ジャズ・ディスク・ノート 2019年8月13日

第350回 ボブ・クロスビー 1937年

No.350 Bob Crosby 1937”

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

ボブ・クロスビーを取り上げた前回僕は、「ビッグ・バンド全盛期の1930年代で、僕が最も興味を引かれた2つのバンド一つは、ボブ・クロスビーのオーケストラ及びピックアップ・メンバーによるボブ・キャッツであった」と書いた。そして残念なことに僕は1936年の録音は1曲のみで、「ボブ・キャッツ」のものはなかった。しかし今回1937年は「ボブ・キャッツ」の録音が登場する。

<Contents> … 1937年2月8日 ニューヨークにて録音

「ボブ・クロスビー/ザ・ボブ・キャッツ傑作集」Decca SDL-10301
「サマータイム/ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ&ザ・ボブ・キャッツ」MCA-3145

タイトル原題レコード1レコード2
ジン・ミル・ブルースGin mill blues「ザ・ボブ・キャッツ傑作集」A面5曲目「サマータイム」A面3曲目

<Personnel> … ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Bob Crosby and his orchestra)

Band leader & Vocalボブ・クロスビーBob Crosby
Trumpetアンディ・フェレッティAndy Ferrettiヤンク・ローソンYank Lawson
Tromboneウォード・シロウェイWard Sillowayマーク・ベネットMark Bennett
Clarinet & Alto Saxギル・ロディンGil Rodinマッティ・マトロックMatty Matlock
Alto Saxノニ・ベルナルディ Noni Bernardi
Clarinet & Tenor Saxエディ・ミラーEddie Miller
Tenor sax and arrangementディーン・キンケイドDean Kincaide
Pianoボブ・ザークBob Zurke
Guitarナッピー・ラメールNappy Lamare
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc

僕の持っている1937年の初吹込みは、2月8日に行われたもので2つのレコードに収録されている。この曲はバンドのピアニスト、ジョー・サリヴァンが1937年に作ったもので、もちろんサリヴァンがピアノを弾く予定だったが、結核を患いバンドを退団したため急遽ボブ・ザークが起用されて吹込みを行ったという。アレンジはディーン・キンケイドが担当している。ピアノが大きくフューチャーされている。
変わった構成の曲で、テーマのアンサンブルで始まり最初にソロを取るのはピアノで、次にClがソロを取る。どちらもしっとりとしたブルージーなソロである。そして続くアンサンブルは、ロックンロールのベース・ラインそのものである。さらにアンサンブルは展開してスイングのリフ風のアンサンブルとなり、最後にまたテーマを合奏して終わる。ディキシーとスイングの折衷のような作品である。

<Contents> … 1937年11月5日 ロスアンゼルス録音

「ボブ・クロスビー/ザ・ボブ・キャッツ傑作集」Decca SDL-10301

B面6.リトル・ロック・ゲタウェイLittle rock getaway

<Personnel> … ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Bob Crosby and his orchestra)

Band leaderボブ・クロスビーBob Crosby
Trumpetアンディ・フェレッティAndy Ferrettiヤンク・ローソンYank Lawsonビリー・バタフィールドBilly Butterfield
Tromboneウォード・シロウェイWard Sillowayウォーレン・スミスWarren Smith
Clarinet & Alto Saxマッティ・マトロックMatty Matlock
Saxビル・デビュウジョー・カーンズJoe Kearns
Clarinet & Tenor Saxエディ・ミラーEddie Miller
Tenor sax and arrangementディーン・キンケイドDean Kincaide
Pianoボブ・ザークBob Zurke
Guitarナッピー・ラメールNappy Lamare
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc

僕の持っている次の吹込みは半年以上後の11月に入ってからロスアンゼルスにて行われた。
上記パーソネルは、レコード解説の飯塚経世氏によるものだが、この録音データについては若干疑問がある。
まずTpを「アンディ・フェレッティ」としているが、他資料を見ると「ザケ・ザーキー」でとなっている。この録音は西部巡業のツアー中に行われたものなので、帯同メンバーが参加するのが常であることから次の16日と同じではないかと思われる。つまりザーキーではないかと思う。
次にサックスに「ビル・デビュー」という人物が記載されているが、他資料には記載されていない。さらにこの「ビル・デビュー」という人物はいくら調べても出てこない。推測するに1936年にベニー・グッドマン楽団に短期間在団した「ビル・ドペ」のことではないかと思われるが、判然としない。
そういったことには目をつぶって聴くとこの演奏は素晴らしい。これもサリヴァン作曲キンケイドアレンジのナンバーで、ザークのピアノがフューチャーされている。ソロはザーク⇒ミラー(Ts)⇒ザークで、後の方のソロは意外な展開の仕方で実に面白い効果を出している。この曲はこの年大ヒットになったという。実に楽しい演奏である。

<Contents> … 1937年11月13日 ロスアンゼルスにて録音

「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」 MCA-3018
「サマータイム/ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ&ザ・ボブ・キャッツ」MCA-3145

タイトル原題レコード収録箇所
コケットCoquette「サマータイム」A面4曲目
フィジティー・フィートFidgety feet「ボブ・キャッツ」B面1曲目
キャント・ウィー・ビー・フレンズ?Can’t we be friends ?「ボブ・キャッツ」B面2曲目

<Personnel> … ボブ・クロスビーズ・ボブ・キャッツ (Bob Crosby's bob cats)

Band leaderボブ・クロスビーBob Crosby
Trumpetヤンク・ローソンYank Lawson
Tromboneウォーレン・スミスWarren Smith
Clarinetマッティ・マトロックMatty Matlock
Tenor Saxエディ・ミラーEddie Miller
Pianoボブ・ザークBob Zurke
Guitarナッピー・ラメールNappy Lamare
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc

さて、拙HPに初めて登場する「ボブキャッツ」による演奏である。
「コケット」は、”Body & soul”、”I cover the waterfront”などの名作で知られるジョニー・グリーンの作。グリーンは4歳の時に最初の曲を作ったという天才児。この曲はハーヴァード大学ジュニアの時に旋律を作り、ガイ・ロンバード楽団のバンド・ボーイをしていた時にガイの弟カルメンに保作してもらって完成し、ガス・カーンに作詞をしてもらい、ロンバード楽団が吹き込み大ヒットとなったナンバー。拙HPでも一度登場している。
これもザークのピアノをフューチャーしている。ザークは指が短くストライド奏法が出来なかった分工夫を凝らし対位法を駆使した独自の奏法を編み出したと言われるが、前曲同様その主しい効果を出している。Pソロの後のマトロックのClソロも素晴らしい。またアンサンブルには「ジン・ミル・ブルース」で登場したロックンロール・パターンも登場する。リフもスイング風というよりはロックンロール風である。ロックの歴史を考える上で貴重な演奏だと思う。
「フィジティー・フィート」は、ディキシーのスタンダード・ナンバーで、間にマトロックのClソロを挟む以外はすべて合奏で通している。とても楽しい作品である。
「キャント・ウィー・ビー・フレンズ?」は、メロディックなエディー・ミラーと哀愁漂うマトロックのソロをフューチャーした作品。ミラーのスムースなテナー・プレイはレスター・ヤングを思わせる素晴らしいものである。

<Contents> … 1937年11月16日 ロスアンゼルスにて録音

「サマータイム/ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ&ザ・ボブ・キャッツ」MCA-3145

A面5.ドッグタウン・ブルースDogtown blues

<Personnel> … ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Bob Crosby and his orchestra)

Band leader & Vocalボブ・クロスビーBob Crosby
Trumpetザケ・ザーキーZake Zarchyヤンク・ローソンYank Lawsonビリー・バタフィールドBilly Butterfield
Tromboneウォード・シロウェイWard Sillowayウォーレン・スミスWarren Smith
Clarinet & Alto Saxマッティ・マトロックMatty Matlock
Alto Saxジョー・キーンズJoe Kearns
Clarinet & Tenor Saxエディ・ミラーEddie Miller
Tenor saxギル・ロディンGil Rodin
Pianoボブ・ザークBob Zurke
Guitarナッピー・ラメールNappy Lamare
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc

僕の持っているこの年最後の録音はオーケストラによるものである。このレイジーで悲しみに満ちたブルースはベースのハガードのオリジナル・ブルース。曲の構成が工夫を凝らされている。ヤンク・ローソンのTp,クラリネットの合奏、マトロックの魂のこもったClソロ、そしてエンディングの盛り上げに至るオーケストレイションなど考え抜かれた構成で、聴き応え十分である。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年8月11日

第349回クーティー・ウィリアムス 1937年

No.349 Cootie Williams 1937

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ついでというわけではないが、ここでエリントンの<History>CD40枚組に収録されている唯一エリントンが参加していない録音、「ザ・ゴッサム・ストンパーズ」の録音を取り上げておこう。

History盤CD 40枚組の9セット目

<Contents>…History … 1937年3月25日 ニューヨークにて録音

CD18-8.マイ・ハニーズ・ラヴィン・アームズMy honey’s lovin’arms
CD18-9.ディド・エニワン・エヴァー・テル・ユーDid anyone ever tell you ?
CD18-10.アラバミー・ホームAlabamy home
CD18-11.ホエア・アー・ユー?Where are you ?

<Personnel>…ザ・ゴッサム・ストンパーズ (The gotham stompers)

Band leader & trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Tromboneサンディー・ウィリアムスSandy Williams
Clarinetバーニー・ビガードBarney Bigard
Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoトミー・フルフォードTommy Fulford
Guitarバーナード・アディソンBernard Addison
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsチック・ウェッブChick Webb
Vocalアイヴィー・アンダーソンIvie Anderson

「クーティ・ウィリアムス/ラグ・カッターズ」レコード・ジャケット

面子を見るとエリントン楽団が一番多く、サンディー・ウィリアムス、トミー・フルフォード、チック・ウエッブはチック・ウェッブ楽団からそしてギターのバーナード・アディソンはフレッチャー・ヘンダーソンの楽団からの参加である。なぜこのような録音が行われ、そしてエリントンの作品集に入れられているのかがよく分からない。僕は偶々左のクーティーのレコードを持っていたから分かったが、もしこのレコードを持っていなければ何かの間違いではないかと思うだろうと思う。
因みにレコードに収録されているゴッサム・ストンパーズのナンバーは2曲、”ディド・エニワン・エヴァー・テル・ユー”と”ホエア・アー・ユー?”である。そういった意味でもHistory盤は貴重な資料だが、もう少し詳しい説明は欲しいところだ。
そしてEllingtoniaには、もちろんこの録音の記載は無い。エリントンのディスコグラフィーに載らないのは当然ではある。
アレンジはチック・ウエッブ楽団のテナー奏者でアレンジも担当しているウェイマン・カーヴァ―。そんなこともあってかエリントン臭はあまり感じられない。それはグロウル・ミュートを余り使っていないことからも感じられる。

CD18-8.「マイ・ハニーズ・ラヴィン・アームズ」は、アンダーソンのヴォーカル入り。アンダーソンのエリントンを離れてのレコードも珍しい。まずサンディー・ウィリアムスがソロを取るが、エリントンの楽団なら当然グロウルだろうなぁなどと思いながら聴く。ホッジス⇒クーティー⇒カーネイ⇒ビガードという黄金のソロ・リレーだ。
CD18-9.「ディド・エニワン・エヴァー・テル・ユー」もアンダーソンのヴォーカル入り。これは当時のヒット曲の感じがする。
CD18-10.「アラバミー・ホーム」は、後日エリントンも録音している、エリントン作のナンバー。ヴォーカルの入らないインスト・ナンバーである。アンサンブルの後エリントン楽団ではほとんど聴かれないギター・ソロ(アディソン)があり、クーティーは得意のグロウル・ミュートを披露する。その後ホッジス⇒ビガード⇒カーネイとソロが続き、アンサンブルに移り終わる。
CD18-11.「ホエア・アー・ユー?」は、アンダーソンのヴォーカル入り。当時のヒット曲の感じがする。終わり近くでウェッブの短いソロが聴ける。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年8月9日

第348回デューク・エリントン Duke Ellington 入門第26回 1937年

No.348  Duke Ellington No.26 1937

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柴田浩一著『デューク・エリントン』

柴田浩一氏はその著『デューク・エリントン』で、各年のデュークとその楽団に起こった主な出来事を簡単にまとめている。それによるとこの1937年は、
5年ぶりに「コットン・クラブ」に戻る。但し場所はブロードウェイと48丁目の交差点に移っていた。既にバンドは最高の音を出していた。
この年『キャラヴァン』が大ヒットとなった。因みに先般取り上げたようにこの年ニューヨークに出てきたカウント・ベイシーが『ワン・オクロック・ジャンプ』で大ヒットを飛ばすがそれは第344,345回を参照のこと。
では、早速CDを聴いていこう。

<Contents> …History,Ellingtonia …1937年3月5日 ニューヨークにて録音 (Master)

CD17-19.ザ・ニュー・バーミンガム・ブレイクダウンThe new Birmingham breakdown
CD17-20.スキャッティン・アット・ザ・キット・カットScattin’at the Kit Kat
CD18-1.アイヴ・ガット・トゥ・ビー・ア・ラグ・カッターI've got to be a rug cutter
CD18-2.ザ・ニュー・イースト・セント・ルイス・トゥードル・オーThe new east St. Louis toodle-O

