ドン・レッドマン Don Redman 1926年

Don Redman 1926

レッドマンが在団していたヘンダーソン楽団は、ルイが去った後どうしていたか?コルネットにラッセル・スミスを加え、盛んに活動していたのである。吹込みも多く行っていたようである。ヘンダーソンのディスコグラフィーを見ると1926年には27面分の録音を行ったようだが、CD“A study in frustratin”に収録されているのは2セッション4曲だけである。
またシュラー氏は、1926年初頭にもう一人若い、新鮮な響きの持ち主がバンドに加わったことが全く研究されてこなかったと指摘している。その人物とは、Tbのベニー・モートンであるが、この辺りのことについては「フレッチャー・ヘンダーソン 1926年」参照のこと。

「スタディ・イン・フラストレイション」CD・ジャケット

<Date & Place> … 1926年5月14日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel>…フレッチャー・ヘンダーソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Fletcher Henderson and his orchestra)

Piano & Band readerフレッチャー・ヘンダーソンFletcher Henderson
Trumpetジョー・スミスJoe Smithラッセル・スミスRussell Smith
Cornetレックス・スチュワートRex Stewart
Tromboneベニー・モートンBenny Morton
Clarinetバスター・ベイリ―Buster Bailey
Clarinet ,Alto sax & Oboe , arrangerドン・レッドマンDon Redman
Clarinet & Tenor saxコールマン・ホーキンスColeman Hawkins
Banjoチャーリー・ディクソンCharlie Dixon
Tubaラルフ・エスクデロRalph Escudero
Drumsカイザー・マーシャルKaiser Marshall

<Contents> … "Fletcher Henderson/A study in frustration"(Essential・JAZZ・Classics EJC55511)

CD1-12.ザ・スタンピードThe stampede
CD1-13.ジャッカス・ブルースJackass blues

CD1-12.ザ・スタンピード
大変重要な作品。詳しくは上記「フレッチャー・ヘンダーソン 1926年」参照のこと。
ドン・レッドマンに関してのみ触れると、ガンサー・シュラー氏は聴くべき焦点を「レッドマンの書いた突飛な全音階の導入部やトリオではなく、ソロイストやこのバンドの新しい弾みのついた演奏に向けることが重要である」とし、ホーキンスの長くて、構造のしっかりしたソロやスミスとスチュワートのTpソロが素晴らしいと書いている。
ジャッカス・ブルース(Jackass blues)
メル・ステッツェルの作品。出だしはゆったりしたアンニュイな感じのブルース。覚えやすいメロディを持っている。まずソロはモートンのTbの後、ブレイクを活かしたアンサンブルがあり、Clソロとなる。そしてTp或いはCorのソロの後テーマの合奏で終わる。これも質の高い演奏だと思う。
もしSP盤で「ザ・スタンピード」とのカップリングでリリースされたとすればとても素敵なファン大満足のレコードであったろう。

「フレッチャー・ヘンダーソン/ア・スタディ・イン・フラストレイション」CD1枚目

<Date & Place> … 1926年11月3日 ニュー・ヨークにて録音

<Personnel>…フレッチャー・ヘンダーソン・アンド・ヒズ・オーケストラ(Fletcher Henderson and his orchestra)

Piano & Band readerフレッチャー・ヘンダーソンFletcher Henderson
Trumpetジョー・スミスJoe Smithラッセル・スミスRussell Smithトミー・ラドニアTommy Ladnier
Tromboneベニー・モートンBenny Morton
Clarinetバスター・ベイリ―Buster Bailey
Clarinet ,Alto sax & Oboe , arrangerドン・レッドマンDon Redman
Clarinet & Tenor saxコールマン・ホーキンスColeman Hawkins
Piano & Organファッツ・ウォーラーFats Waller
Banjoチャーリー・ディクソンCharlie Dixon
Tubaジューン・コールJun Cole
Drumsカイザー・マーシャルKaiser Marshall

<Contents> … "Fletcher Henderson/A study in frustration"(Essential・JAZZ・Classics EJC55511)

CD1-14.ヘンダーソン・ストンプHenderson stomp
CD1-15.ザ・チャントThe chant
「フレッチャー・ヘンダーソン/ア・スタディ・イン・フラストレイション」CD1枚目

まず意外なのは、この日の2面分の録音には何とファッツ・ウォーラーが参加していることである。因みにシュラー氏は、ウォーラーは店で平らげた12個のハンバーガーの代金が支払えずここでピアノを弾くことなったという面白いエピソードを紹介している。
さらにウォーラーに関して、CDでは“Henderson stomp”がオルガン、次曲“The chant”がピアノと記されているが、ディスコグラフィーでは逆で、“Henderson stomp”がピアノ、次曲“The chant”がオルガンと記されている。シュラー氏もこちらでPを弾いているのはウォーラーとしている。
どうもCDの記載に誤りがあるような気がする。というのもCD1-14ではどう聞いてもオルガンの音が聞こえないのである。
CD1-14.ヘンダーソン・ストンプ
アップ・テンポで楽し気な演奏である。さて、シュラー氏はこの録音を評して次のように書いている。
この録音は、このバンドが、ジャズの基本感覚を保持しながら凝った編曲を白人バンドと同じくらいに巧みに扱うことができたことを示している。これはテンポの速い曲で、演奏技巧の側面で、またオーケストレイションの点でも複雑であるにもかかわらず、力強いドライヴを込めて演奏された。レッドマンの編曲は、リードとブラスを区別しながらも関連するパターンにおいて統合する手法を習得するにつれて、一層磨きをかけられた。各セクションがあたかも同じ着想の二つの側面を表現するかのように響く。様々な楽器をリズミカルに動かす手法も習得されたために、アンサンブルの楽句もまた、7人のソロイストの演奏とほとんど同じように即興された響きを鳴らす。
ファッツ・ウォーラーのたくましいストライド・ピアノ、トミー・ラドニアの新版のニューオリンズ的Tp、ジューン・コールのTuによってこの演奏に格別な昂揚感がもたらされた。
CD1-15.ザ・チャント
この曲はメル・ステッツェルの書いた曲だが、ジェリー・ロール・モートンのレッド・ホット・ペッパーズも取り上げている。モートン、レッドマンという当時の二大鬼才アレンジャーがその手腕を競うことになった。モートンの録音は9月15日で、ディスコグラフィーに間違い無しとすればモートンが先んじ、CDの通りとすればヘンダーソン楽団が先んじたことになる。
シュラー氏は二つの演奏を比較して明確に分かることは、レッドマンは和声面で興味深いこの曲の扱い方が分かっていなかったことだと手厳しく批判している。
シュラー氏は、レッドマンの編曲においても穏やかながらも興味をそそる瞬間もあるとし、それはBjのソロがウォーラーが背景で弾くオルガンの音にかぶさる箇所を上げている。その理由として、このギミックな響きが現代の録音技師が登場するはるか前の段階で行われた事実であると書いているが、正直いまいちピンとこない。
僕の感想は、こちらのレッドマンの方がペンが入っている感じだが、いささか入り過ぎでソロが際立って聴こえるのはモートンの方だと思う。モートン盤はほぼ全員がソロを取るが全く混乱なく各自それぞれ素晴らしいソロを取っていることにもよるかもしれないが。

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