ベニー・カーター 1938年

Benny Carter 1938

前年1937年は渡欧していたベニー・カーター。いつアメリカに戻ってきたのかは、不明であるがこの年は、ライオネル・ハンプトン、テディ・ウィルソンといった花形セッションに呼ばれ、プレイヤーとしてそしてアレンジャーとしてその腕を振るっている。

<Date&Place> … 1938年7月21日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ライオネル・ハンプトン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Lionel Hampton and his orchestra)

Band leader , Vibraphone & Vocalライオネル・ハンプトンLionel Hamton
Trumpetハリー・ジェイムスHarry James
Clarinet & Alto saxベニー・カーターBenny Carter
Alto saxディヴ・マシューズDave Mathews
Tenor saxハーシャル・エヴァンスHerschel Evansベイブ・ラッシンBabe Russin
Pianoビリー・カイルBilly Kyle
Bassジョン・カービーJohn Kirby
Drumsジョー・ジョーンズJo Jones

<Contents> … 「RCAジャズ栄光の遺産シリーズ第16巻 ライオネル・ハンプトン/オール・スター・セッション」(RCA RA-90〜95)

record2 B-4.スイング気分でI'm in the mood for swing
record2 B-5.靴磨きのドラッグShoe shiner's drag
record2 B-6.エニ・タイム・アット・オールAny time at all
record2 B-7.マスクラット・ランブルMuskrat ramble

この日のセッションでは、BGバンドから3人が参加している。看板スター、ハリー・ジェイムス、ディヴ・マシューズ、ベイブ・ラッシンの3人、ベイシー楽団からは初登場ハーシャル。エヴァンスとジョー・ジョーンズ、ジョン・カービーのオニックス・クラブ・ボーイズからは代表のカービーとビリー・カイルそしてもちろん大物ベニー・カーターと今回も豪華な顔ぶれである。

record2 B-4.「スイング気分で」
ベニー・カーターが当時のヒット曲”I'm in the mood for love”に引っ掛けて書き、アレンジしたミディアム・テンポのスインギーなナンバー。ジェイムズとサックス・セクション(サビ)によるオープニング・コーラスに続いて、カーターがフル・コーラスのソロを取り、ホッジスと双璧のプレイを展開する。次にハンプトンのVbとカイル(サビ)のコーラス、そして最後はカーターがアレンジしたスムースなサックス・アンサンブルとハンプトンのソロが分け合う。
record2 B-5.「靴磨きのドラッグ」
ジェリー・ロール・モートンが書いた古いブルース。TpとVbのリードする最初の2コーラスから、カーター(As)、ジェイムズ、エヴァンズ、カーター(Cl)、ハンプトン(Vb)とそれぞれ1コーラスのソロを取る。名手揃いとあってさすがに聴き応えのあるソロが並ぶ。
record2 B-6.「エニ・タイム・アット・オール」
ヴァン・ヒューゼン、ドーシーの合作曲。これもカーターのアレンジが光る。ミディアム・スロウでジェイムズ(Tp)とサックス・セクション(サビ)の第1コーラスからハンプトンのヴォーカルとなり、バックに寄り添うカーターが光る。歌の後全員による半コーラスで締め括っている。
record2 B-7.「マスクラット・ランブル」
名トロンボーン奏者キッド・オリーがルイ・アームストロングのホット・ファイヴのために書いた曲で、ディキシーのスタンダード・ナンバー。アンサンブルによるA、Bテーマの演奏の後、エヴァンズ、カーター(Cl)、ジェイムズ、再びカーター(As)、カイル(P)、ラッシン(Ts)、ハンプトン(Vb)とほとんど全員が16小節づつソロをリレーする。リズム・セクションも良くソロイストをバックしている。野口氏はスタジオ・セッションとは思えない緊密なチーム・ワークが抜群であると述べている。

「ビリー・ホリディ」レコード第4集」レコード・ジャケット

<Date & Place> … 1938年10月31日、11月9日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … テディ・ウィルソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Teddy Wilson and his orchestra)

