ベニー・グッドマン 1931年

Benny Goodman 1931

今回も僕の持っている1930年のベニー・グッドマンの音源を録音順に並べてみよう。種々のレコード、CD合わせて14曲。もちろんBGが参加したレコードの半分にも満たないだろうが、代表的な吹込みではあるだろう。レコード解説によると0月18日の録音が初めて自楽団の名称で録音を行った記念すべき4曲中の1曲だという。録音場所は全てニュー・ヨークである。

No.曲名原題録音日名義収録音源
1.スィート・アンド・ホットSweet and hot1月16日Red Nchols and his five penniesAH-63
2.ベイズン・ストリート・ブルースBaisin street blues2月9日The Charleston chasersTime-Life
3.スィート・アンド・ホットSweet and hot3月2日Ben Pollack and his OrchestraJT-KingTb
4.ディップ・ユア・ブラッシュ・イン・ザ・サンシャインDip your brush in the sunshine4月13日Ted Lewis and his bandTime-Life
5.ロール・オン・ミシシッピ、ロール・オンRoll on Mississippi , roll on5月9日Ben Selvin and his orchestraYoung BG
6.ワン・モア・タイムOne more time5月21日Ben Selvin and his orchestraYoung BG
7.アイム・キーピン・カンパニーI'm keepin’company6月18日Ben Selvin and his orchestraYoung BG
8.ドゥ・ザ・ニューヨークDo the NewYork7月7日Ben Selvin and his orchestraYoung BG
9.アイ・テイク・イット・フロム・ミーI take it from me7月7日Ben Selvin and his orchestraYoung BG
10.イッツ・ザ・ガールIt's the girl7月8日Lee Morse and her blue grass boys宝庫
11.ミーMe !7月21日The KnickerbockersYoung BG
12.ヘルプ・ユアセルフ・トゥ・ハッピネスHelp yourself to happiness9月18日Benny Goodman and his oechestra宝庫
13.リトル・メアリー・ブラウンLttle Mary Brown10月16日Ben Selvin and his orchestraYoung BG
14.ファーウェル・ブルースFarewell blues10月22日Eddie Lang-Joe Venuti and their all star orchestraTime-Life

<Date&Place> … 1931年1月16日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … レッド・ニコルス・アンド・ヒズ・ファイヴ・ぺニーズ(Red Nchols and his five pennies)

Trumpet & Band leaderレッド・ニコルスRed Nichols
Trumpetルビー・ウェインシュタインRuby Weinsteinチャーリー・ティーガーデンCharlie Teagarden
Tromboneジャック・ティーガーデンJack Teagardenグレン・ミラーGlenn Millerジョージ・ステルGeorge Stell
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Alto saxシド・ストーンバーンSid Stoneburn
Flute & Tenor saxラリー・ヴィニョンLarry Binyon
Pianoジャック・ラッシンJack Russin
Bassアーティー・ミラーArtie Miller
Drumsジーン・クルーパGene Krupa
Vocalハロルド・アーレンHarold Arlen

<Contents> … “Red Nchols and his five pennies”(Ace of Hearts AH-63)

AH-B面6曲目スィート・アンド・ホットSweet and hot

楽曲を提供しヴォーカルも担当しているのは若きハロルド・アーレンである。ハロルド・アーレンは、「虹の彼方に(Over the rainbow)」でつとに有名な作曲家であるが、元はミンストレル・ショウで歌っていた歌手でもあった。前年”Get happy”で注目されるようになる。レッド・ニコルスはファイヴ・ぺニーズで”Get happy”も録音しているので、それも聴いてみたい感じがするが残念ながら収録されていない。
曲はハッピーな曲調である。古き良きアメリカという雰囲気で、アーレンのヴォーカルも堂に行っている。ヴォーカルの前に短いながらBGのソロが入る。ヴォーカル後短いTpソロの後入るTbソロはティーガーデンであろう。

