ジャズ・ディスク・ノート 2019年11月27日

第380回テディ・ウィルソンとビリー・ホリディ 1938年 その2

Teddy Wilson & Billie Holiday 1938 Vol.2

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

今回は、テディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションとビリー・ホリディの1938年6月以降の録音を聴いていこう。音源は「ビリー・ホリディ物語」が中心どころか「ビリー・ホリディ物語」のみになる。

「ビリー・ホリディ」レコード第3集」レコード・ジャケット

<Contents> … 1938年6月23日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語 第3集」(SOPH 65〜66)のみ

Record2 B-1.気ままな暮らしHavin’myself a time
Record2 B-2.もう一人の私が言うのSays my heart
Record2 B-3.欲しいのは貴方I wish I had you
Record2 B-4.心に鍵をかけてI'm gonna lock my heart

<Personnel> … ビリー・ホリディ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday and his orchestra)

Band leader & Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetバーナード・アンダーソンBernard Anderson
Clarinetバスター・ベイリーBuster Bailey
Tenor saxベイブ・ラッシンBabe Russin
Pianoクロード・ソーンヒルClaude Thornhill
Guitar不明Unknown
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsコージー・コールCozy Cole


この日のメンバーは、約1か月位前に行われた録音とギターが加わったことを除けば同じである。但しギタリストも大和氏は加わっているのは、4曲目「心に鍵をかけて」ではないかと書いている。

Record2 B-1.「気ままな暮らし」。楽曲解説の巨泉氏は、初期によく歌ったタイプの曲で、作品的には上位にはランクできないが、ずっと落ち着いた歌い方をしていると書いている。僕は初期よりも、こちらの方が好みだ。テナーについて、大和氏も巨泉氏も、ホーキンス派と書いているが「典型的なホーキンス派」というわけではなく、レスターも少し入っているソロだと思う。
Record2 B-2.「もう一人の私が言うの」。ここでも巨泉氏は、ナンセンスなポップ・チューンだが、ビリーはリラックスして軽いタッチで歌っているとし、ベイリーの風格あるソロ、アンダーソンのクレイトンばりのソロ、ウエブスター風のテナー・ソロとサッチモ好みのエンディングなど小品だが好ましくまとまっていると書いている。
Record2 B-3.「欲しいのは貴方」。巨泉氏は、初期のビリーならもっとずっと直接的に表現したであろうと思われるが、ここではグッと抑えた歌い方をしていて、一寸物足りなくもあるとするが、僕はこちらの方が好みだ。コールのドラミングもアンダーソンの抑えたミュート・ソロも好ましい出来だ。
Record2 B-4.「心に鍵をかけて」。巨泉氏はこの日のセッションでは最良のトラックとする。各人のソロも短いが引き締まった出来映えでいい感じだ。

「ビリー・ホリディ」レコード第3集」2枚目B面

<Contents> … 1938年9月15日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語 第3集」(SOPH 65〜66)

Record2 B-5.君を想いてThe very thought of you
Record2 B-6.云い出しかねてI can't get started
Record2 B-7.夢のデイトI've got a date with a dream
Record2 B-8.貴方は誰かのものYou can't be mine

<Personnel> … ビリー・ホリディ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday and his orchestra)

Band leader & Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Tromboneディッキー・ウエルズDickie Wells
Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Pianoマーガレット・“クイーニー”・ジョンソンMargaret “Queenie” Johnson
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone

アーティー・ショウの楽団に移ったが、ここではなじみのベイシー楽団のメンバーを中心としたセッションを繰り広げている。ピアノのマーガレット・ジョンソンはテディ・ウィルソン派と云われる。確かにブラインド・テストをしたら「テディ・ウィルソン」と答える人が多いだろう。彼女はこの録音の後20歳で結核のため鬼籍に入る。彼女の唯一の録音だという。

Record2 B-5.「君を想いて」。ここでレスターはクラリネットを吹いているのが珍しい。ビリーはクレイトン、レスターと一緒でフレイズも一段と冴えているとは巨泉氏。僕は家に嫌みがないところが気に入っている。
Record2 B-6.「云い出しかねて」。ビリーは初期のような高音を使った挑戦的な唱法を取っているが、この曲には合わないと巨泉氏も書いている。僕もそう思う。救いはレスターのソロで深くゆったりとしてソロで、このソロはレスターの中でも出色のものではないかと思う。
Record2 B-7.「夢のデイト」について、巨泉氏はまたもやつまらぬ歌と書くが、そう感じさせぬほどの表現力をビリーは持っていると感じる。ここでもレスターの珍しいクラリネット・ソロが聴かれる。
Record2 B-8.「貴方は誰かのもの」。巨泉氏は、哀しい表現を試みるが一寸迫力がないと書いているが、僕にはそれが好ましく感じる。

「ビリー・ホリディ」レコード第4集」レコード・ジャケット

<Contents> … 1938年10月31日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語 第4集」(SOPH 67〜68)

Record1 A-1.みんなの笑いものよEverybody's laughing
Record1 A-2.又朝帰りよHere it is tomorrow again

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Cornetハリー・ジェイムスHarry James
Tromboneベニー・モートンBenny Morton
Alto saxエドガー・サンプソンEdger Sampsonベニー・カーターBenny Carter
Tenor saxレスター・ヤングLester Youngハーシャル・エヴァンスHerschel Evans
Guitarアル・ケイシーAl Casey
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

名義はテディ・ウィルソンで一連のブランズウィックへの吹込みである。大和明氏の解説に拠れば、このセッションから、サックス・セクションの強化が図られ、小編成から中編成への動きがみられ、全体的にビッグ・バンドの雰囲気が出始めているという。それは当時スイング・ジャズの黄金期であり、ビッグ・バンド・ジャズの全盛時代であったからであろうという。そしてこうした動きはリーダー、テディ・ウィルソンの希望であったのではないかという。それはこの半年後にウィルソンは、BGのバンドから独立し、自己のビッグ・バンドを率いることになるのであり、ビッグ・バンド演奏に既に心が向いていたと思われるからであるという。
このセッションでは、スイング時代を風靡したハリー・ジェイムスが加わり、当時の人気ぶりを裏付けるような、自信に満ちた華麗で明るいソロを取っている。またテナー・サックスはベイシー楽団から2人が参加しているがソロを取るのはいずれもレスターの方である。
Record1 A-1.「みんなの笑いものよ」。通常テディのセッションでは、ビリーのヴォーカルは1コーラスだけだが、この曲では、プレイヤーのソロをはさんで前後で歌うという例外的な構成が見られる。確かにアンサンブルはソフトで、如何にも当時のビッグ・バンド風である。ヴォーカルの後最初にソロを取るのは、テディで、続いてレスター、ハリーの短いソロが入り、少しだけビリーが歌って終わる。
Record1 A-2.「又朝帰りよ」。当時風のサックス・ソリのアンサンブルからハリーの短いソロが入り、ビリーのヴォーカルとなる。そしてテディはいつもの華麗なスタイルでスイングする。

「ビリー・ホリディ」レコード第4集」1枚目A面

<Contents> … 1938年11月9日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語 第4集」(SOPH 67〜68)

Record1 A-3.答えはキッスでSay it with a kiss
Record1 A-4.心は四月のようApril in my heart
Record1 A-5.あなたを決して見捨てないI'll never fail you
Record1 A-6.人は言うThey say
Record1 A-7.人は言うThey say

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

前録音10月31日と全く同じメンバー

Record1 A-3.「答えはキッスで」。先ずモートンがストレートに吹き、テディのピアノが入り、ビリーの歌となる。続くハリーのTpは明るくベリガン札が、続くレスターのソロと比べると子供に感じてしまう。
Record1 A-4.「心は四月のよう」は、まずベニー・カーターが華麗なプレイを披露する。ビリーの歌が入り、続くテディのソロが良い感じだ。そしてハリーのTpはここでもベリガンを思い出させる。続くテナーはレスターではなくエヴァンス。
Record1 A-5.「あなたを決して見捨てない」。TpとPのイントロから当時風のアンサンブルとなり、ビリーの歌に引き継ぐ。巨泉氏は珍しく甘さを出して歌っているという。続くTsはエヴァンスで、短いPソロが入り、ハリーのTpでエンディングを迎える。
Record1 A-6、7.「人は言う」は、まずハリーがスイートでセクシーなソロを聴かせ、続くテディもリリカルなプレイを行う。そしてビリーも控えめな歌唱を行う。続くカーターのアルトがここでも華麗に吹き上げている。

「ビリー・ホリディ」レコード第4集」1枚目B面

<Contents> … 1938年11月28日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語 第4集」(SOPH 67〜68)

Record1 B-1.あなたが欲しいYou're so desirable
Record1 B-2.あなたについて離れないYou're gonna see a lot of me
Record1 B-3.ハロー・マイ・ダーリンHello , my darling
Record1 B-4.月影の夢Let's dream in the moonlight

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Cornetボビー・ハケットBobby Hackett
Tromboneトラミー・ヤングTrummy Young
Clarinet & Alto saxトゥーツ・モンデロToots Mondello
Alto saxテッド・バクナーTed Buckner
Tenor saxバド・フリーマンBud Freemanチュー・ベリーChu Berry
Guitarアル・ケイシーAl Casey
Bassミルト・ヒントンMilt Hinton
Drumsコジ―・コールCozy Cole
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

この11月に、ビリーはアーティー・ショウの楽団を退団した。そしてこのテディのバンドの方は、これだけ優れたメンバーを集めながら、テディは他のメンバーに余りソロを取らせていない。そういえばテディ以外のメンバーのソロは短くなってきているような気がする。ここではサックスを中心としたアンサンブルをバックにテディのピアノを浮き上がらせている。こうなるとオールスター・メンバーを揃えたブランズウィック・セッションは、意義が薄れてきたといえよう。こうした傾向は40年代に大きな人気を博するエディ・ヘイウッドのバンドなどにも影響を与えているといえよう。
Record1 B-1.「あなたが欲しい」。テディのソロは派手なグリッサンドを多用した華麗なものになってきた。そしてビリーはセクシーにねっとりと歌うとは巨泉氏。この頃のビリーは人気的にも絶頂で、「白いくちなし」の花を髪にかざして歌う美しいビリーの姿に多くの聴衆は酔ったという。
Record1 B-2.「あなたについて離れない」。この曲は先ず『貴方の想い出(Memories of you)』に実によく似ている。ここでテーマを吹くのはボビー・ハケットで、ハリー・ジェイムズのような派手さはないが、滋味に富んだ落ち着いた音色が好ましい。ビリーの歌唱もかなり抑えた表現で良い。
Record1 B-3.「ハロー・マイ・ダーリン」。ここでのビリーも抑制の効いたかなり押さえた表現で、そこが僕にも嫌味なく聴こえる所以であろう。
Record1 B-4.「月影の夢」は、サックス中心のアンサンブルで始まる。トラミーのTb、テディのPとソロが入り、ビリーのレイジーなヴォーカルとなる。続く短いTsソロはチュー・ベリー。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年11月23日

第379回テディ・ウィルソンとビリー・ホリディ 1938年 その1

Teddy Wilson & Billie Holiday 1938 Vol.1

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

今回は、テディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションの1938年の録音を聴いていこう。テディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションは1935年7月に始まり、1939年1月まで3年半行われた。しかし本来の音源のはずの「ザ・テディ・ウィルソン」(SONP 50332〜50333)には、1938年の録音は4曲しか収録されておらず、さらにそのうち1曲は「ビリー・ホリディ物語」(SOPH 65〜66)と被るのである。ということで今回も音源は「ビリー・ホリディ物語」が中心となる。

「ビリー・ホリディ」レコード第3集」レコード・ジャケット

<Contents> … 1938年1月6日 ニューヨークにて録音

「ビリー・ホリディ物語 第3集」(SOPH 65〜66)

Record1 B-5.一目惚れMy first impression of you
Record1 B-6.君微笑めばWhen you're smiling
Record1 B-7.君微笑めばWhen you're smiling
Record1 B-8.貴方が私を好きだなんてI can't believe that you're in love with me
Record1 B-9.貴方が私を好きだなんてI can't believe that you're in love with me
Record1 B-10.夢がかなえばIf dreams come true

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Tromboneベニー・モートンBenny Morton
Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
「ビリー・ホリディ」レコード第3集」1枚目B面

前回カウント・ベイシーを取り上げたが、そのベイシーのセッションと最も近い感じがするのが、テディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションであるとブログに書いた。何故近いかと言えば、ベイシー・バンドの専属歌手だったのがビリー・ホリディであり、そのビリーはテディ・ウィルソンのセッションに度々登場し、「スイング時代の花」と言われる名称を数々吹き込んでいるのである。そしてテディのセッションには、ベイシー・バンドのメンバーが頻繁に起用されていることからもそのような感じがするのであろう。そしてそれを裏付けるように、1938年の最初のセッションはピアニストのベイシーを除いたメンバーが顔をそろえることになった。
このセッションについて、解説の大和明氏は、「テディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションの白眉となった演奏の一つ」と非常に高く評価している。
僕にとっても重要なセッション。それは何故かというと、この録音におけるビリーの声には、嫌悪感が湧かないのだ。

