社の40枚組にも収録されている。そこでの記載は オットー・ハードウィックがAlto sax&clarinet、フレッド・ガイがバンジョーとなっている。 ついでにBとCについても述べると
B…ジョー・トレント・アンド・ザ・ディーコンズ(Jo Trent and the Deacons)名義
オットー・ハードウィックOtto HardwickSax
デューク・エリントンDuke Ellingtonpiano
フレッド・ガイFred GuyGuitar
ソニー・グリアーSonny Greerdrums
ジョー・トレントJo TrentVocal
C…サニー(ソニーの誤りか?)アンド・ザ・ディーコンズ(Sunny(Sonny?) and the Deacons)名義
オットー・ハードウィックOtto HardwickSax
デューク・エリントンDuke Ellingtonpiano
フレッド・ガイFred GuyGuitar
ソニー・グリアーSonny Greerdrums&Vocal
”Ellingtonia”のディスコグラフィーは”Sunny and the Deacons”としているが、BYGののレコード裏のライナー・ノーツでは”Sunny”ではなく”Sonny”としており、芸達者で歌も歌うソニー・グリアーのことではないかと思う。

・”Ellingtonia”のディスコグラフィーでは、@〜Cは同日のセッションとしている。
・柴田氏の著作にはB、Cへの言及がない。
・BYGののレコード裏のライナー・ノーツは、@〜Cを1924年11月の録音としているが、同一セッションという記述はない。
・柴田氏は@、Aについてフレッド・ガイをギターとしているが、音を聞く限りバンジョーと思われる。
・History社”THE DUKE"CD40枚組ではこのうちB、Cの2曲を収録している。BYG盤はこの日のセッション4曲を全て収録しており貴重である。

では曲を聴いていこう。
@A面4曲目Choo Choo
AA面5曲目Rainy nights
について柴田氏は、「1924年25歳という年を考慮したとしても特別優れた作曲とは言い難いし、デュークでなくても書けただろう。強いて挙げれば、”Choo Choo”では、曲の終わりに後にずっと使うようになる汽車の擬音を用い、”Rainy nights”では得意のもの憂い雰囲気が現れている。」とした上で、「それよりもここでは、ババー、チャーリー、オットー等のソロが素晴らしい。この時期他のバンドはアンサンブルを主体にしていることから考えると、この2曲も個人技を重視した。特別のものに思えてくる」と評価している。
これが難問なのだ。どこがというと、僕のような初心者にはこの時期の他のバンドがどんな演奏していたのか分からないのである。ざっと僕が把握している時代背景を書くと、1917年O.D.J.B.が初めてジャズのレコーディングを行う。第一次大戦勃発に伴い、ニューオリンズのストーリー・ヴィルが廃止され多くのジャズ・マンがシカゴに移る。22年にはルイ・アームストロングがシカゴに移りキング・オリヴァーと合流する。しかしルイはフレッチャー・ヘンダーソンの誘いを受け24年ニューヨークにでる。ルイが加入したことでヘンダーソンのバンドは大きく変貌するという。
そこで数は少ないが保有している20年代録音のレコード・CDを聴いてみた。まずオリヴァー=ルイの録音を聴こうと思ったが整理が悪くレコード・CDが見つからない。そして後はフレッチャー・ヘンダーソンとジェリー・ロール・モートン、そしてニューオリンズ・スタイルのバンドなどである。
僕が感じるのはこの23、24、25年というのはニューオリンズ・スタイルから新たなスタイルが生まれるまさに過渡期なのではないかということだ。もちろん相変わらずニューオリンズ・スタイルを踏襲しているバンドもある。そしてそれは決して悪いことではない。しかし、新しいサウンドを求めて挑戦するバンドも出始め、形になりつつあった時代なのではないかと思う。その代表がこのデュークのバンドであり、ヘンダーソンのバンドであり、モートンのバンドであったような気がする。この辺りはもっと勉強します。
そしてヘンダーソン、モートンの同じ年の録音に比べて、デュークのこの録音はソロは長い。対してヘンダーソン、モートンの方がアンサンブル重視でソロは短いが、アンサンブルは複雑である。これはどちらが良いとかとは言えないのではないかと思う。
この2曲いや4曲ともドラマーにソニー・グリアーが参加しているがドラムの音はほとんど聞き取れない。リズムをリードするのはバンジョーである。誰がバンジョーを弾いているか僕には決め手がないが、後のガイとは違いかなり前面に出てプレイしている。明らかにニューオリンズ・スタイルと違うのは、ヒョロヒョロとのべつまくなく吹かれるクラリネットのオブリガードが無く、トロンボーンもテイル・ゲート・スタイルではないことである。デュークのピアノはやはりラグ・タイム的である。後にはアンサンブル要員的になるオットー・ハードウィックも素晴らしいソロを取る。
<Choo Choo>とは、蒸気機関車の発する音の擬音化だそうで、すぐに思い出すのはニール・セダカ(オジサンはExileとは思わないのだ)の「恋の片道切符」、”Choo choo train a-chugigin' down the track 〜”と失恋ソングとは思えない軽快な出だしで始まる曲があるので汽車にちなんだ曲であることは推測がつく。因みにこの曲は日本で大ヒットしたがヒットしたのは日本だけだそうです。
マイレイ、ハードウィック、バンジョーのソロがあり、マイレイのリードするテーマに戻り汽車の擬音で締めくくる。 <5曲目Rainy nights>
ハードウィックがテーマをリードする。細かく打ち震えるようなヴィブラートを聞かせたソロで、後のジョニー・ホッジスを彷彿とさせる。年代的にはホッジスが影響を受けたのではないか。アーヴィスのトロンボーン・ソロもやわらかで曲調に合っていい。マイレイのミュートによるソロもグロウルでなくても、聴かせるソロを取れることを証明するようなソロだ。
BA面6曲目Deacon jazz
Deaconとは、教会の執事というような意味で、確かオットー・ハードウィックの仇名だったような気がします。違っていたら訂正します。ソロはハードウィック⇒デューク⇒マイレイと続く。ハードウィックはこの4曲はクラリネットを吹いていないと思う。打楽器的な奏法も見せ面白い味を出している。 CA面7曲目Oh,how I love my darling
これはグリアーのヴォーカル、エンターテイメント性を前面に押し出した作品。ソロもハードウィックが大活躍だ。デュークもソロを取るが、やはりラグ・タイム調である。

今回でデューク・エリントンの1924年については、終わりとし次回は1925年について学習していきます。

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第16回2013年8月3日
ジョン・コルトレーン「コルトレーン」

こもれび

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
清々しい絵でしょう?。これは先週7月27日の森の写真です。このところ天気は非常に不順です。僕の住んでいる地域は土曜日の午前中は晴れて気温も高かったですが、夜には雷雨がありました。

常緑樹が多い道 今週はコン・デジ(コンパクト・デジタル・カメラの略だそうです)が壊れたままなので、携帯電話のカメラで撮影しました。なんか赤っぽいですよね?
ところで、僕はジャズを聴く以外に趣味としてテニスをやっています。キャリアは結構長いですが、ズバリ下手です。音楽(ジャズではありませんが)は小学校時代から、テニスは中学時代から軟式テニスを、そしてしばらくブランクがあり20代後半から本来のテニス、いわゆる硬式テニスを始めました。この時期は暑くて熱中症が気になりますが、僕は男のくせに強烈な冷え症で、冬は足が悴んでしまい全く出来ないのですが、暑いこの時期は大好きで毎土曜日か日曜にテニスをするのが週一番の楽しみです。冬にできなくなったのは割と最近のことです。歳を取ると長所が衰え、短所がさらに強調されるようになるような気がします。この日も写真を撮った後テニスに向かいました。

ところで最近ジャズ喫茶は流行っているのでしょうか?多分僕の世代なんかが、ジャズ喫茶を崇拝し通った最後の世代ではないかという気がしています。ジャズ喫茶の何が良かったかというと、もちろんそれまで知らなかったレコードを知ることができる、良い音をデカい音量で聞けるということもありますが、それよりもそのころは若者はジャズ喫茶に通うものだというような時代の雰囲気もあったと思います。そこで耳をつんざく爆音に身をさらし、全ての雑念を払い音楽に没頭する-そんな修業の場がジャズ喫茶だったような気がします。そしてそんな雰囲気に最もふさわしいのはやはりジャズの、アドリブの求道者ジョン・コルトレーンでした。

ということで僕が初めて購入したジョン・コルトレーンのリーダーアルバムを紹介します。
ジャズ喫茶で始めて聴いて小遣いがたまると買いに走ったアルバムです。

第16回 John Coltrane “Coltrane”

「コルトレーン」ジャケット

ジョン・コルトレーン "コルトレーン"