タイムライフ社Giants of jazzシリーズ「ベニー・グッドマン」3枚組ケース表面

<Date&Place> … 1931年2月9日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ザ・チャールストン・チェイサーズ(The Charleston chasers)

Trumpetルビー・ウエィンシュタインRuby Weinsteinチャーリー・ティーガーデン
Trombone & Arrangeグレン・ミラーGlenn Miller
Trombone & Vocalジャック・ティーガーデンGlenn Miller
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Alto saxシド・ストーンバーンSid Stoneburn
Tenor saxラリー・ビニヨンLarry Binyon
Pianoアーサー・シャットArthur Schutt
Guitarディック・マクドノフDick McDonough
Bassハリー・グッドマンHarry Goodman
Drumsジーン・クルーパGene Krupa

<Contents> … “Giants of Jazz/Benny Goodman”(Time-Life)

record1 B-1.
ベイズン・ストリート・ブルースBaisin street blues

コロンビアのハウス・バンド「ザ・チャールストン・チェイサーズ」による録音。BGは1929、30年にも同バンドで録音を行っているが、メンバーはかなり異なっている。固定のバンドではなく、何人かのミュージシャンがメンバーとして登録されており、その都度ピックアップされて録音を行ったものであろう。
曲はスペンサー・ウィリアムズが作曲した超有名曲で、評論家粟村政昭氏は著書『ジャズ・レコード・ブック』において、「ティーガーデンの十八番でこの31年の吹込みが本命」と記述している。
冒頭の”Won't you along with me / to the Mississippi〜”という有名なヴァースはこの録音でグレン・ミラーが作り出したもので、この後この曲を取り上げる時は当然のように付け加えられるようになったという。ヴォーカルはジャック・ティーガーデンで実にいい声で味のあるヴォーカルを聴かせてくれる。
ヴォーカルの後BGの1回目のソロが入るがストップ・タイムをバックに3度、7度をフラットさせたブルーノートを使い時折ダーティー・トーンを混ぜたソロを展開する。その後ティーガーデンのTbソロも余裕を感じさせる堂々たるもの。次いで再びBGのソロとなるがこちらは原曲に沿った節回しをする。それぞれ聞き応えのあるソロである。BG自身これは全くいいレコードだと自賛しているようだが、確かにスマートでモダーンな素晴らしい仕上がりだと思う。

<Date&Place> … 1931年3月2日 ニューヨークにて録音

<Personnel>… ベン・ポラック・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ben Pollack and his Orchestra)

Bandleader , Conductベン・ポラックBen Pollack
Trumpetルビー・ワインシュタインRuby Weinsteinチャーリー・スピヴァクCharlie Spivakスターリング・ボーズSterling Bose
Trombone & Vocalジャック・ティーガーデンJack Teagarden
Clarinet & Alto saxギル・ロディンGil Rodinベニー・グッドマンBenny Goodman
Tenor saxエディー・ミラーEddie Miller
Pianoギル・バウアーズGil Bowers
Violinアレックス・ベラーAlex Beller
Guitarナッピー・ラメアーNappy Lamare
Bassハリー・グッドマンHarry Goodman
Drumsレイ・ボーダックRay Bauduc

<Contents> … “Jack Teagarden/King of the blues trombone”(Epic JSN 6044)

Record1B面6.スイート・アンド・ホットSweet & hot

ベン・ポラックの楽団に参加しての録音。以前第114回ベニー・グッドマンの1931年の録音を取り上げたことがある。その時の音源はタイム=ライフ社で出した「ザ・ジニアス・オブ・ジャズ/ベニー・グッドマン」とCDの「ヤング・ベニー・グッドマン」だったがそのどちらにも収録されていない録音。“King of the blues trombone”のソロ・オーダーによるとヴォーカルはティーガーデンの他Gtのナッピー、大将のポラックも取っているという。さらにソロは、ティーガーデン、BG、ミラーの短いソロが入り乱れる形で出てくる。
またこの曲はハロルド・アーレンの作で拙HP第266回レッド・ニコルスとファイヴ・ぺニーズで、1931年1月16日録音のものを取り上げている。その時と被るメンバーはティーガーデンとBGである。ニコルスの1月の録音は同曲の初レコーディングと思われるが、その1か月半後の録音である。もしかするとBGかティーガーデン、或いは双方の推薦だったのかもしれない。