Record1 B-5.「一目惚れ」は、いわゆる30年代の小唄の一つだが、ビリーの一途で可憐な歌唱とレスターのリラックスした歌心溢れるソロによって名演となった。
Record1 B-6、7.「君微笑めば」は、以前から名唱の誉れ高いもので、2ヴァージョン収められている。そしてこのうちのB-7の方が「ザ・テディ・ウィルソン」にも収められているカブルナンバーである。解説に拠れば、B-6がテイク3で、B-7がテイク4のようで、元々両ヴァージョンともSP盤では発売された。しかしLPになって収録されてきたのは、テイク3だという。テイク4がLPに収録されたのは、「ザ・テディ・ウィルソン」が初めてだという。ということは、「ビリー・ホリディ物語」は「ザ・テディ・ウィルソン」の後に出たことになる。確かに僕の記憶でも、「ザ・テディ・ウィルソン」が先に出た記憶がある。
ビリーはいつものように原メロディーから高い音域から歌い始め、まるで無頓着と思われるほどフレイズを引き延ばすようにして歌う平坦な唱法で、伴奏との間に対照的な効果を上げる。何といっても見事なのは、テディの楽し気にスイングするソロ、そしてレスターのソロは30年代屈指のソロで、原メロディーにとらわれないモダンな感覚だが、原曲の雰囲気も忘れないまことに立派なもの。モダン・エイジに入ってからも、リー・コニッツやルビー・ブラフなどにそのまま引用されるなど、多くのプレイヤーの手本となった。またこれらの名唱、名演を支えるリズム隊も素晴らしいとしか言いようがない。
因みに村上春樹氏は、その著『ポートレイト・イン・ジャズ』のビリー・ホリディの項で次のように述べている。「ビリー・ホリディの優れたレコードの中で、敢えて1曲を選ぶとすれば、迷わずに「君微笑めば」を僕は選ぶ」と。彼女が”When you are smiling , the whole world smiles with you”と歌うと、世界は本当に微笑むのだと書いている。
Record1 B-8、9.「貴方が私を好きだなんて」は、本来恋が成就した歌として歌われ、明るくハッピーに、アップテンポで歌われるのが常だったという。大和氏は、それをビリーは思い切ってテンポを落とし、恋の成就をまるで信じられぬような、さらにはこの幸せが本当のものだろうかという不安や恐れまでも表現しようとしているとし、若干22歳の若い女性の歌とは信じられぬほど、愛の機微を知り尽くしたような表現であると述べている。
Record1 B-10.「夢がかなえば」について、大橋巨泉氏は全体的にコーニー(古臭い)な感じだと述べ、ビリーも白タマが多い歌で、まだ持て余している感じだとは巨泉氏。

「ビリー・ホリディ」レコード第3集」2枚目A面

<Contents> … 1938年1月12日 ニューヨークにて録音

Record2 A-1.これがスイングNow they call it swing
Record2 A-2.センチになってOn the sentimental side
Record2 A-3.センチになってOn the sentimental side
Record2 A-4.灯台もと暗しBack in your own back yard
Record2 A-5.女が男を愛する時When a woman loves a man

<Personnel> … ビリー・ホリディ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday and his orchestra)

Band leader & Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetバック・クレイトンBuck Clayton
Tromboneベニー・モートンBenny Morton
Tenor saxレスター・ヤングLester Young
Pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone


前録音から6日後の録音で、メンバーも全く同じ。しかしこちらはビリー名義になっている。解説に拠ればこれがビリーがベイシー楽団専属歌手としての最後の録音であるとのことで、この翌月ベイシー楽団を退団する。
前回セッションが抜群の出来だっただけに、このセッションは悪くはないがやや平凡に感じるとも解説の大和氏は言う。

Record2 A-1.「これがスイング」は、歌詞の内容に合わせてテディはやや古臭いタッチでイントロを弾き、ビリーの歌が始まるとスイング風に弾いている。芸が細かい。歌詞を大事にして生涯スキャットを歌わなかったビリーだが、サビの部分にスキャットの歌詞がある。歌詞とはいえビリーのスキャットが聴ける珍しい作品。
Record2 A-2、3.「センチになって」。同じ曲の別テイクだが、イントロ部をA-2はギター、A-3はピアノで弾いており、この時代にしては別の試みするのは珍しい。さらに珍しいのはほぼ単音の音が聴こえないフレディー・グリーンがメロディーを弾いていることである。さらにはビリーのバックでオブリガードも弾いている。モートンはいつもと変わらずほぼテーマを吹く。このモートンに関して巨泉氏は「能がない」と厳しいが、これがこの人の持ち味で美しいトーンで、トロンボーンの特徴を生かした茫洋としたプレイは味があっていいと僕は思う。そしてオブリガードにテディのリリカルなピアノが付けば、なごみの極致とさえ思える。
Record2 A-4.「灯台もと暗し」は、まずイントロのクレイトンの素晴らしい。その好調さはビリーの歌のオブリガードでも続く。そして続くレスターのリラックスしたソロも素晴らしい。
Record2 A-5.「女が男を愛する時」。レスターのイントロから淡々と語りかけるように歌い出すビリーは既に完成の域に達しているとは、巨泉氏。中間のクレイトン節も心地よい。

「ザ・テディ・ウィルソン」レコード・ジャケット

<Contents> … 1938年3月23日 ニューヨークにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」(CBS SONY SONP 50332-33)のみ

Record2 B-6.その手はないよDon’t be that way

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Cornetボビー・ハケットBobby Hackett
Clarinetピー・ウィー・ラッセルPee Wee Russell
Alto saxウィリー・スミスWillie Smith
Tenor saxジーン・セドリックGene Sedric
Guitarアラン・リュースAllan Reuss
Bassアル・ホールAl hall
Drumsジョニー・ブロワーズJohnny Blowers

Record2 B-6.「その手はないよ」は、ベニー・グッドマンがこの年カーネギー・ホールで演奏し大受けを取り、急きょレコーディングを行い大ヒットした曲。顔ぶれが違うとこうも演奏が変わってくるのだなぁと思う。

「ザ・テディ・ウィルソン」2枚目B面

<Contents> … 1938年4月29日 ニューヨークにて録音

「ザ・テディ・ウィルソン」のみ

Record2 B-7.もし私が貴方ならIf I were you
Record2 B-8.ジャングル・ラヴJungle love

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Cornetボビー・ハケットBobby Hackett
Clarinet不明Unknown
Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Guitar不明Unknown
Vocalナン・ウィンNan Wynn

ここで注目されるのは、ハル・ケンプ楽団やエミリー・ドイッチ楽団というジャズとは無縁のバンドにいた、ジャズ歌手とは言えないナン・ウィンを起用していることである。解説の大和氏によれば、この日ばかりではなく、3月23日、7月29日と3回に渡って起用しているという。彼女の起用の決定は、テディが決めたことかレコード会社側が決めたことかは分からないが。ただ彼女の美貌を見れば一緒にお仕事をしたくなるのもうなづける。

Record2 B-7.「もし私が貴方なら」。第1コーラスでリリースに出るハケットのソロを挟んだホッジスのアルトが実によい。続くウィンの歌も、ミルドレッド・ベイリーを少し軽くしたようでなかなかうまいとは大和氏。なかなかうまいどころかとてもいいと僕は思う。この曲は2週間後にビリーも吹き込んでいるが、リリースの部分などビリーを凌駕するような出来映えであると大和氏は書く。聴き比べてみると面白い。
Record2 B-8.「ジャングル・ラヴ」。ドラムによるイントロからさわやかなハケットのソロが奏される。そしてメロディを豊かに歌わせるホッジス、さらに続くテディも実に好調である。ナン・ウィンのヴォーカルがないのが残念である。

「ビリー・ホリディ・クロノロジカル」レコード・ボックス

<Contents> … 1938年5月11日 ニューヨークにて録音

Record2 A-6.頭から離れない貴方You go to my head
Record2 A-7.月に笑われThe moon looks down and laughs
Record2 A-8.もし私が貴方ならIf I were you
Record2 A-9.忘れられるものならForget if you can

<Personnel> … ビリー・ホリディ・アンド・ハー・オーケストラ(Billie Holiday and his orchestra)

Band leader & Vocalビリー・ホリディBillie Holiday
Trumpetバーナード・アンダーソンBernard Anderson
Clarinetバスター・ベイリーBuster Bailey
Tenor saxベイブ・ラッシンBabe Russin
Pianoクロード・ソーンヒルClaude Thornhill
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsコージー・コールCozy Cole

ベイシー楽団を退団したビリーは、間もなくアーティー・ショウの楽団に雇われる。これはその時期の録音である。大和氏よれば、このセッション以降に見られる特徴として、歌のバックをアンサンブルで飾るようになってきたことが挙げられるという。確かにこれまでは歌のバックは、Tp或いはTsといった単一楽器によるオブリガードが中心だった。
また取り上げるナンバーもセンチメンタルなものが次第に多くなり、歌うテンポも遅くなる傾向がみられる。これは間もなく訪れる絶頂期のビリーが好んだやりかたで、この辺りから絶頂期に向かおうとしているということであろう。選曲に関しても、レコード会社からの一歩的なあてがいではなく、ビリーの意思も反映されるようになったと思われ、従来ともすると伴奏に関しては無頓着であったビリーが、音楽的に自覚を持つようになり、歌をアンサンブルで飾り、引き立たせようと図ったのであろうという。
僕が感じるのは、初期のころはともすれば、インストの部分が多く、終わり近くにヴォーカルが出ていたのが、この頃はイントロの後先ずヴォーカルが出るようになっている。そして間奏としてソロがあり、またヴォーカルに戻るという形式になっていることで、すなわち中心はヴォーカルですよということになって来たということである。

Record2 A-6.「頭から離れない貴方」。この録音は「クロノロジカル・オーダー」というラジオ放送や映画で歌ったものなどを集めた23枚組のボックスの中の1枚”Rare studio cuts”、要はスタジオ録音からの希少録音という付録的な1枚にも収められ?ている。ということは本国アメリカなどでも入手が難しいナンバーなのであろうか?
内容はスロウ・バラードでしみじみと原メロディを活かした歌い方で、大和氏の言うこの時期からの特徴がよく表れている。僕などはこういった歌唱がしみじみとして好きである。
Record2 A-7.「月に笑われ」。大橋巨泉氏が大好きなナンバーとして挙げている作品。声の小さな震えにも、失恋の自嘲を込めて素晴らしい演唱を見せると書いている。レスターのソロも短いが
Record2 A-8.「もし私が貴方なら」。これは前掲のナン・ウィンの歌唱がある。ソーンヒルのアレンジで、ビリーは高音を活かしてキュートに歌っている。
Record2 A-9.「忘れられるものなら」。このような陳腐な歌を歌って、堪らないほどの悲しみを表現できるのがビリーの特徴であるとは巨泉氏。ソーンヒルのソロは、テディのような華麗さはないが端正でなかなかいい感じだ。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年11月18日

第378回 カウント・ベイシー 1938年

No.378 Count Basie 1938

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

1938年のベイシーは年初早々1月3日から録音を始めている。音源はビクターが編集再発した「黄金時代のカウント・ベイシー」レコード4枚組。僕は実は最初にベイシーのレコードを手に入れたのは、「ベイシー・アット・ザ・ピアノ」という10inch盤であった。1938年11月と39年1月に行われたベイシーを中心とした「オール・アメリカン・リズム・セクション」によるものである。ベイシーのピアノを堪能するなら最適な1枚だが、2曲ほど収録されていない。「黄金時代のカウント・ベイシー」のボックスには全て収録されているので、レコードの希少さは、「ベイシー・アット・ザ・ピアノ」に劣るもののベイシーのピアノをより多く聴きたいという方にはボックスが最適である。

「黄金時代のカウント・ベイシー」4枚組レコード・ボックス

「黄金時代のカウント・ベイシー」(The complete collection of Count Basie orchestra on Decca) MCA records VIM-5501〜5504

<Contents> … 1938年1月3日 ニューヨークにて録音

レコード2.A面5ジョージアナGeorgianna
レコード2.A面6ブルース・イン・ザ・ダークBlues in the dark

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

Band leader & Pianoカウント・ベイシーCount Basie
Trumpetバック・クレイトンBuck Claytonエド・ルイスEd Lewisカール・ジョージKarl George
Tromboneベニー・モートンBenny Mortonダン・マイナーDan Minor
Trombone , Guitar & Arrangementエディー・ダーハムEddie Durham
Alto saxアール・ウォーレンEarl Warren
Tenor saxレスター・ヤングLester Youngハーシャル・エヴァンスHerschel Evans
Baritone & alto saxジャック・ワシントンJack Washington
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jones
Vocalジミー・ラッシングJimmy Rushing
「黄金時代のカウント・ベイシー」2枚目A面

前録音(1937年10月13日)からの変更点
Trumpet … ビリー・ヒックス ⇒ カール・ジョージ Karl George

レコード2.A面5「ジョージアナ」。最初に出てくるのはハーシャル・エヴァンス(Ts)で、ドライヴ感豊かな情熱溢れるソロが快調である。こういったテンポでのエヴァンスには、ホーキンス派と言っても、彼独特の湿ったトーンと相俟って独特の個性を作り出しているとは解説の大和明氏。ラッシングの後に出るレスター・ヤングのソロもリラックスした好演である。このように対照的な実力ある2人のテナー奏者がいたことは、ベイシー楽団の強みであった。
レコード2.A面6「ブルース・イン・ザ・ダーク」は、全編に渡ってグルーミーな雰囲気を漂わせたベイシー作のブルース・ナンバー。エリントンのジャングル・スタイルを思わせるアンサンブルをバックにプレイするバック・クレイトン(Tp)のソロに続いて、ラッシングがブルーなフィーリングで歌っている。
ヴォーカルの2コーラス目から付けられるエド・ルイスのオブリガードは、ルイ・アームストロングの”Gully low blues”のソロをそのまま引用したもので、ルイのメロディ・ラインの作り方が直接影響として表れているという。ブルース・フィーリング溢れる間を活かしたベイシーのソロも素晴らしい。