John Coltrane “Coltrane”impulse imp-88095 

B1…1962年4月11日
A1、A2…1962年6月19日
B2…1962年6月20日
B3…1962年6月29日
<

<Personnel>

ジョン・コルトレーンJohn ColtraneTs,Ss
マッコイ・タイナーMcCoy Tynerpiano
ジミー・ギャリソンJimmy Garrisonbass
エルヴィン・ジョーンズElvin Jonesdrums

<Contents>

A面
B面
1.アウト・オブ・ジス・ワールド (Out of this world) 1.ジ・インチ・ウォーム (The inch worm)
2.ソウル・アイズ (Soul eyes) 2.トゥンジ Tunji
3.マイルス・モード (Mile’s mode)

僕が高校生の時に初めて買ったコルトレーン名義のアルバムである。コルトレーンのプレイについては、マイルス・デイヴィスの5重奏団時代のアルバム「クッキン」で聴いていた。また、コルトレーンの評判などについては、粟村氏の「ジャズ・レコード・ブック」やスイング・ジャーナル誌で読んでもいた。なにせお金のない高校生なので、そうそうレコードが買えるわけでもないので、将来はたくさんコルトレーンのレコードも入手し聴きこんでやろうと思ってもいた。しかし僕はこのレコード(A面だった)をジャズ喫茶で聴き、少ない小遣いをやりくりし買えるだけのお金ができるやいなや仙台ヤマハに走り込んだのである。それほど衝撃だった、一発でヤラれたという感じだった。
そのジャズ喫茶は、仙台の確か「Acute」という名のジャズ喫茶だったと思う。マランツのアンプでAltecのVoice of theaterを大音響で鳴らされるこのアルバムを初めて聴いた時は衝撃だった。これこそがジャズの極み、他のすべてを忘れプレイにのめり込む、まさにそのためにこのレコードはあると思った。何を差し置いてもこのレコードを入手し聴き込まなければ、ジャズ人生は始まらないとさえビギナーのくせだからかイレコミまくったのである。
このアルバムは、当時日本盤は東芝から発売されていた。本場と同じ見開きジャケットである。仙台ヤマハには輸入盤もあったような記憶があるが、入門者の僕はライナー・ノート付きの日本盤を選んだ。買って急いで家に帰り、家の貧弱なステレオで、目いっぱいのヴォリュームで聴いた記憶がある。この手のコルトレーンのレコードは目いっぱいのヴォリュームで聴きたいものだ。

エリック・ドルフィー さて、このレコードは、アトランティックからインパルスへの移籍後スタジオ録音の第3弾である。では第1作はというと、1961年5月23日録音の“Africa / Brass”である。このアルバムはいろいろな意味で問題作であるが、それはまたのちの話。このセッションの後アトランティックの“Ole “のセッションを挟み、再び“Africa / Brass Vol.2 ”のセッションを7月に行う。そしてドルフィーを加えてヴィレッジ・ヴァンガードへ出演(ライブ録音あり)、の後11月後半からエリック・ドルフィー(As)を加えたクインテット、すなわちマッコイ・タイナー(P)、レジ―・ワークマン(B)、エルヴィン・ジョーンズ(Dr)というクインテットによるヨーロッパ遠征で過ごしている。そしてこの吹込みで、エリック・ドルフィーとのコラボレーションは終わりを告げる。原田和典氏「コルトレーンを聴け!」によると、もともとドルフィーとのコラボは「コルトレーン・バンド・ウィズ・スペシャル・ゲスト・エリック・ドルフィー」的なものだったようで、ドルフィーが単独行動に比重を移したため本来のコルトレーンのバンドに戻るということになったと記載している。しかし悠雅彦氏のライナー・ノートによるとコルトレーンはドルフィーとのクインテットでヨーロッパを廻っていた時、パリの記者に対して「このクインテットは疑問があるので、なるべく早いうちに編成替えを行うつもりだ」と語っていたという。ということはヨーロッパ巡業が終わって本拠地に戻ったら編成替えに着手するつもりだったということになる。
ニューヨークに戻り12月2日にドルフィーを除いたカルテットで”Ballads “を録音、そして62年に入り初吹き込みは2月9日と16日に行われたニューヨークのバードランドにおけるライヴ盤で、その時メンバーはベースがワークマンからジミー・ギャリソンに替わる。この交替の理由はよく分からない。その結果がこの65年まで続くこのコルトレーン‐マッコイ‐ギャリソン‐エルヴィンの4重奏団であり、後に「黄金のカルテット」と呼ばれる最強のカルテットの結成ということになる。そしてその第1作。この「コルトレーン」はその船出の処女作ということになるのである。この”Coltrane"というタイトルは、マイルスのバンドを辞め、最初にプレステッジから出した自己名義のアルバム・タイトルと同じであり、原田和典氏も「コルトレーンを聴け!」で書いているように、まさに心機一転の船出という意識があったのではないかと思う。
しかしレコードに記載された録音日は、他の資料と異なるところがある。
因みに上記は「コルトレーンを聴け」とDiscographyが一致するので、それによっている。
曲名レコード解説コルトレーンを聴けDiscography
A-1Out of this world62年6/2962年6/1962年6/19
A-2 Soul eyes62年4/11-1262年6/1962年6/19
B-1 The inch worm62年4/11-1262年4/1162年4/11
B-2 Tunji62年6/2962年6/2062年6/20
B-3 Mile’s mode62年6/2162年6/2962年6/29

「コルトレーン」ジャケット中身開き 別に多数決というわけではないが「コルトレーンを聴け」とDiscographyが一致するのでこちらを<正>としておこう。この場合のDiscographyは「JAZZDISCO.org」を使用させてもらっている。
そのDiscographyによると、このアルバムはまず4月11日に1回目のセッションが行われ、次いで4月12日少し間をおいて6月12日、6月20日、6月29日のセッションから選ばれている。この辺りの事情はまた別の機会に改めて見て行きたいと思う。おっと、どんどん深みにはまってしまった。今回は僕のコルトレーン初体験が主なテーマだった。


ということで曲に行こう。

A-1 Out of this world(浮き世離れて)
  僕が初めてこの曲を聴いたジャズ喫茶には、今かかっているレコードを表示する小さな棚みたいなところがあるのだが(大抵のジャズ喫茶はそうなっているのだが)、なぜかしばらくの間このレコードのジャケットが表示されなかった。つまり誰の何というアルバムかわからないまま聴きはじめたのである。しかし、僕の知っているジャズ・マンの数などたかが知れているのだが、「これはコルトレーンではないか?」と思った。なぜかというと愛読書粟村氏の『ジャズ・レコード・ブック』にコルトレーンのプレイを評して「熱風が吹きすさぶような〜」という表現があり、この曲はまさにそんな感じがしたのである。
1945年同名の映画主題歌として、ハロルド・アーレンの作曲したもので、今では多くの歌手やジャズ・メンが取り上げている。トレーンは12小節のイントロをつけ、さらにテーマの長さにも手を加え、A16小節、A’24小節、B16小節、A’’20小節形式、6/8拍子のアフロ・リズムで演奏している。ここでトレーンは、和音進行を離れてモード・スケールによる独特の展開を試みているという。アドリブ部分はAの16小節展開だけによっているという。これらは解説の悠氏の分析であるが、何より聴いて驚くのはエルヴィンのドラムである。まさにこれがポリ・リズムというような複雑怪奇なしかしグル―ヴィーなリズムを送り出してくるのである。こんなリズムは初めて聞いた。当時15か16歳の少年にはなんとジャズとは深遠な恐ろしいものかと思った。こんな難しいことなぜできるのか?ほとんど人間業とは思えなかった。
A-2 ソウル・アイズ Soul eyes
マル・ウォルドロン作のバラード。美しく微妙なコード・チェンジが効果的な作品といわれる。AB32小節形式で、マッコイの倍テンポのソロを挟み、トレーンが、リリカルに歌い上げるというか僕は切ない感じがするのだが、これも大好きな作品
B-1 ジ・インチ・ウォーム The inch worm
ダニー・ケイ主演の映画“ Hans Christian Anderson “の挿入歌の一つで、フランク・レッサーが作詞作曲したものという。しかしこのタイトルはどういう意味なんだろうか。Wormはミミズやサナダムシなど細長い虫の俗称ということなので、インチ・ウォームとは尺取虫というということかな?早いワルツに乗ってトレーンはソプラノをエモーショナルにプレイしている。
B-2 トゥンジ Tunji
トレーンのオリジナル。6月20日に4回の別テイクがあり、本編収録は6月29日のテイク。ところが、原田氏の「コルトレーンを聴け!」によると” Two , three , four “がワーキング・タイトル(仮題)で、アルバム発表に当たり親友オラトゥンジへ捧げる意味で” Tunji ”としたという。そうするとDiscographyには6月20日に” Two , three , four “とう没テイクの記録があるので、5回演奏してみたことにある。収録はテイク6ということになる。6月20日の4テイクは“ deluxe edition “に収録されている。
典型的なモード作品で、4小節単位の24小節形式。ゆったりしたテンポでリズム・パターンを作り、トレーンは静かに厳かにテーマを奏で出す。この曲はリズム・セクションと絡むというのではなく、がっしりとしたリズム・パターンを作り、そのパターンの上でソロをエモーショナルに展開するという形式。マッコイは厳かな雰囲気の中ソロを始めるが、途中からシングル・トーンでスインギーなソロを取る。ギャリソンの1コーラスのソロが続く。マッコイ、ギャリソンとも後半の16小節はモードとトラディショナル・ブルース・スケールの和合が見られ興味深いと悠氏はしている。 この作品は最もテイクを重ねている作品。そちらについては“ deluxe edition “で触れてみたい。
B-3 マイルス・モード Mile’s mode
これもトレーンのオリジナル・モード作品。これも原田氏の「コルトレーンを聴け!」によると” The red planet “がワーキング・タイトル(仮題)で、アルバム発表に当たりマイルス・デイヴィスへ捧げる意味で” Miles’ mode ”としたという。テーマ構成はA(8)+B(16)+A’(8)というが、A(8)がテーマでBはアドリブ展開でA’がテーマの展開形ということだと思う。アドリブはテーマを構成する最小単位(8小節)で行われている。僕は全く聴き取る能力がないのだが、解説の悠氏によると基本モードはBドリアンでいくつかのスケールが併用されているという。
トレーンは低音から高音まで幅広いレンジでアドリブを展開している割には、音数は多くない。マッコイは、小気味よいスインギーなソロを展開している。ギャリソンのソロも個性を発揮し、魅力的だ。
録音は6月20日で本編採用はファースト・テイクのようだ。“ deluxe edition “にセカンド・テイクが収録されている。
  