[Giants of jazz/Benny Goodman]3枚組1枚目B面

<Date&Place> … 1931年4月13日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … テッド・ルイス・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ted Lewis and his band)

Vocal & band leaderテッド・ルイスTed Lewis
Cornetデイヴ・クラインDave Kleinマグシー・スパニアMuggsy Spanier
Tromboneジョージ・ブラニーズGeorge Brunies
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Violinサム・シャピロSam Shapiroソル・クラインSol Klein
Pianoジャック・アーロンソンJack Aaronson
Guitarトニー・ジェラルディTony Gerardi
Bassハリー・バースHarry Barth
Drumsジョン・ルーカスJohn Lucas

<Contents> … “Giants of Jazz/Benny Goodman”(Time-Life)

record1 B-2.ディップ・ユア・ブラッシュ・イン・ザ・サンシャインDip your brush in the sunshine

BGが少年時代憧れていたテッド・ルイスとの共演。野口久光氏は「The RCA years」付録のCD”Special performances”収録の「シャツ・テイル・ストンプ」でテッド・ルイスの奏法という言葉を使っていて、僕は「テッド・ルイス奏法」というのがあるんだなぁと書いたが、どうもそれはシリアスな奏法ではなく、おフザケが入ったユーモラスな演奏のことを言うのではないかと思う。前にも触れたが、テッド・ルイスはスイングジャーナル社の『ジャズ人名辞典』には載っておらず、別のところでは「クラリネットを吹くボードビリアン」という紹介がある。BGは生真面目な性格のように見えるが意外にお茶目な人間かもしれない。
また、パーソネルを見るとこれまでとは異なった面々が多いので、テッド・ルイスのバンドに客演したものであろう。ルイスはクラリネットを吹かず、それはBGに任せて唄というより語りのようなヴォーカルと掛け声を担当している。アンサンブルをリードし、BGの後のコルネット・ソロは名手マグシー・スパニアである。
ルイスは”Paint it , Paint it blue , Benny …”と言ってBGのソロを促し、それに応えるようにBGは実にスムーズに流れるようなソロを展開する。続くマグシーにも”Paint it , Muggsy”と声をかけている。

ベン・セルヴァン

ここからしばらくはベン・セルヴァン(写真右)楽団に加わっての録音となる。

<Date&Place> … 1931年5月9日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ベン・セルヴァン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ben Selvin and his orchestra)

Band leaderベン・セルヴァンBen Selvink
Trumpetマニー・クラインManny KleinUnknown
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinet & alto saxベニー・グッドマンBenny Goodman
Vocalポール・スモールPaul Small
Two reedsPianoBanjoTubaXylophoneDrumsUnknown

<Contents> … “The young Benny Goodman”(CBC 1-088)

CD-YG20.ロール・オン・ミシシッピ、ロール・オンRoll on Mississippi , roll on

汽笛の音が聞こえるが、汽車ではなく多分「ミシシッピ川を漕いで行け」なので汽船のことだろう。とても楽しい曲で今でも十分に聴くことができる。しっかりしたアレンジが光る。ヴォーカルの後アンサンブルがあり、続くBGのソロが聴きものである。

[The young Benny Goodman]CDジャケット

<Date&Place> … 1931年5月21日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ベン・セルヴァン・アンド・ヒズ・バンド(Ben Selvin and his orchestra)

ヴォーカルがポール・スモール ⇒ ディック・ロバートソン Dick Robertson変わる以外5月9日と同じ。

<Contents> … “The young Benny Goodman”(CBC 1-088)