<Personnel>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
trumpetウォーレス・ジョーンズWallace Jonesクーティ・ウィリアムスCootie Williamsレックス・スチュアートRex Stewart
Tromboneジョー・”トリッキー・サム”・ナントンJoe “Tricky Sam” Nantonローレンス・ブラウンLawrence Brown
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Clarinet , Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet , Alto & Bass saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Clarinet , Soprano & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylorヘイズ・アルヴィスHayes Alvis
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalアイヴィー・アンダーソンIvie Anderson

History版CD付録のディスコグラフィーの記載は上記通りであるが、Ellingtoniaではかなり異なる。まずコンテンツについて、
CD17-19.「ザ・ニュー・バーミンガム・ブレイクダウン」、CD18-2.「ザ・ニュー・イースト・セント・ルイス・トゥードル・オー」は再録なので、Historyは”New”を付けたと思われるが、Ellingtoniaで両曲とも”New”を付けていない。Ellingtoniaの考えは、エリントンは、一つの曲を何度も演奏、録音し深化させるタイプの音楽家である。新しい録音ごとに変化があるのは当然のことである。それをいちいち”New”というタイトルを付けていたら、どうなるのか?10度目の録音には何とつけるのだ?ということかもしれない。取り合えずここではHistoryの記載を記しておく。因みに両曲とも最初の録音は10年以上も前の1926年である。
大きいのはパーソネルである。Tpがウォーレス・ジョーンズに代わっているとするHistoryとまだ変わらずホェッツェルのままだとするEllingtonia。因みに”The DUKE/The Columbia years”には、残念ながら1937年の録音は1曲も収録されていない。僕には決め手がないが、取り合えずここではHistoryの記載を記しておく。

CD17-19.「ザ・ニュー・バーミンガム・ブレイクダウン」はレコーディングされた年月及びメンバーが全く異なるので、オリジナルの1926年の録音とはサウンドがかなり違う。しかしコンセプトはそう変わらないと思う。
CD18-1.「アイヴ・ガット・トゥ・ビー・ア・ラグ・カッター」は、アイヴィー・アンダーソンのヴォーカル入り。それだけではなく男性コーラスも入る。コーラスに加わっているのは、レックス・スチュアート、ハリー・カーネイ、ヘイズ・アルヴィス。なかなかハモリもしっかりしてうまいものだ。とても楽しい曲である。
CD18-2.「ザ・ニュー・イースト・セント・ルイス・トゥードル・オー」は、オリジナルに比べるとかなりゆったりしたテンポで、印象が大きく異なる。これは”The new 〜”を付けてもいいのではないかと思う。Tpのミュート・プレイが印象的だ。Historyのディスコには1934年まで在団したTpのフレディ・ジェンキンスがチャイムとタップ・ダンスで参加しているとあるが、タップの音らしきものが聴こえないのだが…。

「クーティ・ウィリアムス/ラグ・カッターズ」レコード・ジャケット

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年3月8日 ニューヨークにて録音(Master)

CD18-3.アイ・キャント・ビリーヴ・ザット・ユーアー・イン・ラヴ・ウィズ・ミーI can't believe that you’re in love with me
CD18-4.ダウンタウン・アップロアーDowntown uproar
CD18-5.ディガ・ディガ・ドゥDiga Diga do
CD18-6.ブルー・リヴリーBlue Reverie
CD18-7.ウィスパーリング・タイガーWhispering tiger(Tiger rag)

<Personnel>…クーティー・ウィリアムス・アンド・ヒズ・ラグ・カッターズ(Cootie Williams and his rug cutters)

Band leader & trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Tromboneジョー・”トリッキー・サム”・ナントンJoe “Tricky Sam” Nanton
Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet , Soprano & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
String Bassヘイズ・アルヴィスHayes Alvis
Drumsソニー・グリアSonny Greer

Historyディスコグラフィーには記載がないが、Ellingtoniaには”Cootie Williams and his rug cutters”の名義で録音されたことになっている。因みにHistoryには記載がないが、Ellingtoniaではオットー・ハードウィックも参加したことになっている。
この日の録音は、クーティーのラグ・カッターズの録音を集めた右のレコードにも2曲(「ダウンタウン・アップロアー」、「タイガー・ラグ」)収録されている。こちらのディスコグラフィーにはオットー・ハードウィックは参加していないことになっている。

CD18-3.「アイ・キャント・ビリーヴ・ザット・ユーアー・イン・ラヴ・ウィズ・ミー」はメロウなナンバーで、カーネイがテーマをリードして吹く。クーティーは、最初はオープンで、そしてミュートをかけ、さらにエンディングはミュートを外して吹いている。
CD18-4.「ダウンタウン・アップロアー」。クーティーのソロは短くエンディング近くに高音を連発する箇所だけである。
CD18-5.「ディガ・ディガ・ドゥ」は、エリントンの他にも数多くのプレイヤーが取り上げていた作品。メロディーをクーティーはお得意のミュート・プレイを披露する。後半はオープンでソロを取る。
CD18-6.「ブルー・リヴリー」は、メランコリックなナンバーで、クーティーのミュート・プレイ、カーネイのソロがたっぷりと聴ける。
CD18-7.「ウィスパーリング・タイガー」はO.D.J.B.のニック・ラロッカの作ったナンバーで、ビックス・バイダーベックなどTp奏者が好んで演奏したらしい。ここではミュートをかけてプレイしているので”Whispering”(ささやき)と洒落たのだろう。

この後CD18-8〜11は、再び「クーティー・ウィリアムス・アンド・ヒズ・ラグ・カッターズ」の演奏となる。ただこちらの演奏には、デュークが加わっていないのである。この40枚のCDシリーズでデュークが加わっていないのは、このセッションのみである。この演奏は別項を立てて取り上げたい。

History盤CD 40枚組の9セット目

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年4月9日 ニューヨークにて録音(Master)

CD18-12.ゼアズ・ア・ラル・イン・マイ・ライフThere's a lull in my life
CD18-13.イッツ・スゥエル・オブ・ユーIt's swell of you
CD18-14.ユー・キャント・ランナウェイ・フロム・ラヴ・トゥナイトYou can’t run away from love tonight

<Personnel>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

メンバーはHistory,Ellingtoniaとも1937年3月5日と同じ。即ちTpは、ウォーレス・ジョーンズ(History)、アーサー・ホェッツェル(Ellingtonia)である。なお、ジョー・リップマン(Joe Lippman)という人物がアレンジャーとして加わっていると記載がある。

CD18-12.「ゼアズ・ア・ラル・イン・マイ・ライフ」は、アイヴィー・アンダーソンのヴォーカル入りのナンバーで当時のヒット曲臭い。でも久しぶりにアイヴィーの歌を聴いた気がする。
CD18-13.「イッツ・スゥエル・オブ・ユー」これも同前でポップス・チューンっぽい。アイヴィーの歌入り。
CD18-14.「ユー・キャント・ランナウェイ・フロム・ラヴ・トゥナイト」は、グッとテンポを落としたメランコリックなナンバーで柔らかいアンサンブルが魅力的だ。

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年4月22日 ニューヨークにて録音(Master)

CD18-15.アジュールAzure
CD18-16.ザ・レディ・フー・クドント・ビー・キッスドThe lady who couldn’t be kissed
CD18-17.ジ・オールド・プランティションThe old plantation

<Personnel>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

メンバーはHistory,Ellingtoniaとも1937年3月5日と同じ。即ちTpは、ウォーレス・ジョーンズ(History)、アーサー・ホェッツェル(Ellingtonia)である。

CD18-15.「アジュール」は、これもゆったりとしたメランコリックなインスト・ナンバー。
CD18-16.「ザ・レディ・フー・クドント・ビー・キッスド」こちらは一転して快活なナンバー。
CD18-17.「ジ・オールド・プランティション」は、ゆったりとしたテンポでミュートTpが郷愁を誘う。アイヴィーのヴォーカル入り。

History盤CD 40枚組の10セット目

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年4月29日 ニューヨークにて録音(Master)

CD18-18.ソレイス(ラメント・フォー・ア・ロスト・ラヴ)Solace(Lament for alost love)
CD18-19.フォー・アンド・ワン・ハーフ・ストリートFour and one half street
CD18-20.デミ‐タッセ(イーチ・ディ)Demi-tasse(Each day)
CD19-1.ジャズ・アラ・カルトJazz a la carte

<Personnel>…バーニー・ビガード・アンド・ヒズ・ジャゾペイターズ(Barney Bigard and his jazzopators)

Band leader & Clarinetバーニー・ビガードBarney Bigard
Trumpetレックス・スチュアートRex Stewart
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer

クーティーに続いてこちらはバーニー・ビガード名義の録音である。

CD18-18.「ソレイス(ラメント・フォー・ア・ロスト・ラヴ)」は、ゆったりとしたテンポでタイトルから推測されるように沈鬱な雰囲気の曲。
CD18-19.「フォー・アンド・ワン・ハーフ・ストリート」は、一転した明るい感じの曲となる。ソロはTp⇒Bs⇒Cl⇒Pでその後短いベースソロが入る。
CD18-20.「デミ‐タッセ(イーチ・ディ)」は、カーネイとエリントンの共作とある。リフを中心としたようなナンバーである。
CD19-1.「ジャズ・アラ・カルト」は、ブルース・ナンバーである。まずスチュアート、そしてビガード、次はTsが2コーラス、そしてエリントンがそれぞれ2コーラスのソロを取り、アンサンブルに入って終わる。パーソネルにTsの表記がない。でもどう聴いてもバリサクではないと思う。ビガードか?

History盤CD 40枚組の16枚目

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年5月14日 ニューヨークにて録音(Master)

CD19-2.キャラヴァンCaravan
CD19-3.アジュールAzure

<Personnel>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

メンバーはHistory,Ellingtoniaとも1937年3月5日と同じ。即ちTpは、ウォーレス・ジョーンズ(History)、アーサー・ホェッツェル(Ellingtonia)である。

CD19-2.「キャラヴァン」は、ご存知ティゾール作の大ヒット・ナンバー。1936年12月に一度録音している。
CD19-3.「アジュール」も、再録である。テンポを落としたメランコリックなナンバー。

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年5月20日 ニューヨークにて録音(Master)

CD19-4.フーリン・マイセルフFoolin’ myself
CD19-5.ア・セイルボート・イン・ザ・ムーンライトA sailboat in the moonlight
CD19-6.ユール・ネヴァー・ゴー・トゥ・ヘヴンYou’ll never go to heaven (if you break my heart)
CD19-7.ペッキンPeckin’

<Personnel>…ジョニー・ホッジス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Johnny Hodges and his orchestra)

Band leader & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Alto saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylorヘイズ・アルヴィスHayes Alvis
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalバディ・クラークBuddy Clark

Historyディスコグラフィーには記載がないが、Ellingtoniaには”Johnny Hodges and his orchestra”の名義で録音されたことになっている。ここではバディ・クラークがヴォーカリストとして加わっている。

CD19-4.「フーリン・マイセルフ」は、まず初っ端にソロを取るのはホッジス。ビガードと違って遠慮などせず、吹いていく。
CD19-5.ア・セイルボート・イン・ザ・ムーンライトは、メロウなポップス・ヒットを狙ったと思われるナンバー。
CD19-6.ユール・ネヴァー・ゴー・トゥ・ヘヴン。これも同前のポップス・チューン。しかしホッジス、ウィリアムスの長尺ソロが聴けるのでまぁいいか。
CD19-7.ペッキン。クラークのヴォーカルにバンド・メンバーが絡むというスタイルの楽しいナンバー。

History盤CD 40枚組の19枚目

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年6月8日 ニューヨークにて録音(Master)

CD19-8.オール・ゴッズ・チラン・ガット・リズムAll god’s chillum got rhythm (inst)
CD19-9.オール・ゴッズ・チラン・ガット・リズムAll god’s chillum got rhythm (vocal)
CD19-10.アラバミー・ホームAlabamy home

<Personnel>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

メンバーはHistory,Ellingtoniaとも1937年3月5日と同じ。即ちTpは、ウォーレス・ジョーンズ(History)、アーサー・ホェッツェル(Ellingtonia)である。

CD19-8、9「オール・ゴッズ・チラン・ガット・リズム は、CD19-8が演奏のみで、CD19-9がアイヴィー・アンダーソンのヴォーカル入り。どちらが楽しいかと言えばやはり、アンダーソンのヴォーカル入りの方が楽しい。
CD19-10.「アラバミー・ホーム」。これも再録もの。以前のヴァージョンと異なりアンダーソンのヴォーカル入りである。

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年6月16日 ニューヨークにて録音(Master)

CD19-11.ゲット・イット・サザーン・スタイルGet it southern style
CD19-12.ムーンライト・フィエスタMoonlight fiesta
CD19-13.スポンジ・ケイク・アンド・スピナッチSponge cake and spinach
CD19-14.イフ・ユーアー・エヴァー・イン・マイ・アームズ・アゲインIf you're ever in my arms again

<Personnel>…バーニー・ビガード・アンド・ヒズ・ジャゾペイターズ(Barney Bigard and his jazzopators)

Band leader & Clarinetバーニー・ビガードBarney Bigard
Trumpetレックス・スチュアートRex Stewart
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalスー・ミッチェルSue Mitchell

再びバーニー・ビガード名義の録音である。ここでは女性シンガースー・ミッチェルが加わる。声や歌い方が似ているのでうっかりするとアイヴィーかと思ってしまうが、結局歌うのは2曲だけ。