Band leader & pianoテディ・ウィルソンTeddy Wilson
Cornetハリー・ジェイムスHarry James
Tromboneベニー・モートンBenny Morton
Alto saxエドガー・サンプソンEdger Sampsonベニー・カーターBenny Carter
Tenor saxレスター・ヤングLester Youngハーシャル・エヴァンスHerschel Evans
Guitarアル・ケイシーAl Casey
Bassウォルター・ペイジWalter Page
Drumsジョー・ジョーンズJo Jone
Vocalビリー・ホリディBillie Holiday

<Contents> … 「ビリー・ホリディ 第4集」(CBS SOPH 67〜68)

Record1 A-1.みんなの笑いものよEverybody's laughing10月31日
Record1 A-2.又朝帰りよHere it is tomorrow again10月31日
Record1 A-3.答えはキッスでSay it with a kiss11月9日
Record1 A-4.心は四月のようApril in my heart11月9日
Record1 A-5.あなたを決して見捨てないI'll never fail you11月9日
Record1 A-6.人は言うThey say11月9日
Record1 A-7.人は言うThey say11月9日

名義はテディ・ウィルソンで一連のブランズウィックへの吹込みである。大和明氏の解説に拠れば、このセッションから、サックス・セクションの強化が図られ、小編成から中編成への動きがみられ、全体的にビッグ・バンドの雰囲気が出始めているという。それは当時スイング・ジャズの黄金期であり、ビッグ・バンド・ジャズの全盛時代であったからであろうという。そしてこうした動きはリーダー、テディ・ウィルソンの希望であったのではないかという。それはこの半年後にウィルソンは、BGのバンドから独立し、自己のビッグ・バンドを率いることになるのであり、ビッグ・バンド演奏に既に心が向いていたと思われるからであるという。
このセッションでは、スイング時代を風靡したハリー・ジェイムスが加わり、当時の人気ぶりを裏付けるような、自信に満ちた華麗で明るいソロを取っている。またテナー・サックスはベイシー楽団から2人が参加しているがソロを取るのはいずれもレスターの方である。

「ビリー・ホリディ」レコード第4集」1枚目A面
Record1 A-1.「みんなの笑いものよ」
通常テディのセッションでは、ビリーのヴォーカルは1コーラスだけだが、この曲では、プレイヤーのソロをはさんで前後で歌うという例外的な構成が見られる。確かにアンサンブルはソフトで、如何にも当時のビッグ・バンド風である。ヴォーカルの後最初にソロを取るのは、テディで、続いてレスター、ハリーの短いソロが入り、少しだけビリーが歌って終わる。
Record1 A-2.「又朝帰りよ」
当時風のサックス・ソリのアンサンブルからハリーの短いソロが入り、ビリーのヴォーカルとなる。そしてテディはいつもの華麗なスタイルでスイングする。

Record1 A-3.「答えはキッスで」
先ずモートンがストレートに吹き、テディのピアノが入り、ビリーの歌となる。続くハリーのTpは明るくベリガン風のプレイだが、続くレスターのソロと比べると子供に感じてしまう。
Record1 A-4.「心は四月のよう」
まずベニー・カーターが華麗なプレイを披露する。ビリーの歌が入り、続くテディのソロが良い感じだ。そしてハリーのTpはここでもベリガンを思い出させる。続くテナーはレスターではなくエヴァンス。
Record1 A-5.「あなたを決して見捨てない」
TpとPのイントロから当時風のアンサンブルとなり、ビリーの歌に引き継ぐ。巨泉氏は珍しく甘さを出して歌っているという。続くTsはエヴァンスで、短いPソロが入り、ハリーのTpでエンディングを迎える。
Record1 A-6、7.「人は言う」
まずハリーがスイートでセクシーなソロを聴かせ、続くテディもリリカルなプレイを行う。そしてビリーも控えめな歌唱を行う。続くカーターのアルトがここでも華麗に吹き上げている。

このWebサイトについてのご意見、ご感想は、メールでお送りください。

お寄せいただいたご意見等は本文にて取り上げさせていただくことがあります。予めご了承ください。