ジェイムズ・P・ジョンソンの1929年の録音はベッシー・スミスの伴奏を務めたものだけ保有している。
| Vocal | … | ベッシー・スミス | Bessie Smith |
| Piano | … | ジェイムス・P・ジョンソン | James P Johnson |
| レコード2 A-7. | ヒーズ・ガット・ミー・ゴーイン | He's got me goin’ |
| レコード2 A-8. | イット・メイクス・マイ・ラヴ・カム・ダウン | It makes my love come down |
この録音はストライド・ピアノの巨匠ジェイムズ・P・ジョンソンがバックを務めている。ベッシーはジョンソンの伴奏を好んだと伝えられているが、それはここから彼のピアノだけを伴奏にした吹込みが続くことからもわかる。
A7.ヒーズ・ガット・ミー・ゴーイン
油井氏は50年代に流行した白人ポップス、ロックン・ロールの源がここにみられる、急速調のブルースがやがてリズム・アンド・ブルースに進み、白人に影響してプレスリーを頂点とするロックン・ロールを作り上げたとする。
A8.イット・メイクス・マイ・ラヴ・カム・ダウン
僕にはこの曲がA-1、A-2と同じ曲に聴こえる。
| Vocal | … | ベッシー・スミス | Bessie Smith |
| Piano | … | ジェイムス・P・ジョンソン | James P Johnson |
| レコード2 B-1. | ウェイステッド・ライフ・ブルース | Wasted life blues | 10月1日 |
| レコード2 B-2. | ダーティー・ノー・グッダーズ・ブルース | Dirty no-gooder's blues | 10月1日 |
| レコード2 B-3. | ブルー・スピリット・ブルース | Blue spirit blues | 10月11日 |
| レコード2 B-4. | くたびれた男のブルース | Worn out Papa blues | 10月11日 |
| レコード2 B-5. | ユー・ドント・アンダースタンド | You don't understand | 10月11日 |
| レコード2 B-6. | ドント・クライ・ベイビー | Don't cry baby | 10月11日 |
この年の残りのトラックはすべてジョンソン一人がバックを務めている。
B1.ウェイステッド・ライフ・ブルース
僕が最初に買ったベッシーのレコードはこの「ベッシー・スミス物語第2集/エニィ・ウォーマンズ・ブルース」だった。そして最初に最も好きになったのがこの曲だった。高校3年で受験を控え成績が伸び悩んでいた僕には、この曲は心に響いた。”I'm too weak to stand and too strong to cry”(堪えるほど強くはないし泣き出すほど弱くはない)そして”Oh me oh my wonder what will my end be , Oh me oh my wonder what will become of poor me”(おぉ、いったい哀れな自分の人生はこの先どうなっていくんだろう)という歌詞は響いた。
油井正一氏はこの曲はベッシー自身の作で当時の彼女の心境を訴えた内容だが、出来は「つめたい世間」に劣ると書いている。出来は劣るのかもしれないが心に響くものこそブルース、音楽ではないかと当時反感を覚えた記憶がある。人生その時その時で心に響く歌というのがあるんだなあと思う。
B3.ブルー・スピリット・ブルースは幽霊が登場するときなどに使われるあの有名なフレーズでスタートする。このフレーズが登場するのはこれが初出なのであろうか?博識な油井氏にはそういう解説を期待したい。
他の4曲も名手ジェイムス・P・ジョンソンの伴奏を得て、これぞクラシック・ブルースの王道ともいうべき出来栄えを示している。
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