CD19-11.「ゲット・イット・サザーン・スタイル」は、スチュアート、カーネイとオープニングにソロを取り、短いエリントンのソロを入れて、スーのヴォーカルとなる。タイトルからもノスタルジーの路線を狙ったものと思われる。
CD19-12.「ムーンライト・フィエスタ」は、エキゾチックなナンバーでティゾールがリードを取る。インスト・ナンバー。
CD19-13.「スポンジ・ケイク・アンド・スピナッチ」。これもヴォーカルの入らないインスト・ナンバー。ブレイクの合間をグリアのドラムが埋めるというスタイルで、グリアをフューチャーしたナンバーと言える。
CD19-14.「イフ・ユーアー・エヴァー・イン・マイ・アームズ・アゲイン」は、ゆったりとしたメロウなナンバー。スーのヴォーカルが入るが、この人の声はドスが効いていて甘いラヴ・ソングは似合わない感じがする。

History盤CD 40枚組の20枚目

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年7月7日 ニューヨークにて録音(Master)

CD19-15.ザ・バック・ルーム・ロンThe back room romp(A contrapuntal stomp)
CD19-16.スイング・ベイビー・スイングSwing , baby , swing (love in my heart)
CD19-17.シュガー・ヒル・シム・シャムSugar hill shim sham
CD19-18.ティー・アンド・トランペッツTea and trumpets

<Personnel>…レックス・スチュアート・アンド・ヒズ・フィフティ・セカンド・ストリート・ストンパーズ(Rex Stewart and his fifty second street stompers)

Band leader Trumpetレックス・スチュアートRex Stewart
Trumpetフレディー・ジェンキンスFreddie Jenkins
Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Guitarブリック・フリーグルBrick Fleagle
String Bassヘイズ・アルヴィスHayes Alvis
Drumsジャック・マイセルJack Maisel

今度はレックス・スチュアート名義の録音である。ギターのブリック・フリーグル、ドラムスのジャック・マイセルは、1936年の「レックス・スチュアート・アンド・ヒズ・フィフティ・セカンド・ストリート・ストンパーズ」の録音にも加わっている。

CD19-15.「ザ・バック・ルーム・ロン」は、スチュアートとエリントンの共作。普通に考えればバックでミュートをかけて吹いているのがジェンキンスで、フロントでオープンで吹いているのがスチュアートであろう。
CD19-16.「スイング・ベイビー・スイング」は、ハッピー・ムードのナンバー。ホッジスとカーネイは短いながら存在感のあるプレイを披露する。
CD19-17.「シュガー・ヒル・シム・シャム」。これもスチュアートとエリントンの共作。エリントンの細かいトレモロ・プレイが効果音的に使われている。
CD19-18.ティー・アンド・トランペッツ。これもスチュアートとエリントンの共作、「お茶とトランペット」という変なタイトルが気になる。

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年9月20日 ニューヨークにて録音(ARC-Brunswick)

CD19-19.チャッター・ボックスChatter-box
CD19-20.ジュビレスタJubilesta
CD20-1.ディミニュエンド・イン・ブルーDiminuendo in blue
CD20-2.クレセンド・イン・ブルーCrescendo in blue
CD20-3.ハーモニー・イン・ハーレムHarmony in harlem
CD20-4.ダスク・イン・ザ・デザートDusk in the desert

<Personnel>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

メンバーはHistory,Ellingtoniaとも1937年3月5日と同じ。即ちTpは、ウォーレス・ジョーンズ(History)、アーサー・ホェッツェル(Ellingtonia)である。また、Ellingtoniaには、かつてのTp奏者フレディ・ジェンキンスが加わっているとしているが、Historyでは参加していないことになっている。

CD19-19.「チャッター・ボックス」は、スチュアート、エリントン、ミルズの共作。タイトルは「おしゃべり箱」という意味かな。トランペット陣が頑張る作品。
CD19-20.「ジュビレスタ」は、作者にミルズ、エリントンにティゾルが加わる。何となくエキゾチックなムードが漂う。
CD20-1.「ディミニュエンド・イン・ブルー」は、エリントンの作。カサ・ロマ・オーケストラを思わせるような複雑なアンサンブルで始まる。
CD20-2.「クレセンド・イン・ブルー」もエリントンの作で一風変わったアンサンブルが聴かれる。これも実験作の一つか?
CD20-3.「ハーモニー・イン・ハーレム」は、エリントン、ミルズ、ホッジスの共作。ホーン陣の複雑なアンサンブルが聴き処であろう。
CD20-4.「ダスク・イン・ザ・デザート」は、エリントンとミルズの共作。ほぼ全篇がアンサンブルで構成されている。

「クーティ・ウィリアムス/ラグ・カッターズ」レコード・ジャケット

<Contents>…History,Ellingtonia …1937年10月26日 ニューヨークにて録音(ABC)

CD20-5.ジュビレスタJubilesta
CD20-6.ウォッチンWatchin’
CD20-7.ピジョンズ・アンド・ペッパーズPigeons and peppers
CD20-8.捧ぐるは愛のみI can't give you anything but love

<Personnel>…クーティー・ウィリアムス・アンド・ヒズ・ラグ・カッターズ(Cootie Williams and his rug cutters)

Band leader & trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Soprano & Alto saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Clarinet , Soprano & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalジェリー・クルーガーJerry Kruger

CD20-5.「ジュビレスタ」は再録もの。ビガード、ティゾル、クーティーのソロがフューチャーされる。
CD20-6.「ウォッチン」は、ミルズとネモ(Nemo)の共作。ジェリー・クルーガーのヴォーカルが入るポップス・チューンである。
CD20-7.「ピジョンズ・アンド・ペッパーズ」はエリントンの作。タイトルを直訳すれば「鳩と胡椒」ということになるが、多分これはスラングで、「のろまと怒りっぽい人」ということか?何となくユーモラスなナンバーではある。
CD20-8.「捧ぐるは愛のみ」は、拙HPに何度も登場した当時のヒット曲。こういう曲にヴォーカルを入れないところがエリントンなのであろう。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年8月5日

第347回トミー・ドーシー・オーケストラ 1937年

No.347 Tommy Dorsey Orchestra 1937

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

<Contents> … 1937年1月29日 ニューヨークにて録音

Record1.B-1.インドの歌Song of India
Record1.B-2.マリーMarie

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetバニー・ベリガンBunny Beriganジミー・ウェルクJimmy Welchジョー・バウアーJoe Bauerボブ・クスマーノBob Cusumano
Tromboneレス・ジェンキンスLes Jenkinsレッド・ボーンRed Bone
Clarinet & Alto saxジョー・ディクソンJoe Dixon
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulce
Alto & Tenor saxクライド・ラウンズClyde Rounds
Tenor saxバド・フリーマンBud Freeman
Pianoディック・ジョーンズDick Jones
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsディヴ・タフDave Tough

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」には、ディスコグラフィーが付いているが名前に関しては誤りが多い。1936年4月からAlto saxで参加している人物の表記について、1936年4月での表記は”Fred Stulcc”1937年においては、”Fred Stulee”となっている。しかしどう検索してもそのようなサックス・プレイヤーはいない。アイダを取った形の”Fred Stulce”というアルト・サックス・プレイヤーがいて、その経歴にトミー・ドーシー楽団があるのである。そのため”Fred Stulce”に統一して表記することにした。
またトロンボーン奏者で”Lee Jenkins”という表記があるがこれもそういうプレイヤーはおらず、”Les Jenkins”というプレイヤーは存在し、経歴にトミー・ドーシー楽団がある。これも”Les Jenkins”と表記することにする。
B-1.「インドの歌」は、どこかで聞いたことのあるメロディーと思ったら、リムスキー・コルサコフの歌劇『サドコ』の中の旋律をテーマにしてトミー・ドーシーがアレンジしたナンバー。当時大ヒットしたという。聴き処は何といってもラスト前のベリガンの1コーラスのソロ。野口氏も何とも素晴らしいと手放しで褒めている。
B-2.「マリー」は、アーヴィング・バーリン作のバラッド。バンドメンと掛け合いで歌っているのは、ジャック・レオナード。この時代の典型的なスイート・スタイルのヴォーカルだという。ここでも圧倒的にすごいのはヴォーカルの後に出るベリガンのソロである。ドーシー楽団の代表作の一つ。

<Contents> … 1937年2月18日 ニューヨークにて録音

Record1.B-3.春の歌Mendelssohn’s spring song

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

変更点
  Trumpet … ボブ・クスマーノ ⇒ アンディ・フェレッチAndy Ferretti
Clarinet & Alto sax … ジョー・ディクソン ⇒ スラッツ・ロングSlats Long

こちらはメンデルスゾーンの有名なピアノ曲をドーシーとレッド・ボーンがアレンジしたもの。ここではロングのCl、ベリガンのTp、フリーマンのTs、ドーシーのTbと各人のソロが楽しめる。

<Contents> … 1937年3月10日 ニューヨークにて録音

Record1.B-4.ブルー・ダニューブBlue Danube

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

変更点
Trumpet … バニー・ベリガン ⇒ ピー・ウィー・アーウィン Pee Wee Erwin
Clarinet & Alto sax … フレッド・スタルス、クライド・ラウンズ ⇒ ジョニー・ミンツJohnny Mintz、マイク・ドッティMike Dotty
「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」ディスコグラフィーは”Johnny Mintz”、「ジャズ・ヒストリカル・レコーディング・シリーズ/トミー・ドーシー」では、”Johnny Mince”となっている。これはどちらでもいいようだ。変なの!

こちらはヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」のワルツを4拍子にアレンジしたもの。これもアレンジはドーシーとボーン。ドーシーのソロ→アンサンブル→ロングCl→ドーシーTb、フリーマンTsというソロ・オーダー。ディヴ・タフのドラムも素晴らしい。

<Contents> … 1937年4月15日 ニューヨークにて録音

record1.B-5ストップ・ルック・アンド・リッスンStop look and listen
record1.B-6トルコの黄昏Twilight in Turkey
record1.B-7家路Rollin’ home

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

変更点
Piano … ディック・ジョーンズ ⇒ ハワード・スミスHoward Smith
A-7のみ Tenor sax … バド・フリーマン ⇒ トニー・アントネリTony Antonelli

B-5「ストップ・ルック・アンド・リッスン」は、4分を越すドーシーの力作。通常の25SP盤には収まりきらず、30SP盤として発売されたという。ドーシーTb、アーウィンTp、ミンスClのソロがたっぷりと聴ける。ディスコグラフィーに記載は無いが、解説ではクランベリー・セヴンによる演奏とある。
B-6「トルコの黄昏」は、ノヴェルティ風のジャズ・タッチでクラシックの名曲や漫画的な描写曲を演奏して爆発的な人気を得たレイモンド・スコット・クインテットのヒット曲という。オリジナルではアドリブがなかったというがここでは、ディーン・キンケイドがアレンジを行いTp、Ts、Cl、Tbのアドリブが入る。アンサンブルのが変わっていて面白いウナンバーだ。
B-7「家路」。元はドヴォルザークの交響曲「新世界」の中に出てくる黒人民謡を採譜して使用したと言われる曲を、ギターのマストレンがアレンジしたナンバー。例によってドーシーがテーマを美しく甘美に歌い、そのままアドリブに入る。スミスのピアノ・ソロも聴くことができる。どういった事情かこの曲だけTsがフリーマンからアントネリに代わるという。

<Contents> … 1937年5月26日 ニューヨークにて録音

Record2.A-1.ビール・ストリート・ブルースBeale street blues

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

変更点
4月15日と同じ

W.C.ハンディ作の有名なブルース。B-5「ストップ・ルック・アンド・リッスン」とカップリングされた長尺ナンバー。アドリブはまずドーシーから始まるがここでは甘くなく力強い吹奏を示す。そしてアーウィン(Tp)、フリーマン(Ts)が2コーラスずつソロを取る。野口氏は、スイング時代のビッグ・バンド・ジャズとして一級の出来としている。

<Contents> … 1937年7月20日 ニューヨークにて録音

Record2.A-2.夜も昼もNight and day
Record2.A-3.煙が目にしみるSmoke gets in your eyes

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

4月15日から変更点
Trombone … レッド・ボーン ⇒ ウォルター・マーキュリオWalter Mercurio
Alto sax … マイク・ドッティ ⇒ スキーツ・ヘルフルトSkeets Herfult

Record2.A-2.「夜も昼も」は、現代でもよく歌われ、演奏されるコール・ポーターの名曲。解説の野口氏によれば、ヴァ―スのメロディを短くイントロに使い、ドーシーのミュートTbによる1コーラス、それをサックスを主体としたアンサンブルが受け、スミスのピアノを挟んで、再びアンサンブル、そしてTbソロに返すという、ドーシー・スイート・ミュージックの典型的作品であるという。
Record2.A-3.「煙が目にしみる」は、こちらも現代でも取り上げられるジェローム・カーンの名作。Ts、Tpもソロを取るがドーシーのバラッド・プレイにスポットを当てた演奏。

<Contents> … 1937年12月6日 ニューヨークにて録音

『ジャズ・ヒストリカル・レコーディング・シリーズ/トミー・ドーシー 1935 to 1939」日本コロンビア HR-125-JK

A-1.フーWho

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetピー・ウィー・アーウィンPee Wee Erwinリー・カスタルドLee Castaldoアンディ・フェレッチAndy Ferretti
Tromboneレス・ジェンキンスLes Jenkinsアール・ヘイゲンEarle Hagen
Clarinetジョニー・ミンスJohnny Mince
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulceスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfult
Tenor saxアンディ・フェレッチAndy Ferretti
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsディヴ・タフDave Tough
Vocalジャック・レナードJack Leonard