CD-YG21.ワン・モア・タイムOne more time

アンサンブルの後短いBGのソロがあり、Tpに導かれてヴォーカルとなる。その後BGのソロとなってそのままエンディングに続くが、時折バッキングも入り聴き所が多い。全体としてかなり完成度が上がってきた感じがする。ヴォーカルのロバートソンはこの頃ジャズ・バンドに人気があったのかいたるところで名前を見かける。

<Date&Place> … 1931年6月18日 ニューヨークにて録音

ベン・セルヴァン

<Personnel> … ベン・セルヴァン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ben Selvin and his orchestra)

Band leaderベン・セルヴァンBen Selvink
Trumpetバニー・ベリガンBunny BeriganUnknown
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinet & alto saxベニー・グッドマンBenny Goodman
Reedsハイミー・ウルフソンHymie WolfsonUnknown
Pianoアーヴィング・ブロドスキーIrving Brodsky
Vocalエディー・ウォルターズEddie Walters
GuitarBassXylophoneDrumsUnknown

<Contents> … “The young Benny Goodman”(CBC 1-088)

CD-YG22.アイム・キーピン・カンパニーI'm keepin’company

この曲も覚えやすいメロディーの楽しい曲である。ここで注目はスイング時代白人最高のトランぺッターと言われるバニー・ベリガンの登場である。この録音は彼のキャリアにおける最も早いレコーディングの一つと思われる。ベリガンはこの年の5月25日にダンサーのドナ・マッカーサーと結婚したばかりの新婚ホヤホヤだった。ヴォーカルの後のTpソロは多分ベリガンと思われる。その後ウルフソンのTsソロが聴かれる。BGの独立したソロはないがTsなどにオブリガードを付けている。

”The Young Benny Goodman”CD

<Date&Place> … 1931年7月7日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ベン・セルヴァン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Ben Selvin and his orchestra)

Violin & Band leaderベン・セルヴァンBen Selvink
Trumpetマニー・クラインManny KleinUnknown
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinet & alto saxベニー・グッドマンBenny Goodman
Reedsハイミー・ウルフソンHymie WolfsonUnknown
Vocalディック・ロバートソンDick Robertson
PianoGuitarBassDrumsUnknown

<Contents> … “The young Benny Goodman”(CBC 1-088)

CD-YG23.ドゥ・ザ・ニューヨークDo the NewYork
CD-YG24.アイ・テイク・イット・フロム・ミーI take it from me

CD-23.[ドゥ・ザ・ニューヨーク]
「さあ、ニューヨークしようぜ」という意味だろうか?この曲も覚えやすいメロディーを持った楽しい曲である。ヴォーカルの後BGとテナーがロング・ソロを取る。BGのは最初から独自のメロディーをもったアドリブであるが、Tsは主旋律を吹き少し崩すだけでBGとの力量の差が明らかである。しかしこのような構成はこのバンドでは1930年まで全く見られなかったことでグッと聞きやすくなった。
CD-24.[アイ・テイク・イット・フロム・ミー]
ヴォーカルの後TsとTpの短いソロ交換の後、BGのソロとなる。これも時折バッキングを従えてのソロで、やはりこのバンドでBGの力量は抜きん出ていたのであろう。

「ベニー・グッドマン/新たなる宝庫」ジャケット

<Date&Place> … 1931年7月8日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … リー・モース・アンド・ハー・ブルー・グラス・ボーイズ(Lee Morse and her blue grass boys)

Leader & Vocalリー・モースLee Morse
Trumpetマニー・クラインManny KleinUnknown
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Pianoアーヴィング・ブロドスキーIrving Brodsky
Guitarエディ・ラングEddie Lang

<Contents> … 「ベニー・グッドマン/新たなる宝庫」(Columbia CSM890〜891)

record1 A-6.イッツ・ザ・ガール !It's the girl !