コルトレーンはImpulseに数多く録音を残している。録音と発売時期の相関関係をよく把握していないが、”Africa / Brass “ではレコードにプロデューサー名が記載されていなかったと思う(僕が見つけられなかっただけかもしれないが、見つけられないということは目立たせていないということだと思う)。
しかしこのアルバムでは中開きに明確にProduced by Bob Thieleとある。録音はルディー・ヴァン・ゲルダーだ。ボブ・シールは先般取り上げた「クラシック・テナーズ」のプロデューサーである。ボブ・シールはこのアルバムから担当プロデューサーになったのだろうか?それはともかくシールは演奏にも選曲にも口を出さず、コルトレーンに全てを委ねていたという。「コルトレーンを聴け!」で原田氏はその原因を、「シール氏にはコルトレーンの音楽が理解できなかった。だから口出ししなかったというよりできなかったのではないか」と述べている。確かにこの時期並行的にプロデュースしている作品にライオネル・ハンプトンやカウント・ベイシーがいるとしているし、そもそも彼自身が製作しているアルバムというものがあるが、それは変にサイケデリックだったりする。
しかし、僕はこう思うのだ。原田氏も書いているが、シール氏は共感できるかどうかは別としてコルトレーンの音楽は何かが違う、と感じていたと思う。それは、彼が21歳で自らのマイナー・レーベルで録音した「クラシック・テナーズ」のコールマン・ホーキンス、レスター・ヤングと同じ何というか一流というか、ブレのないスタイル、自らこれからの道を切り開いて行こうとする意志というか意気込みというかそういうものを感じていたのだと思う。そしてそのような才能を遇するには、下手に口を出すより見守った方がよいということだったとしたら、正にミュージシャンにとって理想のプロデューサーではないだろうか。
シール氏は、見開きに簡単なライナーというかメッセージを載せている。曰く「このアルバムを繰り返し聞いて、どんなコメントもここでは必要ないと感じた。ジョン・コルトレーンとその仲間たちは音楽的に表現すべきものを持っており、真のジャズ・ファンなら詳しい説明などなくてもその音楽を理解するであろう。」と述べている。

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第17回2013年8月10日
ジョン・コルトレーン「コルトレーン・デラックス・エディション」

今日の森の道

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
東北北部では猛烈な雨で大変な被害が出ています。一刻も早く天候が回復し復興に着手できますよう祈念いたします。そして関東北部から西の地区で記録的な猛暑となっています。日本列島は小さいと言いながらこの差はどうしたことでしょうか?
それにしてもこの暑さはどうでしょう。何もする気になれません。僕の住む南関東地区では37度を超す暑さでしたが、、全国的には40度を超すところもあったようです。これはどんな暑さなのでしょうか?想像すら尽きません。

もうすぐ森だぞ! こんな暑さでもいったん森の中に入ってしまえば、心地よい涼しさです。トップの写真は森の中の散歩道です。こんな道をゆったり歩いていると本当に他には何もいらないという気分になります。
とはいっても僕の家から森まで、最短コースを歩いても7〜8分はかかります。そこが地獄です。そして森の入り口が見えてくると足取りも自然に速くなります。
何という花かな? 左の花は散歩の途中で見つけました。なんという名前でしょう?鮮やかですね。

僕は、このホーム・ページを始めるにあたって一つだけ決めていたことがある。それはここに記載する目的でレコード或いはCDを買わないということだ。もともとジャズ評論家の真似事がしたくて始めた勝手なサイトなのだが、残念ながら内容が貧弱なことは分かっている。開き直るわけではないが、ここで取り上げるために買うというのは、逆に何様のつもりだ、評論家になったつもりかというという自嘲の念が沸き起こってくるのである。
と言いながら、実はこのデラックス・エディションはここで紹介するために買ってしまった。なぜかというと内容が貧弱であることは分かっているが、何か一つでも見ていただいた方に役に立つかもしれない情報を提供したいという思いがあるのだ。
そもそも僕はこういう既存の発表されたアルバムに未発表の曲を継ぎ足して、デラックス・ヴァージョンとかコンプリートとか銘打ってCDなどを追加発売するというやり方が好きではない。儲けたいんやという商売気丸出しではないか。僕はアーティストではないが、アーティストというものは、作品を作るためにいろいろ試行錯誤する、作ってみては壊し、修正を加えこれだというものに仕上がったところで世に問うものだと思っている。それが「コルトレーン」というアルバム或いはCDであるはずだと思っている。たまたま僕はこのアルバムを素晴らしいと感動したのだが、もしかするとそう思わない人もいるかもしれない。それならそれで仕方ないではないかと思う。それに対しこういうヴァージョンを売るというのは、「コルトレーン」をすでに買った人には「あのアルバムにはこんな裏録音があるんでっせ、ファンなら聴きたいやろ」と、あまり評価しない人には「あのアルバムは実はこれまで明らかにされてこなかったこんな努力があったんや、こんなに苦労したアルバムなんでっせ、ありがたいアルバムなんや」と言わんばかりの商売気を感じてしまうのである。

そこで、業界とは何の関係ない僕が素直にこのヴァージョンをどう聴いたかを書いてみよう、それはこれからこのアルバムを買う人への何らかの有益な情報になるかもしれない、そうしたらこのヘッポコサイトも少しは見てくれた人に役立つものとなるといいのだが…。

第17回 John Coltrane “Coltrane deluxe edition”impulse IMP-215

「コルトレーン・デラックス・エディション」CDジャケット

<Personnel>

ジョン・コルトレーンJohn ColtraneTs,Ss
マッコイ・タイナーMcCoy Tynerpiano
ジミー・ギャリソンJimmy Garrisonbass
エルヴィン・ジョーンズElvin Jonesdrums


<Contents>

「コルトレーン・デラックス・エディション」CDジャケット裏面
DISC 2 曲名CD 解説コルトレーンを聴けDiscography
1.Not yet62年6/2062年6/2062年6/20
2.Mile's mode62年6/2062年6/2062年6/20
3.Tunji62年6/2062年6/2062年6/20
4.Tunji62年6/2062年6/2062年6/20
5.Tunji62年6/2062年6/2062年6/20
6.Tunji62年6/2062年6/2062年6/20
7.Impressions62年6/2062年6/2062年6/20
8.Impressions62年6/2062年6/2062年6/20
9.Big Nick62年4/1162年4/1162年4/11
10.Up 'gainst the wall62年9/1862年9/1862年9/18


原田和典著「コルトレーンを聴け」 CDでの解説、「コルトレーンを聴け」、Discographyとも録音日は一致している。
インパルスは、ジョン・コルトレーンのアルバムについて、「バラード」、「至上の愛」そしてこの「コルトレーン」についてデラックス・エディションなるものを発売している。この3つのデラックス・エディションは、レコードは無くCDのみで2枚組として発売していると思う。詳しくは分からないがそのうちこの「コルトレーン」ヴァージョンが最も売り上げ少ないのではないかと思う。
CD2枚組の内DISC1は、前回紹介したレコードと同じ内容で、DISC2があるのでデラックスということなのだろう。
ところで、前回から文章中に登場する「コルトレーンを聴け」は音楽評論家原田和典氏の著作である。僕が持って使っているのは2008年にゴマ文庫の中の1冊として出版されたもの。コルトレーンのアルバム195枚を解説しているとても重宝なもの。「マイルスを聴け」、「エヴァンスを聴け」と同じ聴けシリーズの1冊。