7月20日から変更点
Trumpet … ジョー・バウアー ⇒ リー・カスタルドLee Castaldo Trombone … ウォルター・マーキュリオ ⇒ アール・ヘイゲンEarle Hagen

僕の所有するレコードには、解説が付いていなかった。ジャケットには”Who vJL”と記載されている。これはヴォーカルがジャック・レオナード(Jack Leonard)という意味であろう。
まずスイートな音色のTbがアンサンブルをリードし、ここでもバンド・メンバーとの掛け合いのスイートなヴォーカルが入る。そしてTpソロ、Tb、Tsとソロが続き、アンサンブルで曲を締める。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年7月31日

第346回テディ・ウィルソンとビリー・ホリディ 1937年

Teddy Wilson & Billie Holiday 1937

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

今回は、テディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションの1937年の録音を聴いていこう。テディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションは1935年7月に始まり、1939年1月まで3年半行われるが、最もセッション数が多く、吹き込まれた曲が多いのはこの1937年である。今回も音源が「ザ・テディ・ウィルソン」(SONP 50332〜50333)と「ビリー・ホリディ物語」(SOPH 63〜64)に分かれているが、順番に聴いていくことにしよう。

「ビリー・ホリディ」レコード第2集」レコード・ジャケット

<Contents> … 1937年1月12日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語」(CBS SOPH 63)のみ。

record3.A-4誰も知らないOne never knows , does one ?
record3.A-5恋に寒さを忘れI've got my love to keep me warm
record3.A-6口でいえない心のうちIf my heart could only talk
record3.A-7夢の中でもPlease keep me in your dreams

<Personnel> … ビリー・ホリディ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday and his orchestra)

Band leader & Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetジョナ・ジョーンズJonah Jones
Clarinet & Alto saxエドガー・サンプソンEdger Sampson
Tenor saxべン・ウエブスターBen Webster
Pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsコージー・コールCozy Cole

この録音はテディ・ウィルソンを中心としたセッションであるが、吹き込まれたのはヴォカリオン/オーケーのため、「ザ・テディ・ウィルソン」(ブランズウィック・セッション)には収録されておらず、ディスコグラフィーにも載っていない。このセッションでは、エドガー・サンプソンの参加が珍しい。
record3.A-4「誰も知らない」は、ビリーにしては珍しく、イントロなしにいきなり歌い始める。サンプソンはClとAsを持ち替えてプレイしている。
record3.A-5「恋に寒さを忘れ」。ここでビリーは、お得意の「遅れたノリ」でレイジーに歌う。ビリーの後のウエブスターも同じ雰囲気を継続して聴かせる。しかしその後のサンプソンのClが良くないとは、レコード楽曲解説の大橋巨泉氏。それほど良くないかな?僕はそうは思わないが…。
record3.A-6「口でいえない心のうち」。こうした祈るような乙女心を歌うビリーは絶品だが、後のサンプソンのClが良くないと、大橋巨泉氏は怒っている。怒るほどでもないのでは?と僕。
record3.A-7「夢の中でも」は、30年代の安っぽい流行歌の一つと巨泉氏。

「ビリー・ホリディ」レコード第2集」1枚目A面

<Contents> … 1937年1月25日 ニューヨークにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」&「ビリー・ホリディ物語」

record3.B-1リズムのない男He ain’t got rhythm
record3.B-2今年のキッスThis year’s kisses
record3.B-3何故生まれてきたのWhy was I born ?
record3.B-4あの人でなけりゃI must have that man !

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

「リズムのない男」は、「ザ・テディ・ウィルソン」にも収録されているが、「ビリー・ホリディ物語」には4曲とも収録されているので、こちらでまとめて聴こう。
ベニー・グッドマンはサイド・マン扱いが気に食わず「ジョン・ジャクソン(John Jackson)という名でクレジットされている」
またこの日のセッションは、ビリーの一つの飛躍のきっかえとなる重要な録音となった。それは音楽的に重要な影響を及ぼすことになるレスター・ヤングとの初共演であるからだ。この日以降レスターのリリシズムと寛いでスムースなプレイ・スタイルに影響を受け、彼女の原メロディーにとらわれない器楽的な唱法は歌詞との不即不離の関連の上に完成の域に近づいていく。
さらにもう一人バック・クレイトンとの初共演ということでも大きな意味があった。クレイトンは、ルイ・アームストロングの感覚をさらに都会的に洗練され一層彼女の好みに近づいたスタイルを持っていた。まさに彼の音も彼女に親近感を抱かせることとなった。
record3.B-1「リズムのない男」は、ビリーのVoが終わるか終わらぬうちに出るレスターのソロが素晴らしい。
record3.B-2「今年のキッス」は、レスターが極上のリリシズムを発揮する。ビリーもその雰囲気を引き継ぎしっとりとした味わい深い歌唱を聴かせる。
record3.B-3「何故生まれてきたの」。ビリーは思い切ったフレイジングでこの曲のムードを作り、クレイトン、ウィルソン、BGが暖かい素晴らしいソロを繰り広げる。
record3.B-4「あの人でなけりゃ」は、ビリーがじっくり取り組んだ詠唱を聴かせる。Voの後のレスターのソロもしみじみとした温かさを伝える。BGも短いながらムードにマッチした好ソロを聴かせてくれる。

「ビリー・ホリディ」レコード第2集」1枚目B面

<Contents> … 1937年2月18日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語」(CBS SOPH 63)のみ。

record3.B-5ムードにひたってThe mood that I'm in
record3.B-6導いてくれた貴方You showed me the way
record3.B-7センチでメランコリーSentimental and melancholy
record3.B-8これが最後の恋よMy last affair

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy W ilson
Trumpetヘンリー・レッド・アレンHenry “red” Allen
Clarinet & Alto saxセシル・スコットCecil Scott
Clarinet & Tenor saxプリンス・ロビンソンPrince Robinson
Guitarジミー・マクリンJimmy McLin
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsコージー・コールCozy Cole
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

このセッションの聴き処を解説の大和氏は、一つは「これが最後の恋よ」におけるビリーの歌唱で、それはビリーの歌唱にレスターのノン・ヴィブラートによるフレイジングが導入され、一層リリカルな味が強調されているところと、サッチモ直系のTp奏者であるレッド・アレンには他の奏者には見られない自由自在なフレイジングを駆使した独特の味わいがあり、この日のセッションでは随所に発揮されているという。
record3.B-5「ムードにひたって」は、何といってもウィルソンのプレイが光るとは巨泉氏。でも一番良いのはビリーの歌だと思う。
record3.B-6「導いてくれた貴方」。ここでもウィルソンと、堂々たるレッド・アレンのTpが素晴らしい。僕はこの歌、この歌を歌うビリーは好きだなぁ。
record3.B-7「センチでメランコリー」。この曲もウィルソンが絶好調を維持、レッド・アレンもフレージングが独特で素晴らしい。前々セッション参加のジョナ・ジョーンズとの格の違いを見せつけると巨泉氏は厳しい。
record3.B-8「これが最後の恋よ」。ここでもウィルソン、アレンが素晴らしい。最初に述べたようにビリーの歌唱も後の歌手に大きな影響を与えた画期的なもの。これでテナーがレスターだったら言うことなしという快演。

2月18日のレコーディングと3月31日のレコーディングの間、3月1日にビリーは父親の<クラレンス・ホリディ>を亡くしている。クラレンスの死因は「肺炎」ということになっているが、実際には肺炎にかかった黒人が病院にたらい回しにされて診てもらえず、最後に軍人病院(彼は第一次大戦中兵役に就いたことがある)に入ることができたが、既に手遅れだった。このことが後に一大傑作『奇妙な果実』に結びついていく。

「ザ・テディ・ウィルソン」レコード・ジャケット

<Contents> … 1937年3月31日 ニューヨークにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」&「ビリー・ホリディ物語」

曲名原題収録アルバム収録個所
うかつだった私Carelessly「ビリー・ホリディ物語」record4.A-1
どうしてできるのHow could you「ビリー・ホリディ物語」record4.A-2
しのび泣きMoanin’low「ビリー・ホリディ物語」record4.A-3
ファイン・アンド・ダンディFine and dandy「ザ・テディ・ウィルソン」record2 A-2

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetクーティー・ウィリアムスCootie Williams
Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsコージー・コールCozy Cole
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

このセッションは前録音から約1か月半空いており、この間ビリーは、ジョン・ハモンド氏に口説かれカウント・ベイシー楽団の専属歌手となった。その直後のこの録音ではクーティー、ホッジス、カーネィとエリントニアンとの共演が実現した。そういったことで雰囲気ががらりと変わるところが面白い。ビリーの歌唱には、父親を失った悲しみ・怒りは聴き取れない。歌うことに集中することでそれらを振り払っていたのかもしれない。
「うかつだった私」は、ビリーのノン・ヴィブラート唱法が効いているし、後半のクーティはグロウル・ミュートのソロは素晴らしい。
「どうしてできるの」。解説の巨泉氏は、ビリーの歌以外はつまらないというが、ホッジスのAsソロなどいかにもらしくて僕は好きだ。
「しのび泣き」。解説の巨泉氏は、曲が良いと出来も良くなるとメチャクチャなことを言っている。イントロのウィルソン、続くホッジス、それを受けてのウィルソンはさらにリリカルで素晴らしい。大和氏は、本来は失恋の歌だが、恋人を失うことと父親を失ったことが二重写しになり深みのあるブルース・フィーリング(曲はブルースではない)となっているのではないかと述べている。
「ファイン・アンド・ダンディ」は、この日のセッションで行われたインスト録音。エリントン・ムードは前面に出さず、軽快なテンポに乗った典型的なスイング・コンボ・セッションを展開する。ホッジスの力強さと甘さ、始めは押さえながら次第に豪快なアタックで迫るクーティ、軽快で優雅なウィルソン、重厚と軽妙を兼ね備えたカーネイと各ソロイストの妙技を聴くことができる。もう少しソロ・スペースが長く欲しいと思うのは、僕だけではないだろう。

「ビリー・ホリディ」レコード第2集」2枚目A面

<Contents> … 1937年4月1日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語」(CBS SOPH 63)のみ。

record4.A-4お先真っ暗Where is the sun
record4.A-5誰も奪えぬ思い出They can’t take that away from me
record4.A-6もうよそうやLet’s call the whole thing off
record4.A-7恋は盲目I don't know if I’m coming or going

<Personnel> … ビリー・ホリディ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday and his orchestra)

Band leader & Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetエディー・トンプキンスEddie Tompkins
Clarinetバスター・ベイリーBuster Bailey
Tenor saxジョー・トーマスJoe Thomas
Pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsアルフォンス・スティールAlphonse Steele

さて今回のセッションは前録音の翌日で、こちらはビリー名義のレコーディング。サイドメンにこちらはジミー・ランスフォード楽団からエディ・トンプキンス、ジョー・トーマスが参加している。
record4.A-4「お先真っ暗」。ビリーはピアノ1音でいきなり歌い出す。非常にグルーミー(憂鬱)な唱法は前セッションに続いて彼女の唱法に変化が訪れたことを表している。ベイリーのClの絡みが良い。トンプキンスのTpもクールでよい味を出している。
record4.A-5「誰も奪えぬ思い出」は、突然音が悪くなる。音源のSP盤の状態が良くなかったか?この曲はスインギーなナンバーとして奏されることが多かった由だが、ここではグッとテンポを落とし切々と歌い上げている。
record4.A-6「もうよそうや」は、大体コミカル・ソングとして歌われることが多いというが、ここではビリーは素晴らしいジャズヴォーカルにしているという。ソロでは、ホーキンス直系のジョー・トーマスの太くてたくましいテナーが出色。
record4.A-7「恋は盲目」。ビリーは、プレイボーイに恋をしてしまった娘の気持ちを高音を使い可憐に歌っている。後年のビリーは高い声が出なくなりこういう表現は出来なくなったという。

「ザ・テディ・ウィルソン」2枚目A面

<Contents> … 1937年4月23日 ニューヨークにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」(SONP 50332-3)のみ。

record2 A-3アイム・カミング・ヴァージニアI’m coming Virginia

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetハリー・ジェイムスHarry James
Clarinetバスター・ベイリーBuster Bailey
Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsコージー・コールCozy Cole

このテディ・ウィルソンのセッションではBG楽団を辞めるヘレン・ウォードが3曲歌い、1曲(この曲)がインスト・ナンバーとして録音された。ウォードのヴォーカル入りも収録して欲しかったなぁ。
メンバーが面白い。曲はビックス・バイダーベックの名演が有名。これを見事にスイング・ナンバーとして再生している。まずBG楽団のエースTpジェイムスが華麗に吹き上げ、続くウィルソンはハインズの流れをくむ力強く、ベイリーはBGを思わせる流麗に、そしてしなやかホッジス、そしてジェイムスのTpが再登場して締めくくる。