<Contents> … 1938年2月16日 ニューヨークにて録音

レコード2.A面7セント・フォー・ユー・イエスタディSent for you Yesterday
レコード2.A面8エヴリー・タブEvery tub
レコード2.B面1ナウ・ウィル・ユー・ビー・グッドNow , will you be good ?
レコード2.B面2スゥインギン・ザ・ブルースSwingin’the blues

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

前録音(1938年1月3日)からの変更点
Trumpet … カール・ジョージ ⇒ ハリー・エディソン Harry Edison

「黄金時代のカウント・ベイシー」2枚目B面 レコード2.A面7「セント・フォー・ユー・イエスタディ」は、ジャンプ・ブルースでラッシングが最も得意としたナンバー。初めに出るアルト・ソロがジョニー・ホッジスを思わせるような吹奏である。またこのTpオブリガード及びソロについては、バック・クレイトン説(レイモンド・ホリックス氏)とハリー・エディソン説(ユーグ・パナシェ氏)があるが、大和氏はハリー・エディソンだと思うとしている。
レコード2.A面8「エヴリー・タブ」。ベイシー、ダーハムの共作で、典型的なカンサス・スタイルのジャンプ・ナンバー。リズム隊の躍動感あふれるビートに乗って、次々と繰り広げられるソロの共演が楽しめる。骨太のたくましいスイングとはまさにこれ!
レコード2.B面1「ナウ・ウィル・ユー・ビー・グッド」。ラッシングのリラックス・ムードのヴォーカルの後に出るTpソロについても、エディソンかどうかという論争があったという。大和氏曰く、このソロはレコード2.A面7「セント・フォー・ユー・イエスタディ」と全く同じなのでエディソンであると推定されている。逆にこれくらい俺にも吹けるぞと、クレイトンかルイスが吹いて見せたとしてもおかしくないような気がするが。
レコード2.B面2「スゥインギン・ザ・ブルース」ベイシー作曲の典型的なリフ・ナンバー。元は1929年にエリントンとババー・マイレイがつくった”Doin' the Voom Voom”を素にフレッチャーとホレス・ヘンダーソン兄弟が31年に作り変えた”Hot and anxious”と”Comin' and goin'”という2曲のブルースが元になっているという。
単音を重ねながらアドリブに入っていくレスター独特の手法が新鮮であるとは大和氏。続けてレスターとエヴァンスの対照と同じように、かっちりと引き締まったクレイトンと艶があり華麗なエディソンのコントラストが見事だという。

<Contents> … 1938年6月6日 ニューヨークにて録音

レコード2.B面3ママ・ドント・ウォント・ノー・ピース・アンド・ライス・アンド・ココナツ・オイルMama don't want no peas an’rice an’coconut oil
レコード2.B面4ブルー・アンド・センチメンタルBlue and sentimental
レコード2.B面5ドッギン・アラウンドDoggin’around

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

前録音(1938年2月16日)と同じ

「黄金時代のカウント・ベイシー」解説

レコード2.B面3「ママ・ドント・ウォント・ノー・ピース・アンド・ライス・アンド・ココナツ・オイル」は、ラッシングとベイシーのピアノをフューチャーしたナンバーで、リラックスした雰囲気が楽しめる。
レコード2.B面4「ブルー・アンド・センチメンタル」は、ハーシャル・エヴァンスの代表作として有名。このバンドとしては珍しいスロウ・ナンバー。ラプソディックに歌い上げるエヴァンスエヴァンスのソロに彼のセンシティヴな面が聴き取れる。珍しいレスターのクラリネット・ソロもさわやかな中にも強く訴えかけるものがあるとは大和氏。
レコード2.B面5「ドッギン・アラウンド」。これもエヴァンス作のこちらはアップ・テンポのスインギーなナンバー。大和氏はさすがに以下のような細かい指摘している。「エヴァンスのソロ・コーラスのブリッジ部分にレスター流の息継ぎが見られることが興味深い。この演奏の圧巻は何といってもベイシーのソロの最後の2小節を潜り抜けながら、流れるようにスムーズでリラックスしたアドリブを展開していくレスターのソロ・コーラスではないだろうか。彼の代表的ソロの一つに上げたい好演である。」

<Contents> … 1938年8月22日 ニューヨークにて録音

レコード2.B面6ストップ・ビーティン・アラウンド・ザ・マルベリー・ブッシュStop beatin’ around the mulberry bush
レコード2.B面7ロンドン橋落ちたLondon bridge is falling down
レコード2.B面8テキサス・シャッフルTexas shuffle
レコード2.B面9ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイドJumpin’at the woodside

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

前録音(1938年6月6日)からの変更点
Trombone & Guitar … エディー・ダーハム ⇒ ディッキー・ウエルズ Dickie Wells

レコード2.B面6「ストップ・ビーティン・アラウンド・ザ・マルベリー・ブッシュ」。大和氏によれば、これはポップス・ファン向けのナンバーであるという。それでありながらベイシー・イディオムが演奏の端々に聴き取れるところはさすがだとは大和氏。
レコード2.B面7「ロンドン橋落ちた」。前曲同様、一般受けを狙った作品で、日本でもよく知られた曲。そうであってもベイシーは前半に、モートン、レスター、ウエルズを配しジャジーな雰囲気を創り上げている。ヴォーカル前のウエルズのソロは快演である。
レコード2.B面8「テキサス・シャッフル」。エヴァンスの作・編曲によるカンサス・ジャズの雰囲気を盛り込んだ典型的なジャンプ・ナンバー。オール・アメリカン・リズム・セクションによる見事なリズムに乗せてベイシーが絶妙なタイム感覚を示す。各々のプレイヤーのソロも快調で、特にレスターのスインギーでユニークなクラリネット・ソロが印象的である。
レコード2.B面9「ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド」は、『ワン・オクロック・ジャンプ』と並ぶベイシーの代表作。ベイシー・バンドの前身”Jammin' for the jackpot”が元になっているという。タイトル中の”Woodside”とは、当時ベイシー楽団が出演したことのある”Woodside hotel”のこと。ドライヴ感に満ちた力強いベイシーによるイントロから、典型的なリフを重ねたジャンピング・テーマに入るが、ウォーレンのホットなブリッジがよく利いている。スインギーなクレイトンのソロを経て、例によってユニークなスタートで始まるレスターのアドリブに入る。エヴァンスのクラリネット・ソロも強烈な響きで迫り、バンド全体が煮え切っているかのようなドライヴ感に包まれたホットな演奏である。

「ベイシー・アット・ザ・ピアノ」レコード・ジャケット

<Contents> … 1938年11月9日 ニューヨークにて録音

レコード4.A面1ハウ・ロング・ハウ・ロング・ブルースHow long , how long blues
レコード4.A面2ザ・ダーティー・ダズンズThe dirty dozens
レコード4.A面3ヘイ・ロウディー・ママHey lawdy mama
レコード4.A面4ザ・ファイヴスThe fives
レコード4.A面5ブギー・ウギーBoogie Woogie

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オール・アメリカン・リズム・セクション (Count Basie and his all American rhythm section)

Band leader & Pianoカウント・ベイシーCount Basie
Guitarフレディ・グリーンFreddie Greene
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jones

初めに触れたことではあるが、この5曲はカルテット演奏として、他録音とは別に4枚目にまとめて収められている。録音は1938年11月9日なので、順番によりここに取り上げるが、翌39年1月26日にもカルテットによる演奏が録音され、合わせて”Basie at the piano”というタイトルで10inch盤で出ていたことがある。この”Basie at the piano”は廃盤になって久しくまたCD化もされていない(Chronogicalは別)ので貴重であるが、さらに貴重なのは”Basie at the piano”には、39年1月26日録音の2曲が収録されておらず、このレコードで38年末から39年初頭におけるカルテット演奏が全て揃うという点である。
レコード4.A面1「ハウ・ロング・ハウ・ロング・ブルース」は、ブルース・シンガーでありピアニストのルロイ・カー作の20小節というちょっと変形のブルース。元はラッシングが歌っていたがそれをベイシーはシングル・トーン・スタイルに変えて演奏している。粟村政昭氏は、その著『ジャズ・レコード・ブック』において「最小限の音を使って最大限の効果を引き出した名作」と最大限の賛辞を述べている。
レコード4.A面2「ザ・ダーティー・ダズンズ」は、ブギ・ウギ・ピアニスト、スペックルド・レッドの代表作として有名。元は「ウィルキンス・ストリート・ストンプ」又は「セントルイス・ストンプ」という名で親しまれていたナンバーだという。また「ダーティー・ダズン」とは、黒人同士の反目を意味し、互いに相手の両親や先祖を徹底的に貶し合うことだという。
レコード4.A面3「ヘイ・ロウディー・ママ」は、この曲は元は歌曲だったという。ここでもベイシーは絶妙の空間処理によって、このメンバーでなくては出来ない作品に仕上げている。
レコード4.A面4「ザ・ファイヴス」。元々は歌曲だが、ベイシーはブギー・ウギーのリズムも利用しながら独自の軽快さを盛り込んで仕上げている。
レコード4.A面5「ブギー・ウギー」は、ブギ・ウギの名付け親であるパイン・トップ・スミスの自作自演で大ヒットした。大和氏は「後にトミー・ドーシーによってオーケストラ用にアレンジされ、そのヒットによってブギ・ウギのポピュラー化を促した」と書いているが、ドーシーが録音したのは、ベイシーよりも前である。もしかするとベイシーはドーシーのヒット作を聴いて取り上げた可能性すらある。というのはこのベイシーの演奏はかなり都会風に洗練されたもので、「俺は黒人だがもっと洗練されたブギ・ウギを演れるぜ、それもピアノだけで」と言いたかったのかもしれない。

「黄金時代のカウント・ベイシー」3枚目A面

<Contents> … 1938年11月16日 ニューヨークにて録音

レコード3.A面1ダーク・ラプチュアーDark Rapture
レコード3.A面2ショーティー・ジョージShorty George
レコード3.A面3ザ・ブルース・アイ・ライク・トゥ・ヒアThe blues I like to hear
レコード3.A面4ドゥ・ユー・ウォナ・ジャンプ・チルドレンDo you wanna jump children
レコード3.A面5パナシェ・ストンプ Panassie stomp

<Personnel> … カウント・ベイシー・アンド・ヒズ・オーケストラ(Count Basie and his orchestra)

前録音(1938年6月6日)と同じ
Vocal … ヘレン・ヒュームズ Helen Humes ⇒ In

レコード3.A面1「ダーク・ラプチュアー」。数か月前に専属歌手として参加したばかりの女性シンガー、ヘレン・ヒュームズを始めてフューチャーした録音。大和氏は、「彼女のヴォーカルは当時チック・ウエッブの専属歌手として売り出していたエラ・フィッツジェラルドと偉大なる白人シンガー、ミルドレッド・ベイリーの影響を感じさせる」と書いている。ここではバンド全体が実に整然としたスイング感をもたらしており、アンサンブルも素晴らしい。この頃からベイシー・サウンドの洗練化が進み、編曲された演奏が次第に多くなる傾向にある。なお、レスターのソロが実にリラックスしたよい感じで歌っている。
レコード3.A面2「ショーティー・ジョージ」は、ハリー・エディソンとベイシーの共作で新鮮な感覚にあふれたミディアム・バウンス・ナンバー。タイトルの「ショーティー・ジョージ」とは、ダンスの一種の名称だという。前半のアンサンブルとアドリブ・ソロの交差、後半でのブラス・セクションとリード・セクションの交差や合奏などにジミー・マンディの編曲手腕がうかがえる。
レコード3.A面3「ザ・ブルース・アイ・ライク・トゥ・ヒア」。アール・ウォーレンがリードするサックス・セクションの滑らかなアンサンブルが美しい。いわばベイシー・サウンドのニューヨーク化がここに見られる。全編にわたりベイシーバンドの優秀なセクションによるアンサンブル・サウンドが彩りを加えている。
レコード3.A面4「ドゥ・ユー・ウォナ・ジャンプ・チルドレン」。活気あるアンサンブル、躍動感みなぎるベイシーを先頭にしたリズム陣の動き、男性的なラッシングのシャウト、全てが聴き手のハートを燃え上がらせるだろう。
レコード3.A面5「パナシェ・ストンプ」は、ベイシーが当時渡米していたジャズ評論の先駆者の一人ユーグ・パナシェを歓迎してつくったリフ・チューン。ここでは再び活気あふれるカンサス・ジャズが満喫できる。ベイシーのオール・スター・ジャズメン総動員を思わせる迫力あるアドリブの応酬が楽しい。豪華で華麗なアンサンブルにもこのバンドの熱気が感じられる。

そしてこの後、カウント・ベイシーとその楽団は「フロム・スピリチュアルス・トゥ・スイング」の主力メンバーとしてカーネギー・ホール出演を果たすのである。

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第377回 ボブ・クロスビー 1938年

No.377 Bob Crosby 1938”

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

今回も音源は3枚のレコードです。その3枚に1938年の録音が散りばめられていますので、どのレコードのどこに収録されているかをそれぞれの曲の所に書いていこうと思う。
「ボブ・クロスビー/ザ・ボブ・キャッツ傑作集」Decca SDL-10301
「サマータイム/ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ&ザ・ボブ・キャッツ」MCA-3145
「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」 MCA-3018

<Contents> … 1938年3月10日 ニューヨークにて録音

タイトル原題レコード1レコード2
ヤンシー・スペシャルYancey special「ザ・ボブ・キャッツ傑作集」A面3曲目「サマータイム」A面6曲目
二人でお茶をTea for two「サマータイム」A面7曲目

<Personnel> … ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Bob Crosby and his orchestra)