藤岡靖洋著「コルトレーン」 コルトレーンを聴いていくに当たり、割と最近発行された(2011年)藤岡靖洋氏の「コルトレーン」も参考にさせていただいている。新書版でお値段も800円とお求め易い金額だ。藤岡氏は呉服店を経営されている方でジョン・コルトレーン研究家として有名だ。
僕が意外なのは、藤岡氏はこのアルバム「コルトレーン」について全く触れていない。確かに地味なアルバムではあるが、ドルフィーと別れ、ベースがギャリソンに替わった新生カルテットの初のスタジオ録音盤である本作に触れないのは何故なのだろうか?あまり重要視していなのかな?
ところで、皆あまり気にしていないようだが、僕はこの交替ワークマン⇒ギャリソンが気になるのだ。この録音の前年11月のライヴ録音”Live at the village vanguard"では2人が分け合ってベースを弾いている。この辺りのことはもっと勉強が必要だなぁ。
因みにレジ―・ワークマンはコルトレーンのバンドを退団した後、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに加入している。コルトレーンのカルテットとジャズ・メッセンジャーズとではだいぶ趣が違う感じがするが…。
ともかくコルトレーンは、1962年が開けるとベースをレジ―・ワークマンの後釜としてジミー・ギャリソンを正式にメンバーとするが、ギャリソンは後にマッコイ、エルヴィンが辞めた後もコルトレーンの許に最後までとどまり続けるのである。
さて、本題の「コルトレーン・デラックス・エディション」のディスク2に戻ろう
そもそも本編ともいうべきアルバムは、インパルス移籍後の初コンボ録音盤として録音が開始されたのだろう。そしてそのセッションは62年4月11日、12日、6月19日、20日、29日の5日間に渡って行われている。このうち4月12日に行われたセッションからリリースされたものはないので、残り4日間のセッションの内本編に収録されずにお蔵入りとなっていたものからさらに篩にかけられ残ったものがディスク2なのだろう。つまり5日間に渡って録音を行い厳しい目で選びに選んだ第一次選別で選ばれたのが「コルトレーン」で、第二次選別で救い上げられたのがディスク2ということになろう。
ちょっと長くなるが、5日間のセッションを見てみよう。

4月11日…3曲収録
@Soul Eyes未発表
AThe Inch Worm”Coltrane“収蔵
BBig Nick“Coltrane deluxe edition”収蔵
4月12日…4曲収録
@Soul Eyes未発表
AExcerpt未発表
BBody And Soul未発表
CNeptune未発表
6月19日…4曲収録
@Not Yet未発表
AOut Of This World”Coltrane“収蔵
BSoul Eyes”Coltrane“収蔵
CExcerpt未発表
6月20日…11曲収録
  
@Not Yet“Coltrane deluxe edition”収蔵
AMiles' Mode (The Red Planet) ”Coltrane“収蔵
BTwo, Three, Four未発表
CExcerpt未発表
DMiles' Mode“Coltrane deluxe edition”収蔵
ETunji“Coltrane deluxe edition”収蔵
FTunji“Coltrane deluxe edition”収蔵
GTunji“Coltrane deluxe edition”収蔵
HTunji“Coltrane deluxe edition”収蔵
IImpressions 未発表
JImpressions“Coltrane deluxe edition”収蔵
6月29日…2曲収録
@Tunji”Coltrane“収蔵
AOut Of This World未発表

これらを見ると、コルトレーンは実に慎重にこのアルバムつくりを進めたことが分かる。あくまでも本編を中心に見るとA-1 Out Of This Worldは、6月19日のものが採用されているが、6月29日にもう一度録音している。これは6/19の録音に不満があり6/29取り直した、しかし結果的に6/19の方がよかったということなのだろうか。A-2 Soul eyes4/11、4/12と録音したが、満足せず6/19に再度録音し満足したのだろうか。B-1 The inch wormも最初のセッション4/11の一発でOKになったということだろうか。B-2 Tunjiは6/20に5回録り直し(”Two,three,four “を含む)し、満足せず6/29に再度挑戦し納得したのだろうか。
しかし別の見方もあるだろう。つまりどれもある程度満足だったので残しておいた、しかし最終選別では1曲に絞らざるを得なかった、ということも…。
では”deluxe edition “に収録された6/20の4回のテイクを聴いてみよう。
まず本編にはなく” deluxe edition “に入っている曲は、”Not yet “、”Impressions “、”Big Nick “、そして” Up ‘gainst the wall “の4曲だ。
まず、1曲目”Not yet “、これはマッコイの作。このCDが初登場という。「もうちょっと」という意味かな?これはジャズメッセンジャーズの「モーニン」を彷彿とさせるファンキーなテーマ。テーマの後はマッコイのソロになり、その後トレーンのソロになるが、何かこの黄金カルテット的ではない。他のナンバーと比べて浮いている感じがする。
2曲目のMiles’ modeは6/202度録音し、1回目が本編採用になっている。没になった2回目が”deluxe edition “CDに収録されている。正直言うと僕には、ファーストとセカンドのどっちがいいかというと判断が付かない。あまり変わらない感じがする。まぁ、コルトレーンは1度録音してみて、不満というほどではないが、もう1回やってみたがやはり1回目の方がよいと思ったのだろう。
3曲目から6曲目は”Tunji"の6/20録音の4ヴァージョン(1st〜4th)が並ぶ。
1stはBassとDrのイントロで始まり、トレーンのテーマ、ソロのバックもマッコイ抜きである。トレーンのソロが終わると突然マッコイのソロが現れる。マッコイのソロはモードというより、マイナー・ブルース・スケールという感じがするロング・ソロである。ギャリソンのソロは、リズム・パターンを展開するという形ではなく、パターンを展開していくような形式である。テンポは本編収録よりも早いが、演奏時間は最も長く10分39秒もある(本編は6分31秒)。
2ndのヴァージョンは、テンポは1stと同じで速め、BassとDrのイントロで始まるがすぐピアノが入る本編と同じ形式。ここでのマッコイもブルースっぽい。エンディングはテーマをブレークして展開し終わる。演奏時間は短縮され7分52秒、締まったいい演奏だと思う。
3rdのヴァージョンは、2ndとほぼ同じ展開だが、エンディングではテンポを落としている。こちらは7分14秒。 4thは、1、2、3と比べぐっとテンポが落ち、本編とほぼ同じになる。マッコイのソロはコードプレイを行わず単音が主体でこれも本編と近づく。演奏時間は7分46分。
そして本編となる6/29ヴァージョンはぐっと短くなり6分31秒である。
7、8曲目は”Impressions “。この曲はヨーロッパ・ツアーなどで何度も演奏されたナンバーだが、これが初のスタジオ録音となる。しかし本編には収録されなかった。2ヴァージョン収録されているが、同日に演奏された“Excerpt”も原田氏によると同じ曲だという。ということはテイクは3つあり、そのうち2つを収録したということになる。
また原田氏によると、この曲はコルトレーンの代表曲の一つに数えられるが、ロッキー・ボイド(Ts)のアルバム「イーズ・イット」(60年)に収められたピート・ラ・ロカ作の「ホワイ・ノット」と全くと言って程同じ曲で、アーマッド・ジャマルが50年代に吹き込んだ「パヴァーヌ」にもとても似ているそうだが、残念ながら僕はどちらも未聴である。
ゆったり目の” Tunji “の後にいきなり、アップ・テンポのこの曲が始まるとスムースなテーマの展開とコルトレーンの力の入ったソロが展開されると、一気にコルトレーン・ワールドに引き込まれる。ライブ録音もいいけどこれもいい。
そして”Big Nick “。この曲はコルトレーンが50年代に共演したこともあり(録音は残っていないようだ)、 多大な影響を受けたテナー・サックス奏者ビッグ・ニック・ニコラス(Big Nick Nicholas)にちなんだものという。多大な影響を受けたテナー・サックスの先輩にちなんだ割にはソプラノ・サックスを吹いている。それでもなんか楽しげなメロディーを持ったなごみ系ナンバーだ。この年の9月に行われるデューク・エリントンとの共演アルバムでも取り上げられているが、そちらが最初のリリースかもしれない。
最後に” Up ‘gainst the wall “。正直言ってなぜこの曲が入っているのかわからない。この曲だけ9/18の録音であり、本編よりも前に発表されたアルバム” Impressions “にすでに収録され陽の目を見ているからだ。この4/11〜6/29にかけてのセッションで未発表の曲もあるのにそちらをお蔵に入れて突然既発売の曲入れる意図が本当にわからない。3分13秒の小曲なので入れときましたということなのだろうか?
そもそもこの”deluxe edition “はプロデューサーの故ボブ・シールが所有・保管していたものだというが、着手したが、どちらにも収録されなかった曲もある。” Soul eyes “の別ヴァージョンなど収録曲の別ヴァージョンは別にしても、” Body And Soul “と” Neptune “は未発表である。
原田氏によると” Body And Soul “は60年にアトランティックに録音したものの発売されていなかったので、ここに録音したすぐ出したかったのではないかという。しかしアトランティックへの録音は” Coltrane’s sound “として64年に発売になる。
一方” Neptune “は別タイトルを「ブラジリア」というのだそうで、このブラジリアの録音は65年の「カルテット・プレイズ」まで録音・発売はされていない。