「ビリー・ホリディ」レコード第2集」2枚目B面

<Contents> … 1937年5月11日 ニューヨークにて録音

日照雨(ひばえ)以外は「ザ・テディ・ウィルソン」にも収録されているが、「ビリー・ホリディ物語」には、4曲全て収録されている。
解説の大和明氏によれば、ビリーが30年代半ばから40年代初めにかけて行った数あるセッションの中で、これほどメンバーが充実し、それもビリーのヴォーカルとの適合性という点でも最高と言えるメンバーを揃え、ビリーのヴォーカル、メンバーのソロとも最高の出来を示したレコーディングは、この日をおいてないと最高の評価をしている。
またこの録音辺りからビリーとレスターの同棲生活は始まっており、この二人の共演がしばらく断続的に続くことから、『ジャズ史上最良のコラボレイション』と謳われた名コンビが誕生するのである。

record4.B-1日照雨(ひばえ)Sun shower
record4.B-2二人のものYours and mine
record4.B-3貴方とならばどこでもI’ll get by
record4.B-4意地悪なあなたMean to me

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Clarinetバスター・ベイリーBuster Bailey
Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassアーティー・バーンスタインArtie Bernstein
Drumsコージー・コールCozy Cole
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

record4.B-1「日照雨(ひばえ)」。”Sun shower”を「日照雨」と訳しているのは、間違いないと思う。いわゆる「狐の嫁入り」のことである。しかい「ひばえ」と仮名を振るのは誤りである。正しくは「そばえ」で、どの辞典を見ても、「日照雨」=「ひばえ」とするものはない。どこから引っ張ってきたのだろうか。
record4.B-2「二人のもの」
record4.B-3「貴方とならばどこでも」
record4.B-4「意地悪なあなた」は、最近原題通り『ミーン・トゥ・ミー』の方が通りやすいのではないかと思う。< br> 解説の大和氏が言うように、この4曲については特に言うことがない。もう一人の解説巨泉氏は、「自由奔放な楽しみましょう、バック・クレイトンの拡張の高さに酔い、ビリーの名唱に酔いましょう、テディ・ウィルソンのリリシズムに酔いましょう、そのために貴方はこのレコードを買ったのだ」と言っている。聴けば解説など不要ということだろう。

「ビリー・ホリディ」レコード第3集」レコード・ジャケット

<Contents> … 1937年6月1日 ニューヨークにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」&「ビリー・ホリディ物語」

曲名原題収録アルバム収録個所
自分を偽ってFoolin’ myself「ビリー・ホリディ物語」record4.B-5
貴方のために生きるならEasy living「ビリー・ホリディ物語」record4.B-6
私は変わったのI'll never be the same「ビリー・ホリディ物語」record4.B-7
いい娘を見つけたI found a new baby「ザ・テディ・ウィルソン」record2 A-7

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Clarinetバスター・ベイリーBuster Bailey
Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

「自分を偽って」は、これこそビリーの最高傑作。何百回、何千回聴いても飽きない珠玉の名品だとは、巨泉氏。
「貴方のために生きるなら」。”Easy living”をこう訳しているのはこのレコードだけだろう。僕の大好きな曲で、”Easy living”=「気楽な生活」と思っていたら、まったく違う訳である。曲の意味合いは「貴方のために生きるならそれは簡単なこと」ということなのだろう。
「私は変わったの」は、ビリーに寄り添うレスターのオブリガードが悩ましいまでに思いやりに溢れているという。確かに一緒に歌っているようだ。
「いい娘を見つけた」は、インスト・ナンバーで「ザ・テディ・ウィルソン」の方にだけ収録されている。このメンバーで奏されるコンボ・インスト・ナンバーが悪いわけがない。ベイリー、クレイトン、ウィルソン、レスターと続く豪華絢爛のソロイストの共演を楽しむのみである。

「ビリー・ホリディ」レコード第3集」1枚目A面

<Contents> … 1937年6月15日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語」(CBS SOPH 64)のみ。

record5.A-1三人の私Me , myself and I
record5.A-2三人の私Me , myself and I
record5.A-3月夜の小舟A sailboat in the moonlight
record5.A-4愛の運命Born to love
record5.A-5君の愛なしではWithout your love

<Personnel> … ビリー・ホリディ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday and his orchestra)

Band leader & Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Clarinetエドモンド・ホールEdmond Hall
Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Pianoジェイムス・シャーマンJames Sherman
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone

大変珍しいメンバーである。Clのホールはニューオリンズ出身のCl奏者とは思えぬ鋭角的なソロを吹く人で、この人の起用は当たればとてつもない傑作になるが外れると目も当てられない。この録音ではうまく行ったようだ。ピアノのシャーマンは初登場で、この日はテディは都合が付かなかったのだろうか。但しプレイぶりはテディそっくりだ。ともかく前回に続きビリー最高期の録音であるという。
record5.A-1、2「三人の私」は珍しく別テイクも収録している。しかし別テイクのA-2になるとグッと音が悪くなる。音だけではなく演奏も一歩落ちるとは巨泉氏。確かにA-1の方が断然良い。レスターのオブリガードは伴奏ではなく、共演である。
record5.A-3「月夜の小舟」。この曲でもビリーとレスターの共演は続く。二人の共演が終わって出るウィルソンのソロがリリカルでありながら、グッと冷静に聴こえる。クレイトンは襟を正したようなプレイで再度出るビリーとレスターはまたまた甘いところを聴かせる。
record5.A-4「愛の運命」は、担当なメロディとコード、陳腐な歌詞でどうしようもないがクレイトンのメリハリの効いたソロが救っているとは巨泉氏。
record5.A-5「君の愛なしでは」。この頃レスターはオブリガード専門でほとんどソロを取っていない、とってもせいぜい8小節程度だが、これはビリーからの要請によるものだったという。ここでもクレイトンのソロが素晴らしい。

「ザ・テディ・ウィルソン」2枚目B面

<Contents> … 1937年7月30日 ロスアンゼルスにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」(SONP 50332-3)のみ。

record2 A-8コケットCoquette

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetハリー・ジェイムスHarry James
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Tenor saxヴィド・ムッソVido Musso
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassハリー・グッドマンHarry Goodman
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

こちらはウィルソンがBGのツアーに帯同してハリウッドに行っている時の録音である。この日はブーツ・キャッスルという歌手を加え、5曲録音されたようだが、「ザ・テディ・ウィルソン」には、1曲だけ行われたインスト・ナンバーが収録されている。BG一党による洗練された演奏で、ベイシー軍団のグイグイ押してくるリズム・セクションとの違いが鮮明である。僕自身は少々物足りなく感じる。

<Contents> … 1937年8月29日 ロスアンゼルスにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」(SONP 50332-3)のみ。

record2 B-4貴方を夢見てYou can't stop me from dreaming
「ザ・テディ・ウィルソン」レコード・ジャケット

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetハリー・ジェイムスHarry James
Clarinetアーチー・ロサッティArchie Rosati
Tenor saxヴィド・ムッソVido Musso
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassジョン・シモンズJohn Simmons
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

これは変わった録音だ。まずClにBGではなくロサッテイ、ベースにシモンズという初登場の人物を加えている。他はBG一党で締めている。演奏自体はディキシー風でこれもよく分からない。

<Contents> … 1937年9月5日 ロスアンゼルスにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」(SONP 50332-3)のみ。

record2 B-1浮気はやめたAin’t misbehavin’
record2 B-2ハニーサックル・ローズHoneysuckle rose
record2 B-3ジャスト・ア・ムード(パート1,2)Just a mood part1,2

<Personnel> … テディ・ウィルソン・カルテット(Teddy Wilson Quartet)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetハリー・ジェイムスHarry James
Xylophoneレッド・ノーヴォRed Novo
Bassジョン・シモンズJohn Simmons

これはさらに珍しい演奏だ。BGのカルテット演奏の向こうを張るようなカルテット演奏である。楽器編成もTp、Xyl(シロフォン=木琴)、P、そしてBである。B-1、2ともファッツ・ウォーラーの作である。四者が一体となり作品に新しい息吹を吹き込んでいる。
しかし圧巻は何といってもB-4「ジャスト・ア・ムード」で、これは当時SP盤両面に渡って収められた。これはエリントン、BGに次ぐことであるがコンボで行ったのは、これが最初ではないか?ともかくソロがたっぷり聴ける。曲は12小節のブルースでまずジェイムスが4コーラスを吹くが特に4コーラス目が圧巻である。そしてテディも4コーラス・ソロを取る。2コーラスの終わったところでA面が終わる。B面に移ってさらにテディが2コーラス、そして能坊ことノーヴォが3コーラス取る。モダン期を思わせるような長尺のソロで各自のソロが楽しめる。

「ビリー・ホリディ」レコード第3集」1枚目A面

<Contents> … 1937年9月13日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語」(CBS SOPH 64)のみ。

record5.A-6気ままな人生Getting some fun out of life
record5.A-7誰が恋なんかWho wants love ?
record5.A-8ひとり旅Traverin’ all alone
record5.A-9可笑しなあの人He’s funny that way

<Personnel> … ビリー・ホリディ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday and his orchestra)

Band leader & Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Clarinetバスター・ベイリーBuster Bailey
Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Pianoクロード・ソーンヒルClaude Thornhill
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone

約3か月ぶりのレコーディングである。この間ビリーはベイシー楽団の専属歌手としてツアーなどに同行していた。6月30日には前々回で取り上げたサヴォイ・ボールルームからのラジオ放送にも参加している。
さてこの日のセッションであるが、ここでもビリーが最も安心して歌えるメンバーが揃ったといえる。後に革新的なビッグ・バンドを率いるクロード・ソーンヒルの参加が珍しい。
record5.A-6「気ままな人生」。ここではクレイトンが始めオブリガードを付け、続いてベイリー、ウィルソンと変わっていく。クレイトン、レスターのソロはやはりいいなぁ。
record5.A-7「誰が恋なんか」は当時のポップス・チューンらしい。ソーンヒルのソロはテディの影響をもろに受けているのがよく分かる。
record5.A-8「ひとり旅」。レスターの伸びやかなソロ、クレイトンのミュート・ソロを受けてビリーも快調にスイングしていく。
record5.A-9「可笑しなあの人」は、ビリーの持ち歌で後にも吹き込んでいる。クレイトンの抑え気味のソロが滋味あふれるようで味わい深い。

「ビリー・ホリディ」レコード第3集」1枚目B面

<Contents> … 1937年11月1日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語」(CBS SOPH 64)のみ。

record5.B-1うまい話しさNice work if you can get it
record5.B-2やっと陽の目をThings are looking up
record5.B-3マイ・マンMy man
record5.B-4あの人を愛さずにはいられないCan’t help lovin’ dat man

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Clarinet & Tenor saxプリンス・ロビンソンPrince Robinson
Tenor saxヴィド・ムッソVido Musso
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsコージー・コールCozy Cole

このセッションには何故かレスターの姿がない。この日のヴィド・ムッソとプリンス・ロビンソンの担当楽器について昔から諸説あったらしいがここでは割愛しよう。
record5.B-1「うまい話しさ」は、今でもよく歌われるスインギーでノリのいいナンバー。巨泉氏の言うようにビリー向きではないだろう。
record5.B-2「やっと陽の目を」は切々としたビリーの名唱の後に出るテディのピアノ・ソロが良い。巨泉氏はこのタッチが素晴らしい、このタッチが真似できないのだという。確かにそうかもしれない。
record5.B-3「マイ・マン」は、後にビリーのフェヴァリット・ナンバーとなった曲であるが、ここではテンポも速くまだまだ掘り下げが足りない感じだという。ビリーはこの後じっくりとこの曲を育てていく。
record5.B-4「あの人を愛さずにはいられない」は、クレイトンの高音を控えたソロが滋味深い。ラストの合奏はコーニーだと僕も思う。

「ビリー・ホリディ・クロノロジカル」レコード・ボックス

<Contents> … 1937年11月3日にて録音

"Billie Holidai / Live and provate recordings in chronological order"(輸入盤)
record1A-4言い出しかねてI can't get started

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

Band leader & Pianoカウント・ベイシーCount Basie
Trumpetバック・クレイトンBuck Claytonエド・ルイスEd Lewisボビー・ヒックスBobby Hicks
Tromboneベニー・モートンBenny Mortonダン・マイナーDan Minorエディー・ダーハムEddie Durham
Alto saxアール・ウォーレンEarl Warren
Tenor saxレスター・ヤングLester Youngハーシャル・エヴァンスHerschel Evans
Baritone & alto saxジャック・ワシントンJack Washington
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jones
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

こちらは11月3日にシダー・グローヴのメドウ・ラウンジからCBSラジオで実況放送された録音である。ビリーはライヴだからかメロディーを崩しまくりで注意して聴かないと曲がよく分からないほどだ。バックは、ソロはなくアンサンブルのみである。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年7月25日

第345回 カウント・ベイシー 1937年 その3

No.345 Count Basie 1937 Vol.3

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

ベイシー次の録音はスタジオに戻り、サヴォイ・ボールルームからの実況放送から1週間後に行われる。レコードはビクターが編集再発した「黄金時代のカウント・ベイシー」に移る。これはデッカにレコーディングされたベイシーの完全復活版だというので、デッカと専属契約を行ったベイシーとしては、当然そうなるのであろう。

「黄金時代のカウント・ベイシー」4枚組レコード・ボックス

「黄金時代のカウント・ベイシー」(The complete collection of Count Basie orchestra on Decca) MCA records VIM-5501〜5504