Band leader & Vocalボブ・クロスビーBob Crosby
Trumpetチャーリー・スピヴァクCharlie Spivakヤンク・ローソンYank Lawsonビリー・バタフィールドBilly Butterfield
Tromboneウォード・シロウェイWard Sillowayウォーレン・スミスWarren Smith
Clarinetアーヴィング・ファゾラIrving Fazola
Clarinet & Alto Saxマッティ・マトロックMatty Matlock
Alto Saxジョー・キーンズJoe Kearns
Clarinet & Tenor Saxエディ・ミラーEddie Miller
Tenor saxギル・ロディンGil Rodin
Pianoボブ・ザークBob Zurke
Guitarナッピー・ラメールNappy Lamare
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc

「ヤンシー・スペシャル」
ミード・ラックス・ルイスの作で、ミード自身1936年に吹き込んでいる。ジミー・ヤンシーは「ブギー・ウギー」ピアノのパイオニアの一人で、レント・ハウス・パーティーでは人気者だったが、昼間はシカゴのホワイト・ソックスの球場で働き、レコーディングは比較的遅かった。この曲はヤンシーのスタイルをミード流に解釈したもので、1936年時点でまだヤンシーはレコーディングをしておらず、誰もヤンシーの名を知らなかったといわれる。このナンバーは、ディーン・キンケイドがバンド用にアレンジしたもの。1938年でのブギー・ウギー・ナンバーの吹込みは、トミー・ドーシー楽団よりも早く、白人バンドが吹き込んだものとしては最も早い録音の一つだと思う。ただし、この曲でのピアノのベース・ラインは、ミードのプレイもそうだったが「ブギー・ウギー」というよりも初期のリズム&ブルースを感じさせるものだ。
ミードの右手の役割を担うアンサンブルは、素晴らしく見事の一言に尽きる。
「二人でお茶を」
「ブギー・ウギー」から一転して優雅なスタンダード・ナンバーとなる。ザークのピアノが面白い。傑作だと思う。

<Contents> … 1938年3月14日 ニューヨークにて録音

タイトル原題レコード1レコード2レコード3
スロウ・ムードSlow mood「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」A面2曲目
ビッグ・フット・ジャンプBig foot jump「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」A面5曲目
ボブ・キャッツ・マーチMarch of the Bob Cats「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」A面6曲目「サマータイム」A面8曲目「ザ・ボブ・キャッツ傑作集」A面1曲目
ビッグ・クラッシュ・フロム・チャイナThe big crash from China「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」B面6曲目

<Personnel> … ボブ・クロスビーズ・ボブ・キャッツ (Bob Crosby's bob cats)

Band leaderボブ・クロスビーBob Crosby
Trumpetヤンク・ローソンYank Lawson
Tromboneウォーレン・スミスWarren Smith
Clarinetアーヴィング・ファゾラIrving Fazola
Tenor Saxエディ・ミラーEddie Miller
Pianoボブ・ザークBob Zurke
Guitarナッピー・ラメールNappy Lamare
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc

「ボブ・キャッツ・マーチ」のみ
Clarinet … マッティ・マトロック Matty Matlock
Bass … ヘイグ・ステファン Haig Stephens

「スロウ・ムード」
テナーのエディー・ミラーの作。ロマンティックでソフトな自作曲を実に美しく吹いている。当時白人No.1テナーと言われたのもうなずける。
「ビッグ・フット・ジャンプ」
ピアノのボブ・ザークの作。ラグタイム風の楽しいナンバー。かのジェリー・ロール・モートンがザークのピアノだけは賞賛したと言われるが、うなずける素晴らしいプレイである。
「ボブ・キャッツ・マーチ」
この曲は3枚のアルバムが取り上げているところから見た彼らの代表作と言っていいであろう。ただこの曲に関しては書くことが一杯ある。
まず録音日であるが「傑作集」だけ1938年8月14日としているが、他の2枚は3月14日としている。演奏内容は何度聴いても同じである。誰かが間違っているのであろう。またソロを取るクラリネットについて、「傑作集」だけはアーヴィング・ファゾラで、他の2枚はマッティ・マトロックとしている。そしてベースは3枚ともヘイグ・ステファンとしているのである。まず、書いていることをまとめると、「傑作集」では、変わったのはベースだけであり、録音日が異なる。ではベースが変わった理由は、その日はベースのボブ・ハガートの結婚式だったからと書いている。「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」は理由も何も書かず、この曲だけファゾラ⇒マトロック、ハガート⇒ステファンに変わったと書いている。そして「サマータイム」において取り上げているのはこの曲だけなので、単にクラリネットはマトロック、ベースがステファンに変わったのは、ハガートが結婚式だったためとなっている。
因みに「傑作集」の解説は飯塚経世氏、「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」の解説は大和明氏、「サマータイム」の解説は瀬川昌久氏である。
更に面白いのはこの曲の由来で3人それぞれ書いていることが異なる。瀬川氏などかなり分量を書いているが、ここでは割愛しよう。
僕の感想を書くと、オーケストラからのピック・アップメンバー”ザ・ボブ・キャッツ”によるディキシーランド・ジャズで、マーチ⇒ディキシーランド・ジャズの流れを踏まえた演奏であるということとディキシー好きのレイ・ボデュークの張り切ったプレイが印象的である。
「ビッグ・クラッシュ・フロム・チャイナ」
ドラムのレイ・ボデュークの作。フューチュアーされているのも彼のドラムである。チャイナ・ムードのあるディキシーランド・ジャズというかなり特異なナンバーである。

<Contents> … 1938年10月14日 ニューヨークにて録音

タイトル原題レコード1レコード2レコード3
ウィネットカのビッグ・ノイズThe big noise from Winnetka「ボブ・クロスビー/ザ・ボブ・キャッツ傑作集」B面1曲目「サマータイム」B面1曲目「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」A面4曲目
アイ・ヒア・ユー・トーキングI hear you talking「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」B面4曲目

<Personnel 「ウィネットカのビッグ・ノイズ」> … ツー・オブ・ザ・ボブ・キャッツ (Two of the bob cats)

Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc

<Personnel 「アイ・ヒア・ユー・トーキング」> … フォー・オブ・ザ・ボブ・キャッツ (Four of the bob cats)

Tenor Saxエディ・ミラーEddie Miller
Pianoボブ・ザークBob Zurke
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc

「 ウィネットカのビッグ・ノイズ」
この曲について「傑作集」、「サマータイム」は38年10月14日録音としているのに対し、「ボブ・クロスビーのボブ・キャッツ」は、1939年2月6日録音としている。演奏内容は同じである。多数決ではないがここでは1938年10月14日録音として進める。
ハガートとボデュークのデュエットで当時大ヒットしたナンバーだという。38年版ドラムん・ベースである。口笛はハガートで、途中ボデュークがベースの弦をドラムのスティックで叩いている。このパフォーマンスは後年ヴェンチャーズが日本公演でドラムのメル・テイラーがボブ・ボーグルのベースの弦を叩いて大喝采を浴びるシーンの基になっているのであろう。
「アイ・ヒア・ユー・トーキング」
スイング感溢れる素晴らしい演奏で、エディー・ミラーのソロ、ハガートのソロ、ボデュークのドラムソロも秀逸である。そして再びミラーのソロも素晴らしいの一言に尽きる。決して有名ではないが同時代のBGのカルテットと比しても決して引けを取らない名演である。

<Contents> … 1938年10月19〜21日 シカゴにて録音

タイトル原題レコード1レコード2
ホワッツ・ニューWhat's new「ザ・ボブ・キャッツ傑作集」A面2曲目
マイ・インスピレイションMy inspiration「ザ・ボブ・キャッツ傑作集」A面6曲目「サマータイム」B面3曲目
アイム・プレイン・ハンブルI'm prayin’ humble「ザ・ボブ・キャッツ傑作集」A面6曲目
ホンキー・トンク・トレイン・ブルースHonky tonk train blues「ザ・ボブ・キャッツ傑作集」B面2曲目「サマータイム」B面2曲目
サマータイムSummertime「ザ・ボブ・キャッツ傑作集」B面5曲目「サマータイム」A面1曲目

<Personnel> … ボブ・クロスビー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Bob Crosby and his orchestra)

Band leader & Vocalボブ・クロスビーBob Crosby
Trumpetザケ・ザーキーZake Zarchyスターリング・ボーズSterling Boseヤンク・ローソンYank Lawsonビリー・バタフィールドBilly Butterfield
Tromboneウォード・シロウェイWard Sillowayウォーレン・スミスWarren Smith
Clarinetアーヴィング・ファゾラIrving Fazola
Clarinet & Alto Saxマッティ・マトロックMatty Matlock
Alto Saxジョー・キーンズJoe Kearns
Clarinet & Tenor Saxエディ・ミラーEddie Miller
Tenor saxギル・ロディンGil Rodin
Pianoボブ・ザークBob Zurke
Guitarナッピー・ラメールNappy Lamare
Bassボブ・ハガートBob Haggart
Drumsレイ・ボデュークRay Bauduc
Vocalマリオン・マンMarion Mann

「ホワッツ・ニュー」
現代でもよく演奏されるスタンダード・ナンバーだが、元々はこの録音がオリジナル。この年1938年ベースのハガートがTpのバターフィールドのために曲を書いた”I'm free”が元で、ジョニー・バークが詞を書き、題名も”What's new”に変更された。バターフィールドのTpが大きくフューチャーされるのは当然として、ミラーも素晴らしいTsソロを聴かせる。
「マイ・インスピレイション」
この曲もベースのハガート作の美しいロマンティックなスロウ・バラード。当初バターフィールドにソロを吹いてもらおうと意図していたが、バターフィールドが「ホワッツ・ニュー」でフューチャーされたので辞退し、クラリネットのファゾラがソロを吹くことになったという。
「アイム・プレイン・ハンブル」
これもハガートの作品。軽快なジャンプ・ナンバーで後にミッチェル・クリスチャン・シンガーズが歌ってヒットしたという。ミュートによるTpソロはバターフィールド。見事なミュート・プレイである。
「ホンキー・トンク・トレイン・ブルース」
「ヤンシー・スペシャル」と同じミード・ラックス・ルイスの大ヒット・ナンバー。曲自体は1925年にミードがダンス・パーティーで披露したといわれるが初めてレコーディングのは、1929年その後自身で何度かレコーディングしている。「ヤンシー・スペシャル」と違って完全にブギー・ウギー・ナンバーである。飯塚氏はアレンジはキンケイドとしているが、瀬川氏はマッティ・マトロックがザークのためにアレンジしたと書いている。ともかくザークのピアノがフューチャーされた完全ブギ・ウギである。
「サマータイム」
ジョージ・ガーシュインがオペラ「ポーギーとベス」のオープニング・チューンとして書いて以来ジャズのスタンダード・ナンバーとなった名作。ディーン・キンケイドのアレンジは極めて情緒豊かなもの。ミラーのTsソロはピュア―なトーンから当時評論家はアイヴォリー石鹸の透明さに比較したほどであったという。
ディキシーが売り物のクロスビー楽団には似つかわしくない感じもするが、楽団の全スコアを演奏したこともあり、その中でこの「サマータイム」が余りに素晴らしいのでメンバー全員の愛好曲となった。そこでこの曲をテーマにしたいと考えたクロスビーは、ガーシュインを招待して演奏を聴かせたところ非常に気に入り、テーマ曲とすることを許可してくれたという。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年11月7日

第375回デューク・エリントン Duke Ellington 入門第29回 1938年その3

No.375 Duke Ellington No.29 1938-3

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

柴田浩一著『デューク・エリントン』

1938年のレコーディングの3回目。
前回柴田浩一氏の著『デューク・エリントン』の記述をネタに始めたい。
柴田氏は、1935年の項でウエルマン・ブロウドの退団以後ダブル・ベース体制(ビリー・テイラー+ヘイズ・アルヴィス)を取ったとして、その狙いなどを色々推測しておられる。しかし1938年3月の録音以後ヘイズ・アルヴィスは録音に参加しておらず、ダブル・ベース体制を破棄している。これは一体どういう理由によるものなのであろうか?柴田氏もこのことに少しくらい触れてもいいのではないかと思う。
アルヴィス自身がバンドを辞めたのか、デュークがダブル・ベースに殊更効果を感じなかったのか、ともかく何となく止めましたということではないと思うのだがどうなのだろう?

