ガンサー・シュラー氏によれば、コールマン・ホーキンスが居残っていたフレッチャー・ヘンダーソンのバンドは、1930年の末に再び上昇の機運を迎える。その最も重要な変化はリズム・セクションにあったと言えるかもしれないというのである。そしてかなり詳細に解説しているが、それは「フレッチャー・ヘンダーソン 1930年」をご覧ください。ともかく1930年のフレッチャー・ヘンダーソンも、前年からの気力減退と及び大恐慌の影響でレコーディングの機会が減ったからかこの年の収録は3曲しかない。
| Band reader& Piano | … | フレッチャー・ヘンダーソン | Fletcher Henderson | |||
| Trumpet | … | ボビー・スターク | Bobby Stark | 、 | ラッセル・スミス | Russell Smith |
| Cornet | … | レックス・スチュワート | Rex Stewart | |||
| Trombone | … | ジミー・ハリソン | Jimmy Harrison | 、 | クロード・ジョーンズ | Claude Jones |
| Clarinet | … | バスター・ベイリ― | Buster Bailey | |||
| Alto sax | … | ハーヴェイ・ブーン | Harvey Boone | 、 | ベニー・カーター | Benny Carter |
| Tenor sax | … | コールマン・ホーキンス | Coleman Hawkins | |||
| Banjo | … | クラレンス・ホリディ | Clarence Holiday | |||
| Tuba | … | ジョン・カービー | John Kirby | |||
| Drums | … | ウォルター・ジョンソン | Walter Johnson |
CDデータではジョン・カービーはチューバとなっているが、音を聴く限りストリング・ベースを弾いていると思う。

| CD2-14. | チャイナタウン、マイ・チャイナタウン | Chinatown , my Chinatown | 1930年10月3日録音 |
| CD2-15. | サムバディ・ラヴズ・ミー | Somebody loves me | 1930年10月3日録音 |
| CD2-16. | キープ・ア・ソング・イン・ユア・ソウル | Keep a song in your soul | 1930年12月2日録音 |
「チャイナタウン、マイ・チャイナタウン」
ジョン・ネスビットの編曲という。突っ走るタンタカタンタカというシャッフル・ビートに乗ったアンサンブルが素晴らしいし、途中から4ビートに変わりTp、Cl、Tb、そしてホークのTsソロも素晴らしい。特にホークのソロはほとんど完成形に近づいている感じさえする。そして後半は明らかにロックン・ロールのリズム・パターンで攻めまくる。聴き応えがある。シュラー氏は、30年代の有名なビッグ・バンドはどれも、他のバンドとのカッティング・コンテスト(バンドの優劣を客の拍手で決めるバンド合戦)向けにこうした曲をレパートリーに持つ必要があった」と述べている。
「サムバディ・ラヴズ・ミー」
ガーシュインの作で、サックス・アンサンブルの譜形も面白いし見事。ここでのホークも短いが素晴らしいソロを聴かせる。この時期ほぼ独自のスタイルを確立しつつあったのではないかと思う。途中からコーラスが入るがハーモニーが効いていて楽しい。誰が歌っているのだろうか?楽団員とは思えないが…。
「キープ・ア・ソング・イン・ユア・ソウル」
ファッツ・ウォーラーの作。まずソロを取るのはTb、アンサンブルを挟んで素晴らしいAsソロ。このAsソロはカーターであろう。合間に入るアンサンブルも見事だと思う。後半のTpソロは、後のガレスピーを彷彿とさせるとシュラー氏。
ともかくこの年の録音は素晴らしいが3曲しかないのが悔やまれる。
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