最後に一言 今回「評論家の真似事がしてみたい」という本来の意図に従って、”deluxe edition “を購入して、聴いてみた。はっきり言って疲れる。こういうことはプロの評論家に任せたい。レコード「コルトレーン」は大のお気に入りで聴く機会が結構多いが、何も考えずレコードから発せられる音楽を聴いて感動できればいい。別ヴァージョンとの聴き比べやボツになった曲はどういうものだったかなどは単なるファンにはどうでもいいようにも思える。 でもこういう聴き方を常にしていれば詳しくはなるだろうなとは思った。単に楽しむか詳しくなるか。まあしばらくはどっちつかずに続けよう。


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第18回2013年8月18日
リー・モーガン「インディード !」

夕方の散歩道

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
今週は毎日猛暑の日が続いています。高知県四万十市では、国内最高気温を6年ぶりに更新し、41.0度を記録したそうです。僕の住む地域ではそこまではいきませんが、日中は耐え難い暑さです。今週は会社が夏休みです。そうなると生来夜型人間の僕は夜遅くまでジャズなどを聴き、おかげで朝は起きるのが遅くなります。いつもは朝方に散歩をするのですが、寝坊のおかげで散歩しようと思った時間は暑くて外に出るのがつらく、夕方散歩に行きました。


庭のサルスベリ 道すがら見つけたサルスベリ

今は夏の真っ盛りで、百日紅が満開です。百日紅(サルスベリ)は英語名は”Crape myrtle"というそうです。「サルスベリ」は幹がスベスベしていて猿でも滑るということから名づけられたそうです。このまま英語にして”Monkey slip"などと言ったら、英語圏の人には通ぜず会話の糸口になるかもしれません。僕似はそんな機会はありそうもないですが…。
またサルスベリは、生えている土壌によって、全く同じ木でも花の色が大きく変わるそうです。左は僕の狭い日当たりの悪い庭で何とか生きているサルスベリで、右が車で通りすがりに見つけた陽のよく当たる場所に生えていたサルスベリです。花の色が全く違います。でもこの色の違いは日当たりではなく土壌だと言います。


第18回 Lee Morgan “Indeed !”

「インディード !」ジャケット

 Lee Morgan “Indeed !”Blue note 1538 

1956年11月4日録音

<Personnel>

リー・モーガンLee MorganTp
クラレンス・シャープClarence SharpeAs
ホレス・シルヴァーHorace SilverP
ウィルバー・ウェアーWilbur WareB
フィリー・ジョー・ジョーンズ“Philly" Joe JonesDr

<Contents>

A面
B面
1.ロッカス (Roccus) 1.リトル・T (Little T)
2.レジ―・オブ・チェスター (Reggie of Chester) 2.ガザ・ストリップ (Gaza strip)
3.ザ・レディ (The Lady) 3.スタンド・バイ (Stand by)

「ザ・サイドワインダー」ジャケット 最初にどのアルバムを聴くかで、そのアーティストへどのようなイメージを持つかに決定的な影響を及ぼすと思う。僕が最初にリー・モーガンのアルバムを買ったのは、ご多分に漏れず大ヒットアルバム“The sidewinder”で、自分的第一次ジャズ・ブームにあった高校3年生くらいの時である。今から40年も前のことだ。そしてその後は全く買わなくなってしまった。リー・モーガンはサイド・マンとしても多くのアルバムに参加しているので、そのプレイを全く聞かなかったというわけではないのだが、彼が中心となったリーダー・アルバムを買う気がしなくなったのだ。別に“The sidewinder”がダメなアルバムというわけではない。タイトル曲は多くのミュージシャンもカヴァーしているし、ポップで、ヒップで、ドライヴ感にあふれたいい曲だと思う。しかし何度もターンテーブルに乗せて聴きたいアルバムというわけでもなく、タイトル曲以外は覚えられず一言で言うと「あぁ、あの大ヒットアルバムねぇ、売れたろうねぇ、儲かったろうねぇ」としか思えなくなっていた。
僕がどう評価しようが全く影響力はないのだが、突然約10年ほど前にそれではリー・モーガンが可哀そうだ。ちゃんと聴いてあげないと思うようになり、改めて買って聴きだしたのだ。そこでたくさんあるモーガンのアルバムの何から紹介するのがいいだろうかと考えた。それなら絶対“The sidewinder”は止めよう、なにせ僕はこのアルバムを聴きその後約30年間リーダー・アルバムを聴きたくなくなったのだから…。
それならいっそデビュー・アルバムから行ってみようと考えたのである。

というわけで今回は1938年7月生まれの天才トランぺッターとして登場したリー・モーガンのデビュー・アルバムである。しかも初吹き込みである。初吹き込みがリーダー・アルバムというのは、極めて異例ではないか。しかもレコード会社はあの「ブルーノート」である。タイトルの“Indeed!”は、「全くスゲェや!」というような意味だろう(彼のプレイを聴いた聴衆がそう言ったという)。

さて、このレコードの周りことから始めよう。メンバーを見ると5人のいわゆるクインテット編成である。もう一人のフロント、クラレンス・シャープ、後に“C”・シャープと改名したらしいが、は後回しにして、まずピアノはホレス・シルヴァーである。シルヴァーは28年生まれで28歳、ブレイキーとジャズメッセンジャーズを結成しハード・バップの誕生の瞬間と言われたバードランドのライヴ録音に参加したり、マイルスのバンドに呼ばれたりして実績を積み、ルー・ドナルドソンなどブルーノートの重要メンバーともレコーディング重ね、自他ともに認める若手実力者である。
ベースのウィルバー・ウェアーは当時まだブルーノートとなじみが深いとは言い難いが23年生まれの当時33歳、脂が乗り出す時期である。フィリー・ジョーはこの時マイルス・ディヴィスのバンド正規ドラマーであり、他のセッションにも引っ張りだこの売れっ子であった。しかしこのリズム・セクションのメンバーはこの録音に先立つ10月21日に行われたJ.R.モンテローズのセッションと同じである。アルフレッド・ライオンはこの組み合わせが気に入ったのであろうか。
ともかくベースのウィルバー・ウェアーを除けば当時名を成している実力者である(ウィルバー・ウェアーはこの時点ではそれほどまだ実績はないのではないか?彼の評価が高まるのはこの後だと思う)。
意外なのはアルトのクラレンス・シャープである。CD解説の原田和典氏によるとモーガンと同郷で(居住区は違う)あり、モーガンより一つ上の37年生まれで地元の先輩にあたる。地元でセッションを繰り返していただろう先輩を推薦したと思われるが、四方を実力者で固められた中で、自分と気心が通じ、勝手を言える人物を入れたかったのではないかと思う。しかしこういう勝手を許してまでもアルフレッド・ライオンはこの若造の初リーダー・アルバムを自社に残したかったということだろう。人物紹介にも記載したが、ハード・バップとフリー・ジャズをつなぐ重要人物として高い評価をする向きも見受けられるが、何せ参加したレコード、CDが少なすぎる。僕は彼の参加したアルバムとしては、この“Indeed!”しか持っていない。
評論家中山康樹氏は、著書「超ブルーノート入門」で、社長でありプロデューサーのアルフレッド・ライオン氏の厳格な性格に触れ、「それまでのやってみないと分からない」的なジャズ・セッションを認める気が無く、クォリティーの高い作品を生み出すための努力を惜しまなかった、と記しているが、このアルトのクラレンス・シャープの起用をどう説明するのだろう?ライオンは、何の実績もないがリー・モーガンをライヴ等を聴いて惚れ込んだのだろう。しかし、クラレンス・シャープにも惚れ込んだのだろうか?だがその形跡はない。彼の起用はモーガンの顔を立てたためであることは、後に一度もライオンはレコーディングに呼んでいないことから想像できる。モーガンに勧められ聴きに行って納得はしたのだろう。でも感じとしてはモーガンに押し切られたのだろうと思う。そこまで妥協してもリー・モーガンのデビュー作を確保したかったということになろうか?しかし、起用を主張したモーガン自身も2度と共演をしていない。