<Contents> … 1937年7月7日 ニューヨークにて録音

レコード1.B面1スマーティSmarty
レコード1.B面2ワン・オクロック・ジャンプOne O’clock jump
レコード1.B面3リッスン・マイ・チルドレン・アンド・ユー・シャル・ヒアListen , my children and you shall hear
レコード1.B面4ジョンズ・アイディアJohn’s idea

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

Band leader & Pianoカウント・ベイシーCount Basie
Trumpetバック・クレイトンBuck Claytonエド・ルイスEd Lewisボビー・ムーアBobby Moore
Tromboneジョージ・ハントGeorge Huntダン・マイナーDan Minor
Alto saxアール・ウォーレンEarl Warren
Tenor saxレスター・ヤングLester Youngハーシャル・エヴァンスHerschel Evans
Baritone & alto saxジャック・ワシントンJack Washington
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jones
Vocalジミー・ラッシングJimmy Rushing

パーソネルは、前録音6月30日から変わっていない。強いて言えばヴォーカルにビリー・ホリディが加わっていないことくらい。編曲にバスター・スミスとジミー・マンディが加わっていると書いているが、どの曲を誰が担当したのかは書かれていない。バスター・スミスは拙HP第37回で取り上げた。若きチャーリー・パーカーが師と仰いだ人物である。

「黄金時代のカウント・ベイシー」1枚目B面

6月30日のサヴォイ・ボールルームからの放送では元気なところを見せていたと思われるベイシー楽団だったが、「黄金時代のカウント・ベイシー」解説の大和明氏によれば、この頃バンドメンの多くはすっかり自信を失くしていたという。ニューヨークでは、あまりウケなかったかららしい。自分たちの音楽を理解してくれたカンサス・シティに戻った方が賢明だという意見さえ出始めていたという。しかし彼らは戻らなかった。それは、この日録音した「ワン・オクロック・ジャンプ」がヒットし始めたからだという。

レコード1.B面1「スマーティ」。落ち着いたリラックスしたテンポに乗って、クレイトン、エヴァンス、ベイシーがそれぞれの持ち味を発揮したソロを取る。ベイシーのソロのバックのリズムの動きを聴けば、このバンドを支えるリズム・セクションが如何に素晴らしいかがよく分かる。クレイトンは、ジョー・スミスから受け継いだ洗練された味を一層深めた表現で、エヴァンスのデリケートな表現も魅力的だ。
レコード1.B面2「ワン・オクロック・ジャンプ」は、上記でも述べたように、ベイシー楽団出世の糸口となった代表作。大和氏によれば、この曲の原型はもっと以前からあったのだという。それはファッツ・ウォーラーが作曲した”Six or seven times”である。一方35年にベイシーと共同で<Barons of rhythm>というバンドを率いたアルト奏者のバスター・スミスは、かつてマッキニーズ・コットン・ピッカーズの演奏でこの曲を聴きそのイントロを覚えていた。ある時ベイシーと演奏していた時にこのリフを吹いたところ、同じくホット・リップス・ペイジ、ダン・マイナー、ジャック・ワシントンらがそれに合わせて演奏し始めた。それをまとめ上げてこの曲に仕立て上げたのである。当時この曲には、”Blue balls”という曲名が付けられ、同バンドのレパートリーとなっていたのであるが、その数週間後、リトル・ロックで深夜にこの曲を放送したところ、アナウンサーが1時に近いのでこの曲を”One O'clock jump”と紹介してよいかとベイシーらに同意を求めた結果このタイトルとなったという。また一説には、ベイシー自身が腕時計を見て咄嗟に”One O'clock jump”と言ったとも伝えられる。
多くのバンドによって数え切れぬほど録音がなされているが、何といってもこのオリジナル演奏が最も素晴らしい。次々とスポットを浴びる各奏者もスリリングなアドリブ(特に他の一線を画するレスターのソロの出だしに注目)。華麗なアンサンブルやアドリブ・ソロを飾る特有のリフ、何気なく挿入されるベイシーの右手とリズム陣が重なる躍動感、これを聴いてベイシーに心奪われた人はさぞかし多いであろうという。
レコード1.B面3「リッスン・マイ・チルドレン・アンド・ユー・シャル・ヒア」。ラッシングのヴォーカルも素晴らしいが、ベイシーの哀感を漂わせたロマンチシズム溢れるピアノが素晴らしい。
レコード1.B面4「ジョンズ・アイディア」ベイシーとダーハムの共作になるベイシー楽団の本領発揮のジャンプ・ナンバー。タイトルの”John”は、もちろん米しーを世に出してくれたJohn Hamonnd氏のことである。
弾力性に富んだベイシーの力強いタッチ、男性的なトーンでうねるような豪快なソロを取るエヴァンス。しかし最も強烈な印象はジミー・マンディの鮮やかな編曲と爆発的なブラス・セクションによるアンサンブル・サウンドであろう。さすが「シング・シング・シング」のマンディである。ラスト近くにブレーク風に出てくるテナーはレスターである。エンディングのベイシーの音階を下げるグリッサンドの様なプレイが面白い。

「黄金時代のカウント・ベイシー」解説

<Contents> … 1937年8月9日 ニューヨークにて録音

レコード1.B面5グッド・モーニング・ブルース(テイク1)Good morning blues(take1)
レコード1.B面6グッド・モーニング・ブルース(テイク2)Good morning blues(take2)
レコード1.B面7アワ・ラヴ・ウォズ・メント・トゥ・ビーOur love was meant to be
レコード1.B面8タイム・アウトTime out
レコード1.B面9トプシーTopsy

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

7月7日からの変更点
Trombone … ジョージ・ハント ⇒ ベニー・モートン Benny Morton
Trombone , Guitar & Arrangement … エディー・ダーハム Eddie Durham ⇒ In

”One O'clock jump”の猛烈なヒットで、ニューヨークに受け入れられたベイシー楽団は1か月後再びスタジオに入る。

レコード1.B面5,6「グッド・モーニング・ブルース」。ジミー・ラッシングが本領発揮の力強い素晴らしいブルースを聴かせる。スロー・ブルースの傑作として名高いナンバーであるという。クレイトンの泣きのプレイも彼の代表作に数えられるものだという。
レコード1.B面7「アワ・ラヴ・ウォズ・メント・トゥ・ビー」。こちらはリード・アルトとして数か月前に加入したばかりのアール・ウォーレンのヴォーカルをフューチャーしたナンバー。
レコード1.B面8「タイム・アウト」は、エディ・ダーハム作・編曲のリラックスしたテンポのオリジナル・ナンバー。アドリブ・コーラスを先に出し、ブラス・セクションとリード・セクションを交差させたリフによって構成するアンサンブル・テーマを後に置くなど凝った手法で聴かせる。
アンサンブルによるイントロからアドリブ・コーラスへとつなぐ4小節をエヴァンスが吹き、そのすぐ後レスターによるアドリブとなる。クレイトンの渋いミュート・プレイに続いてグリーンの刻むリズムをバックとしてダーハムがエレキ・ギターによるソロを取る。ダーハムはチャーリー・クリスチャンに先駆けてエレキ・ギターによるプレイを行った先駆者の一人だが、これを聴いても分かる通り、テクニックやハーモニー、メロディーなどの面で従来のアコースティック・ギターの域を出ておらず、この楽器の特性を充分に発揮するプレイはクリスチャンの登場を待たねばならなかった。
レコード1.B面9「トプシー」。これもダーハムが書いた有名なジャンプ・ナンバー。後バップの発祥地となったニューヨークの<ミントンズ・プレイ・ハウス>でチャーリー・クリスチャンがこの曲のコード進行を使った有名な演奏の録音がある(”Charlie Christyan at the Minton's”拙HP第97、98回で取り上げた)。
ここでもダーハムの編曲は、テーマを先に出さず、ワシントンのソロの最後に着けるバック・アンサンブルからテーマに基づいたフェイクをすることによって初めてテーマを明らかにしている。

「黄金時代のカウント・ベイシー」2枚目A面

<Contents> … 1937年10月13日 ニューヨークにて録音

レコード2.A面1アイ・キープ・リメンバリングI keep remembering
レコード2.A面2アウト・ザ・ウィンドウOut the window
レコード2.A面3ドンチュー・ミス・ユア・ベイビーDon't you miss your baby
レコード2.A面4レット・ミー・ドリームLet me dream

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

8月9日からの変更点
Trumpet … ボビー・ムーア ⇒ ビリー・ヒックス Billy Hicks

レコード2.A面1「アイ・キープ・リメンバリング」。入団したばっかりのモートンが特有のソフトなトーンで流れるようにレガートなストレート・メロディを歌わせる。これがモートンの持ち味らしい。ヴォーカルはラッシング。ベイシーのオブリガードが素晴らしい。エヴァンスのソロもいい。
レコード2.A面2「アウト・ザ・ウィンドウ」ダーハムの書いたジャンプ・ナンバー。編曲もダーハム。「タイム・アウト」、「トプシー」などで分かるように初期ベイシー楽団において彼がいかに重要な役割を果たしていたかが窺い知れる。
ウォーレン、モートン、ヤングと短いソロが交錯する。モートンについては、代表的なソロ・ワークとして定評があるという。
レコード2.A面3「ドンチュー・ミス・ユア・ベイビー」ベイシー、ダーハム、ラッシングの共作によるブルースで、ミディアム・テンポのブルースとして傑作である。「オール・アメリカン・リズム・セクション」一体となった躍動感、サトルなクレイトンのソロ、もちろんラッシングは言うことなし。ジョーンズのメンバーを鼓舞するドラミングが素晴らしい。
レコード2.A面4「レット・ミー・ドリーム」は「黒いトミー・ドーシー」と言われるモートンの情感豊かなプレイが印象的。ヴォーカルはウォーレンで、路線としてはポップス系を狙ったもの。ベイシー本来の演奏ではないとは大和氏。

フレッチャー・ヘンダーソンのこの年の録音などを聴くとこれは何だろう?ジャズなんだろうか?と思うこともあるが、ベイシーについてはそういうことがない。ジャズ真っ只中という感じがする。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年7月22日

第344回 カウント・ベイシー 1937年 その2

No.344 Count Basie 1937 Vol.2

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

エレック・レコ―ド「古井戸の世界」レコード・ジャケット

カウント・ベイシー楽団は、前1936年にジョン・ハモンド氏によって発見され、色々経緯があり1937年から本格的な録音を開始する。その第2回である。
では、第1回はいつだったかというと、2015年7月1日にアップした第105回で取り上げているのである。因みにベイシー楽団を発見し、デビューさせるよう骨を折ったハモンド氏は、すんでのところで契約をDeccaにかすめ取られてしまう。ベイシー楽団のDeccaとの契約は、1937年1月からだったため、ハモンド氏はニュー・ヨークに向かう楽団からメンバーをピック・アップし、シカゴに立ち寄り2面分のレコーディングを行うのである。その録音については、2015年6月21日第104回で取り上げている。
大分時間が空いているので再録しようかとも思ったが、いずれこの「年代順に聴く」シリーズをまとめようと思っているので、その時に編集し直そうと思う。
ということで今回は、第105回の続きから。
ベイシー楽団が本格的にDeccaに吹き込むのは1937年1月21日のセッションからで、第105回では1月21日と3月23日に吹き込んだ8曲を取り上げた。
次のレコーディング・セッションは7月7日に行われるが、その前に貴重な録音が発掘された。それが本日取り上げる「カウント・ベイシー・アット・サヴォイ・ボールルーム 1937」である。
このレコードの驚くべきところは、まずレーベルが「エレック」だということだ。「エレック」はURC、ベルウッドとともに昭和40年代に設立されたフォーク3大レーベルの一つだ。吉田拓郎や泉谷しげるなど現代も活躍するアーティストがここからデヴューした。僕も何枚かフォークのアルバムを持っていた。吉田拓郎か泉谷しげるのレコードをと思ったが、何故か「古井戸」のレコードしか見つからなかった。
最初にこのレコードを手にした時はかなり驚いた。「あのエレックがジャズの復刻版?」。僕はこのレコードをずっと後になって手に入れ、発売された当時は全く知らなかった。オン・タイムでこのレコードのシリーズの発売を知った方はかなり驚かれたことだろうと思う。因みにエレック・レコードは一度倒産したようだが、2004年に再生復活し現在も営業中のようだ。ただこのシリーズ(ELEC Jazz series collector’s item)は復刻していないようである。


第344回Count Basie 1937 Vol.2

  「カウント・ベイシー・アット・サヴォイ・ボールルーム」レコード・ジャケット

「カウント・ベイシー・アット・サヴォイ・ボールルーム 1937」 ELEC Record KV-109

<Contents> … 1937年6月30日 ニューヨーク・サヴォイ・ボールルームから実況放送

A面
B面
1.テーマ:モーテン・スイングTheme: Moten swing 1.アイル・オールウェイズ・ビー・イン・ラヴ・ウィズ・ユーI'll always be in love with you
2.シャウト・アンド・フィール・イットShout and feel it 2.ホエン・マイ・ドリームボート・カムズ・ホームWhen my dreamboat comes home
3.ザ・ユー・アンド・ミー・ザット・ユースド・トゥ・ビーThe you and me that used to be 3.スイング・ブラザー・スイング!Swing ! brother , awing !
4.ザ・カウント・ステップ・インThe count step in 4.ビューグル・ブルースBugle blues
5.ゼイ・キャント・テイク・ザット・アウェイ・フロム・ミーThey can’t take that away from me 5.アイ・ガット・リズムI got rhythm

