巨匠と言われながら、自身の名義をかざしたレコードが非常に少ないロイ・エルドリッジ。今回取り上げる「ロイ・エルドリッジ/グレイテスト”リトル・ジャズ”」(MCA-3076)というレコードは、そういった意味でも。極めて貴重である。要は、巨匠と言われながら、彼のプレイを存分に聴けるレコードが少ないのである。
彼が前回拙HPに登場したのは、ジーン・クルーパ楽団での演奏と、ヴォーカリストとしてアニタ・オディとデュオを歌って以来である。解説を見るとクルーパの楽団には、1943年春まで在団し、同年6月から自身のバンドを率いたそうなので、その演奏ということになるであろう。しかし第二次世界大戦中であり、AFMによる吹込みストという逆風の中、よく自身のバンドを立ち上げたものである。
因みにタイトルの”リトル・ジャズ”は、ロイ・エルドリッジの仇名だそうです。
| Band leader & Vibraphone | … | ライオネル・ハンプトン | Lionel Hamton | |||
| Trumpet | … | ルイ・アームストロング | Louis Armstrong | 、 | ロイ・エルドリッジ | Roy Eldridge |
| Trombone | … | ジャック・ティーガーデン | Jack Teagarden | |||
| Tenor sax | … | コールマン・ホーキンス | Coleman Hawkins | |||
| Piano | … | アート・ティタム | Art Tatum | |||
| Guitar | … | アル・ケイシー | Al Casey | |||
| Bass | … | オスカー・ペティフォード | Oscar Pettiford | |||
| Drums | … | シドニー・カトレット | Sidney Catlett |
1944年11月末までAFMのストにより、正式な録音はかなり減りますが、戦地にいる兵士慰問用のレコード(V-disc)は、多数録音されました。ライオネル・ハンプトンの音楽は陽気で元気がよく、ダンスにもぴったりということでV-discにはうってつけだったのではないでしょうか?それにしてもメンバーがスゴイ、これぞオールスター・バンドといった陣容です。
演奏するのは、ライオネル・ハンプトン・バンドの十八番中の十八番、「フライング・ホーム」。イントロからハンプのVbがリードし、そのままソロに突入します。続いてTpソロ、これはサッチモです。続いてClとなりますが、ディスコグラフィーにはClの記載はありません。CDには、バーニー・ビガードとありますが。続いてホークのTs、続くTpソロはエルドリッジ、ビッグ・シドの短いソロがありリフが入って一旦終了したように聴こえますが、その後ドラムに移動したハンプとビッグ・シドのドラム合戦となり、最後はリフで大いに盛り上げて終了します。12分弱の長尺録音で、これぞV-discならではと言ったところでしょう。
| Band leader & Trumpet | … | ロイ・エルドリッジ | Roy Eldridge | |||||||||
| Trumpet | … | ガス・アイケン | Gus Aiken | 、 | ジョン・ハミルトン | John Hamilton | 、 | ロバート・メイソン | Robert Mason | 、 | クラレンス・ウィーラー | Clarence Wheeler |
| Trombone | … | テド・ケリー | Ted Kelly | 、 | サンディ・ウィリアムズ | Sandy Williams | 、 | ジョージ・ウィリアムズ | George Williams | |||
| Alto sax | … | ジョー・エルドリッジ | Joe Eldridge | 、 | サム・リー | Sam Lee | ||||||
| Tenor sax | … | フランツ・ジャクソン | Franz Jackson | 、 | ハル・シンガー | Hal Singer | ||||||
| Baritone sax | … | ディヴ・マクレー | Dave McRae | |||||||||
| Piano | … | トニー・ダモア | Tony D'Amore | |||||||||
| Guitar | … | サム・アレン | Sam Allen | |||||||||
| Bass | … | カール・ウィルソン | Carl Wilson | |||||||||
| Drums | … | レス・アースキン | Les Erskine |
サム・アレンはピアニストであるが、ギターも弾いたとある。ここではギターを弾いたのかもしれない。
| A-1. | 言い出しかねて | I can't get started |
| A-2. | 君去りし後 | After you've gone |
| A-3. | 身も心も | Body and soul |
残念ながら、僕の持っているレコード盤は品質が悪く、非常に音が割れ、聴きづらい。それでも輝かしい、彼のTpプレイが堪能できる。これほど吹きまくる彼の演奏を聴くのは初めて。
「言い出しかねて」は、全面的にエルドリッジが吹きまくる。納得の1曲。
「君去りし後」は、エルドリッジの十八番だという。ここでもエルドリッジの輝かしいプレイが堪能できる。途中で出るアルト・サックスのソロもいい。
「身も心も」は、コールマン・ホーキンスの名演が思い出せるが、ロイはトランペット版の同曲の名演を記録したかったのではないだろうか?全篇正にエルドリッジという感じで、その力演ぶりに圧倒される。終わり近くに入るPソロも抑え気味でよい。
| Band leader & Trumpet | … | ロイ・エルドリッジ | Roy Eldridge | |||||||||
| Trumpet | … | シドニー・ド・パリス | Sidney De Paris | 、 | ポール・コーエン | Paul Cohen | 、 | ロバート・メイソン | Robert Mason | 、 | ピンキー・サヴィット | Pinky Savitt |
| Trombone | … | ウィルバー・ド・パリス | Wilbur De Paris | 、 | サンディ・ウィリアムズ | Sandy Williams | 、 | ヴィック・ディッケンソン | Vic Dickenson | 、 | ジョージ・スティーヴンソン | George Stevenson |
| Alto sax | … | ジョー・エルドリッジ | Joe Eldridge | 、 | カービー・アレクサンダー | Curby Alexander | ||||||
| Tenor sax | … | フランツ・ジャクソン | Franz Jackson | 、 | ハル・シンガー | Hal Singer | ||||||
| Baritone sax | … | ディヴ・マクレー | Dave McRae | |||||||||
| Piano | … | テディ・ブラノン | Teddy Brannon | |||||||||
| Guitar | … | スナッグス・アレン | Snags Allen | |||||||||
| Bass | … | ビリー・テイラー | Billy Taylor | |||||||||
| Drums | … | コジー・コール |
| A-4. | フィッシュ・マーケット | Fish market |
| A-5. | トワイライト・タイム | Twilight time |
お寄せいただいたご意見等は本文にて取り上げさせていただくことがあります。予めご了承ください。