さて内容に移ろう。

全体としていえることは、モーガンのふてぶてしいまでに自信にあふれたプレイが凄まじいということだ。新人だからと言って遠慮などしていない。僕は、そのプレイというのは、同郷で同じく少しアナーキーな感じがするシャープを一緒に誘うことで可能になったと考えている。「お前ら(共演ミュージシャン=一流)だからといってナメンナよ。俺たちの本当に新しいプレイ、これからのジャズっていうもの教えてやるぜ!」という意気込みが否応なしに伝わってくる。
「インディード!」セッション中のモーガン、シャープ、シルヴァー CDの解説で評論家の原田和典氏は「このアルバムの選曲がいい」と言い切っているが、その理由が知りたい。オリジナルがないのは致し方ないとしたら、何を選んでプレイするか?何万曲という曲が存在する中で選んだこの選曲が素晴らしいというその根拠が聴きたいと思う。僕はそんなにいい選曲とは思わないのだが…。
実は、次回も2回続きでリー・モーガンを取り上げようと思っている。というのは、この若造この録音の翌日11月5日には2作目のリーダー・アルバム(?)をサヴォイに吹き込むのである。しかも場所は、ブルーノート、サヴォイとも同じくハッケンサックのルディー・ヴァン・ゲルダー・スタジオである。彼だけ2日間通ったのだ。しかし聴いてビックリ、こちらは大人しく一人のトランぺッターとしてバンドの一員になりきっているのである。この差がすごい。それはまたのちほど。

A-1ロッカス Roccus
ピアノのホレス・シルヴァーのオリジナル。ブルーノートの看板プレイヤーとなるルー・ドナルドソンの初リーダー・アルバム(「Quartet Quintet Sextet」のQuartetの部分)に参加したシルヴァーが提供し初演されている。「チュニジアの夜」に通じるようなエキゾチックなテーマを持つ。ドナルドソンのレコードでは3分24分のムードを変える小品的な扱いだったが、ここでは8分を越える演奏で、モーガン、シルヴァー、シャープとソロをたっぷりとる。フィリー・ジョーは時に倍テンポやリムを叩いたりとソロイストを煽っている。
モーガンのソロは、ちょっとコケットな音を出したり余裕をかました展開をする。シルヴァーはさすがに、こなれたソロだ。シャープの音はパーカーを思わせるものがあるが、目いっぱいという感じがする。
この曲を選曲したのは誰であろうか?多分ライオン氏だと思うがなぜ?と思う。デビュー・アルバムの1曲目に直球を持ってこないというのはどうかと思う。
A-2レジ―・オブ・チェスター Reggie of Chester
ベニー・ゴルソンのオリジナルでいかにもハード・バップという感じがする曲。モーガン、シャープ、シルヴァーとソロを取る。
A-3ザ・レディ The Lady
オーエン・マーシャルという人の作品。僕はこのオーエン・マーシャルという人を知らないのだが(申し訳ない)、プレイヤー兼作曲者であったらしい。このアルバムではもう1曲「ガザ・ストリップ」という曲を取り上げている。
このアルバム唯一のバラード。よく言われることだが、モーガンはバラードの名手である。普通バラードは経験を積まないとうまくならないといわれるが、18歳でありながら落ち着き払ったプレイを展開するのである。
モーガンがテーマを美しく歌い上げ、シャープがオブリガードをつける形でバックを務める。モーガンのソロは素晴らしいと思う。続くシルヴァー、そしてシャープの短いソロが入る。短いがモーガンのカデンツァもうまいと思う。 B-1リトル・T Little T
これもハード・バップという感じがする曲で、先輩トランぺッターのドナルド・バードの作。ここでのシャープはバップの名曲(曲名が浮かばない)のメロディーを借りたり自由に吹いている。モーガンのソロも快調で聴き応えがある。ウェアーとフィリー・ジョーの短いソロ交換もある。
B-2ガザ・ストリップ Gaza strip
オーエン・マーシャルの作。イスラエルのガザ地区、エジプトと国境を接する辺りの地域のことらしい。シャープのアルトからソロが出、シルヴァー、モーガンと続く。 B-3スタンド・バイ Stand by
これもゴルソンの作。ソロはシルヴァーからで、流れるようないいソロを取る。続いてシャープ、モーガン、ウェアーと続く。

このアルバムはモーガンが、自分が出なくてはという感じで吹くので、聴いた後少し疲れる。僕は、モーガンをデビュー作から聴こうと思ったので買い、実は久しぶりに聴いた。単独ではそれほど聴く気にならないアルバムではある。このアルバムは次回ご紹介するデビュー第2作と比較して聴くと面白いと思うのである。

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第19回2013年8月25日
リー・モーガン「イントロデューシング」

散歩道 8月10日

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
先週も晴れて猛暑の日が続いていましたが、昨日は曇って一時雨、今日は朝から冷たいといってもいいような雨が午前中いっぱい降り続きました。というわけで今日は朝寝坊をしたこともあり、朝の散歩は中止してしまいました。写真は2週間前に撮影したものです。
先週は一人で野球で盛り上がっていました。高校野球は甲子園での決勝があり、高崎育英高校が初出場で初優勝、決勝戦は、これも初優勝を狙う延岡学園と1点を争う緊迫した素晴らしいゲームでした。
僕は、出身地が仙台なので楽天イーグルスを応援しているのですが、中継ぎ、押え投手陣が崩壊し5連敗、ヤキモキしていたのですが、マー君が記録を更新する今季無傷の18勝目で連敗ストップ。本当に頼りになるエースです。

Breeze 昨日は、僕が住む町のイベント「もんじぇ祭り」に行ってきました。「もんじぇ祭り」は今回9回目を迎える祭りで、大体8月最終週の土日に行われます。相模大野中央公園の中央広場に特設ステージを設け、ミュージシャンがライヴを行います。聴衆はステージ前の草地にビニールシートなどを持ち込んで、思い思いの格好で演奏や歌を楽しみます。またこのお祭りの特徴は、そんな広場の周りを囲んで地元の飲食店がテントを設営します。出店する飲食店の中には本格的なイタリアンやフレンチのお店もあり、そんなお店の料理がお手軽な料金で食べられたりします。

中村新太郎トリオ もともとは相模大野をジャズの町にしようという意図で、相模大野商店街の有志の方々が始めたイベントです。僕は妻と17時からのライヴを見に行きました。これまでは出演者のほとんどがジャズ・バンドだったのですが、今年はトリまでジャズの演奏は無くガッカリしました。そのためかトリのジャズ・コーラス・グループのBreezeさん、バックを務める中村新太郎さん(ベース)、森田潔さん(ピアノ)、稲垣貴庸さん(ドラム)のグループが登場し、軽快に”Root66"を歌い始めた時には、会場も初めてスイングし出したという感じで、大受けでした。皆もジャズを聞きたかったんだなぁと思いうれしくなりました。


第19回 Lee Morgan “Introducing”

「イントロデューシング」CDジャケット

 Lee Morgan “Introducing” MG-12091(CDです)


1956年11月5日、7日録音

<Personnel>

リー・モーガンLee MorganTp
ハンク・モブレーHank MobleyTs
ハンク・ジョーンズHank JonesP
ダグ・ワトキンスDoug WatkinsB
アート・テイラーArt TaylorDr

<Contents>

A面
B面
1.ハンクス・シャフト (Hank's shout) 1.ベット (Bet)
2.ノスタルジア (Nostalgia) 2.朝日のようにさわやかに (Softly , as in a morning sunrise)
3.P.S.アイ・ラヴ・ユー (P.S.I love you)
4.イージー・リビング (Easy living)
5.ザッツ・オール (That's all)

「超ブルーノート入門」中山康樹著 前回第18回はリー・モーガンのデビュー・アルバムで初リーダー・アルバムというある意味”異色作”を取り上げた。ところが、デビュー・リーダー・アルバムはもう1作あると言うのだ。誰が言ったかというと右に写真を掲出した中山康樹氏という評論家で、「超ブルーノート入門」(集英社新書)に書いている。