リーダー兼歌手のリー・モースは20年代後半から30年代前半にかけて大変に人気のあった女性シンガー。どちらかというとジャズやブルース系の歌を歌っていたそうだが、バンド名を「ブルー・グラス・ボーイズ」と付けている。これはバリバリのカントリー系のビル・モンローのバンドと同じ名である。
個性的な声と歌い方である。マニー・クライン、BG、ブロドスキーのしっかりしたソロが聴ける。

<Date&Place> … 1931年7月21日 ニューヨークにて録音

ザ・ニッカーボッカーズ

<Personnel> … ザ・ニッカーボッカーズ(The Knickerbockers)

Band leaderベン・セルヴァンBen Selvink
Trumpetボブ・エフロスBob Effrosルビー・ウエィンシュタインRuby Weinstein
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinet & alto saxベニー・グッドマンBenny Goodman
Reedsハイミー・ウルフソンHymie Wolfsonルイ・マーチンLouis Martin
Violinベン・ポバースキーBen Pobersky
Pianoルーブ・ブルームRube Bloom
Guitarカール・クレスCarl Kress
Tubaハンク・スターンHank Stern
Drums & Xylophoneミルトン・シュレジンガーMilton Schleisinger
Vocalディック・ロバートソンDick Robertson

<Contents> … “The young Benny Goodman”(CBC 1-088)

CD-YG25.ミーMe!

ザ・ニッカーボッカーズ(The Knickerbockers)という名称での吹込みだが実態は、ベン・セルヴァンの楽団である。
これも明るく楽しい曲だ。世相が暗いから意図的にこういう曲を演奏したのだろうか?ヴォーカル前のアンサンブルではTb、Tpがリードし、ヴォーカルにはBGがオブリガードを付け、ヴォーカル後はBGのソロとなる。その後短いTpソロとなりエンディングへと向かう。

「ベニー・グッドマン/新たなる宝庫」1枚目A面

<Date&Place> … 1931年9月18日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ベニー・グッドマン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Benny Goodman and his orchestra)

Band leader , Alto sax & Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Trumpetチャーリー・ティーガーデンCharlie TeagardenUnknown
Tromboneグレン・ミラーGlenn Miller
Alto saxシド・ストーンバーンSid Stoneburn
Tenor saxラリー・ビニヨンLarry Binyon
Pianoアーヴィング・ブロドスキーIrving Brodsky
Drumsジョニー・ウィリアムスJohnny Williams
GuitarBassUnknown
Vocalスミス・バリューSmith Ballew

<Contents> … 「ベニー・グッドマン/新たなる宝庫」(Columbia CSM890〜891)

record1 A-2.ヘルプ・ユアセルフ・トゥ・ハッピネスHelp yourself to happiness

BGが初めて自楽団の名前で行った4曲の録音の中の1曲という。ミュージカル「1931年のジーグフェルド・フォリーズ」の中の1曲でグレン・ミラーが編曲構成を行い、ジャック・ハーレイの協力(?)によったものという。ヴォーカルは「歌うカウボーイ」スミス・バリューで、彼は以前エリントンの録音でも歌っていた。
チャーリー・ティーガーデンのトランペットとBGのクラリネットのロング・ソロが聴けるが、なかなかの力演である。Tpソロの出だしの所で短いミラーのTbソロが入るのが珍しい。

[The young Benny Goodman]CDジャケット

<Date&Place> … 1931年10月16日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … ベン・セルヴァン・アンド・ヒズ・バンド(Ben Selvin and his orchestra)

Band leaderベン・セルヴァンBen Selvink
Trumpetマニー・クラインManny Kleinトミー・ゴットTommy Gott
Tromboneトミー・ドーシーTommy Dorsey
Clarinet & alto saxベニー・グッドマンBenny Goodman
Reedsハイミー・ウルフソンHymie Wolfsonルイ・マーチンLouis Martin
Violinジョー・ヴェヌーティJoe Venuti
Accordionコーネル・スメルサーCornell Smelser
Pianoアーサー・シャットArthur Schutt
Guitarカール・クレスCarl Kress
Bassウォルド・レイWard Lay
Drumsガス・ヘレバーグGus Helleberg
Vocal trioザ・ロンデリアーズThe Rondeliers

<Contents> … “The young Benny Goodman”(CBC 1-088)