さて今回も以下パーソネルを基本パーソネルとし、追加或いは不参加のメンバーが出た場合、その後はその変更部分だけを記すこととしたい。1938年になるとヘイズ・アルヴィスが加わってダブル・ベースになることは少ないので、ここから先はベースをビリー・テイラー一人を基本形とする。その方が多分分かりやすいだろうと思う。

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
trumpetウォーレス・ジョーンズWallace Jonesクーティ・ウィリアムスCootie Williamsレックス・スチュアートRex Stewart
Tromboneジョー・”トリッキー・サム”・ナントンJoe “Tricky Sam” Nantonローレンス・ブラウンLawrence Brown
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Clarinet , Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet , Alto & Bass saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Clarinet , Soprano & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer
HistoryCDボックス『ザ・デューク』

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年8月24日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD23-4.プレリュード・トゥ・ア・キスPrelude to a kiss
CD23-5.ゼアズ・サムシング・アバウト・アン・オールド・ラヴThere’s something about an old love
CD23-6.ザ・ジープ・イズ・ジャンピンThe jeepis jumpin'
CD23-7.クラム・エルボウ・ブルースKrum elbow blues

<Personnel>…ジョニー・ホッジス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Johnny Hodges and his orchestra)

Band leader & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Tromboneローレンス・ブラウンLawrence Brown
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalメリー・マクヒューMary McHugh

CD23-4.「プレリュード・トゥ・ア・キス」。前回8月9日のデューク名義のレコーディングはインストであったが、ジョニー・ホッジス名義のこちらではマクヒューのヴォーカルが聴かれる。歌詞はアーヴィング・ゴードンという人の作という。
CD23-5.「ゼアズ・サムシング・アバウト・アン・オールド・ラヴ」。こちらもメディアム・スロウのメロウなナンバー。ここもマクヒューのヴォーカル入り。
CD23-6.「ザ・ジープ・イズ・ジャンピン」は、覚えやすいメロディーを持った曲。インスト・ナンバーでホッジスのソロがフューチャーされる。
CD23-7.「クラム・エルボウ・ブルース」は、テーマはミュートのTpを使っておどろおどろしい雰囲気を出している。ソロはそれぞれテーマを挟んでホッジス⇒ミュートTp⇒Tbと展開される。

HistoryCDボックス 12セット目

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年9月2日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD23-8.トゥイストーアンド・トゥワープスTwists-and twerps
CD23-9.マイティ・ライク・ザ・ブルースMighty like the blues

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

CD23-8.「トゥイスツーアンド・トゥワープス」。Ellingtoniaには、この日の録音は下記”Mighty like the blues”と”Boy meets horn (stew burp)”とある。”Twists-and twerps”と”Boy meets horn (stew burp)”は同じ曲なのだろうか?
CD23-9.「マイティ・ライク・ザ・ブルース」は、ゆったりとしたテンポのメランコリックなナンバー。

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年12月19日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD23-10.ジャズ・ポプリJazz potpourri
CD23-11.T.T.オン・トーストT.T. on toast
CD23-12.バトル・オブ・スイングBattle of swing

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

約3か月ほど相手のレコーディングである。
CD23-10.「ジャズ・ポプリ」。ソロはミュートTp⇒Cl⇒再びミュートTpのインスト・ナンバー。
CD23-11.「T.T.オン・トースト」は、ホッジスの独特のAsで始まる。他はTp(オープン)、Clの短いソロが入る。
CD23-12.「バトル・オブ・スイング」。タイトルは「スイングの戦い」という意味だろうか?ソロは、Cl、Tp、Tbが短いソロを取るがほとんどアンサンブルのナンバーである。

HistoryCDボックス CD23枚目

<Contents> …History…1938年12月19日、Ellingtonia …1938年12月20日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD23-13.アイム・イン・アナザー・ワールドI'm in another world
CD23-14.ホッジ・ポッジHodge podge
CD23-15.ダンシング・オン・ザ・スターズDancing on the stars
CD23-16.ワンダラストWanderlust

<Personnel>…ジョニー・ホッジス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Johnny Hodges and his orchestra)

Band leader & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Tromboneローレンス・ブラウンLawrence Brown
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer

ホッジス名義の録音であるが、今回はヴォーカルが入らない。
CD23-13.「アイム・イン・アナザー・ワールド」は、Tb、Tpの短いソロはあるが、ホッジスのAsをフューチャーしたナンバー。
CD23-14.「ホッジ・ポッジ」は、ホッジスをタイトルに使ったナンバー。何となくユーモラスな曲ではある。
CD23-15.「ダンシング・オン・ザ・スターズ」。ホッジスがリードするテーマで始まる。シンプルなエリントンのソロを挟み短いTbソロが入り再びホッジスのリードするテーマに戻る。
  CD23-16.「ワンダラスト」は、ミステリアスなムードを持ったイントロで始まる。カーネイのBsソロもあるが、ホッジスを前面にフューチャーしたナンバー。

HistoryCDボックス CD24枚目

<Contents> …History、Ellingtonia … 1938年12月21日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD23-17.デルタ・ムードDelta mood
CD23-18.ザ・ボーイズ・フロム・ハーレムThe boys from harlem
CD23-19.モバイル・ブルースMobile blues
CD23-20.ギャル‐アヴァンティンGal-avantin’

<Personnel>…クーティー・ウィリアムス・アンド・ヒズ・ラグ・カッターズ(Cootie Williams and his rug cutters)

Band leader & trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Clarinetバーニー・ビガードBarney Bigard
Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet & Alto saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Clarinet , Alto & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer

CD23-17.「デルタ・ムード」もミステリアスなムードを持った曲で、ここではクーティーのミュートTpが全面にフューチャーされる。
CD23-18.「ザ・ボーイズ・フロム・ハーレム」は、明るい感じの曲。クーティーはオープンで吹いている。
CD23-19.「モバイル・ブルース」は、タイトル通りのブルース・ナンバー。クーティーのミュートが冴える。2コーラスの後デュークが珍しく1コーラスのソロを取り、最後にクーティーが1コーラス、オープンで吹いて終わる。
CD23-20.「ギャル‐アヴァンティン」。こちらはクーティーのオーペンでのソロ、続いてビガード(Cl)、再びクーティーからアンサンブルに移る。

<Contents> …History、Ellingtonia … 1938年12月22日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

D24-1.ブルー・ライトBlue light
D24-2.老王ドゥージOld king Dooji
D24-3.ボーイ・ミーツ・ホーンBoy meets horn
D24-4.スラップ・ハッピー Slap happy

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

D24-1.「ブルー・ライト」。Ellingtoniaによれば、これだけピックアップ・メンバーによる録音。メンバーはウォーレス・ジョーンズ(Tp)、ローレンス・ブラウン(Tb)、バーニー・ビガード(Cl)、ハリー・カーネイ(Bs)、エリントン(P)、フレッド・ガイ(Gt)、ビリー・テイラー(B)、ソニー・グリア(Ds)という8重奏団。スロウ・テンポのメランコリックなナンバー。前セッションの「モバイル・ブルース」同様エリントンのピアノは、ストライド奏法から脱却を感じさせる。
CD24-2.「老王ドゥージ」。タイトルの由来は分からないが、何となくドラマチックなナンバーではある。
CD24-3.「ボーイ・ミーツ・ホーン」。誰だか分からないがTpをフューチャーしている。
CD24-4.「スラップ・ハッピー」はどことなく明るい感じがする曲だ。Ts、Tp、Bs、ミュートTpなど短いソロが配される。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年11月4日

第375回デューク・エリントン Duke Ellington 入門第28回 1938年その2

No.375 Duke Ellington No.28 1938-2

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

柴田浩一著『デューク・エリントン』

この年1938年のレコーディングの2回目。
前回柴田浩一氏の著『デューク・エリントン』の記述、「ハロルド・ベイカー(Tp)加入」を取り上げた。この件について追記しておきたい。
氏の記述と呼応するように、HistoryのCDボックスの1月13日のパーソネルには、ハロルド・ベイカー(Harold Baker tp)」が記載されている。そして全録音ではないが、1938年の録音には参加しているという記述になっている。しかし”The Duke Ellington society”がWebで掲載しているディスコグラフィー”Ellingtonia”には、1938年の録音にハロルド・ベイカーの名は全く登場しない。そしてデュークのコロンビアへの録音の抜粋集”The Duke”(CD3枚組)のこの年の録音にも全くその名は登場しないのである。
そこでデューク自身は何といっているか?『エリントン自伝』の中のハロルド・ベイカーの項に、「彼は1942年に加入した」と書いているのである。自伝だからすべて正しいとは限らないし、デューク自身の記憶違いということもあり得る。でも気になる。柴田氏のような研究家が誤るとも思えないし、かといってデューク自身の書いていることを疑う訳にもいかない。
そしていつもながら僕には決め手がないので、こういう問題がありますよ、と記載するに留めておこう。

さて今回も以下パーソネルを基本パーソネルとし、追加或いは不参加のメンバーが出た場合、その後はその変更部分だけを記すこととしたい。その方が多分分かりやすいだろうと思う。

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
trumpetウォーレス・ジョーンズWallace Jonesクーティ・ウィリアムスCootie Williamsレックス・スチュアートRex Stewart
Tromboneジョー・”トリッキー・サム”・ナントンJoe “Tricky Sam” Nantonローレンス・ブラウンLawrence Brown
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Clarinet , Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet , Alto & Bass saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Clarinet , Soprano & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylorヘイズ・アルヴィスHayes Alvis
Drumsソニー・グリアSonny Greer
HistoryCDボックス『ザ・デューク』

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年6月7日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD21-17.ユー・ゲイヴ・ミー・ザ・ゲイトYou gave me the gate
CD21-18.リオ・グランデのバラRose of the Rio Grande
CD21-19.ピラミッドPyramid
CD21-20.ホエン・マイ・シュガー・ウォークス・ダウン・ザ・ストリートWhen my sugar walks down the street(all the little birdies go tweet-tweet-tweet)

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

変更点
String Bass … ヘイズ・アルヴィス ⇒ Out
Vocal … アイヴィー・アンダーソン ⇒ In

前回録音から約2か月ほど空いている。デュークは何をしていたのかというと、多分柴田氏が言うように楽旅とラジオ放送出演に明け暮れていたのだろう。
CD21-17.「ユー・ゲイヴ・ミー・ザ・ゲイト」。珍しくアイヴィーの語りで始まり、ヴォーカルとなる。その後はオープンのTpソロを挟んでアイヴィーのヴォーカルからアンサンブルに移って終わる。
  CD21-18.「リオ・グランデのバラ」は、BGなども録音しているポップス・ナンバー。アイヴィーのヴォーカル入り。
  CD21-19.「ピラミッド」は、エキゾチックなそしてミステリアスなイントロなナンバーで、カーネィのBsソロは入るが、アンサンブル中心で全体にストーリーを感じさせるような展開である。
  CD21-20.「ホエン・マイ・シュガー・ウォークス・ダウン・ザ・ストリート」は、アイヴィーのヴォーカル入り。普通のポップス・ナンバーという感じ。

HistoryCDボックス CD21枚目

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年6月20日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD22-1.ウォーターメロン・マンWatermelon man
CD22-2.ア・ジプシー・ウィズアウト・ア・ソングA gypsy without a song
CD22-3.ザ・スティーヴドアーズ・セレナーデThe stevedore’s serenade
CD22-4.ラ・ディー・ドゥーディー・ドゥLa dee doody doo

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

変更点
String Bass … ヘイズ・アルヴィス ⇒ Out
Vocal … アイヴィー・アンダーソン ⇒ In
つまり6月7日と同じ。

CD22-1.「ウォーターメロン・マン」といってもあのハービー・ハンコックの大ヒット作ではない。こちらはエリントンの作。ハービーのあの曲の前に同じタイトルの曲があったことに驚いている。こちらの曲はともかく明るい曲である。アイヴィーの歌入り。
CD22-2.「ア・ジプシー・ウィズアウト・ア・ソング」は、「歌のないジプシー」というタイトルだが、どのような意味を込めているのだろうか?暗くメランコリックな曲である。
CD22-3.「ザ・スティーヴドアーズ・セレナーデ」。「スティーヴドアー(stevedore)」は「港湾労働者」という意味らしい。そういえばチュー・ベリーは一時自身のバンド名にこの言葉を使っていた。こちらも暗くメランコリックな曲だ。
CD22-4.「ラ・ディー・ドゥーディー・ドゥ」は、一転して明るい曲調である。アイヴィーの歌入り。アイヴィーの歌は割と低音で、意志の強さを感じさせる歌いっぷりである。

HistoryCDボックス 11セット目

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年6月22日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD22-5.ユー・ウォークド・アウト・オブ・ザ・ピクチュア―You walked out of the picture
CD22-6.ピラミッドPyramid
CD22-7.エンプティ・ボールルーム・ブルースEmpty ballroom blues
CD22-8.ロスト・イン・メディテイションLost in meditation

<Personnel>…ジョニー・ホッジス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Johnny Hodges and his orchestra)

Band leader & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Tromboneローレンス・ブラウンLawrence Brown
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalメリー・マクヒューMary McHugh

CD22-5.「ユー・ウォークド・アウト・オブ・ザ・ピクチュア―」。ホッジスの名義の録音なので、ヴォーカルにはマクヒューが加わる。アイヴィーに比べると柔らかい感じがする。.
CD22-6.「ピラミッド」は、エリントンのオーケストラでの演奏の再演で、さすがにこちらはホッジスが最初のソロを取っている。オーケストラ版の方が暗い感じがする。
CD22-7.「エンプティ・ボールルーム・ブルース」は、ボールルームが空だったらいろいろ困るだろうに…。しかしそんなことは吹っ飛ばして明るく行こう!といった感じがする。
CD22-8.「ロスト・イン・メディテイション」も、再演曲。マクヒューのヴォーカル入り。メランコリックな曲だがヴォーカルが入ることで少し救われる感じがする。

HistoryCDボックス CD22枚目

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年8月1日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD22-9.ア・ブルース・セレナーデA blues serenade
CD22-10.ラヴ・イン・スイングタイムLove in swingtime
CD22-11.スインギン・イン・ザ・デルSwingin’ in the dell
CD22-12.ジッターバッグズ・ララバイJitterbug’s lullby

<Personnel>…ジョニー・ホッジス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Johnny Hodges and his orchestra)

1938年6月20日と同じ。但し
Vocal … メリー・マクヒュー ⇒ レオン・ラ・フェル Leon La Fell
Historyでは6月20日と同じとするが、EllingtoniaはClとAsでオットー・ハードウィックが追加加入したとする。

CD22-9.「ア・ブルース・セレナーデ」では、一転して男性ヴォーカル、レオン・ラ・フェルが加わる。最初と最後にソロを取るホッジスの音色がいい。
CD22-10.「ラヴ・イン・スイングタイム」は、ホッジスがアンサンブルをリードしてヴォーカルに移り、続いてアンサンブルとなって終わる。
CD22-11.「スインギン・イン・ザ・デル」は、コメントが難しい。特にどうこう言う曲ではない。
CD22-12.「ジッターバッグズ・ララバイ」は、ゆったりとしたナンバー、前曲同様特にどうという内容はないが、ホッジスの独特の演奏が聴けるだけで納得してしまう。