ということで、デビュー・リーダー・アルバムを聴くならこのアルバムも欠かせないということになる。確かにブルーノートの”Indeed !"は1956年11月4日、そしてこのアルバムの録音日は11月5日と7日で、ブルーノート盤の翌日である。そして中山氏は次のように述べる。「あるミュージシャンの回想『彼(モーガン)は自己宣伝がうまかった』。その通りだったのだろう。初めてのリーダー・アルバムのレコーディングを同時に異なるレコード会社で行った事実は、単に音楽的な才能以外の『なにか』を持ち合わせていたことを容易にうかがわせる。…」
確かに「うかがわせる」。この書き方だと「うかがわせる」。それは「計算高さ」ということだろう。
しかし、「イントロデューシング」のCDの解説を読んで「?」と思った。その解説は「当初この作品はハンク・モブレーのリーダー作として録音されたが、リー・モーガンの人気の高さを知ったレコード会社が彼のリーダーアルバムとして世に出した」と述べている。この解説は高井信成氏という方が書いたものだ。
中山氏の書いたものと高井氏とでは内容が似ているようで、全く違う。中山氏の方は、はっきり言って悪意的というか「18歳のくせに2つのレコード会社を手玉に取ったやり手の若造」という感じだが、高井氏の書き方だと1サイドマンとして起用した若者の人気の高さを知ったレコード会社がこの若者名義にしてレコードを発売したということで、計算高いのはレコード会社ということになる。
実際はどうだったのだろう?僕が実際の事情を知る由もないが、高井氏の解説が実情に合っていると思う。JazzdiscographyはこのセッションをHank Mobley Quintet名義としているが、あくまで録音時のリーダーはモブレーだったのだろう。しかし発売はモーガン名義というか、モーガンを前面に押し出し、目立つようにしたモブレーのアルバムというところが正しいのではないか?いずれにしろハンク・モブレーには失礼な話ではある。

僕がなぜこのアルバムに注目したのかというと、初めて聴いた時の感じである。”Indeed !"のモーガンは「オレが、オレがリーダーだぁ。一番偉いんだぁ。一番目立たなくては、そして天才新人だぁ。ちょっと変わったフレーズを吹いて見せてやるぜ」という感じでちょっと無理も感じられ、これが頼もしいという意見もあるだろうが、僕はちょっと敬遠したい感じがしたのだ。しかしこの「イントロデューシング」はどうかというと、実に好ましいという印象を受けたのである。1日違うとなぜこれほど変わるのか?僕はそれまで中山氏の著作しか読んでいなかったので、正直言ってモーガンに余りいい印象を持っていなかった。しかしこのアルバムを聴くに及んでモーガンに対する見方が変わった。
ということでリーダーはあくまでハンク・モブレーとして聴いてみると、1950年頃からめきめきと実力を発揮し出し、リーダー・アルバムもプレステッジやブルーノートに吹き込み、一流ミュージシャンの仲間入りを果たしだしたモブレーに、もう一人のフロントとして評判の若手トランぺッターを起用する、そして手堅いリズム・セクションがバックを支える、という極めて分かりやすい構造が見えてくる。


A-1 ハンクス・シャフト (Hank's shout)
モブレーの作。ちょっとバップの名作”Salt peanuts”に似ている。テイラーの如何にもバップと言う感じのドラミングで始まるアップ・テンポの曲。ソロはモブレー、モーガン、ジョーンズ、そしてモブレー、モーガン、テイラーのフォー・ヴァースからテーマに戻る典型的なバップスタイル。モブレーは力強くもスムースなソロを展開し、モーガンもちょっと変わったフレーズでソロに入り才気煥発なソロを吹く。ジョーンズのソロもスインギーだ。ピアノのソロのエンディングはフェイド・アウトするような変な感じがする。
A-2 ノスタルジア (Nostalgia)
若くして夭折した天才トランぺッターファッツ・ナヴァロの作。ミディアムテンポで演奏される。ソロはモブレー、続いてモーガン、ここではミュート・プレイを披露しているが達者なものだ。ジョーンズのソロもメロディアスなシングル・トーンがいい感じだ。ワトキンスのソロが入り、フォー・ヴァースからテーマに戻る。
B-1 ベット (Bet)
ベースのワトキンスの作。これもミディアムテンポで奏される。この曲では先にモーガンがソロを取る。続いてモブレーがソロを取るがさすがにモーガンより落ち着いて吹いている感じがする。ジョーンズ、作者のワトキンスとソロが回り、これもモーガン、モブレー、テイラーのフォー・ヴァースからテーマに戻る。
B-2 朝日のようにさわやかに (Softly , as in a morning sunrise)
スタンダード・ナンバー、ここからメンバーそれぞれにスポットライトを当てたバード・メドレーとなる。
まずワトキンス。テーマのメロディーからそのままアドリブに移っていく。ワトキンスのソロがテンポ・ダウンし次の曲に移る。
B-3 P.S.アイ・ラヴ・ユー (P.S.I love you)
モーガンが堂々とテーマを吹き上げる。モーガンのバラッド・プレイは定評があるが、それを裏付けるような素晴らしいプレイだと思う。そういえばビートルズにも同名の曲があった。もちろんこちらが先。
B-4 イージー・リビング (Easy living)
全曲から、切れ目なしに今度はジョーンズがリリカルにソロを展開する。
B-5ザッツ・オール (That's all)
最後は、大将がバラードのトリを務める。ここでのモブレーのプレイは、「若造、出しゃばるのは10年早い!」とでも言わんばかりの堂々たるプレイだ。
モブレーの力強いブロー、アイデア豊かで聴き応えのあるソロを展開するモーガン、バックでは手堅く盛り立て、ソロはスインギーに展開するハンク・ジョーンズ、そしてこちらもまだ新人の部類に属する期待のリズム・マンのワトキンス、バップ時代から最も多く吹込みに参加した人物の一人アート・テイラー。珍しいというセッションではないが、楽しめる1枚だ。
なお、このアルバムには11月5日に吹き込まれたメドレーを含む3曲全曲と11月7日に吹き込まれた4曲から1曲が収録されている。11月7日録音の残り3曲中2曲はモブレー名義のアルバム「ザ・ジャズ・メッセージ・オブ・ハンク・モブレーVol.2」に収録されている。

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第20回2013年9月1日

チャーリー・パーカー 「オールスター・セックステット」

ご覧いただきありがとうございます。定年間近オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。
西日本や北海道では、激しい雨が降っているところもあるようですが、僕が住む南関東では真夏のような猛暑日が先週金曜日から続いています。昨日は36,8度まで気温が上昇したそうです。今日は防災の日、訓練に参加されている人は暑くて大変だと思います。


朝方道路で横になる猫 散歩に出かけようとしたら、日陰のアスファルトの上で寝ている猫を見つけました。まだ朝の内は涼しいのですが、それでも暑さに耐えかね、日陰でまだ冷たいアスファルトの上で横になっているのでしょう。


同好の士 森の中を適当に写真を取りながら、散歩をしていたら、同じように写真を撮っている人がいました。その姿を後ろから失礼します。









僕は来年3月に60歳になりますが、やっと来週というか今週の水曜日来年4月以降のことについての会社側の意向の説明があるそうです。小さい会社なので、本年度60歳になるのは東京本社で2名、名古屋支店で1名です。来年4月以降はどんな待遇になるのでしょうか?かなり不安なものがあります。
しかし、心配ばかりしていても始まりませんので、昨日はテニス、今日は散歩してジャズを聴いてと、のたりのたりといつものお気に入りの時間を過ごしています。

第20回チャーリー・パーカー 「オールスター・セックステット」

チャーリー・パーカー 「オールスター・セックステット」レコード・ジャケット

Charlie Parker All Star Sextet

レコード…ROOST LP 2210

<Personnel>

チャーリー・パーカーCharlie ParkerAlto sax
マイルス・デイヴィスMiles DavisTrumpet
デューク・ジョーダンDuke JordanPiano
トミー・ポッターTommy PotterBass
マックス・ローチMax RoachDrums
ジェー・ジェー・ジョンソンJ.J.JohnsonTrombone

<Contents>

A面
B面
1.エア・コンディショニング (Air conditioning) 1.クアジーモド (Quasimodo)
2.ドント・ブレイム・ミー (Don’t blame me) 2.クレイジオロジー (Crazeology)
3.バード・フェザーズ (Bird feathers) 3.マイ・オールド・フレイム (My old flame)
4.エンブレイサブル・ユー (Embraceable you) 4.クラクトシードセティーン(読み方は?) (Klactoveedsedtene)
5.デューイ・スクエア (Dewey square) 5.アウト・オブ・ノーホェア (Out of nowhere)
6.スクラップル・フロム・ジ・アップル (Scrapple from the apple) 6.ボンゴ・バップ (Bongo bop)

1947年10月28日のセッション…A-4,5、B-6
1947年11月 4日のセッション…A-2,3,6、B-3,4,5
1947年12月17日のセッション…A-1、B-1,2
僕が購入した初めてのチャーリー・パーカーのレコード。またまた恨みがましい思い出話で恐縮だが、僕が高校生でジャズを聴き始めたころ、僕は本でチャーリー・パーカーはすごい人だということは知っていた。ある時少ない小遣いを貯め、よし今月はチャーリー・パーカーだと勢い込んで仙台ヤマハに向かった。しかし、当時ダイヤル盤は復活しておらず、サヴォイ盤もなく、ヴァ―ヴ盤も見当たらなかった。余りパーカーのレコードは置いてなかったような記憶がある。


