今回はビリー・ホリディの1942か3年の録音を聴いていこう。と言ってもこの年の録音は1曲だけである。それも正規レコード会社への吹込みではなく、”AFRS transcription Jubilee”とあるのでラジオ放送用の音源と思われる。収録は私家盤の「Billie Holiday/Live and private recordings in Chronological order」(レコード23枚組ボックス)。ただこの時期AFMのストなどがあり、『ビリー・ホリデイ』(バーネット・ジェイムズ著 音楽之友社)付属のディスコグラフィーを見ても、この年のレコーディングはないことになっているので、この録音は貴重である。
| Band leader & Trumpet | … | ヘンリー・"レッド"・アレン | Henry“Red”Allen |
| Trombone | … | J.C.ヒギンバサム | J.C. Higginbotham |
| Alto sax | … | ドン・ストーヴァル | Don Stovall |
| Piano | … | アルフレッド・ウィリアムス | Alfred Williams |
| Bass | … | ベニー・モーテン | Benny Moten |
| Drums | … | アルヴィス・バロウズ | Alvis Burroughs |
| Vocal | … | ビリー・ホリディ | Billie Holiday |
興味深いのは、この前の吹込みが1942年6月12日に行われたのと同じ曲「トラヴェリン・ライト」ということである。そして前回はポール・ホワイトマン楽団のストリング入りのゴージャス版に対して、今回はコンボによる伴奏である。
先ずどちらもゆったりしたテンポで、ビリーはじっくりと歌い込んでいるという点は同じである。今回の録音は、ヘンリー・レッド・アレンのセックステットに客演したものであろう。アレン、ヒギンバサムというスイング時代きっての名手が揃っていながらフロントラインが音を出すのはイントロとエンディングだけである。後はかなり抑え気味でかすかにしか聴こえないBとDsそしてピアノの伴奏のみでじっくり歌っている。ピアノのアルフレッド・ウィリアムスという人は初めて聴いたが、ちょっと邪魔かなという個所はあるが、ビリーは気にせず歌っている感じだ。
ホワイトマンのゴージャス版とこちらのシンプル版、好みだけの問題だが、僕はこちらのシンプルな方が好きだな。