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年8月2日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD22-13.チェイシン・チッピーズChasin’ chippies
CD22-14.ブルー・イズ・ジ・イヴニングBlue is the evening
CD22-15.シャーピーSharpie
CD22-16.スイング・パン・アレイSwing pan alley
「クーティー・ウィリアムス/ザ・ラグ・カッターズ」レコード・ジャケット

<Personnel>…クーティー・ウィリアムス・アンド・ヒズ・ラグ・カッターズ(Cootie Williams and his rug cutters)

Band leader & trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Clarinetバーニー・ビガードBarney Bigard
Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet & Alto saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Clarinet , Alto & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalスキャット・パウエルScat Powell

8月1日のジョニー・ホッジス名義の録音の翌日は、クーティー・ウィリアムス名義の録音が行われた。
CD22-13.「チェイシン・チッピーズ」は、ミュートを自在に扱うクーティーのTpのソロで始まる。続くのはビガードのCl、そしてカーネイのBsと続き、もう一度今度はクーティーがオープンで吹く。まさに黄金のリレー。ソロ中心のナンバー。
CD22-14.「ブルー・イズ・ジ・イヴニング」は、ゆったりとしたメロウなナンバー。クーティーは冒頭ミュートで吹くが、ここでは前曲と違った味わいを出している。スキャット・パウエルという人のヴォーカルが入る。”スキャット”と名乗るからには、やはりスキャットが得意なのだろうか?ともかくここではスキャットはなく、通常に歌詞を歌っている。
CD22-15.「シャーピー」。ここでもクーティーのミュートの妙技の後ヴォーカルが入る。その後のデュークのピアノがあるパターンを弾きそれに応えるようなホッジスのプレイが良い。
CD22-16.「スイング・パン・アレイ」。これもクーティーのミュートTpで始まる。そしてホッジス、再びクーティーで締める。この4曲はクーティーのミュートの妙技を味わうには、格好の録音であろう。

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年8月4日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD22-17.ア・ブルー・セレナーデA blue serenade
CD22-18.ラヴ・イン・スイングタイムLove in swingtime
CD22-19.プリーズ・フォーギヴ・ミーPlease forgive me

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

変更点
String Bass … ヘイズ・アルヴィス ⇒ Out
Vocal … スキャット・パウエル ⇒ In

CD22-17.「ア・ブルー・セレナーデ」。ゆったりとしたメロウなナンバー。アンサンブルが素晴らしい。
CD22-18.「ラヴ・イン・スイングタイム」は、スキャット・パウエルのヴォーカル入り。スインギーなナンバー。
CD22-19.「プリーズ・フォーギヴ・ミー」。これもスロウでメロウなナンバー。複雑なアンサンブルを持った曲である。

HistoryCDボックス 12セット目

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年8月9日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD22-20.ランベス・ウォークLambeth walk
CD23-1.プレリュード・トゥ・ア・キスPrelude to a kiss
CD23-2.ヒップ・チックHip chic
CD23-3.ビュッフェ・フラットBuffet flat

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

変更点
String Bass … ヘイズ・アルヴィス ⇒ Out
Vocal … スキャット・パウエル ⇒ Out

CD22-20.「ランベス・ウォーク」は、スインギーなナンバーで、アンサンブルの後ミュートTpがソロを取る。続いてTbはオープンでソロ、そしてClのリードするアンサンブルで締め括っている。
CD23-1.「プレリュード・トゥ・ア・キス」は、メロウ・ナンバーとしてエリントンの代表作の一つ。何といってもホッジスのAsが官能的なプレイが凄みを持っている。
CD23-2.「ヒップ・チック」は、一転してスインギーなナンバー。アンサンブル勝負っといったナンバー。素晴らしい。
CD23-3.「ビュッフェ・フラット」。こちらもスインギーなナンバーで、カーネイのBs⇒ミュートTp⇒Bsとアンサンブルを挟んで短いソロが入るが、聴き処はやはりアンサンブルであろう。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年10月31日

第374回デューク・エリントン Duke Ellington 入門第27回 1938年その1

No.374  Duke Ellington No.27 1938-1

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

柴田浩一著『デューク・エリントン』

この年1938年は録音の多い年であった。1回で全曲を取り上げると長くなってしまうので、3回くらいに分けようと思う。また今回も柴田浩一氏の著『デューク・エリントン』から、この年のエポックを取り上げよう。柴田氏が最初に上げているのは、
「コットン・クラブで、「コットン・クラブ・レヴュー」を上演。6ヵ月のロング・ランの成績を収める。その後、演奏旅行とアポロ劇場出演などで明け暮れる」とある。しかし実際はレコーディングも数多くこなされた。1年で75曲というのはかなり多い方だと思う。
「ハロルド・ベイカー(Tp)加入」。⇒しかしレコーディング・パーソネルを見ると全録音に参加しているわけではない。どういう条件での加入だったのだろう。
「この年1月16日、ベニー・グッドマンが、音楽家憧れのカーネギー・ホールにジャズ・プレイヤーとして初出演。その2部にはエリントン・バンドから、クーティー・ウィリアムス、ジョニー・ホッジス、ハリー・カーネイがゲストとして呼ばれ、前年エリントンがスモール・コンボ用に書いた『ブルー・レヴァリー』をグッドマン・コンボに加わって演奏した。この時会場で、舞台を見つめるエリントンは何を考えていたのだろうか。たぶん自分もいつか必ずここで、と固い決意を胸に秘めたに違いない。因みに夢が現実になったからであろうか『ブルー・レヴァリー』はその後2度と演奏していない」と。BGのカーネギー・ホール出演のことはBGの回で既にふれた。BGが最初のカーネギー登場ジャズマンかどうかには異論があるが、デュークが会場で聴いていたのは知らなかった。
「白人バンド、グレン・ミラーの人気急上昇。」
「ブギ・ウギが大流行」⇒これはトミー・ドーシーが取り上げたことによるもので、それも既にふれた。

この年は、かなりバンドのメンバーが固定化している。以下パーソネルを基本パーソネルとし、追加或いは不参加のメンバーが出た場合、その後はその変更部分だけを記すこととしたい。その方が多分分かりやすいだろうと思う。


HistoryCDボックス『ザ・デューク』

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ (Duke Ellington & his Orchestra)

Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
trumpetウォーレス・ジョーンズWallace Jonesクーティ・ウィリアムスCootie Williamsレックス・スチュアートRex Stewart
Tromboneジョー・”トリッキー・サム”・ナントンJoe “Tricky Sam” Nantonローレンス・ブラウンLawrence Brown
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Clarinet , Soprano & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Clarinet , Alto & Bass saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Clarinet , Soprano & Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Banjo & Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylorヘイズ・アルヴィスHayes Alvis
Drumsソニー・グリアSonny Greer

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年1月13日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD20-9.ステッピング・イントゥ・スイング・ソサイエティStepping into swing society
CD20-10.プロローグ・トゥ・ブラック・アンド・タン・ファンタジーProlog to black and tan fantasy
CD20-11.ザ・ニュー・ブラック・アンド・タン・ファンタジーThe new black and tan fantasy
『デューク・エリントン自伝』

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

HistoryとEllingtoniaでは、Tpセクションのパーソネルが大きく異なる。
History基本形にハロルド・ベイカーが加わる。
EllingtoniaTpセクションは、クーティー、レックスにフレディー・ジェンキンス、アーサー・ホエッツェルの4人。
Columbia2月2日の録音では、Ellingtoniaと同じメンバーが記載されている。
そうするとEllingtonia=Columbiaが正しいように思えるが、『デューク・エリントン自伝』には、アーサー・ホエッツェルは1937年病気療養のため引退したとあり、フレディ・ジェンキンスは1938年(月日不記載)こちらも病気療養のため退団したとある。
いつもながら僕には決め手がいないので、それぞれの記載を紹介するにとどめる。

CD20-9.「ステッピング・イントゥ・スイング・ソサイエティ」は、デュークとしてはちょっとしたアイディアの曲というところだろう。頭のいかにもホッジスというアルトが嬉しい。
CD20-10.「プロローグ・トゥ・ブラック・アンド・タン・ファンタジー」は、久しぶりの再演である。しかし「プロローグ(序章」とはどういう意味合いであろうか?次の「ザ・ニュー〜」が本番だよということであろう。確かに演奏時間は短い感じがする。CD記載は2分34分。
CD20-11.「ザ・ニュー・ブラック・アンド・タン・ファンタジー」。こちらが本番という割に時間(CD記載:2分41分)はそれほど「序章」と変わらない。

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年1月19日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

この日は、バーニー・ビガード、クーティー・ウィリアムス、ジョニー・ホッジス名義での録音が行われ、それぞれメンバーが若干ずつ異なる。
そして若干だがややこしいことに、CD14と17がクーティーと、ホッジスの2曲を挟む形でHistoryは収録されている。

CD20-12.ドラマーズ・デライトDrummer's delight
CD20-13.イフ・アイ・ソート・ユー・ケア―ドIf I thought you cared
HistoryCDボックス 10セット目

<Personnel>…バーニー・ビガード・アンド・ヒズ・オーケストラ (Barney Bigard and his Orchestra)

Band leader & Clarinetバーニー・ビガードBarney Bigard
trumpetレックス・スチュアートRex Stewart
Valve‐Tromboneファン・ティゾールJuan Tizol
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Band leader & Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer

CD20-12.「ドラマーズ・デライト」は、「ドラマーの喜び」というような意味であろう。確かにグリア(Ds)がフューチャーされる。しかしビガード名義の曲で「ドラマー」なのだろう?この辺りがよく分からない。ビガードは後半短いソロを取る。
CD20-13.「イフ・アイ・ソート・ユー・ケア―ド」は、ビガードのClがリードするアンサンブルで始まる。少しばかりスロウなメランコリックなナンバー。

CD20-14.ハヴ・ア・ハート
CD20-17.エコーズ・オブ・ハーレムEchoes of harlem

<Personnel>…クーティー・ウィリアムス・アンド・ヒズ・ラグ・カッターズ(Cootie Williams and his rug cutters)

Band leader & trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Tromboneジョー・”トリッキー・サム”・ナントンJoe “Tricky Sam” Nanton
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer

CD20-14.「ハヴ・ア・ハート」。こちらはクーティーのミュートTpがリードするテーマに始まり、ビガード(Cl)⇒カーネイ(Bs)⇒クーティー(Tp)⇒デューク(P)⇒クーティー(オープンTp)と短いソロが続き、フェイド・アウトで終わる。
CD20-17.「エコーズ・オブ・ハーレム」は、エキゾチックなムードを持った曲で、こういう曲を聴くと「エリントン=コットン・クラブ=ハーレム」という連想が浮かぶ。

HistoryCDボックス 20枚目
CD20-15.マイ・ディMy day
CD20-16.シルヴァリー・ムーン・アンド・ゴールデン・サンズSilvery moon and golden sands

<Personnel>…ジョニー・ホッジス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Johnny Hodges and his orchestra)

Band leader & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Alto saxオットー・ハードウィックOtto Hardwick
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalメリー・マクヒューMary McHugh

HistoryとEllingtoniaの異なるところは、History…Tenor saxとしてバーニー・ビガードが入り、Ellingtonia…Alto saxにオットー・ハードウィックがついかでくわわるという点である。

CD20-15.「マイ・ディ」は短いクーティーの露払い(?)の後ホッジスのソロで始まる。ホッジス節が堪能できる。何故かホッジスの録音にはメリー・マクヒューという女性ヴォーカルが入る。声を聴くと白人に思えるが、この人のデータはググってもほとんど出てこない。
  CD20-16.「シルヴァリー・ムーン・アンド・ゴールデン・サンズ」は、ホッジス⇔クーティーというゴールデン・コンビの後マクヒューのヴォーカルになる。

<Contents> …History,Ellingtonia …1938年2月2日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD20-18.ライディング・オン・ア・ブルー・ノートRiding on a blue note
CD20-19.ロスト・イン・メディテイションLost in meditation
CD20-20.ザ・ギャル・フロム・ジョーズThe gal from Joe's

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

1月13日と同じ問題で、Tpセクションのパーソネルが大きく異なる。
History基本形にハロルド・ベイカーが加わる。
EllingtoniaTpセクションは、クーティー、レックスにフレディー・ジェンキンス、アーサー・ホエッツェルの4人。 Columbia2月2日の録音では、Ellingtoniaと同じメンバーが記載されている。

CD20-18.「ライディング・オン・ア・ブルー・ノート」は軽快なナンバーであるが、タイトル「ブルー・ノートでノッて」という割にブルー・ノートを強調した曲ではない。そういう意味ではないのであろうか?
CD20-19.「ロスト・イン・メディテイション」は、スロウなメランコリックなナンバー。Tbソロ(ティゾルか?)⇒ホッジス(As)⇒Tpソロと続きアンサンブルで締め括る。
CD20-20.「ザ・ギャル・フロム・ジョーズ」は、どことなくユーモラスなナンバーで、ホッジス節がたっぷり聴ける。

HistoryCDボックス 11セット目

<Contents> …History…1938年2月25日、Ellingtonia …1938年2月24日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD21-1.イフ・ユー・ワー・イン・マイ・プレイスIf you were in my place(what would you do)
CD21-2.スクラウンチScrounch