ダイヤル盤復刻6枚組 でもこのレコードを見つけ、店内で粟村氏のジャズ・レコード・ブックを開いて確認し購入した。その直後ダイヤル盤が6セットで復刻したのを皮切りに現在では、中古でならレコードでも、新譜のCDでも簡単に手に入る世の中になった。その後僕もダイヤルやサヴォイのセットもヴァーヴのセットも購入したが、その当時はなかったなぁ。大物なのになぜかなぁ?
まずこのレコードであるが、元々はダイヤルから発売されたものである。ダイヤルが倒産して、四散してしまった原盤を編集したものとしては推薦に値するという内容を粟村氏は「ジャズ・レコード・ブック」で書いている。それで安心して購入した。ただ、現在ダイヤル盤がほぼ復活している状況で、わざわざ四散していた頃の、四散先の発売状況を反映させる必要はないということかディスコグラフィーなどには記載されていない。







レコード・ラベルA面 レコード・ラベルB面 ところが、このアルバムにはいろいろ問題がある。粟村氏もなぜか指摘していないが、ジャケットおよびレコードのラベルと収録曲が2曲ほど違うのである。
まず1曲目は、A面3曲目が“Bird feathers”となっているが、実際は“Bongo beep”であり、B面6曲目が”Bongo bop” となっているが、実際は“Charlie’s wig”である。
次にタイトルである。“Charlie Parker All Star Sextet”となっているが、そういう名前のバンドは存在しなかった。
このレコードは3つのセッションから成り立っているのだが、古い順にいうと10月28日と11月4日のセッションについては“Charlie Parker Quintet”名義であり、J.J.Johnsonは全く関係ない。J.J.を除く5人が録音に参加している。そして12月17日のセッションにはJ.J.Johnsonが加わり“Charlie Parker Sextet”名義となっている。このアルバムでパーカーがJ.J.Johnsonと共演したのはこのセッションのみである。


チャーリー・パーカー・オンダイヤル・第3集 チャーリー・パーカー・オンダイヤル・第4集 パーカーが最高の演奏を記録したのは、47年だという。そうすると正に絶頂期の演奏ということになる。因みに10月28日、11月4日のセッションは他の曲と合わせてダイヤル・コレクションの第3集に、12月17日のセッションは第4集に含まれている。
僕がこのアルバムを購入した69年か70年ころは日本では、ダイヤル盤が復活していなかったので、絶頂期のダイヤルのダイジェストであるこのアルバムの存在価値はあったと思うが、ダイヤル盤が復活している現在においてはこのアルバムを購入することはお勧めしない。収録曲に誤りがあるほか音もあまりよろしくないのである。


まあともかく曲を聴いていこう。

A-1 エア・コンディショニング (Air conditioning) 12/17  Charlie Parker Sextet  D1151-E
この曲はレコードごとにタイトルが変わったりしている曲。”Drifting on a reed”、“Big foot”、”Giant swing”というタイトルが付けられている。こういうところがよく分からない。Air conditioningとBig footとどうつながるのかが分からいない。しかしクールで覚えやすいメロディーのブルースだ。好きな曲、バードの作。バードに続いてミュートのJ.J.のソロになるが、全く淀みのないスピード感あふれるプレイで逸材ぶりをアピールしている。 ダイヤル復刻盤ではD-1151-E。

A-2 ドント・ブレイム・ミー (Don’t blame me) 11/4  Charlie Parker Quintet
ジミー・マクヒュー(Jimmy McHugh)作のスタンダード・バラード・ナンバー。バードの素晴らしいバラードプレイが聴ける。マイルスのミュートがリードし、バードが入ってくる。

A-3 バード・フェザーズ (Bird feathers)
Bird feathersということになっているが、実際はBongo beep 12/17  Charlie Parker Sextetである。
このナンバーはパーカー、J.J.、マイルス、ジョーダンとソロを取るが皆素晴らしいソロだと思う。このアルバムのJ.J.はすべてミュート・プレイだが、これはバードの指示だろうか?、J.J.がミュートでソロを取ると余りにも早くてスムースなのでトランペットのミュートかと思ってしまう。ドラムにはアフロ・キューバンのリズムを用いている。

A-4 エンブレイサブル・ユー (Embraceable you) 10/28  Charlie Parker Quintet
ジョージ・ガーシュインの名作。バードは好きらしくよくプレイしている。バードとマイルスのバラード・プレイは素晴らしく聴き応え十分だ。短いピアノのイントロの後に出るバードのソロはまさに緩急自在でエモーショナルなプレイを奏でる。

A-5 デューイ・スクエア (Dewey square) 10/28  Charlie Parker Quintet
ミディアム・テンポでスインギーな演奏。

A-6 スクラップル・フロム・ジ・アップル (Scrapple from the apple) 11/4  Charlie Parker Quintet
この曲をよくバードは演奏しているが、作ったのもバード。バップの象徴のような曲で、ジョーダンのソロもいい感じだ。こういう時ポッターはウォーキングのソロしかとらないところがつまらない。もう少しアピールできるのではと思うが…。


B-1 クアジーモド (Quasimodo) 12/17  Charlie Parker Sextet D1152-A
読み方が分からない。意味も分からない。僕の研究社の新英和中辞典には載っていないが、どうも「ノートルダムのせむし男」に出てくる登場人物のようだ。クアジーモドと読むらしい。ミディアム・テンポのリラックスした感じの曲だが、テーマが複雑。こういう曲はたぶんパーカーが作ったのではないかと思う。パーカーの後ジョーダン、短いジョンソンとマイルスのソロを挟みテーマに戻る。

B-2 クレイジオロジー (Crazeology) 12/17  Charlie Parker Sextet D1155-D
アップ・テンポの曲。たぶんパーカーの作。パーカーはornithology(鳥類学)、antholopology(人類学)のような曲名が好きみたいだ。”Crazeology”はそのままの言葉で僕の英和辞典には出てこないが、”Craze"とは発狂、狂気というような意味なので「狂気学」のような意味合いだろう。パーカー、ジョーダン、マイルス、ジョーダン、短いポッター、ローチとソロを取る。マイルスのソロもスムーズだ。高音域でソロを取らないところがマイルスらしい。テーマの後、短くパーカーのソロが入るがこういう形式が多い感じがする。

B-3 マイ・オールド・フレイム (My old flame) 11/4  Charlie Parker Quintet
再びバラード、アーサー・ジョンストン(Arthur Johnston’e)の作。パーカーはこのようなバラード・プレイでは、実に自在にエモーショナルに歌い上げる。マイルスはミュートでこれも情感豊かに歌い上げる。
B-4 クラクトシードセティーン(読み方は?) (Klactoveedsedtene) 11/4  Charlie Parker Quintet D1112-A

そもそもこれも読み方が分からない。言葉の意味も分からないダイヤル復刻Spotlight盤では“Klact-oveeseds-teen”となっている。。僕の研究社の新英和中辞典には「Klactoveedsedtene」どころか「Klact」すら載っていない。ミディアム・アップの曲。短いイントロの後短いローチのソロがあり、テーマというものがあるようなないような、どちらにしろかなり短い。なんか中途半端な曲という感じがする。

B-5 アウト・オブ・ノーホェア (Out of nowhere) Charlie Parker Quintet D1115-A。
ジョニー・グリーン(Johnny Green)の作で1931年にビング・クロスビーの歌でヒットしたバラード曲。この曲もパーカーの歌い上げが心地よい。まさに情感に任せ、自由奔放に吹きこなすのだ。パーカーの後を受けるジョーダンのソロも素晴らしい。

B-6 ボンゴ・バップ (Bongo bop)
タイトルはBongo bopということになっているが、収録されている曲は、Charlie’s wig D1153-D 12/17  Charlie Parker Sextetである。ミディアム・ナンバー。パーカー、ジョンソン、マイルスとソロを取り、テーマに戻る。

僕は、このアルバムを聴く前から、チャーリー・パーカーは難しいと聞いていた。何が難しいかというとその偉大さが後から聴いた人には伝わりにくいという。というのは、僕が聴きはじめたころにはアルト・サックス奏者は皆パーカーを目指し、必死で練習に励み吹きこなせるようになっていないとプロとして、成り立たなくなっているというのである。つまり70年代辺りから聴きはじめた人にとっては、既にパーカーはスタンダードだというのである。だからパーカーを聴いてもすごさが分かりずらい、最近のアルト奏者とどう違うのかわかりにくいというのである。
正直言ってこの話は納得できる。実は僕もその圧倒的な凄みというのが分からなかったのだ。その後の僕のチャーリー・パーカー学習は、その凄みをちゃんと分かるようになりたいというというのが、そのテーマになっていく。

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