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

Band leader & Pianoカウント・ベイシーCount Basie
Trumpetバック・クレイトンBuck Claytonエド・ルイスEd Lewisボビー・ムーアBobby Moore
Tromboneジョージ・ハントGeorge Huntダン・マイナーDan Minor
Alto saxアール・ウォーレンEarl Warren
Tenor saxレスター・ヤングLester Youngハーシャル・エヴァンスHerschel Evans
Baritone & alto saxジャック・ワシントンJack Washington
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jones
Vocalジミー・ラッシングJimmy Rushingビリー・ホリディBillie Holiday
「カウント・ベイシー・アット・サヴォイ・ボールルーム」レコードA面

前録音3月26日から移動
Alto sax … コーギー・ロバーツ ⇒ アール・ウォーレン(Earl Warren)

カウント・ベイシー楽団が、一度シカゴで録音を行い、グランド・テラスに出演した後、バッファローのヴァンドーム・ホテルやピッツバーグのホテル・ウィリアム・ペンなどに出演しながらニューヨークに向かった。そしてニューヨークのジャズ・シーンに登場したのは、1936年も押し詰まった12月末の<ローズランド・ボールルーム>への出演だった。そして評論家やミュージシャンの多くは、ダイナミックなスイング感と優れたソロイストたちによるリラックスしたアドリブの共演に酔ったが、一般受けはしなかった。一般に受けたのは同じカンサス・シティ出身のアンディー・カークの方だった。当時のニューヨークのジャズは、複雑なアレンジを洗練された、メカニックで整然とした演奏でスマートにこなすやり方が受けていたのである。
すっかり意気消沈したベイシーは、自分のバンドはコマーシャルな点にかけているから人気がないとと思い、それまでのやり方を変えようとさえ思った。しかし周囲の励ましとメンバーの主張によって、カンサス・シティ時代以来のメンバー9人がが一致団結してリラックスした演奏が受けていたように、14人が力を合わせれば、いつかはカンサス・シティと同じようにこのニューヨークでも自分たちのやり方が理解されるに違いないと考えるようになった。

それから彼らは半年間頑張り、37年1月と3月に各4曲ずつレコーディングしたが、大した反響は得られなかった。それでもベイシー楽団の単純明快な、スイングというよりジャンプするように迫ってくる演奏は、優れたアドリブ展開と共に、次第に多くの人の関心を集めるようになっていった。
特に”ブラック・キャット・カフェ”でプレイしていたギターのフレディー・グリーンがジョン・ハモンド氏の推薦によって3月に参加してからは、一段とリズム・セクションの充実ぶりが輝き、ポール・ホワイトマンをして”All American rhythm section”と言わしめるほどの四者が一体となった見事なリズムを刻んだ。ここにベイシー・サウンドの源泉となったこのバンドのリズム・セクションが完成していった。
またジミー・ラッシングと並んで、37年3月から約1年間、ビリー・ホリディが専属女性ヴォーカリストとして参加するようになった。もちろんこれもジョン・ハモンド氏のアイディアによるものであった。そしてベイシー楽団は、デビューの場所となった<ローズランド・ボールルーム>と並ぶ広大なダンス・フロアを持っていたハーレムの<サヴォイ・ボールルーム>に出演し、そのエキサイティングな演奏が全米に生ラジオ放送されることになるのである。その時の模様を収めたのが今回取り上げるレコードである。
なお解説の大和明氏によると、この時の演奏は30分番組として放送された。これまでプライヴェート・レーベルやTemple、Palmなどから何曲か発売されたことはあるが、放送分前曲をまとめてレコード化されたのはこれが初めてだという。

「カウント・ベイシー・アット・サヴォイ・ボールルーム」レコードB面

ハッキリ言って、音はよくない。しかしこれまで想像できなかった史上最高のスイング・バンドの初めてのライヴ演奏、何といっても迫力が違う。
A-1「テーマ:モーテン・スイング」。オープニングは母体となったバンド、ベニー・モーテン時代の曲だ。ベイシーのピアノによるテーマから、レスターのテナーがスムーズにアドリブを吹き、アンサンブルに入る。 A-2.「シャウト・アンド・フィール・イット」は、リードとブラスの「コール・アンド・レスポンス」形式のカンサス・リフ・スタイルの迫力あるアンサンブルから始まる。クレイトンのシンプルなフレイズを重ねたソロ、そしてエヴァンスのTsソロにも絶え間なくリフが付けられ、演奏を鼓舞する。そしてその後に出るベイシーのソロに付けられるリズム・セクションの躍動感。まさに「オール・アメリカン・リズム・セクション」である。さらに続く迫力満点のアンサンブル。豪快そのものである。
A-3.「ザ・ユー・アンド・ミー・ザット・ユースド・トゥ・ビー」。ここでジミー・ラッシングが登場し、当時のポピュラー・ソングを歌う。ブルース・シンガーとして名高いラッシングが歌う流行歌は甘さに欠けるところがあるが、逆に一般のポピュラー歌手にない味を漂わせている。その後のレスターのソロも味わい深い。
A-4.「ザ・カウント・ステップ・イン」。リズム隊が否が応でも乗せまくるというベイシー作のジャンプ・ナンバー。荒々しいアンサンブルから、レスター、クレイトン、ウォーレン、ベイシー、ジョーンズとソロが続く、もしかしたら最もベイシーらしい演奏かもしれない。
A-5.「ゼイ・キャント・テイク・ザット・アウェイ・フロム・ミー」。ここでビリー・ホリディの登場となる。ビリーは気怠い雰囲気で、後に引きずるような独特の唱法が印象的だ。

B-1.「アイル・オールウェイズ・ビー・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」。冒頭のリズム・セクションが一体となったスイング感に「オール・アメリカン・リズム・セクション」の真骨頂が聴かれる。その後に出るレスターはいかにも楽し気だ。
B-2.「ホエン・マイ・ドリームボート・カムズ・ホーム」。再びラッシングの登場。この人は一体どのくらい声量があるんだろう、物凄い声量で圧倒される。
B-3.「スイング・ブラザー・スイング!」。そしてこちらはビリーがきかせる。実にスインギーによく乗っているが、やはり後に引くような彼女独特の乗り方が特徴的である。
B-4.「ビューグル・ブルース」。本来は「ビューグル・コール・ラグ」という名の曲だが、ここでは名前を変えられている。ベイシー楽団のソロを次々にフューチャーしたナンバー。先頭を切るのはクレイトン、いつもながら堅く引き締まったトーンでよく歌っている。そしてうねるようなエヴァンス、豪放なハント、そしてジョーンズ、ウォーレン、ルイスの後のレスターが鮮やかだ。但し、途中で音が突然変わるのは残念だ。しかしエアチェックの音源なので仕方ないだろう。
B-5.「アイ・ガット・リズム」。最後のナンバー。ここではこの曲を得意としたレスターの圧巻のプレイが堪能できる。
そして最後のアナウンスと共に曲はクロージング・テーマである”One O'clock jump”に移り、レスターのソロが始まるとフェイド・アウトしながらこの日の放送は終了するのである。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年7月18日

第343回 アート・ティタム 1937年

No.343 Art Tatum 1937

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「アート・ティタムの芸術」(The art of Tatum) 3枚組ボックス MCA-3073〜75

<Contents> … 1937年11月29日録音 ニューヨークにて録音

2枚目A面1.風と共に去りぬGone with the wind
2枚目A面2.ストーミー・ウエザーStormy weather
2枚目A面3.クロエCholoe
2枚目A面4.アラビアの酋長The shiek of Araby
2枚目A面5.二人でお茶をTea for two

<Personnel> … アート・ティタム・ピアノ・ソロ

アート・ティタムを取り上げるのは2回目、前回は1934年の録音だった(第299回)。スイング・ビッグ・バンド全盛の時代にピアノ1本で勝負するティタムはスゴイと思う。また一方それを録音したレコード会社もエライと思う。
さて本年アカデミー賞作品賞に輝いたのは、『グリーン・ブック』。天才ピアニスト、ドン・シャーリーという実在の天才ピアニストが人種差別の激しい南部へ演奏旅行をする話だ。この映画でシャーリーはクラシックを弾きたいが、黒人であるためそれは難しいという話が出る。運ちゃんのトニーは、「お前にしかできないことをやれ」という。こういう話はシャーリーに始まったことではない。アート・ティタムこそウラジミール・ホロヴィッツをも驚愕させたテクニックの持ち主だったのにも関わらず、クラシックのピアニストへの道をあきらめジャズへと進んだのだった。


全体を通していえば、当時の人気曲をティタム風に演奏したということになると思う。一番大人しく弾いているのは、A面3.「クロエ」辺りだと思うがそれでも装飾過多と思わざるを得ない。解説の油井正一氏は彼のハーモニー、コード進行に注目し、革新的であると述べている。確かにそうかもしれないがそれはジャズ・ピアニストを目指す人などには、非常に参考になるプレイかもしれぬが、そうではない僕のような一般ピープルには全く分からない。ただただ手数が多い、すごいテクニックなんだろうけど…。まぁ無理に聴かなくてもいいや、ということになってしまう。
崇拝する皆さん、申し訳ない。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年7月17日

第342回フレッチャー・ヘンダーソン 1937年

No.342 Fletcher Henderson 1937

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前回はBGと対バンを張ったことで有名な(それ以外でも有名ですが)チック・ウエッブのバンドを取り上げました。今回はBGのサポート役としても有名なフレッチャー・ヘンダーソンの、彼自身の名義による1937年の録音を聴いていこう。この年もフレッチャーにしては活発な活動ぶりであったようだ。

フレッチャー・ヘンダーソンのレコーディング集として有名な「スタディ・イン・フラストレイション」は、この年の録音から3曲をピック・アップして収録しているが、2枚組CDセットには、全曲収録してある。ということで今回も左の2枚組CD”Classic jazz archive/Fletcher Hennderson”で聴いていこう。

<Contents> … 1937年3月2日 ニューヨークにて録音

CD1-23.ホワット・ウィル・アイ・テル・マイ・ハート?What will I tell my heart ?
CD2-1.サラミング・オン・パーク・アヴェニューSlumming on park avenue
CD2-2.イッツ・ウエアリン・ミー・ダウンIt’s wearin’ me down
CD2-3.リズム・オブ・ザ・タンバリンRhythm of the tambourine

<Personnel> … フレッチャー・ヘンダーソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Fletcher Henderson and his Orchestra)

Band leaderフレッチャー・ヘンダーソンFletcher Henderson
Trumpetディック・ヴァンスDick Vanceラッセル・スミスRussell Smithエメット・ベリーEmmett Berry
Tromboneエド・クッフィーEd Cuffeeジョージ・ワシントンGeorge WashingtonJ.C.ヒギンボッサムJ.C.Higginbotham
Clarinet & Alto saxジェリー・ブレイクJerry Blake
Alto saxヒルトン・ジェファーソンHilton Jefferson
Tenor saxエルマー・ウィリアムスElmer Williamsチュー・ベリーChu Berry
Pianoホレス・ヘンダーソンHorace Henderson
Guitarローレンス・ルーシーLawrence Lucie
Bassイスラエル・クロスビーIsrael Crosby
Drumsウォルター・ジョンソンWalter Johnson
Vocalドロシー・デリックDorothy Derrick

CD1-23.「ホワット・ウィル・アイ・テル・マイ・ハート?」は、スロウなナンバーでメロウなアンサンブルが聴かれる。歌手のドロシー・デリックのことはよく分からないが、声から白人と思われる。エンディングはハワイアン風だ。
CD2-1.「サラミング・オン・パーク・アヴェニュー」は、クラリネットとアルト・サックスのジェリー・ブレイクがヴォーカルを取っている。アレンジもブレイクが担当している。
CD2-2.「イッツ・ウエアリン・ミー・ダウン」も、ドロシーのヴォーカル入りのメロウナンバー。
CD2-3.「リズム・オブ・ザ・タンバリン」。因みに“A study in frustration”には、この曲のみがこの日のセッションからは収録されている。アレンジはベニー・カーターが担当したようだ。この日唯一のインスト・ナンバー。なかなか手の込んだアレンジで聴き応えがある。

<Contents> … 1937年3月22日 ニューヨークにて録音

CD2-4.バック・イン・ユア・オウン・バックヤードBack in your own backyard
CD2-5.スタンピードStampede
CD2-6.ローズ・ルームRose room
CD2-7.グレート・シーザーズ・ゴーストGreat Caesar’s ghost
「クラシック・ジャズ・アーカイヴ」CD1枚目

<Personnel> … フレッチャー・ヘンダーソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Fletcher Henderson and his Orchestra)

CD2-4.「バック・イン・ユア・オウン・バックヤード」因みに“A study in frustration”には、この曲のみがこの日のセッションからは収録されている。フレッチャーのアレンジ。チュー・ベリーのソロはやはり聴き応えがある。
CD2-5.「スタンピード」は1926年録音の再録と思われるが、かなり形を変えているので最初は分からなかった。26年の方は、粟村政昭氏がこのジョー・スミスのTpソロを聴いて感動せぬ奴は人間ではないとまで言った傑作だったが、こちらはかなり軽快な仕上がりになっている。
CD2-6.「ローズ・ルーム」。後にチャーリー・クリスチャンを加えたBGバンドの名演が有名になる曲。ここではやはりチューが良いと思う。
CD2-7.「グレート・シーザーズ・ゴースト」は、偉大なシーザーの幽霊ということだろうか?ディック・ヴァンスのアレンジがなかなか良い。