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

Ellingtoniaでは、この録音においてアーサー・ホェッツェルの表示が消える。
History基本形の3人。
EllingtoniaTpセクションは、クーティー、ウォーレス・ジョーンズ、フレディー・ジェンキンスの3人。 Columbia2月25日の録音では、Ellingtonia+レックス・スチュアートの4人。
ヴォーカルにアイヴィー・アンダーソンが加わる。

CD21-1.「イフ・ユー・ワー・イン・マイ・プレイス」は、ゆったりしたナンバーでホッジス⇒Tpミュートの後アイヴィー・アンダーソンのヴォーカルが入る。なんか久しぶりに聴いた感じである。よく分からないのは、専属のアイヴィーがいながらマクヒューなども起用するのだろうか?白人受け狙いか?
CD21-2.「スクラウンチ」。これもアイヴィーのヴォーカル入り。強調するアクセントが強力である。

<Contents> …History、Ellingtonia … 1938年3月3日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD21-3.アイ・レット・ア・ソング・ゴー・アウト・オブ・マイ・ハートI let a song go out of my heart
CD21-4.ブラッギン・イン・ブラスBraggin’in brass
CD21-5.カーニヴァル・イン・キャロラインCarneval in Caroline

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

Ellingtoniaでは、この録音においてアーサー・ホェッツェルの表示が消える。
History基本形の3人。
EllingtoniaTpセクションは、クーティー、レックス・スチュアート、フレディー・ジェンキンスにアーサー・ホェッツェルが復帰して4人。 Columbia3月3日の録音では、Ellingtoniaと全く同じ。

CD21-3.「アイ・レット・ア・ソング・ゴー・アウト・オブ・マイ・ハート」。いわずと知れた名曲で当時もヒットしたという。カーネイの吹奏にホッジスが絡むのも良いが、僕はホッジスがあの独特の吹き方でストレートに吹くのが好きだ。ベニー・グッドマンが同年4月に吹込み、こちらもヒットした。
CD21-4.「ブラッギン・イン・ブラス」は、Tpをフューチャーしたナンバー。このTpが誰かが分からない。こういう時日本盤なら解説があるのにな、と思ってしまう。
CD21-5.「カーニヴァル・イン・キャロライン」は、このセッション唯一アンダーソンのヴォーカルが入る。カーニヴァルの雰囲気を出し賑やかなナンバーだ。

HistoryCDボックス 21枚目

<Contents> …History、Ellingtonia …1938年3月28日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD21-6.ジープズ・ブルースJeep’s blues
CD21-7.イフ・ユー・ワー・イン・マイ・プレイスIf you were in my place(what would you do)
CD21-8.アイ・レット・ア・ソング・ゴー・アウト・オブ・マイ・ハートI let a song go out of my heart
CD21-9.ランデヴー・ウィズ・リズムRendevous with rhythm

<Personnel>…ジョニー・ホッジス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Johnny Hodges and his orchestra)

Band leader & Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Tromboneローレンス・ブラウンLawrence Brown
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny Greer
Vocalメリー・マクヒューMary McHugh

HistoryとEllingtoniaは珍しく完全に一致する。

CD21-6.「ジープズ・ブルース」。ジープのブルースと題された曲は、サックスの得意なハーモニーが異色なナンバーだ。なぜこれが「ジープ」か分からないが。
  CD21-7.「イフ・ユー・ワー・イン・マイ・プレイス」。ホッジスのバンドではこの曲でもヴォーカルにメリー・マクヒューが入る。彼女はホッジスの指名だったのかもしれない。ホッジスのソロがたっぷり聴ける。
  CD21-8.「アイ・レット・ア・ソング・ゴー・アウト・オブ・マイ・ハート」。3月3日の再演である。今回はマクヒューの歌入りヴァージョンである。歌入りもいいなぁとしみじみ感じる。
  CD21-9.「ランデヴー・ウィズ・リズム」。ホッジス名義の録音は、ホッジスのソロがたっぷり聴けるところがいい。

<Contents> …History、Ellingtonia …1938年4月4日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD21-10.ア・レッスン・イン・CA lesson in C
CD21-11.スイングタイム・イン・ホノルルSwingtime in Honolulu
CD21-12.カーニヴァル・イン・キャロラインCarneval in Caroline
CD21-13.オール・マン・リヴァーO'l man river
「クーティー・ウィリアムス/ザ・ラグ・カッターズ」レコード・ジャケット

<Personnel>…クーティー・ウィリアムス・アンド・ヒズ・ラグ・カッターズ(Cootie Williams and his rug cutters)

Band leader & trumpetクーティ・ウィリアムスCootie Williams
Tromboneジョー・”トリッキー・サム”・ナントンJoe “Tricky Sam” Nanton
Clarinet & Tenor saxバーニー・ビガードBarney Bigard
Alto saxジョニー・ホッジスJohnny Hodges
Baritone saxハリー・カーネイHarry Carney
Pianoデューク・エリントンDuke Ellington
Guitarフレッド・ガイFred Guy
String Bassビリー・テイラーBilly Taylor
Drumsソニー・グリアSonny GreerVocalジェリー・クルーガーJerry Krugaer

CD21-10.「ア・レッスン・イン・C」。出だしの自由自在に扱うミュート・ソロがクーティーの真骨頂か?ここではジェリー・クルーガーのヴォーカルが入る。
CD21-11.「スイングタイム・イン・ホノルル」。この曲もクーティーのミュートの妙技を味わえる。クルーガーは1937年のクーティーの録音にも参加していた。声質を聞く限り黒人女性だと思う。
CD21-12.「カーニヴァル・イン・キャロライン」は、4月4日の再演であるが、ヴォーカルが入ったからというわけではなく、感じが違う。アレンジを相当変えていると思う。
CD21-13.「オール・マン・リヴァー」は、久しぶりのオリジナル以外のスタンダード・ナンバー。これもクルーガーのヴォーカル入り。

<Contents> …History、Ellingtonia …1938年4月11日 ニューヨークにて録音 (Brunswick)

CD21-14.スイングタイム・イン・ホノルルSwingtime in Honolulu
CD21-15.アイム・スラッピン・セヴンス・アヴェニューI'm slappin’seventh avenue(with the sole of my shoe)
CD21-16.ダイナズ・イン・ア・ジャムDinah’s in a jam

<Personnel基本形>…デューク・エリントン・アンド・ヒズ・フェイマス・オーケストラ (Duke Ellington & his famous Orchestra)

1月13日と同じ問題で、Tpセクションのパーソネルが大きく異なる。
History基本形にハロルド・ベイカーが加わる。
EllingtoniaTpセクションは、基本形の3人。
Columbiaこの録音は取り上げられていない。
Tpセクション以外では、History、Ellingtoniaとも同じで
String Bass … ヘイズ・アルヴィス ⇒ Out
Vocal … アイヴィー・アンダーソン ⇒ In

CD21-14.「スイングタイム・イン・ホノルル」。4月4日クーティー名義で録音したばかりだが、改めてオーケストラでの録音で、こちらはアイヴィーのヴォーカル入り。曲全体としてはハワイっぽくないのだが、注意して聴くと「アロハ・オエ」のメロディーなどが出てくるのが面白いといえば面白い。
CD21-15.「アイム・スラッピン・セヴンス・アヴェニュー」は、ほぼアンサンブルの曲でそれはそれで珍しい。
CD21-16.「ダイナズ・イン・ア・ジャム」は、ビガードのClが目立つが全体としては取り留めもない曲だなぁと思う。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年10月24日

第373回 ファッツ・ウォーラー入門 1938年

No.373 Fats Waller 1938

ご覧いただきありがとうございます。引退オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

今回は1938年の録音を聴いていこう。
何度も書いて申し訳ないが、レコード・ボックスにはパーソネルや録音データは一切掲載されていない。1938年の収録されているナンバーも、全て「ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム」によるものだが、パーソネルについてはWebで出来る限り調べたが分からなかった。

「ジャズの巨人/ファッツ・ウォーラー」レコード・ボックス

「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第5巻/ファッツ・ウォーラー」LP5枚組 RCA RA-23〜27(日本盤)

<Contents> … 1938年4月12日

レコードB面2.アラビアの酋長The shiek of Araby

<Personnel> … ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム (Fats Waller and his rhythm)

Band leader , Piano & Vocalファッツ・ウォーラーFats Waller
Trumpetハーマン・オートレイHerman Autray
Tromboneジョージ・ロビンソンGeorge RobinsonORジョニー・ホウトンJohnny Haughton
その他不明Unknown

レコードB面2.「アラビアの酋長」は、サッチモやベニー・グッドマンも吹き込んでいるこの時代の人気曲。ウォーラーのPソロで始まる。微妙なトレモロ奏法などを交えたストライド系の奏法で素晴らしい。続くTbソロはジョージ・ロビンソンかジョニー・ホウトンだというが、こういっては悪いがどちらにせよ『ジャズ人名事典』にも載っていないプレイヤーである。ヴォーカル後のオートレイのソロもいい感じである。

<Contents> … 1938年6月1日

レコードB面3.オン・ザ・バンピー・ロード・トゥ・ラヴOn the bumpy road to love
レコードB面4.ウィ・ザ・ピープルWe , the people

<Personnel> … ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム (Fats Waller and his rhythm)

Band leader , Piano & Vocalファッツ・ウォーラーFats Waller
Trumpetハーマン・オートレイHerman Autray
その他不明Unknown

レコードB面3.「オン・ザ・バンピー・ロード・トゥ・ラヴ」。これも冒頭のウォーラーのソロが聴きものである。ウォーラーのヴォーカルは余計な仕草が多く現代的ではないが、当時はユーモラスということで人気があったのであろう。
レコードB面4.「ウィ・ザ・ピープル」。これも冒頭のウォーラーのピアノ・ソロがいい。ヴォーカルの後に出るTpソロもいい。

「ジャズの巨人/ファッツ・ウォーラー」3枚目B面ラベル

<Contents> … 1938年10月13日

レコードB面5.ねむそうな二人Two sleepy people
レコードB面6.ヨット・クラブ・スイングYacht club swing

<Personnel> … ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム (Fats Waller and his rhythm)

Band leader , Piano & Vocalファッツ・ウォーラーFats Waller
その他不明Unknown

レコードB面5.「ねむそうな二人」は、Pによるイントロに続き、Tpが原メロディーを1コーラス奏する。それにPとテナーが絡みヴォーカルに移る。「眠そうな二人、恋した二人は離れられない」とユーモラスに暖かく、そして情感豊かに聴かせる名唱である。ウォーラーの代表作の一つだという。
  レコードB面6.「ヨット・クラブ・スイング」。タイトルの「ヨット・クラブ」はニューヨーク52丁目にあり、ウォーラーは、38年9月から翌年1月まで専属バンドであった。当時ウォーラー・バンドはこの曲をエンディング・テーマにしていた。ヴォーカル無しで、一人ずつソロを取っていく楽しいナンバーである。

<Contents> … 1938年12月7日

レコードB面7.ラヴ・アイド・ギヴ・マイ・ライフ・フォー・ユーLove , I'd give my life for you
レコードB面8.蜘蛛と蠅The spider and the fly

<Personnel> … ファッツ・ウォーラー・アンド・ヒズ・リズム (Fats Waller and his rhythm)

Band leader , Piano & Vocalファッツ・ウォーラーFats Waller
Tenor saxジーン・セドリックGene Sedric
その他不明Unknown

レコードB面7.「ラヴ・アイド・ギヴ・マイ・ライフ・フォー・ユー」。解説氏は両手をフルに使ったPのイントロのソロがダイナミックで素晴らしいとする。ヴォーカルの後に展開するTpソロも素晴らしい。解説氏は、ジーン・セドリックがチュー・ベリー張りに吹きまくっているというが、僕にはテナーが微かでほとんど聴こえないのだが。
  レコードB面8.「蜘蛛と蠅」。ウォーラーと楽団員の掛け合いが楽しいナンバー。ウォーラーのヴォーカルがここでも実にユーモラスである。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年10月23日

第372回2019年10月23日

ルイ・アームストロング入門 その29 1938年

No.372 Louis Armstrong 1938

久々のサッチモの登場である。前回は第323回でその時は1936年2月4日までの録音を取り上げた。そして今回は1938年5月18日からの録音を取り上げる。もちろんこの間もレコーディングは行っているが、レコード、CD共に保有していない。

The Chronogical “Louis Armstrong and his orchestra 1938-1939”classics 523

<Contents> … 1938年5月18日 ニューヨークにて録音

CD1.オン・ザ・センチメンタル・サイドOn the sentimental side
CD2.イッツ・ワンダフルIt's wonderful
CD3.サムシング・テルズ・ミーSomething tells me
CD4.ラヴ・ウォークド・インLove walked in

<Personnel> … ルイ・アームストロング・アンド・ヒズ・オーケストラ(Louis Armstrong & his orchestra )

Trumpet , Vocal & Band leaderルイ・アームストロングLouis Armstrong
Trumpetシェルトン・ヘンフィルShelton Hemphill
TromboneJ.C.ヒギンボッサムJ.C.Higginbotham
Clarinet & Alto saxルパート・コールRupert Cole
Alto saxチャーリー・ホルムズCharlie Holmes
Clarinet & Tenor saxビンギー・マディソンBingie Madison
Tenor saxグリーリー・ウォルトンGreely Walton
Pianoルイ・ラッセルLuis Russell
Guitarリー・ブレアLee Blair
String Bassレッド・カレンダーRed Callender
Drums & Vibraphoneポール・バーバリンPaul Barbarin