CD-YG26.リトル・メアリー・ブラウンLttle Mary Brown

これも楽しい曲だ。ヴェヌーティのヴァイオリンをフューチャーした曲。BGはイントロでTpとの掛け合いのようなイントロで始まり、ヴォーカルは「ロンデリアーズ」というコーラス・グループらしいが、このグループについては全く情報がない。

[Giants of jazz/Benny Goodman]3枚組1枚目B面

<Date&Place> … 1931年10月22日 ニューヨークにて録音

<Personnel> … エディ・ラングージョー・ヴェヌーティ・アンド・ゼア・オール・スター・オーケストラ(Eddie Lang-Joe Venuti and their all star orchestra)

<Contents> … “Giants of Jazz/Benny Goodman”(Time-Life)

Trumpetチャーリー・ティーガーデンCharlie Teagarden
Tromboneジャック・ティーガーデンGlenn Miller
Clarinetベニー・グッドマンBenny Goodman
Violinジョー・ヴェヌーティJoe Venuti
Pianoフランク・シノレリFrank Signorelli
Guitarエディ・ラングEddie Lang
Bassウォルド・レイWard Lay
Drumsニール・マーシャルNeil Marshall
ジョー・ヴェヌーティとエディ・ラング

<Contents> … “Giants of Jazz/Benny Goodman”(Time-Life)

record1 B-3.ファーウェル・ブルースFarewell blues

エディー・ラング(ギター)とジョー・ヴェヌーティ(ヴァイオリン)とその仲間たちオール・スターズによる録音。イギリスの評論家バーネット・ジェイムス(拙HPでも取り上げた『ビリー・ホリディ』の著者)はラングとヴェヌーティをギリシャ神話のカストルとポルックス(仲の良い双子として有名)のような双子みたいだと述べている。
この曲はニュー・オリンズ・リズム・キングスのスタンダード・ナンバーで白人バンドが黒人のバンドと同じようにあるいはそれ以上にスイングすることができることを示した最初のレコードであるとタイム=ライフ解説のジョージ・サイモン氏は記す。確かにデキシーランド・スタイルの曲である。
主旋の後先ずはBGが2コーラスのソロ、1コーラス目は中音・低音域を活かし2コーラス目は一気に高音域に移る。続くヴェヌーティも2コーラスソロを取るが、これも1コーラス目はダブル或いはトリプル・ストップを使い2コーラス目最後は超高音の長いレガートで締めくくる。そしてTbのジャック、Tpのチャーリーのティーガーデン兄弟の1コーラスずつのソロは直球勝負、そして力感あふれるアンサンブルのエンディングに向かう。クオリティの高いパフォーマンスである。

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ビリー・ホリディの『奇妙な果実』を読み返してみると、夜な夜な腕を上げるためにジャズ・クラブに通う若きBGが描かれる。そしてそれは初々しく好ましいものに僕には感じられたのだ。そこで僕の中で醸成されたイメージというのは、「若い時分は熱心にジャズに取り組み、腕を上げることに心を砕いているが、一旦売れビッグな存在になってからは自分の地位を維持するのに汲々とし、頭をもたげる若者を押さえつけ、文句を言うベテランは遠ざける。客の前では愛想を振りまき、自分のみがスターでないと気が済まない鼻持ちならぬ因業爺」というものだが、そう簡単なものだろうかという気持ちもあった。
僕はビリー・ホリディの『奇妙な果実』を読んで勝手に、BGもまだ若く経験も浅くレコーディングなどもそうそう経験していないだろう、レコード数も少ないだろうと高をくくっていたのだ。だからデビューからビリーと初レコーディングを行う1933年までを1回ぐらいのコラムで押えておこうと思ったのだ。しかし初めてみてそれがとんでもない間違いであることが分かった。1933年にはBGは500を超えるほどのレコーディングに参加する「フル・タイム・スタジオ・ミュージシャン」と呼ばれる存在だったのだ。
ということで思わず回を重ねてしまった。しかしここは流れに乗ってもうしばしBGを続けよう。