<Contents> … 1937年6月30日 ニューヨークにて録音

CD2-8.イフ・ユー・エヴァー・シュド・リーヴIf you ever should leave
CD2-9.ポージンPosin’
CD2-10.オール・ガッヅ・チラン・ガット・リズムAll god’s chillum got rhythm
CD2-11.クリス・アンド・ヒズ・ギャングChris and his gang

<Personnel> … フレッチャー・ヘンダーソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Fletcher Henderson and his Orchestra)

これまでは、“A study in frustration”、“Classic jazz archive”そしてWeb版のディスコグラフィーが食い違っていないのだが、この日については大分データが異なる。
先ずセッションの日付だが、“A study in frustration”では6月3日としているが他は6月30日としている。多数決というわけでもないが、ここでは6月30日としておいた。ここでも僕には決め手がないので、並記しておくことにする。 そして不確定のプロフィールは割愛する。

「スタディ・イン・フラストレイション」CD3枚目
パーソネル比較 … 3月22日から変わった人物

“A study in frustration”
Trombone … ジョージ・ワシントン ⇒ Out
Trombone … ジョージ・ハント George Hunt ⇒ In
Trombone … ミルト・ロビンソン Milt Robinson ⇒ In

“Classic jazz archive”
Tenor sax … チュー・ベリー ⇒ ベン・ウエブスター Ben Webster

“Web”
Trombone … ジョージ・ワシントン ⇒ Out
Trombone … ジョン・マコンネル John McConnell ⇒ In
Trombone … アルバート・ウィン Albert Wynn ⇒ In
Drums … ウォルター・ジョンソン ⇒ ピート・サッグス Pete Suggs

CD2-8.「イフ・ユー・エヴァー・シュド・リーヴ」は、チャック・リチャーズ(Chuck Richards)のヴォーカル入り。チャック・リチャーズは白人の経営するラジオ局で初めてパーソナリティとなった黒人らしい。しかし歌手を退きサーカスのライオン使いになったという変わり種。声を聞く限り白人ぽいのだが…。
CD2-9.「ポージン」。これもチャック・リチャーズのヴォーカル入り。
CD2-10.「オール・ガッヅ・チラン・ガット・リズム」。こちらはジェリー・ブレイクがヴォーカルとる。
CD2-11.「クリス・アンド・ヒズ・ギャング」。“A study in frustration”には、この曲のみがこの日のセッションからは収録されている。この日唯一のインスト・ナンバー。テナー・ソロを聴く限りもしかするとチューではなく、ベン・ウエブスターかもしれないという気がしてくる。

「スタディ・イン・フラストレイション」CD3枚目

<Contents> … 1937年9月22日 ニューヨークにて録音

CD2-12.レット・エル・ゴーLet ‘el go
CD2-13.ウォリード・オーヴァー・ユーWorried over you
CD2-14.ホワッツ・ユア・ストーリーWhat’s your story (What’s your jive)
CD2-15.トゥリーズTrees

<Personnel> … フレッチャー・ヘンダーソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Fletcher Henderson and his Orchestra)

この日のセッションは“A study in frustration”には収録されていない。ということで“Classic jazz archive”における3月22日との変更点を挙げてみる。 Trombone … ジョージ・ワシントン ⇒ Out
Trombone … ジョン・マコンネル John McConnell ⇒ In
Trombone … アルバート・ウィン Albert Wynn ⇒ In
Tenor sax … ベン・ウエブスター ⇒ チュー・ベリー Chu Berry(前録音から変更)
Drums … ウォルター・ジョンソン ⇒ ピート・サッグス Pete Suggs
Web版ではベン・ウエブスター(Ben Webster)がこの録音から加わったとするがポジションがトランペットになっている。ベニー・カーターのようにアルト・サックスが有名だが、トランペットも上手いという人もいるが、ベンの場合Tpも奏するという話は聞いたことがない。今回はWeb版は無視しよう。

CD2-12.「レット・エル・ゴー」、アップ・テンポでスインギーなナンバー。ジェリー・ブレイクのヴォーカルが入る。
CD2-13.「ウォリード・オーヴァー・ユー」は一転してスロウなナンバー。チャック・リチャーズのヴォーカル入り。聴けば聴くほど、黒人とは思えない歌声である。
CD2-14.「ホワッツ・ユア・ストーリー」は、ジェリー・ブレイクのヴォーカル入り。
CD2-15.「トゥリーズ」は、チャック・リチャーズのヴォーカル入り。ブレイクと2曲ずつヴォーカルを分け合った形だ。

「クラシック・ジャズ・アーカイヴ」CD2枚目

<Contents> … 1937年10月25日 ニューヨークにて録音

CD2-16.イフ・イッツ・ザ・ラスト・シング・アイ・ドゥIf it’s the last thing I do
CD2-17.シング・ユー・ジナーズSing you sinners
CD2-18.ユーアー・イン・ラヴ・ウィズ・ラヴYou're in love with love
CD2-19.スティーリン・アップルズStealin’ apples

<Personnel> … フレッチャー・ヘンダーソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Fletcher Henderson and his Orchestra)

“A study in frustration” と“Classic jazz archive”では、・トロンボーンとサックス・セクションのパーソネルが異なる。
見にくいと思うがまとめると以下のようになる。

“A study in frustration”VS“Classic jazz archive”
TromboneEd Cuffee、Al Wynn、John McConnellVSEd Cuffee、Al Wynn、George Hunt or Fred Robinson
ReedsHilton Jefferson、Jerry Blake、Elmer Williams、Ben WebsterVSEddie Barefield、Bud Johnson 、Elmer Williams、Chu Berry

CD2-16.「イフ・イッツ・ザ・ラスト・シング・アイ・ドゥ」は、チャック・リチャーズのヴォーカル入りの当時のポップス・チューンと思われる。
CD2-17.「シング・ユー・ジナーズ」因みに“A study in frustration”には、この曲のみがこの日のセッションからは収録されている。フレッチャーがアレンジを担当したインスト・ナンバー。
CD2-18.「ユーアー・イン・ラヴ・ウィズ・ラヴ」。これもリチャーズの歌うポップ・ナンバー。
CD2-19.「スティーリン・アップルズ」は、前年録音の再録。イントロでは珍しくフレッチャーの少し長めのピアノ・ソロが聴ける。ファッツ・ウォーラーの影響を感じるのだが自信はない。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年7月13日 7月19日追記

第341回チック・ウェッブ 1937年

No.341 Chick Webb 1937

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”Cab - Ella & Chick”レコード・ジャケット

<Contents> … 1937年3月24日 ニューヨークにて録音

“Cab - Ella & Chick”Bandstand records 7125(輸入盤)

B面4.クライン・ムードCryin' mood

<Personnel>…チック・ウエッブ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Chick Webb and his Orchestra)

Band leader & Drumsチック・ウェッブChick Webb
trumpetマリオ・バウザMario Bauzaボビー・スタークBobby Starkタフト・ジョーダンTaft Jordan
Tromboneサンディ・ウィリアムスSandy Williamsナット・ストーリーNat Story
Clarinet & Alto saxチャウンシー・ホートン Chauncey Haughton
Alto saxルイ・ジョーダンLouis Jordan
Tenor saxテディ・マクレーTeddy McRaeウェイマン・カーヴァ―Wayman Carver
Pianoトミー・フルフォードTommy Fulford
Guitarボビー・ジョンソンBobby Johnson
Bassビヴァリー・ピアBeverly peer
Vocalエラ・フィッツジェラルドElla fitzgerald



”Princess of Savoy”レコード・ジャケット

前録音1936年10月29日との変更
Trombone … クロード・ジョーンズ ⇒ ナット・ストーリー Nat Story
Clarinet & Alto sax … ピート・クラーク ⇒ チャウンシー・ホートン Chauncey Haughton
Alto sax … エドガー・サンプソン ⇒ ルイ・ジョーダン Louis Jordan
Piano … ジョー・スティール ⇒ トミー・フルフォード Tommy Fulford
Guitar … ジョン・トルーハート ⇒ ボビー・ジョンソン Bobby Johnson

ミディアム・スローの曲でエラはじっくり歌いこんでいるがこの落ち着きぶりはどうだろう。

僕の持っている次の録音は半年以上空いて10月の末になる。本来BGと有名なバンド合戦を繰り広げた直後辺りの録音が欲しいところだが、残念ながら保有していない。
この日(10月27日)録音された音源は3曲で2枚のレコードの分散収録されている。

<Contents> … 1937年10月27日 ニューヨークにて録音

”Chick Webb/Princess of the Savoy” MCA-1348 輸入盤
”Chick Webb/Ella swings the band” MCA-1327 輸入盤

曲名原題レコード個所
アイ・ガット・ア・ガイI got a guy“Princess of the savoy”A面5.
ジャスト・ア・シンプル・メロディーJust a simple melody“Ella swings the band”A面5.
ホリディ・イン・ハーレムHoliday in harlem“Ella swings the band”A面6.
”Ella swings the band”レコード・ジャケット

<Personnel>…チック・ウエッブ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Chick Webb and his Orchestra)

レコードにおけるパーソネルは同じ。3月24日録音と異なる点
Trombone … ジョージ・マシューズ George Mattheews ⇒ In
Clarinet & Alto sax … チャウンシー・ホートン ⇒ ガルヴィン・ブッシェル Garvin Bushell
Alto sax … ルイ・ジョーダン ⇒ ヒルトン・ジェファーソン Hilton Jefferson

「アイ・ガット・ア・ガイ」も、エラのヴォーカルの後、短いがマクレーのTsソロが良い雰囲気を伝えてくれる。
「ジャスト・ア・シンプル・メロディー」はミディアム・アップ・テンポのナンバーで、エラのスキャットを交えたヴォーカルも入るが、アンサンブル中心の曲。
「ホリディ・イン・ハーレム」もミディアム・アップ・テンポのナンバー。

<Contents> … 1937年12月10日 ニューヨークにて録音

“Chick Webb/Bronzeville stomp”Jazz archives JA-33(輸入盤)

B面7.ブロンズヴィル・ストンプBronzeville stomp
B面8.シーズ・トール・シーズ・タン・シーズ・テリフィックShe’s tall , she’s tan , she’s terrific
B面9.ハニーサックル・ローズHoneysuckle rose
”Bronzeville stomp”レコード・ジャケット

<Personnel>…チック・ウエッブ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Chick Webb and his Orchestra)

Alto sax … ヒルトン・ジェファーソン ⇒ ルイ・ジョーダン Louis Jordan

この3曲はサヴォイ・ボールルームからのラジオ放送を収録したもので、途中アナウンスが入ったりしている。
B面7.「ブロンズヴィル・ストンプ」は、僕の持っているこの年のウエッブの唯一のインスト・ナンバー。テナーのマクレーの作だという。
B面8.「シーズ・トール・シーズ・タン・シーズ・テリフィック」は、エラのヴォーカル入り。
B面9.「ハニーサックル・ローズ」は、ご存知ファッツ・ウォーラー作のスタンダード・ナンバー。エラの1コーラスのヴォーカルを挟んで、独特のアンサンブル・リフやTsとCl、Asのソロが聴かれる。僕の持っている中ではこの年のベスト・トラック。

<Contents> … 1937年12月17日 ニューヨークにて録音

“Chick Webb with Ella Fitzgerald/Princess of the savoy 1936-39” MCA-1348(輸入盤)

A面6.夢がかなったらIf dreams come true

<Personnel>…チック・ウエッブ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Chick Webb and his Orchestra)

12月10日と同じ

「夢がかなったら」は、BGも同年12月3日に録音している。同日の録音には歌手マーサ・ティルトンがいたにもかかわらず、インストのみであった。こちらはエラのヴォーカル入り。

追記 2019年7月19日

7月19日(金曜日)レコードを整理していたら、チック・ウエッブとエラ・フィッツジェラルドの録音1曲収録したレコードを見つけてしまった。今の内に追記しておこう。

”ChickWebb_WithEllaFitzgerald”レコード・ジャケット

"Ella Fitzgerald with Chick Webb's band" Ace of hearts AH-36

<Contents> … 1937年10月27日〜11月2日の間 ニューヨークにて録音

A面5曲目ロック・イット・フォー・ミーRock it for me

<Personnel>…チック・ウエッブ・アンド・ヒズ・オーケストラ(Chick Webb and his Orchestra)

Band leader & Drumsチック・ウェッブChick Webb
trumpetマリオ・バウザMario Bauzaボビー・スタークBobby Starkタフト・ジョーダンTaft Jordan
Tromboneサンディ・ウィリアムスSandy Williamsナット・ストーリーNat Story
Clarinet & Alto saxチャウンシー・ホートン Chauncey Haughton
Alto saxルイ・ジョーダンLouis Jordan
Tenor saxテディ・マクレーTeddy McRaeウェイマン・カーヴァ―Wayman Carver
Pianoトミー・フルフォードTommy Fulford
Guitarボビー・ジョンソンBobby Johnson
Bassビヴァリー・ピアBeverly peer
Vocalエラ・フィッツジェラルドElla fitzgerald

ミディアム・スロウで歌うエラの歌唱が素晴らしい。声が何といってもつややかである。最後の小−ラスは崩して、セリフのように歌うが実にうまいものだ。ヴォーカル・ナンバーとして聴き応えのある出来である。

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