テディ・ヒルは1920年代後半から活躍しているテナー・サックス奏者で、1934年不況の真っただ中に自己のバンドを組織する。そして翌35年には初めてのレコーディングを行っているので、サックス・プレイヤーとしての腕前はともかくバンド経営の才は卓越したものがあったと言えるだろう。彼の名前が一番知られるのは、ビ・バップ勃興の基地ともいえる「ミントンズ・プレイ・ハウス」のマネージャーとして先見の明を発揮したところであろう。そして彼の先見の明はバンドを辞めたロイ・エルドリッジの後任としてディジー・ガレスピーを起用したことにも表れている。
すなわちこの「ザ・ビッグ・バンド・イーラ《第2集》」に収録されたテディ・ヒル1937年の録音で、ディジー・ガレスピーは初レコーディングを経験するのである。後にチャーリー・パーカーと共にビ・バップを牽引する偉大なミュージシャンの輝かしい吹込みの数々はここからスタートするのである。
その前にテディ・ヒル自身とそのバンドは1935年2月26日に初録音(4曲)をバナー・レーベルに行う。そして36年4月1日(2曲)と5月4日(3曲)をヴォカリオン・レーベルに録音した。さらにこの他に3月26日に6曲、4月23日に6曲、さらに5月17日の6曲合計18曲をブルーバード・レーベルへ吹込みを行った。この「ザ・ビッグ・バンド・イーラ《第2集》」には、この18曲から8曲を選んで収録している。この8曲以外はほとんどがヴォーカル入りで、演奏もスイートなものであり、バンドの実力を知るには、この8曲が最適であると解説氏は書いている。
| Band leader & Tenor sax | … | テディ・ヒル | Teddy Hill | ||||||
| trumpet | … | ビル・ディラード | Bill Dillard | 、 | フランキー・ニュートン | Frankie Newton | 、 | シャド・コリンズ | Shad Collins |
| Trombone | … | ディッキー・ウェルズ | Dickie Wells | ||||||
| Clarinet & Alto sax | … | ラッセル・プロコープ | Russell Procope | ||||||
| Alto sax | … | ハワード・ジョンソン | Howard Johnson | ||||||
| Tenor & Baritone sax | … | セシル・スコット | Cecil Scott | ||||||
| Piano | … | サム・アレン | Sam Allen | ||||||
| Guitar | … | ジョン・スミス | John Smith | ||||||
| Bass | … | リチャード・フルブライト | Richard Fullbright | ||||||
| Drums | … | ビル・ビーソン | Bill Beason |
| record3 B-1. | ザ・ハーレム・トゥイスター | The harlem twister |
| record3 B-2. | マイ・マリー | My Marie |
3月26日と同じ
| record3 B-3. | ア・スタディ・イン・ブラウン | A study in brown |
| record3 B-4. | トルコの黄昏 | Twilight in Turkey |
| record3 B-5. | チャイナ・ボーイ | China boy |
record3 B-3.[ア・スタディ・イン・ブラウン]
この時期よく登場するラリー・クリントン作の曲。明るいサウンドであると共に、グイグイと引っ張られるような力強さとスイング感に溢れたアンサンブルがすごい。コリンズ(Tp)も力強く、スコット(Ts)の出来も上々である。
record3 B-4.[トルコの黄昏]
新しい感覚のアレンジで聴かせる。この4日前にトミー・ドーシーの楽団も吹込みを行っているナンバー。そちらも実にユニークな演奏である。
ビーソン(Ds)とスミス(Gt)によるイントロも奇抜なら、ウェルズ(Tb)らしからぬグロウルしたプレイも珍しい。ビーソンのドラム・ブレイクとスミスのGtを前面に出したリズムを中心としてキーを変化させながら進行するグロウル・アンサンブルが不思議な効果を上げている。フルブライト(B)のスラップピング的なバッキングも効果的だ。そしてスコット(Ts)のソロは前任者チュー・べり−的なノリを示すのが面白い。現代なら間違いなく「問題作」と云われるような作品である。
record3 B-5.[チャイナ・ボーイ]
アレン(P)のよく乗ったソロで演奏は始まる。彼の3コーラスに渡る入魂のソロは各コーラスごとに変化に富み楽しい。続くニュートン(Tp)のソロも途中スコット(Bs)の短いソロをはさんで実に力強く、彼ならではの甘さとノリの良さで他を圧倒している。
3月26日、4月23日と変更点
Trumpet … フランキー・ニュートン ⇒ ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)
Tenor & Baritone sax … セシル・スコット ⇒ ロバート・キャロル(Robert Carroll)
| record3 B-6、A-2. | ユアーズ・アンド・マイン | Yours and mine |
| record3 B-7、A-1. | キング・ポーター・ストンプ | King porter stomp |
| record3 B-8、A-3. | ブルー・リズム・ファンタジー | Blue rhythm fantasy |
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