4曲とも当時の典型的なサッチモの演奏スタイルだと思われる。ほぼポップス・チューンでジャズ的興味は、ルイのTpソロと参加ミュージシャンのソロということになるだろう。 このレコーディングにはベースにレッド・カレンダーが参加している。カレンダーは1937年11月のレコーディングからレコーディングに参加しているがこの辺りが彼の最も初期の録音にであろう。
CD1.「オン・ザ・センチメンタル・サイド」は、サッチモのリードするアンサンブルに始まり、サッチモのヴォーカル、Tpソロと続く典型的なパターン。
CD2.「イッツ・ワンダフル」は、アンサンブルの後すぐヴォーカルとなる。そして短いテナー・ソロが入り、Tpソロとなる。
CD3.「サムシング・テルズ・ミー」は、Tpソロから入る。そしてヴォーカルとなり、続いてTbソロとなる。これが見事なソロで、ヒギンボッサムであろう。それに刺激されたかのように続くサッチモのソロも力が入っている。
CD4.「ラヴ・ウォークド・イン」は、ガーシュイン作のミュージカル・ナンバー。

<Contents> … 1938年6月10、13日 ニューヨークにて録音

CD5.ザ・フラット・フット・フルージーThe flat foot floogie6月10日
CD6.ザ・ソング・イズ・エンディドThe song is ended6月13日
CD7.マイ・ウォーキング・スティックMy waking stick6月13日

<Personnel> … ルイ・アームストロング・ウィズ・ザ・ミルス・ブラザーズ(Louis Armstrong with the Mills brothers )

Trumpet , Vocal & Band leaderルイ・アームストロングLouis Armstrong
Vocal & Chorusザ・ミルス・ブラザーズThe Mills Brothers
Guitarノーマン・ブラウンNorman Brown

これは「ザ・フォー・キングス・オブ・ハーモニー」と呼ばれたザ・ミルス・ブラザーズと共演した興味深いセッション。
CD5.「ザ・フラット・フット・フルージー」は、スリム・ゲイラードとスリム・スチュアートがこの年に放った大ヒットナンバー。ベニー・グッドマンも同年5月31日に吹き込んでいる録音を第366回で紹介した。サッチモとミルズの掛け合いで始まる楽しいナンバー。
CD6.「ザ・ソング・イズ・エンディド」は、何となくフォーク・ソング調のナンバー。
CD7.「マイ・ウォーキング・スティック」では、サッチモのヴォーカルのバックにミルズがコーラスを付けるという形式が取られる。それよりも不思議なのはTpがミュート、オープンで重なり合って吹かれるところがある。それぞれ味のあるプレイである。この時代多重録音は行われていないので、どちらかがサッチモでもう一方は他の奏者のはずだが、なかなか甲乙つけがたいのである。

<Contents> … 1938年6月14日 ニューヨークにて録音

CD8.シャドラックShadrack
CD9.ゴーイング・トゥ・シャウト・オール・オーヴァー・ゴッズ・ヘヴンGoing to shout all over God’s heaven
CD10.ノーバディ・ノウズ・ザ・トラブル・アイヴ・シーンNobody knows the trouble I’ve seen
CD11.ジョナ・アンド・ザ・ホエールJonah and the whale

<Personnel> … ルイ・アームストロング・ウィズ・ザ・デッカ・ミックスド・コーラス(Louis Armstrong with the Decca mixed chorus )

Vocalルイ・アームストロングLouis Armstrong
Directionリン・マレイLyn Murray
2Pianos , Guitar , String bass , Drums不明Unknown

これはこのCDで初めて聴いたサッチモのゴスペル・ナンバー。リン・マレイの率いる「デッカ混声合唱団」(The Decca mixed chorus)との共演である。

<Contents> … 1938年6月24日 ニューヨークにて録音

CD12.ナチュラリーNaturally
CD13.アイヴ・ガット・ア・ポケットフル・ドリームスI've got a pocketful of dreams
CD14.捧ぐるは愛のみI can't give you anything but love
CD15.浮気はやめたAin't misbehavin’

<Personnel> … ルイ・アームストロング・アンド・ヒズ・オーケストラ(Louis Armstrong & his orchestra )

Trumpet , Vocal & Band leaderルイ・アームストロングLouis Armstrong
Trumpetボブ・クスマーノBob Cusumanoジョニー・マギーJohnny McGee
Tromboneアル・フィルバーンAl Philburn
Clarinetシド・ストーンバーンSid Stoneburn
Pianoナット・ジャフェNat Jaffe
Guitarデイヴ・バーバーDave Barbour
String Bassヘイグ・ステファンズHaig Stephens
Drumsサム・ワイスSam Weiss

ゴスペル・ナンバーを吹き込んだ10日後には、またポップス・チューンに復帰する。オーケストラというがメンバーはサッチモを含めて9名である。そして9名中3名がトランぺットという布陣が珍しい。

<Contents>…1938月8月11日 ニューヨークにて録音

CD15.エルダー・イートモアズ・サーモン・オン・スロウイング・ストーンズElder Eatmore's sermon on the throwing stones
CD16.エルダー・イートモアズ・サーモン・オン・ゼネロシティElder Eatmore's sermon on the Generosity

<Personnel> … ルイ・アームストロング(Louis Armstrong )

Sermonルイ・アームストロングLouis Armstrong
Choir & Organハリー・ミルズHarry Mills
Chorus不明Unknown

サッチモのゴスペル・シングも意外だったがもっと意外だったのはこのトラック。これは教会で牧師が行う説教である。オルガンとコーラスで参加しているのは、ミルズ・ブラザーズの次兄ハリー・ミルズである。
僕はこの辺りに全く通じていないのだが、これはエルダー・イートモアという人の(throwing stones=石投げ、generosity=寛容)についての説教を語ったということなのではないかと思う。
これは『ジャズ』という音楽には全く関係のないことであるが、サッチモはこういう宗教的なところもあったということで理解しておけばいいのではないかと思う。

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ジャズ・ディスク・ノート 2019年10月17日

第371回トミー・ドーシー・オーケストラ 1938年

No.371 Tommy Dorsey Orchestra 1938

ご覧いただきありがとうございます。定年オジサン<のたり庵>のジャズ学習帳です。

今回はスイング時代の白人ビッグ・バンドのトップ・スリーの一つトミー・ドーシーの1938年の録音を取り上げよう。スイング時代の白人ビッグ・バンド・トップ・スリーは、ベニー・グッドマン、グレン・ミラーとそしてこのトミー・ドーシーである。ベニー・グッドマンは第365回で、グレン・ミラーは大分前第4回目辺りで取り上げた。今回の音源は2つ、ヴィクターから出ていた2枚組LP「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」とコロンビアから出ていた「ヒストリカル・レコーディング・シリーズ/トミー・ドーシー」である。

<Contents> … 1938年3月10日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.A-4.アラバマ行きの夜行列車When the midnight choo-choo leaves for Alabama

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・クランベイク・セヴン (Tommy Dorsey and his Clambake seven)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetピー・ウィー・アーウィンPee Wee Erwin
Clarinetジョニー・ミンスJohnny Mince
Tenor saxスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfult
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill
Vocalエディス・ライトEdythe Wright

メンバーには1936年に歌っていたエディス・ライトが復帰した。

Record2.A-4.「アラバマ行きの夜行列車」アーヴィング・バーリン作の古い曲で、映画『ショウほど素敵な商売はない』の挿入歌で、映画ではダン・ディリーが歌っていたという。演奏は、ピック・アップ・メンバー「クラムベイク・セヴン」によるディキシー風の好演。トミーのソロ、ミンスのClがなかなかいい味を出している。ヘルフルトのTsソロはかなりバド・フリーマン風だとは解説の野口久光氏。

<Contents> … 1938年7月11日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.A-5.パナマPanama
Record2.A-7.チャイナタウン・マイ・チャイナタウンChinatown , my Chinatown

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetピー・ウィー・アーウィンPee Wee Erwinジョー・バウアーJoe Bauerアンディ・フェレッチAndy Ferretti
Tromboneレス・ジェンキンスLes Jenkinsウォルター・マーキュリオWalter Mercurio
Clarinet & Alto saxジョニー・ミンスJohnny Mince
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulceスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfult
Tenor saxバド・フリーマンBud Freeman
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill

Dsのディヴ・タフを除き1937年7月20日と同じメンバー。

Record2.A-5.「パナマ」はW.H.タイラー作のディキシー初期のナンバー。新しいアレンジでミンスのCl、ドーシーのTbのソロがフューチャーされている。
Record2.A-7.「チャイナタウン・マイ・チャイナタウン」これも古いポピュラー・ソングで、こちらは「クラムベイク・セヴン」によるディキシー風の演奏で、ここでもミンスのCl、ドーシー(Tb)、多分ヘルフルトのTsが聴き処である。

<Contents> … 1938年7月15日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.A-6.アラビアの酋長The shiek of Araby

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・クランベイク・セヴン (Tommy Dorsey and his Clambake seven)

7月11日と同じメンバー。

Record2.A-6.「アラビアの酋長」は、20年代の美男スター、ルドルフ・ヴァレンチノに捧げられたナンバーで、ベニー・グッドマンなどスイング時代によく演奏されたナンバー。ここでもディキシー風に奏され、アンサンブル⇒Cl、Tb、Ts、Tp⇒アンサンブルという組み立てである。

<Contents> … 1938年7月25日 ハリウッドにて録音

「Jazz historical recording/Tommy Dorsey」 日本盤

B-1.コペンハーゲンCopenhagen
B-2.シンフォニー・イン・リフズSymphony in riffs

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetピー・ウィー・アーウィンPee Wee Erwinジョー・バウアーJoe Bauerアンディ・フェレッチAndy Ferretti
Tromboneレス・ジェンキンスLes Jenkinsアール・ヘイゲンEarle Hagen
Clarinet & Alto saxジョニー・ミンスJohnny Mince
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulceハイミー・シャーツァーHymie Schertzer
Tenor saxスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfultディーン・キンケイドDean Kincaide
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill

この2曲は、ハリウッドで吹き込まれた。このレコードには解説が付いていないので、どの事情でドーシーが西海岸に行ったのか分からないが、10日前からメンバーの移動があるのは、西海岸に帯同しなかったメンバーがいたからかもしれない。

B-1.「コペンハーゲン」は、かつてルイ・アームストロングなども録音している古いナンバー。これまではディキシー風の演奏が多かったが、これは一転してスイング・ナンバー。ドーシーがリーダーの面目躍如といったソロを展開している。
B-2.「シンフォニー・イン・リフズ」。こちらもスインギーなナンバー。ソロはTb、Cl、Tsといったところが聴き所か。

<Contents> … 1938年9月16日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.B-1.ブギ・ウギBoogie Woogie

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

Band leader & Tromboneトミー・ドーシー
Trumpetチャーリー・スピヴァクCharlie Spivakリー・キャッスルLee Castleヤンク・ロウソンYank Lawson
Tromboneレス・ジェンキンスLes Jenkinsバディ・モロウBuddy Morrow
Clarinet & Alto saxジョニー・ミンスJohnny Mince
Alto saxフレッド・スタルスFred Stulceハイミー・シャーツァーHymie Schertzer
Tenor saxスキーツ・ヘルフルトSkeets Herfultディーン・キンケイドDean Kincaide
Pianoハワード・スミスHoward Smith
Guitarカーメン・マストレンCarmen Mastren
Bassジーン・トラクスラーGene Traxler
Drumsモーリス・パーティルMaurice Purtill

トランペットのリー・キャッスルは本名リー・アニエロ・カスタルドといい、キャリの初めはこの短縮名”Lee Castaldo”と名乗っていた。間違いの多い「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」のデータでは「Lee Gastaldo」と間違っており、調べるのに苦労した。
トランペット・セクションは全取り換えであり、大幅なメンバーチェンジが行われている。 Record2.B-1.「ブギ・ウギ」は、ブギ・ウギ・ピアノのパイオニア、クラレンス・”パイントップ”・スミスの自作自演曲ではじめは黒人だけに知られるだけだったが、トミー・ドーシーが取り上げ、ディーン・キンケイドのアレンジでオーケストラ化され、センセイショナルな大ヒットとなった。トミーの吹き込んだ全レコードの中で当時400万枚を超す最大のヒット曲となった。スミスのPとドーシーのソロも悪くはないが何といってもアレンジ・アイディアの勝利である。このヒット以来ブギ・リズムがスイング・バンドに次第に影響を及ぼし、ブギ・ブームが到来することとなる。

 

<Contents> … 1938年11月29日 ニューヨークにて録音

「オリジナル・トミー・ドーシー・ベスト・コレクション」RCA RA-9007-08 日本盤

Record2.B-2.ハワイアン・ウォー・チャントHawaiian war chant

<Personnel> … トミー・ドーシー・アンド・ヒズ・オーケストラ (Tommy Dorsey and his orchestar)

変更点
Trumpet … リー・ガスタルド ⇒ マックス・カミンスキー Max Kaminsky
Trombone … レス・ジェンキンス ⇒ Out Trombone … ディヴ・ジェイコブス Dave Jacobs、エルマー・スミサーズ Elmer Smithers ⇒ In Tenor sax … ディーン・キンケイド ⇒ ベイブ・ラッシン Babe Russin

Record2.B-2.「ハワイアン・ウォー・チャント」は、「タ・フワフワイ」の原題で知られるハワイ民謡で、原曲はリリウォカラニ女王の弟シレイオホク2世が作った恋歌ということになっているが、いつの間にか「ハワイの戦いの歌」として有名になった。これもビッグ・バンド・ジャズの類型を破ったアレンジが面白く、Dsソロ⇒アンサンブル⇒ラッシン(Ts)⇒ロウソンかカミンスキー(Tp)、ドーシー(Tb)のソロが展開される。

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